古本屋の覚え書き このページをアンテナに追加 RSSフィード


WWW を検索 古本屋の覚え書きを検索

2010-04-16

マーク・ブキャナン、J・クリシュナムルティ


 2冊読了。


 57冊目『歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学マーク・ブキャナン/水谷淳訳(ハヤカワ文庫、2009年/『歴史の方程式 科学は大事件を予知できるか』早川書房、2003年を改題)/地震や森林火災などには「べき乗則」が働いているそうだ。つまり、大地震や森林大火災はたまにしか来ないということ。ここから臨界が変化する瞬間に斬り込んでいる。最終的には「歴史物理学が可能かどうか?」というテーマ。状況の変化という事実を、因果で読み解くことはできないというのが著者の結論か。相変わらずこなれた文章だが、結構難しかった。


 58冊目『ザーネンのクリシュナムルティ』J・クリシュナムルティ/ギーブル恭子訳(平河出版社、1994年)/クリシュナムルティ本29冊目の読了。読みやすかった。テキストを枠組で囲う意味がまったくわからない。余白が無駄な上、上下のバランスが崩れている。版型を大きくする必要はなかったはずだ。写真が豊富ではあるが出来が悪い。内容は文句なし。スイスのザーネンで毎年講話が行われていたが、収録されているのは1985年夏の最後のもの。原文に忠実な訳文がライブ感を巧みに醸(かも)し出している。「一緒ですか?」というクリシュナムルティの呼び掛けが対話であることを示している。講話はスピーチではなくトークであった。ブッダやソクラテスと全く同じ対話の精神がここにある。

バートランド・ラッセル著『怠惰礼賛』


 その注目すべき本『怠惰礼賛』のなかでバートランド・ラッセルは、労働時間を週4時間に減らすべきだと示唆している。彼の見込みでは、それによって人は生活必需品と基本的安定が与えられるはずであり、「それ以外の時間は、彼がふさわしいと見なす用途にあてられるべき」なのだ。もしこの素晴らしい提案が実施されたら、人はもはや一日の終わりに疲労を感じないかもしれない。自己探求は膨大なエネルギーを必要とするという事実を見逃さないようにしよう。もしより多くの余暇ができたら、われわれはプシケのより一層の探究のため、倍加したエネルギーでもってわれわれ自身の内部へと突き進むことができるのではないだろうか?


【『気づきの探究 クリシュナムルティとともに考える』ススナガ・ウェーラペルマ/大野純一訳(めるくまーる、1993年)】

気づきの探究―クリシュナムルティとともに考える

オスとメス別に進化 証拠発見


 これまで生物の基本的な形は、子孫を残すことができるメスで、オスは進化の過程でメスから生まれたと考えられてきました。ところが東京大学などのグループがメスとオスは、それぞれ別に進化してきたことを示す証拠を初めて発見し、生物の基本的な形を見直す成果として注目を集めています。

 この研究を行ったのは、東京大学理学系研究科の野崎久義准教授と、アメリカの研究所のグループです。これまで原始的な生物では、オスになるために欠かせない遺伝子は、見つかっていましたが、メスになるのに欠かせない遺伝子が見つかっていなかったため、生物の基本的な形はメスで、オスはメスから誕生すると考えられてきました。ところが藻の一種で、精子と卵子で生殖を行う原始的な生物の「ボルボックス」を研究グループが調べたところ、世界で初めてメスになるために欠かせない遺伝子が見つかったということです。見つかった遺伝子は、卵子がつくられる際に働くとみられていて研究グループでは、オスとメスは、性別がない状態からそれぞれ必要な遺伝子を獲得し、誕生したとしています。野崎准教授は「オスとメスは根本的に違っていることが明らかになった。男女は生物学的には根本的に違うということを認識すれば、男女関係も、よりうまくいくのではないか」と話しています。


NHKニュース 2010-04-16

小ネタ満載/『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート編


 中々面白かった。たまにはこんな本もいい。週刊誌感覚で読める。聖人がキリスト教に傾きすぎているきらいはあるものの、そこそこ目が行き届いている。文庫本に善悪を網羅することは不可能であろうが、狙いには好感が持てる。


 クリシュナムルティが紹介されているので読んでみたが、まったく当てが外れた。わずか2ページの記事で、長めのプロフィール程度しか書かれていない。ま、取り上げただけでもよしとしておくか。


 ナメてかかっていたところ、結構知らない小ネタがあってビックリ。教養は細部から成る。そこに神が宿っていないにせよ。


 手っ取り早く言ってしまえば善悪というのは多数決の概念である。より多くの人々を幸せにした人が善で、より多くの人々を不幸のどん底へ追いやった者が悪ってわけだ。


 同じ神を奉じるユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、よく「アブラハムの宗教」とも総称される。アブラハムとは、「箱舟伝説」で知られるノアの子孫で、ユダヤ民族の先祖と称される人物だ。


【『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート編(PHP文庫、2008年)以下同】

「アブラハムの宗教」という言葉を私は知らなかった。エイブラハム・リンカーンの名前も響きが変わってくる。


 キリスト教を築いたのは、じつは開祖イエスではなく、彼の没後に師の教えを広めた「十二使徒」だといわれる。ペテロは、そのリーダーと目される人物だ。


 というよりも、ペテロとパウロの二人が「イエス」なる人物を創作したのがキリスト教だと私は考えている。「イエス」という人物が実在した証拠は何ひとつ存在しないのだから。


 一歩間違えれば彼女(ジャンヌ・ダルク)は、聖人ではなく魔人として、本書にとりあげられてもおかしくなかった。なにしろ、カトリック教会から異端者、そして魔女という烙印を押されて、火刑に処されたのだから。没後20年を経て、教会がその判定を撤回しなければ、いまだに魔女と称されていたかもしれないのである。

 教会のジャッジによって聖女になったり魔女になったりするところが面白い。結局、風評と同じレベルだ。善悪の根拠は人々の理性でも感情でもなく、教会に依存しているということか。火あぶりにされ、「イエス様、イエス様!」と叫ぶ彼女を神が助けることはなかった。


 また、ヒトラーの占星術に対する信奉は篤く、戦争の際も、いつどこに攻め込むかはすべて占星術で決めていたといわれるほどだ。ちなみに、これに対抗して、連合国軍も占星術師の意見を作戦にとりいれたというのだから、第二次大戦は魔術戦争という側面もあったといえるだろう。


 これも初耳。


 ちなみに、グルジェフの思想の影響を受けた秘密結社に「トゥーレ協会」というものがある。これがヒトラー率いるナチスに、多大な影響を与えたのは有名な話だ。


 出たよ、グルジェフ!(笑) 尚、ハーケンクロイツに関しては苫米地英人による以下の指摘もある──


 お坊さんでもほとんどの人が知らないようですが、「■(=卍の逆)」(鉤十字〈ハーケンクロイツ〉)はヒトラーがチベット密教に憧れてナチの旗に使ったのです。ヒトラーは超人思想の持ち主で、チベット密教はナチズムの元になったのです。有名な神秘思想家ゲオルギィ・イワヴィッチ・グルジェフが持ち込んだ神秘主義にヒトラーは憧れていました。グルジェフやヘレナ・ブラヴァッキーたちがチベットまで行ってきて、ヨーロッパに伝えたチベット密教が、おそらくドイツの神智学協会みたいなものを作り上げたと私は考えています。そのあたりででき上がった神秘主義と、バリバリの原理主義プロテスタンティズムが結びつくと、そのまんまヒトラーの超能力思想に繋がって、それが彼の優性遺伝思想になるわけです。それを生み出した大もとはチベット密教です。少なくともチベット密教は私にとってはカルトです。


【『スピリチュアリズム苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(にんげん出版、2007年)】


 最後にもう一つ。国際謀略モノによく登場する「アサシン」の意味──


 ニザール派シーア派 > イスマーイール派 > ニハサン一派=ニザール派)は政治的手段のひとつとして、暗殺を繰り返した。彼らは、別名アサシン(大麻)派と呼ばれていたことは有名だが、とくにシリアのニザール派が勇猛果敢であったため、スンニ派がそう呼んだそうだ。暗殺を命じられた刺客は、大麻など麻薬を服用して任務を遂行していたことからそう称されたようだ。


 人が歴史をつくるのか、それとも歴史が人をつくるのか。時の流れが臨界を形成し、一人の人物がある方向へと一気に傾かせる。時代の寵児(ちょうじ)はトリックスター的要素をはらんでいる。


 因果という物語性に支配されていると、どうしても人の要素に目を奪われてしまう。事実は何も語らない。物語をつくり上げるのは後世の人々なのだ。


 蛇足となるが、掲載されているイラストが薄気味悪い。

世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本 (PHP文庫)

アインシュタイン「数学における最も偉大な発見の一つは複利の発見である」


 かのアインシュタインは、「数学における最も偉大な発見の一つは、複利の発見である」と言っています。また、ロスチャイルドは、世界の七不思議とは? と訊かれた時、「それは分からないが、8番目の不思議が複利である、というのは確かだ」と答えたそうです。


【『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵』北村慶〈きたむら・けい〉(PHP研究所、2006年)】

貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵