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2010-04-18

裁判権放棄密約 米兵犯罪裁かぬ理不尽正せ


「日本を守ってくれるなら、レイプには目をつぶります」という話だわな。飲み屋と暴力団の関係さながらだ。


 政府がつき続けてきたうそがまた一つ明らかになった。米兵の犯罪をできるだけ立件しないという密約のことだ。

 政府が犯罪を罰しないと公言するのでは、「法治国家」と言えるのか。国民の正当な処罰感情に応えるより、米国のご機嫌取りを優先した形だ。いったいどこの国の政府だろうか。

 他の密約と比べても、この密約は国民の人権を直接、侵害している点で、ひときわ理不尽、悪質だ。

 問題は2年前、研究者の新原昭治氏が米側公文書を見つけて発覚した。1953年の日米合同委非公開議事録で、日本側代表が「(米兵の事件なら公務外でも)特に重要な事案以外、日本側は第一次裁判権を行使するつもりがない」と発言している。

 法務省が全国の地検に対し「重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」と通達した同年付の文書も見つかった。

 文言が同一で、密約の存在を如実に裏付ける。それでも法務省は当時、「日本人と同様の基準で起訴、不起訴を判断している」と述べ、通達は事実でも、裁判権放棄ではないと否定していた。

 だが今回の文書発覚で、もはや言い逃れはできまい。58年の岸信介首相(当時)と駐日米大使の会談の記録だ。米大使が先の非公開議事録に言及し、「公にしてほしい」と求めている。動かぬ証拠と言うほかない。

 政府はかつて米兵の起訴率は日本人より高いと強弁した。だがこれは、軽微な道交法違反を積極的に起訴して数字を押し上げたまやかしの結果にすぎない。

 ジャーナリストの布施祐仁氏によると、刑法犯の2000〜08年の起訴率は国内平均が54%なのに対し、米兵は23%。強姦(ごうかん)に限ると国内平均が62%で米兵は26%にすぎない。密約が今も生きていることの証左ではないか。

 昨年の読谷村のひき逃げ死亡事件で県警は逮捕状をすぐに請求しなかったが、密約との関連はないのか。表面化しないまま立件されなかった例も多かろうと疑われる。

 隠蔽(いんぺい)は国民への背信行為であり、法務省は潔く認めるべきだ。外務省も徹底調査し、国民に明示してもらいたい。その上で米兵と日本人で犯罪処理を同等にする新たな協定を結び直すべきだ。それでこそ政権交代に意義がある。


琉球新報 2010-04-15

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