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2010-08-17

国債とCDSの仕組み/『恐慌第2幕 世界は悪性インフレの地獄に堕ちる』朝倉慶


 経済や金融に関する本は圧倒的に悲観論が多い。ま、パスカルの賭けみたいなもので、外れたとしても損をする人はあまりいないところがミソ。しかしながら、子羊のような一般投資家はこの手の情報に翻弄され、マーケットの需給を支える羽目となる(笑)。


 やや粗製乱造気味の朝倉慶ではあるが、まだ一読の価値は残している。


 まずは各国の内需拡大政策から見てみよう――


 中国では、車やパソコンを買ってくれたら買い付け金の13%の補助金を出してくれるということです。ドイツでは車を買い替えた人には33万円近い補助が出ます。アメリカでは、消費者ローンや教育ローンを含むあらゆる資産担保保証券をFRBが買ってきています。日本政府もドイツや中国の政策が効果を出しているのをみて、これを真似する様です。中古車から省エネカーへの買い替えに最大25万、省エネ家電の購入に、「エコポイント」として買付代金の5〜10%を還元するという事です。要するに世界中で、何がなんでも消費しろ、というように常識外の政策を取っているのです。

 いわば、かつてのマクドナルドの半額セールみたいなものです。売れ行きを何とか伸ばそうとして、安売りを強行しているのです。これは単に需要の先取りにしかすぎず、永遠に続けられる政策ではありません。やがて、化けの皮が剥がれて大赤字になったマクドナルドのように、世界の消費はつるべ落としになっていくに違いありません。


【『恐慌第2幕 世界は悪性インフレの地獄に堕ちる』朝倉慶〈あさくら・けい〉(ゴマブックス、2009年)以下同】


「何がなんでも消費しろ」――ああ、そうだったのか。こうなるとまるで賭場の胴元みたいだな。政府って胴元だったのね。これぞ「ネズミ車式資本主義」。我々は死ぬまで走らされる。消費という大車輪の中で。


 そう考えると、昨今の消費税増税というテーマは、「お前ら国民に代わって、俺達胴元が金を使ってやるよ」という意味なのかもしれぬ。


 いずれにせよ、資本主義はそのギャンブル性によって行き詰まりを露呈しつつある。


 次に国債の説明――


 債権というものを少し簡単に説明してみます。債権は10年なら10年、金利が固定されるものです。たとえば、その時に発行される、10年もの国債の金利が2.5%であれば、その国債は10年にわたって2.5%の金利が取れることを保証しています。となると、その後に金利が3%のものが発行されたらどうなるか? それは2.5%を10年間続くのと違って3%という金利が高いものが10年保証されるわけですから、当然、金利の高い設定のほうが、価値が上がるわけです。そしてこれが、前に発行された10年もの債権(金利2.5%)の価値を減価させ、値段の急落となります。金利上昇による債権価格低下のメカニズムです。

 これがインフレ気味、ないしは国債の大量発行の供給に耐えきれず、仮に10%の国債が発行されるようになったらどうなるか? 新しい国債は10年間10%の金利が保証されるわけですから、だれも10年変わらず2.5%の金利などという債権は買わなくなってしまいます。これが2.5%の金利の国債価格の暴落を引き起こすわけです。そのような金利上昇が続いて起きていくと人々が予想するようになったらどうなるか? 誰も怖くて債権は買えなくなってしまい、国債は売れず、従来発行された国債は価格の暴落から、「がれきの山」になってしまいます。今発行されている国債など2ケタのインフレが起きれば、あっという間に半値以下、20%のインフレになれば、4分の1になってしまいます。


 これ、ちょっとわかりにくい。急落した国債はどこで売買されるんだ? 銀行間なのだろうか? それとも金利マーケットということか? 実際に現物を解約した場合、どの程度の手数料が発生するのかね?


 現在、国および地方の長期債務残高は835兆円となっている(リアルタイム財政赤字カウンター 10)。ここに異変が起これば、取り返しがつかなくなることは誰にでも理解できよう。壊れた一軒家は修復のしようもあるが、破壊した都市を直す手立てはない。


 続いてCDSの話――


 実はこれはCDSそのものが、商品として売買されたからなのです。たとえば自動車保険であれば、保険金を払う人と、保険を受ける保険会社だけの関係ですから、1億円の保険契約を、ある人がしたとすれば、その1億円だけが、動く金額です。ところがCDSの場合はこれを、相場として売買し始めたのです。

 ある人の保険会社の1億円の保険を例にとれば、その1億円の保証に対して、50万円だ100万だ、300万だ、という相場が限りなく形成されることによって、実際の保険金である1億円を通りこして、数10億円(ママ)の保険取引が行われたと考えればいいと思います。そうなると、実際の保険取引などとは関係なく、相場の勝ち負けが焦点となってくるわけです。


 資本主義のギャンブル性は金利とレバレッジにある。マネーは移動するだけで増殖を繰り返すのだ。金融マーケットは合法的なカジノと化している。胴元の連中は必死だ。世界中の大衆を巻き込むべく新たな商品開発に余念がない。ETFCFDがそれだ。


 一般投資家は長期投資でなければ勝ち目がないのだが、少々儲けるとレバレッジに目が眩(くら)んでしまう。気づいた時は丸裸ってわけだよ。


 経済はよく川の流れに例えられる。ダムが放水すれば、自ずから下流の水嵩は増す。つまり本来であれば金融政策で経済は活性化できるはずなのだ。そうなっていないということは、下流にダムがたくさんあるか、あるいは「放水は許さんぞ」という大国の意志が働いているとしか考えようがない。

恐慌第2幕

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