古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

夢枕獏、J・B・ビュァリ


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折60『上弦の月を喰べる獅子(上)夢枕獏早川書房、1989年/ハヤカワ文庫、1995年)/螺旋(らせん)の物語である。日本SF大賞を受賞している。そこそこ期待していたのだが、どうもこの人の変態的な展開についてゆけない。東京駅に向かう電車で半分ほど読んで挫ける。もう数週間前のこと。


 101冊目『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ/森島恒雄訳(岩波新書、1951年)/『魔女狩り』の「あとがき」で紹介されていた一冊。文章の行方がわかりにくいところもあるがこれは立派な教科書本だ。『精神の自由ということ 神なき時代の哲学』といい勝負だ。キリスト教が西洋を抑圧してきた歴史が綴られている。「近代」の意味がよく理解できる。何と20世紀初頭まで教会は「思想の自由」を妨げていた。つまり、「自由」とは教会からの自由であり、神からの自由を意味していた。そしてキリスト教というソフトは、今尚インストールされているのが世界の現状だ。

あなたが相手を観察するのと同じように、相手もあなたを観察している

 尋問者と被尋問者は、互いに同じように好奇心を抱くものだ(尋問セミナーの講師に招かれると、ダンスは受講者にかならずこう注意を促す。「あなたが相手を観察するのと同じように、相手もあなたを観察しています。それどころか、あなたのほうがよほど綿密に観察されていると覚悟してください。あなたより彼らのほうが失うものがはるかに大きいからです」)。


【『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー池田真紀子訳(文藝春秋、2008年/文春文庫、2011年)】


スリーピング・ドール〈上〉 (文春文庫) スリーピング・ドール〈下〉 (文春文庫)

筋肉がゆるむ必要−リハビリ


 心もまた同様であろう。

 ここで重要なことは、正確にある運動を起こすためには、その筋肉が縮むだけではなく、同時に他の筋肉がゆるむ必要がある点です。たとえば指を曲げて何かをつかむためには、指を曲げる筋肉が収縮すると同時に、指を伸ばす筋肉がゆるむ必要があります。またこのとき、腕や胴体はその運動を支えるために安定していることが大切です。


【『脳から見たリハビリ治療 脳卒中の麻痺を治す新しいリハビリの考え方』久保田競〈くぼた・きそう〉、宮井一郎編著(講談社ブルーバックス、2005年)】


脳から見たリハビリ治療―脳卒中の麻痺を治す新しいリハビリの考え方 (ブルーバックス)

三浦梅園が生まれた日


 今日は三浦梅園(1723〜1789年)が生まれた日。梅園は医を家業としながら、67年の生涯を天地と人間の条理の解明に捧げた。偉大な哲学者でありながら、優れた科学者でもあり、その才能は天文学から生物学、医学、政治経済学、文学にまで及んだ。他との比較を許さぬ傑出した思想家。


三浦梅園自然哲学論集 (岩波文庫)