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2010-04-25

岩田規久男、竹森俊平、スーザン・ソンタグ、J・クリシュナムルティ


 2冊挫折、2冊読了。


 挫折29『マクロ経済学を学ぶ』岩田規久男(ちくま新書、1996年)/文章が肌に合わず、あっという間に挫ける。


 挫折30『世界デフレは三度来る(上)』竹森俊平(講談社BIZ、2006年)/講談社がやたらとネーミングを変えて刊行しているが、驚くほど活字が読みやすくなった。ま、以前が酷かったからね。特に講談社文庫の読みにくさは多くの人々が指摘していた。上下で1100ページの大冊。20世紀の経済史を揺るがす出来事がドラマチックに綴られている。この著者は相当頭がいい人だ。文章のあちこちに自信が漲(みなぎ)っている。文章もいい。それでも250ページで挫ける。歴史に重点が置かれていて、当てが外れたというのが本音である。秀逸なマクロ経済史にもなっているので再読するかも。


 60冊目『良心の領界』スーザン・ソンタグ/木幡和枝〈こばた・かずえ〉訳(NTT出版、2004年)/高橋源一郎著『13日間で「名文」を書けるようになる方法』の冒頭で紹介されている文章をどうしても読みたくて速効で入手。「若い読者へのアドバイス……」と題された序文である。高橋本で全文紹介されているのだが、この4ページを読むだけでも価値がある。柔らかいこと、しなやかであることが強さであることを見事に証明している。人は善良であればあるほど煩悶(はんもん)し、懊悩(おうのう)する。かつて「わかりやすい正義」が正義であった例(ためし)がない。彼女とクリシュナムルティの対談が実現していたら──と思わずいはいられなかった。ただし、田中康夫を買い被っているのは頂けない。


 61冊目『知恵のめざめ 悲しみが花開いて終わるとき』J・クリシュナムルティ/小早川詔〈こばやかわ・あきら〉、藤仲孝司〈ふじなか・たかし〉訳(UNIO、2003年)/クリシュナムルティ30冊目の読了。日本語訳はあと10冊ほどしかないはずだ。録音された講話で原書に補完を加えた労作。生々しい言葉の揺らぎから、クリシュナムルティの思想を読み解こうとする姿勢は高く評価していいだろう。ただ、「訳者あとがき」で延々と言いわけをして、他の翻訳を悪し様に言う姿勢は大いに疑問だ。その独善性にクリシュナムルティの教えを見て取ることは不可能だ。大体、藤仲が単独で翻訳したものは滅茶苦茶な文章が多く、朗読するのも一苦労させられる。この二人は翻訳と通訳とを明らかに勘違いしている。大野純一訳は癖があるものの、はるかに読みやすい。本書は話し言葉で綴られているため、読みにくい上、難解な表現が数多く見受けられる。私が読んできたものの中では一番難しかった。

存在するとは知覚されること


 アインシュタインは、チューリッヒの連邦工科大学の学生であった1897年にマッハの『力学の発達』を読み、深い影響を受ける。そして、当時確認された光速度一定の法則という経験的な事実から、つまり「現象」の側から出発し、逆に時間・空間概念を変更する、という大転換を行う。そこに生れるのが相対性理論の体系であった。

 ここで、相対論において基本的な発想となっているのは、いわば「存在するとは知覚されること」という、これもまた世界についてのマッハ的な理解である。光よりも速い物質は存在せず、かつ知覚される(=ものが見える)とはその物質から放たれた光が観察者の網膜にとどくことだから、世界や事物の存在は光によって成り立つことになる。


【『死生観を問いなおす』広井良典(ちくま新書、2001年)】

死生観を問いなおす (ちくま新書)

2025年&2050年 GDP世界ランキング予想


 データはゴールドマン・サックスの調査を元にしていると思われるが、欧米が指をくわえているわけがない。特に中国の場合、民主化というカントリーリスクがつきまとっている。


D

ヨアン・アンドネの抗議行動


(ヨアン・)アンドネが英雄になったのは、そのシーズン最後のリーグ戦でのダービーだった。

 3-0、文句のない〈ディナモ〉(※ルーマニア)の圧勝。ディフェンダーながら、自らも得点を決めたアンドネは、勝利を告げるホイッスルを聞くと感極まった。彼はスタンドのヴァレンティンを見つける。背を向けた。そして、一気にパンツを下ろした。

 周囲は凍りつく。チャウシェスク大統領の長男に向けて下半身を見せる抗議行動。否(いな)、侮蔑(ぶべつ)行動――いったいどんな恐ろしい粛清が待ち受けているのか。

 アンドネにとって幸運だったのは、ヴァレンティンのお気に入りだった〈ステアウア〉のFWマルウス・ラカトシュと仲が良かったことだった。代表の右ウイングで勇躍していたラカトシュは、試合さながらに快速をぶっ飛ばしてヴァレンティンに駆け寄り、必死に友人の非礼を詫(わ)びて罪の軽減を訴えた。


【『蹴る群れ』木村元彦〈きむら・ゆきひこ〉(講談社、2007年)】

蹴る群れ