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2010-04-11

「考えること」は「わかること」ではない


小林●ぼくら考えていると、だんだんわからなくなって来るようなことがありますね。現代人には考えることは、かならずわかることだと思っている傾向があるな。つまり考えることと計算することが同じになって来る傾向だな。計算というものはかならず答えがでる(ママ)。だから考えれば答えは出るのだ。答えが出なければ承知しない。


【『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄(新潮社、2004年)】

小林秀雄全作品〈25〉人間の建設

スーザン・ソンタグ


 1冊読了。


 54冊目『他者の苦痛へのまなざし』スーザン・ソンタグ/北條文緒訳(みすず書房、2003年)/戦争写真に関する哲学的考察が繰り広げられる。しなやかで強靭な鞭(むち)のような知性が読者に襲い掛かってくる。無惨な映像を目の当たりにした時の心の揺れを的確に捉え、写真の欺瞞性を暴き、イメージに支配される心理を探る。写真は切り取られた事実ではあるものの、それは異なる位相となって我々の生活に侵入してくる。写真を見た瞬間に我々はカメラを持つ者と同じ視線に閉じ込められてしまうのだ。「他人の目を通して見る事実」と言っていいだろう。写真や映像は果たして千里眼と言い得るだろうか?

『ロシアのユーモア 政治と生活を笑った300年』川崎浹(講談社選書メチエ、1999年)


ロシアのユーモア―政治と生活を笑った300年 (講談社選書メチエ)


「共産主義時代にも盗みはあるでしょうか」「ないでしょう。社会主義時代にぜんぶ盗まれていますから」体制にとって「危険な世論」でありつづけたアネクドートは、口から口へと広まる。辛辣に権力を嗤いつづけたロシア人の過激な「笑い」を通して、ピョートル大帝期から現代にいたる、激動のロシア300年を読む。

文庫化『壊れた脳 生存する知』山田規畝子(角川ソフィア文庫、2009年)


壊れた脳 生存する知 (角川ソフィア文庫)


 三度の脳出血で重い脳障害を抱えた外科医の著者。靴の前後が分からない。時計が読めない。そして、世界の左半分に「気がつかない」……。見た目の普通さゆえに周りから理解されにくい「高次脳機能障害」の苦しみ。だが損傷後も脳は驚異的な成長と回復を続けた。リハビリをはじめとする医療現場や、障害者を取り巻く社会環境への提言など、障害の当事者が「壊れた脳」で生きる日常の思いを綴る。諦めない心とユーモアに満ちた感動の手記。

スパイの嚆矢はトロイの木馬


 世間一般には、キリストが生まれる1200年も前のこの『トロイの木馬』事件がスパイのはじめとされている。しかし、エジプトの歴史をたずねると、それよりも二千数百年前、紀元前3600年から3400年前に、ある将軍が兵士200人を粉袋に縫いこんで、包囲中の城壁内に送りこみ、トロイの木馬と同じ方法で成功した話があるし、聖書のなかにも紀元前約1490年にモーゼがカナンの地を探るため、ヌンの子ヨシュアに率いられた12人の密偵を送りだしたことが書かれている。


【『秘録 陸軍中野学校』畠山清行著、保阪正康編(番町書房、1971年/新潮文庫、2003年)】

秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)