古本屋の覚え書き このページをアンテナに追加 RSSフィード


WWW を検索 古本屋の覚え書きを検索

2010-09-30

『崩壊前夜 日本の危機』森田実(日本文芸社、2008年)


崩壊前夜 日本の危機


 2005年の5月頃のことでした。アメリカのウォール街から帰ってきた人に聞いたのですが、アメリカの保険業界が多額の政治献金を集めて、共和党系の大広告会社に日本での広告プロジェクトを依頼したと。その巨大広告メディアが日本の独占的巨大広告会社の電通に対して数千億円で日本国民の頭を「民営化が善で、官営は悪だ」というように切り替える広告プロジェクトを出したというのです。(中略)そこで私は各方面を打診して、数千億円ではない、兆の額だという証言を得たものですから、ホームページにそれを書いたのです。これは大反響がありました。(本文より)

『生のアート』津田広志(れんが書房新社、1994年)


生のアート


 クリシュナムルティ、ホスピス、シュタイナー、解放の神学。日常のなかに潜む非合理と合理、聖と俗、神秘と社会の境界を走破する未知の実践が今、問われている。現場で活躍する実践者のスリリングな言葉と、その現代的意味を探る渾身の論考が脱=近代の生と死の世界を開示する。

「On Fire」ミシェル・カミロ


 これぞ、クール。ミシェル・カミロはラテン・ジャズの巨匠。



On Fire

雷電為右衛門、登場

 雷電を名乗る馬ヅラの化け物は、それまで目にしたどの相撲人(すもうにん)とも似ていない。まるで異なる領域で、一人相撲を取っているとしか映らなかった。しかも魔物のようにしなやかに動く。肩、腕、背中、太腿、ふくらはぎに至るまで、巨大な筋肉の塊(かたまり)が、激しい光のように躍動する。三階の桟敷までびっしりとつまった見物客たちは打ちのめされたように声もない。もはや相撲見物などという悠長なものではなかった。明石藩に召し抱えられ幕内二段目に位置する押しも押されもせぬ相撲人が、藁束のように宙を舞う様を見せつけられた。それまでの約束ごとなどどこにもなく、大相撲が持っているどこか安全な芝居じみたものが吹き飛ばされ、はじめて実の一部を突きつけられた思いが、客席を打ちのめしていた。


【『雷電本紀』飯嶋和一〈いいじま・かずいち〉(河出書房新社、1994年/河出文庫、1996年/小学館文庫、2005年)】


雷電本紀 雷電本紀 (小学館文庫)

(※左が単行本、右が文庫本)

西洋オカルトの源流はカバラとグノーシス思想にある


 カバラグノーシス思想。この2つこそが、魔術師や錬金術師などのオカルティスト(あるいは、それらを名乗る詐欺師たちにとっても)、最も大事なものであり、すべての西洋オカルティストたちの源流をさかのぼれば、この2つに行き着くといっても過言ではないだろう。


【『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート編(PHP文庫、2008年)】

世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本 (PHP文庫)

J・K・ローリングのスピーチ(ハーバード大学卒業式)


 過去の失敗から這い上がり、強く、賢くなったのだと知ったとき、人は自分の生きる力を信じることができます。自分自身や友達との関係が逆境によって試されて初めて、人はそれらを本当に理解することができます。そのような知恵こそが(失敗がくれた)プレゼントであり、私にとってどんな資格よりも価値があるものなのです。


 もしタイムマシンかタイムターナーがあったならば、私は21歳の頃の私に、幸福な人生とは成功や達成のチェックリストではないということを教えてあげたい。資格や履歴書は人生ではないのです。残念ながら、私と同世代や年上人たちの中にも、それを混同している人が大勢います。人生とは困難で、複雑で、誰もコントロールすることはできません。それを謙虚に理解しなければ、人生の浮き沈みを生き抜くことはできないのです。


 さらに重要なのは、他人に共感することを拒否して生きる人は、本物のモンスターになってしまうかもしれないということです。自身の悪と戦うのをやめた人は、無関心のうちに悪と共謀してしまうのです。


冬の散歩道」から引用した。

トルーマン・カポーティが生まれた日


 今日はトルーマン・カポーティが生まれた日(1924年)。17歳で「ニューヨーカー」誌のスタッフになる。19歳で『ミリアム』でオー・ヘンリー賞を受賞し、「恐るべき子供」と評される。1966年に発表した『冷血』でノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを切り開いた。

冷血 (新潮文庫) ティファニーで朝食を (新潮文庫) 夜の樹 (新潮文庫)


2010-09-29

「ドラゴンクエストIX(ドラクエIX)」maru


 久々のmaruさん動画。私はゲームの類いを全くやらないが、maruさんの演奏なら聴くよ♪


プーラン・デヴィ


 1冊読了。


 118冊目『女盗賊プーラン(上巻)プーラン・デヴィ/武者圭子〈むしゃ・けいこ〉訳(草思社、1997年)/10月の課題図書。刊行されてから10年以上経つがいまだ文庫にならず。尚、プーランは読み書きができない。ガンディーが標榜した非暴力の裏では、残虐な暴力がインドの隅々まで支配していた。プーランは13歳の時、両親の目の前で複数の男性から強姦されている。近所に住む金持ちの息子に。また、警察においても10名以上の警官から強姦されている。父親の目の前で。もちろん拷問も加えられた。プーランはダコイットと呼ばれる山賊にさらわれる。そしてそのままダコイットのメンバーとなる。下巻では怒りに燃えた彼女の復讐劇が始まる。私の所感は10年前と変わらない。暴力が支配する世界では、殺される前に殺すしか道はない。プーランはその後「盗賊の女王」と呼ばれるようになる。司法取引に応じて投降。11年の刑務所生活を経て、1996年に国会議員となった。2001年、自宅前で何者かに射殺された。私と5歳しか違わなかった。

『仏教と西洋の出会い』フレデリック・ルノワール/今枝由郎、富樫瓔子訳(トランスビュー、2010年)


仏教と西洋の出会い


 仏教は、近代科学と両立可能な唯一の宗教である。

  ──アルバート・アインシュタイン


 ブッダは実際には哲学を提唱しているのではない。彼は人間に挑戦状を突きつけているのだ。

  ──カール=グスタフ・ユング


 仏教と西洋の出会いは、20世紀のもっとも有意義な出来事である。

  ──アーノルド・トインビー


 西洋にとって、ときに恐怖の的となり、ときに希望や幻想の対象となった仏教とは何だったのか。仏教の誤解と理解のドラマを描く、古代から21世紀までの壮大な通史。

カフカはコガラスの意味


カフカ」はチェコ語で「コガラス」の意味。体の小さなカラスである。そのためカフカ商会は、小枝にとまったコガラスを商標にしていた。


【『となりのカフカ池内紀〈いけうち・おさむ〉(光文社新書、2004年)】

となりのカフカ (光文社新書)

小野田寛郎の終戦


 少佐は、ちょっと間(ま)を置いてから、きっぱりと、「終り」と、つけ加えた。

 私は身じろぎもせず、次の言葉を待った。たぶん、少佐は目くばせをし、声を落としてこう言うにちがいないと期待した。

「……というのは表向きで、あとはまた話す」

 ──傍に鈴木君がいる。本当の命令をいまここで口達できないから……。

 私はじっと少佐を見つめた。ややこわばった表情で少佐も私を見つめ返した。2秒、3秒……だが、少佐は何も言わない。

 不意に背中の荷物が重くなった。

 少佐がゆっくり命令書を畳んだ。そのとき私ははじめて、いまの命令に、裏も表もないことを了解した。

 ──秘密の口達はないんだ。

 荷物がさらに重くなった。

 ──すると、やっぱり、日本は本当に負けたのか。なあんだ、だらしがない……。

 夕闇が急に濃くなったように感じられた。体の中を風が吹きぬけていった。ここへ来るまで、緊張し、たえず周囲を警戒してきたこごが、バカバカしくなった。いや、いったい、俺はこの30年間、何をしてきたのか。胸の中をまた風が吹きぬけ、そのとき、私ははっきりと知った、自分の任務が、30年間にわたる游撃戦士としての自分の務(つと)めが、いま、まちがいなく終ったことを──。


【『小野田寛郎 わがルバン島の30年戦争』小野田寛郎〈おのだ・ひろお〉(講談社、1974年/日本図書センター、1999年)】

小野田寛郎―わがルバン島の30年戦争 (人間の記録 (109))

エンリコ・フェルミが生まれた日


 今日はエンリコ・フェルミが生まれた日(1901年)。伊ローマ出身の物理学者。統計力学核物理学および量子力学の分野で顕著な業績を残す。ストックホルムノーベル賞を受け取り、そのままアメリカに亡命。米国の原子爆弾開発プロジェクトであるマンハッタン計画でも中心的な役割を演じた。

エンリコ・フェルミ―原子のエネルギーを解き放つ (オックスフォード科学の肖像)


2010-09-28

『思想史のなかの科学』伊東俊太郎、村上陽一郎、広重徹(平凡社ライブラリー、2002年)


思想史のなかの科学 (平凡社ライブラリー)


 科学の思想そのものが問われ、科学と社会の関係、科学の文明における位置が問題とされている現在、古代から現代に至る科学の発達を簡便な通史としてまとめた入門書の決定版。再刊。

『近代科学の源流』伊東俊太郎(中公文庫、2007年)


近代科学の源流 (中公文庫)


 近代西欧科学は17世紀に突如生まれたものではなく、さまざまな面でそれ以前の中世に深く根を下ろしていた。本書では、ラテン世界とアラビア世界に亘り4〜14世紀の忘れられた千年の中世科学の空隙を解明する。科学史の碩学が史実を巨視・微視的に捉え、多くの重要文献からアプローチした名著。図版多数収録。

スピヴァクの批判


 スピヴァクの批判は、ミシェル・フーコー(Michel Foucault,1926−1984)やドゥルーズGilles Deleuze,1925−1995)といった現代フランスを代表するポスト構造主義の思想家たちにむけられております。それは、彼ら西洋の知識人がいわば、サバルタン的な状況におかれた人を「代弁して語る」ことによって、ますますサバルタン自身は「声を奪われ」「抑圧されている」のではないかという指摘です。


宇治家参去

トウ小平の尖閣「棚上げ」論


 1978年、「日中平和条約」交渉のとき、これを主導したトウ小平は尖閣列島問題では「いまやりあわないのが利口だと思う。我々世代は知恵が足りない。次の世代の人は頭がいいからみんなが受け入れられる方法を探すだろう。そうしてからこれを解決しよう」といった。尖閣「棚上げ」論である。(中略)今回の中国漁船拿捕・船長逮捕事件はトウ小平の「棚上げ」論を日本側からぶち破ったものである。


阿部治平(中国青海省在住、日本語教師)】

自殺遺族に家主「借り手ない」と1億賠償請求も


 自殺者が12年連続で3万人を超すなか、「室内で自殺され賃貸住宅の借り手がない」などとして、遺族が家主や不動産会社から過大な損害賠償を請求されるケースが後を絶たない。

 不当な請求から遺族を保護しようと、全国自死遺族連絡会(仙台市・田中幸子代表)などは近く、内閣府や民主党に法案化を要請する。

 連絡会によると、一般に自殺があった賃貸住宅は「心理的瑕疵(かし)物件」と呼ばれ、借り手がつかなくなったり、家賃が大幅に安くなったりするため、損害賠償の対象になる。しかし、最近は遺族の混乱やショックにつけ込み、家主らが改修費などを過大に請求するケースが少なくないという。

 例えば、2008年に神奈川県内のアパートで一人暮らしの30歳代の会社員が自殺したケースでは、遺族が家主から部屋全体の改装費用200万円と5年分の家賃の補償金約500万円を請求された。納得できずに弁護士に相談し、200万円を支払うことで和解した。

 宮城県内では、アパートで自殺した娘の火葬中に不動産会社が押しかけ、おはらい料や家賃補償として計約600万円を要求され、実際に支払った例もある。アパート全体の建て替え費として1億2000万円を請求されたケースもあった。


YOMIURI ONLINE 2010-09-27


 人の弱みに付け込む所業は、必ず暴力の温床となる。利子やレバレッジ同様、不労所得もまた資本主義経済の欺瞞である。

インセンティブ=奨励策


 インセンティブ(incentive)とは、「動機づけ」とか「誘因」と訳されることが多い。「奨励策」と訳されることもある。インセンティブとは、ある主体から特定の行動を引き出すためのエサ(あるいは罰則)や、そのエサが与えられる仕組みを指す。個人がある行動をとるためには何らかの理由があるわけだが、その理由にあたるものと考えてよい。


【『戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する』梶井厚志中公新書、2002年)】

戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する (中公新書)

悪は目立たず

 悪は目立たず、

 いつも人間の姿をして、

 わたしたちとともに眠り、

 同じ食卓を囲む


 ──W・H・オーデン


【『囚われの少女ジェーン ドアに閉ざされた17年の叫び』ジェーン・エリオット/真喜志順子〈まきし・よりこ〉訳(ソニー・マガジンズ、2005年/ヴィレッジブックス、2007年)】

囚われの少女ジェーン―ドアに閉ざされた17年の叫び (ヴィレッジブックス)

孔子が生まれた日


 今日は孔子が生まれた日(紀元前551年)。儒家の始祖は身長216cmの巨人だった。K-1ファイターのチェ・ホンマンとほぼ同じ大きさ。人生の大部分を無冠の一学者として過ごす。「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」「過ちて改めざる、これを過ちと謂う」(『論語』)。

論語物語 (講談社学術文庫 493) 論語新釈 (講談社学術文庫 451) 論語 (中公文庫) 論語 (岩波文庫)


現代語訳 論語 (岩波現代文庫) 論語〈上〉―中国古典選 (朝日選書) 論語〈下〉―中国古典選 (朝日選書)


孔子 (新潮文庫) 孔子伝 (中公文庫BIBLIO) 孔子 (講談社学術文庫)

2010-09-27

「マダムT」BORO


 これまたお気に入りの一曲。まるで異国の短篇小説みたいだ。この頃はこういう歌詞が多かったんだよね。



“逆ギレ”電話勧誘が急増 投資用マンション、動揺のすき突く

 我が家に掛かってくるのはいつかな〜? 待ち遠しいよ♪ もちろん速攻で会いにゆき、こてんぱんにしてやるつもりだ。

音声認識ソフト「AmiVoice」


 私がパソコンを使うようになってから既に10年が経過した。当初、4万字を入力してタッチタイピングをマスターしたのだが、ここ数年は一日で2万字打ったこともある。十指は酷使され、腱鞘炎を通り越して、指のあらゆる関節が痛み始めた。で、音声認識ソフトを物色しているところだ。


音声認識ソフト比較」のリンクを辿るとドラゴンスピーチの評価が高いのだが、如何せん対応していないOSが多すぎる。


 amazonのレビューにこんなのがあった──


 大失敗です。わたしのPCは、自動更新でXP SP3 に更新されていることを知らずに、友人から優れものと聞き、いさんで購入。しかし、インストルでストップ。スキャンソフトに電話をするが、素っ気なくSP3には対応していませんと言うのみ。途方に暮れています。今対応策を思案中です。新たに、購入を考えている方は要注意を。(Dragon Naturally Speaking 05 Select USB 日本語版


 それどころか、Vistaや7にも対応していないというお粗末ぶり。会社の行く末が懸念される。


 で、先ほど見つけたのがAmiVoiceだ。

 今のところAmiVoiceに軍配が上がる。amazonの動画を見たが、こんなにスピーディになったのか! いはやは驚かされた。


AmiVoice SP USBマイク付 AmiVoice SP USBマイク無


AmiVoice SP USBマイク付 アカデミック版 AmiVoice SP USBマイク無 アカデミック版


(※上段が通常版で下段がアカデミック版、右側がUSBマイク付きで左側がマイク無し)

スパイの任務


 スパイにとっては『スパイである』という身元を洗い出されることがいちばん困るのだから、自分が殺されるというぎりぎりの限界まで『殺し』という最後の武器を使うことはない。

 また『殺されない』ということも大事で、スパイは『探りだした』だけではななんいもならない。『探りだしたことを報告して』こそ、はじめて任務の達成ができるのである。だから、たとえ手足を斬(き)られて歩けなくなっても、転びながら帰る。舌を抜かれて、目をえぐりとられても、心臓の動いているかぎりは死なずに帰って報告するのが、まず第一の任務とされている。


【『秘録 陸軍中野学校』畠山清行著、保阪正康編(番町書房、1971年/新潮文庫、2003年)】

秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)

百の診療所よりも一本の用水路

 清潔な飲料水と十分な農業生産があれば、病の多くは防ぎ得るものであった。私たちは「百の診療所よりも一本の用水路」を合言葉に、体当たりで実事業に邁進してきた。


【『医者、用水路を拓く アフガンの大地から世界の虚構に挑む』中村哲〈なかむら・てつ〉(石風社、2007年)】

医者、用水路を拓く―アフガンの大地から世界の虚構に挑む

イエズス会がローマ教皇パウルス3世から修道会として正式に認可された日


 今日はイエズス会がローマ教皇パウルス3世から修道会として正式に認可された日(1540年)。1534年に7名で結成。宗教改革以降、イエズス会員は「教皇の精鋭部隊」と呼ばれた。創設者の一人であったフランシスコ・ザビエルが来日したのは1549年のこと。彼らの世界戦略は諜報戦そのもの。

イエズス会の世界戦略 (講談社選書メチエ) 聖フランシスコ・デ・ザビエル書翰抄 上巻 (岩波文庫 青 818-1) 聖フランシスコ・デ・ザビエル書翰抄 下巻 (岩波文庫 青 818-2) ザビエルの見た日本 (講談社学術文庫)


2010-09-26

罪疑はしければ、軽きに従ひ、賞疑はしければ、重きに従ふ


「罪疑はしければ、軽きに従ひ、賞疑はしければ、重きに従ふ」といふ言葉が、むかしのシナにあるけれども、(以下略)


【『責任と無責任との間 「疑はしきは罰せず」といふことから』田中美知太郎〈たなか・みちたろう〉/『日本の名随筆 別巻91 裁判』佐木隆三〈さき・りゅうぞう〉編(作品社、1998年)】

裁判 (日本の名随筆)

「奈々」BORO


 この曲を椎名誠のFM番組で聴いて、私はBOROの虜となった。デビュー30周年を記念するアルバムが今年の3月に出たが、この曲も収められている。何度聴いても痺れる。動画の出来も素晴らしい。アルバム『罪』が出たのは1982年のこと。



30周年記念ベスト・アルバム

二人のタタール人


 ある日、すごい学者が来たといってイブラヒムは井筒俊彦をモスクへと連れて行く。 「ムーサー先生」と井筒俊彦がいう人物こそ文字通りの天才だった。聖典とその周辺の書物はいうに及ばない。「神学、哲学、法学、詩学、韻律学、文法学はもちろん、ほとんど主なテクストは、全部頭に暗記してある」。原典を記憶していただけではない。注解書を複数覚えていて、かつ自分の意見があるという人物だった。


井筒俊彦入門慶應義塾大学出版会】

イワン・パブロフが生まれた日


 今日はイワン・パブロフが生まれた日(1849年)。後天的に獲得される反射行動を条件反射という。パブロフが実験で証明した。これが「パブロフの犬」。人類はこんな顔になりつつある。尚、現在ではアメフラシゴキブリにも起こることがわかっている。

パヴロフ―脳と行動を解き明かす鍵 (オックスフォード科学の肖像)

T・S・エリオットが生まれた日


 今日はT・S・エリオットが生まれた日(1888年)。詩人とは表現するべき個性を持たず、特定の表現手段を持つ人で、それは個性ではなく手段であり、その中で印象や経験が特殊な予期せぬ状態で結合する。(『伝統と個人の才能』)

荒地 (岩波文庫) 文芸批評論 (岩波文庫) キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法 (ちくま文庫)


キャッツ―ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命 魔術師キャッツ―大魔術師ミストフェリーズ マンゴとランプルの悪ガキコンビ


ハイデガーが生まれた日


 今日はハイデガーが生まれた日(1889年)。1920年代から仏教などの東洋哲学と出会い、学び始めた。特に道元の『正法眼蔵』の有時(うじ)の巻には、大変驚いている。「いはゆる有時は、時すでにこれ有なり、有はみな時なり」など、存在と時間は分けられないことが説かれ、主著の『存在と時間』 (Sein und Zeit) は直訳すると「有」と「時」だが、『存在と時間』の哲学がすでに遠い昔に明らかにされていることに驚嘆したと言われる。

存在と時間〈1〉 (中公クラシックス) 存在と時間II (中公クラシックスW29) 存在と時間〈3〉 (中公クラシックス) ハイデッガー『存在と時間』註解 (ちくま学芸文庫)


2010-09-25

『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』岩田由記夫(ウェイツ、2009年)


ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち


 音楽プロデューサー、DJ、ライターとして活躍する岩田由記夫が、世代を越えて人気を集めている15名のミュージシャンの知られざる素顔を紹介します。過去35年の中で行った当時のインタビューをもとに、新たに書き下ろし、1冊の応援歌としてまとめました。あの歌が生まれたときのいきさつ、あの歌手が続けている意外な行動、あのミュージシャンの息の長い活動を支える動機などなど、初めて知る数々のエピソードを交えながら、彼らの音楽への熱い思いと人生に対する真摯な姿勢を伝えています。素晴らしきミュージシャンたちの心の言葉に、思う存分、耳を傾けてください。この本を読めばきっと、彼らの歌をもう一度聴いてみたくなるでしょう。

「仕事が終わったら」BORO


 感涙もの。この頃のBOROのアルバムは全部持っていた。野太い声でありながら、軽やかなスキャットに悩殺された。これは確か『SOUND OF HEART』に収録されていた曲。尚、『BOY』以降はまるでダメになったというのが私の評価だ。きっと曲作りに迷いが生じたのだろう。飽くまでもレゲエの路線で行って欲しかった。とにかくスキャットに耳を傾けてもらいたい。天才的なリズム感の持ち主だ。


いらだつ首相「超法規的措置は取れないのか」


「『超法規的措置』は、取れないのか」

 22日の訪米を控えた菅首相は、周囲にいらだちをぶつけた。沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、中国の対抗措置の報告が次々に上がってきていた。

 首相は「民主党には(中国で副首相級の)戴秉国(たいへいこく)(国務委員)と話せるやつもいない。だからこういうことになるんだ」とこぼした、と関係者は語る。

 首相とその周辺が中国人船長の扱いをめぐる「落としどころ」を本気で探り始めたのは、船長の拘置期限が延長された19日以降のことだ。この日を境に中国政府は、日本人4人を拘束し、レアアース(希土類)の対日輸出禁止の動きに出るなど、本格的な「報復カード」を相次いで切った。

 実際に「船長釈放」に動いたのは、仙谷官房長官と前原外相だったとされる。

 23日朝、ニューヨーク。日中関係の行方を懸念するクリントン米国務長官と向かい合った前原外相は、こう自信ありげに伝えた。

「まもなく解決しますから」

 那覇地検が船長を釈放すると発表したのは、その半日余り後の日本時間24日午後2時半だった。東京・霞が関海上保安庁に、寝耳に水の一報が入ったのは、そのわずか10分ほど前。

「戦争になるよりはいい。このまま行けば、駐日大使の引き揚げ、国交断絶もありえた」――。首相に近い政府筋は24日夜、船長釈放に政治判断が動いたことを、周囲に苦しげに認めた。

「那覇地検の判断なので、それを了としたい」

 仙谷官房長官は24日夕の記者会見で、ひたすら「地検の判断」を繰り返し、政治の介入を否定した。

 柳田法相もこの後すぐ、法務省で記者団を前に「法相として検察庁法14条に基づく指揮権を行使した事実はない」とのコメントを読み上げた。質問は一切受けつけなかった。

 だが、こうした弁明は、世間には通用したとはとても言えない。首相官邸には直後から「弱腰だ」といった抗議電話が殺到。官邸職員は対応に追われた。

 民主党代表選での再選、内閣改造・党役員人事を経て、ようやく本格的な政権運営に着手したばかりの菅首相。「中国に譲歩した」と見られて再び世論の支持を失う失態は、できれば避けたかった。

 首相がそれでも「政治決断」を選択したのは、中国の反発の強さが当初の予想を超えていたためだ。

 19日の拘置延長決定後、中国は、20日に日本人4人を拘束、21日にはレアアース(希土類)の対日禁輸に踏み切るなど、たたみかけるように「対抗措置」を取った。日本側はこれらを公表しなかった。だが、ニューヨークにいた温家宝首相は21日夜(日本時間22日朝)、在米中国人約400人が出席する会合で、船長釈放を要求する異例の動きに出た。これが、官邸内に広がりつつあった「このままではまずい」という思いを、政府の共通認識にまで押し上げるきっかけとなった。

「あそこまで強硬にやるとは……。海上保安庁の船長逮捕の方針にゴーサインを出した時、甘く見ていたかもしれない」。政府関係者は、そもそも「初動」に判断ミスがあった、と苦々しげに振り返る。

 菅政権の政治判断の背景には、郵便不正事件をめぐって大阪地検特捜部の主任検事が最高検に証拠隠滅容疑で21日に逮捕されたことで検察の威信が低下し、「今なら検察も言うことをきくだろう」との思惑が働いていたとの見方がある。

 実際、船長以外の船員と船を中国に帰すにあたっては、「外務省が検察にかなり強く働きかけていた」と証言する日中関係筋もいる。

 検察幹部も「外務省から、起訴した場合の日中関係への影響などについて意見を求めた」と話し、双方で早い段階からやりとりをしていたことがわかる。その際、起訴に向けた表立った異論はそうなかったとみられる。政府内に「迷い」が生じたのは、やはり19日に船長の拘置延長が決まった後だったようだ。

 船長釈放は、結果として日米首脳会談直後というタイミングになった。このため、「米国からこれ以上の日中関係悪化について、いいかげんにしろ、と圧力がかかったのでは」との指摘すら出ている。

 政府・民主党内でも、官邸の判断に対する評価は分かれる。「中国ではスパイ容疑は最悪、死刑が適用される。4人の人命がかかっていた」との危機感から理解を示す声がある一方、「レアアース問題は、世界貿易機関(WTO)に提訴すれば中国は負ける。ごり押しすれば勝てる、と中国にまた思わせただけだ」といった批判も多い。

「菅も仙谷も、外交なんて全くの門外漢だ。恫喝(どうかつ)され、慌てふためいて釈放しただけ。中国は、日本は脅せば譲る、とまた自信を持って無理難題を言う。他のアジアの国々もがっかりする」。党幹部はうめいた。


YOMIURI ONLINE 2010-09-25

パノプティコン


 氏家さんのツイートで初めて知った言葉。


 パノプティコン、もしくはパンオプティコン(Panopticon)は邦訳すれば全展望監視システムのこと。すべてを(pan-)みる(-opticon)という意味である。イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムが弟サミュエルに示唆を受け設計した刑務所その他施設の構想であり、その詳細が記された『パノプティコン』が1791年に刊行されている。


Wikipedia

魯迅が生まれた日


 今日は魯迅が生まれた日(1881年)。愚弱な国民は、たとい体格がよく、どんなに頑強であっても、せいぜいくだらぬ見せしめの材料と、その見物人になるだけだ。病死したり死んだりする人間がたとい多かろうと、そんなことは不幸とまではいえぬのだ。むしろわれわれの最初に果たすべき任務は、かれらの精神を改造することだ。(「吶喊」〈とっかん〉)

阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫) 魯迅―阿Q中国の革命 (中公新書) 魯迅文集〈1〉 (ちくま文庫) 魯迅文集〈2〉 (ちくま文庫)


魯迅文集〈3〉 (ちくま文庫) 魯迅文集〈4〉 (ちくま文庫) 魯迅文集 (5) (ちくま文庫) 魯迅文集〈6〉 (ちくま文庫)

2010-09-24

集団強姦の被害者300人以上 コンゴ、国連が報告


【ジュネーブ共同】コンゴ(旧ザイール)東部で7月末から8月初めにかけて起きた反政府武装勢力による集団強姦で、国連は24日、少なくとも住民303人が被害に遭い、被害を防げなかった現地の国連平和維持活動(PKO)部隊にも責任があるとする報告書を発表した。

 コンゴでは強姦を含む凶悪犯罪が絶えず、ピレイ国連人権高等弁務官は「刑罰を受けなければさらに被害は増える」と非難、犯罪者を法廷で裁くよう訴えた。

 国連の現地調査団は13の村で調査を実施。強姦のほか、少なくとも民家923軒、店舗42軒が略奪の被害を受け、116人が強制労働のため連れ去られたことが判明。調査中にも犯行が続いていたとみられ、被害者はさらに増える可能性が高い。


47NWES 2010-09-24

西郷隆盛の命日


 今日は西郷隆盛の命日(1877年)。西南戦争城山決戦で股と腹に被弾。西郷は別府晋介を顧みて「晋どん、晋どん、もう、ここらでよか」と言い、将士が跪いて見守る中、襟を正し、跪座し遙かに東に向かって拝礼した。遙拝が終わり、別府は「ごめんなったもんし(御免なっ給もんし=お許しください)」と叫んで西郷の首を刎ねた。享年51(満49歳没)。


西郷南洲遺訓―附・手抄言志録及遺文 (岩波文庫) 西郷隆盛 (角川文庫) 翔ぶが如く〈1〉 (文春文庫) 西郷隆盛 第一巻


D

2010-09-23

M・メルロ=ポンティ、永井均、勝海舟


 2冊挫折、1冊読了。


 挫折72『眼と精神』M・メルロ=ポンティ/滝浦静雄、木田元〈きだ・げん〉訳(みすず書房、1966年)/全く歯が立たず。タイトル章の30ページも読了できず。完敗。


 挫折73『倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦』永井均(産業図書、2003年)/氏家さんのオススメ。以前から永井均の文章がどうしても肌に合わない。慎重さが中途半端になっているような気がする。「結局、私は、教科書シリーズにふさわしい本を書くことができなかった」(「はじめに」)──何と嫌らしい文章なのだろう。しかもこの後に自分の文章を紹介しているのだ。実に醜悪だ。「哲学教科書シリーズ」の一冊でありながら、へりくだったフリをしているのだから開いた口が塞がらないよ。15ページで挫ける。


 117冊目『氷川清話勝海舟江藤淳、松浦玲編(講談社学術文庫、2000年)/文句なしの面白さだ。最初に『氷川清話』を編んだ吉本襄〈よしもと・のぼる〉を完膚無きまでにこき下ろしている。改竄(かいざん)、組み替えが酷いらしい。だから読んだことのある人もない人も、本書をひもとくべきだ。勝海舟は理想的なプラグマティズムを体現している。名を捨てて実を取る実務家だ。瞠目すべき見識が随所に見られるが、中でも日清戦争に対する件(くだり)が圧巻。当時は知識人という知識人が日清戦争を支持した。福澤諭吉を始め、夏目漱石森鴎外内村鑑三田中正造など。勝海舟は海軍の創始者でありながら猛反対をした。兄弟喧嘩と切り捨て、歴史を辿れば日本の師匠であり、将来の経済的展望に立てば最大の顧客であると見通していた。何たる慧眼(けいがん)。東洋の融和を図ろうとする姿勢から明らかな地政学的素養が窺える。それでもって実際に世界のあちこちに人脈のネットワークを築いていたのだから凄い。

『現代社会とスピリチュアリティ 現代人の宗教意識の社会学的探究』『スピリチュアリティの社会学 現代世界の宗教性の探求』伊藤雅之


現代社会とスピリチュアリティ―現代人の宗教意識の社会学的探究


 本書はニューエイジ、「精神世界」と呼ばれる宗教文化をはじめ、インド系の新宗教運動である和尚ラジニーシ・ムーブメント、さらにはネット恋愛といった多様な文化現象を掘り下げつつ、現代のスピリチュアリティ文化の特徴を解き明かします。豊富な写真と図表を用い平易な文体で書かれた本書は、宗教社会学をはじめとする社会学や宗教学の入門テキストとしても最適です。


スピリチュアリティの社会学―現代世界の宗教性の探求 (SEKAISHISO SEMINAR)


序 スピリチュアリティ研究の最前線


第I部 グルーバル化するスピリチュアリティ  1.新しいスピリチュアリティ文化の生成と発展 2.匿名的で、かつ「親密」なかかわり 3.世界標準の断酒法 4.グローバル化文化とローカル性の〈あいだ〉


第II部 新しい〈民族〉が生み出すスピリチュアリティ 5.宗教的共同性が生成する場 6.シェアされるスピリチュアリティと意識変容 7.ことばが生きられ、信仰がかたちづくられるとき 8.スピリチュアリティ、ある〈つながり〉の感覚の創出


第III部 カルトとスピリチュアリティ・クライシス 9.スピリチュアリティの目覚めとその危機 10.教団発展の戦略と「カルト」問題 11.精神世界におけるカルト化 12.価値相対主義への応答

物理的強制力は権威とは何の関係もない


 注記。権威のなかに物理的強制力の現れしか見ない権威「理論」もたしかにある。だが後で見るように、物理的強制力は権威とは何の関係もないし、むしろそれとは正反対ですらある。だから、権威を物理的強制力に還元することは、権威の実在を端的に否定し、無視することである。したがって、われわれはこのまちがった見解を【権威の理論】のなかに含めない。


【『権威の概念』アレクサンドル・コジェーヴ/今村真介訳(法政大学出版局、2010年)】

権威の概念 (叢書・ウニベルシタス)

レイ・チャールズが生まれた日


 今日はレイ・チャールズが生まれた日(1930年)。6歳の頃弟を亡くした。その9ヵ月後緑内障のために失明。ハンディを背負いながらもピアノを学び、また盲学校に通う。1947年にシアトルに移り、この頃クインシー・ジョーンズと出会う。ソウルの神様。2004年死去。

5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET Genius Loves Company (Dig) Rare Genius: The Undiscovered Masters


ウィ・アー・ザ・ワールド」メイキング映像

アウグストゥスが生まれた日


 今日はアウグストゥスが生まれた日(紀元前63年)。ローマ帝国初代皇帝。志半ばにして倒れた養父カエサルの後を継いで内乱を勝ち抜き、帝政元首政)を創始。「ローマの平和」を実現した。ローマは王政→共和政→帝政と変遷。第5代皇帝がネロ。塩野七生〈しおの・ななみ〉著『ローマ人の物語』は歴史小説。

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)    新潮文庫 ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下)    新潮文庫 ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上)    新潮文庫 ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中)    新潮文庫


 ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) 新潮文庫 ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上)新潮文庫 ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下)新潮文庫 ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)


ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中) (新潮文庫) ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫) ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫) ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)


ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫) ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫) ローマ人の物語〈15〉パクス・ロマーナ(中) (新潮文庫) ローマ人の物語〈16〉パクス・ロマーナ(下) (新潮文庫)

2010-09-22

「世界各国の指導者たちを、アメリカの商業的利益を促進する巨大なネットワークにとりこむこと」がエコノミック・ヒットマンの目的

 クローディンというのはスカウトウーマンで後に著者と親密な関係となるが、ある日忽然と姿を消す。つまり、恋愛感情までコントロールされるのだ。


 私が何を求められているか、クローディンは歯に衣着せず語った。私の仕事は「世界各国の指導者たちを、アメリカの商業的利益を促進する巨大なネットワークにとりこむこと」。それによって「最終的には、そうした指導者たちは負債という罠に絡めとられて、忠誠を約束せざるをえなくなる。そうしておけば、必要なときにいつでも彼らを利用できる──政治的、経済的、あるいは軍事的な必要を満たすために。それとひきかえに彼らは、工業団地や発電所や空港を国民に提供することで、元首としての地盤を固められる。そして、アメリカのエンジニアリング会社や建設会社は莫大な利益を得られる」と。


【『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス/古草秀子〈ふるくさ・ひでこ〉訳(東洋経済新報社、2007年)】

エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ

日本に砂糖が伝わったのは1609年


 ちなみに、日本には、1609年に中国の福建省から奄美大島(あまみおおしま)に伝えられたことになっています。薩摩(さつま)藩がその生産を奨励し、藩の収入源としたことはよく知られています。(※砂糖きび)


【『砂糖の世界史』川北稔(岩波ジュニア新書、1996年)】


 これがホントの「甘味大島」(笑)。

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

有名作家もスパイの一員=MI6が初の正史出版−英


 スパイ映画「007」シリーズで知られる英対外情報部(MI6)の正史が21日、英国で初めて出版された。1909年の創設から49年までの40年間にわたるスパイ活動について、公式文書を基に詳細に解説、英国の有名作家サマセット・モームもスパイの一員であったことが公式に確認されている。

 執筆者はクイーンズ大(ベルファスト)のキース・ジェフリー教授(歴史学)。この40年間に限って関連極秘公文書の閲覧を特別に許され、810ページの歴史書を書き上げた。

 それによれば、MI6はイタリアの港で船を爆破したり、ナチス指導部の暗殺を計画したり、映画さながらの活動を展開。モーム以外にも「第三の男」で知られる小説家グレアム・グリーン、「ツバメ号とアマゾン号」シリーズで有名な作家アーサー・ランサムらがMI6に所属していた。

 英メディアによると、ジェフリー教授は「本物のジェームズ・ボンドたちはフィクションのボンドよりずっと興味深い」とコメント。執筆を委託したジョン・スカーレット前MI6長官は「MI6への理解を促し議論を深めてもらう」ことが出版の目的と説明したが、今回は「例外」で、続編の計画はないとも付け加えた。


時事ドットコム 2010-09-22

エイブラハム・リンカーン米大統領が奴隷解放宣言第1部を発布した日


 今日はエイブラハム・リンカーン米大統領が奴隷解放宣言第1部を発布した日(1862年)。南北戦争のさなかのこと。北軍に参加した奴隷達の処遇を検討。当初、リンカーンは奴隷解放に反対していた。つまり「南軍に渡すよりも解放した方がよい」という政治的判断だった。戦争が奴隷を解放したのだ。

リンカーン演説集 (岩波文庫 白 12-1) 戦争指揮官リンカーン―アメリカ大統領の戦争 (文春新書) あなたがもし奴隷だったら… 奴隷とは


D


D

ファラデーが生まれた日


 今日はファラデーが生まれた日(1791年)。ハンフリー・デービーから「科学は苦労の連続である。今は何の仕事もない。もしあったら連絡する」と告げられる。デービーが左目を痛め、ファラデーを助手に雇った。小学校しか卒業してない製本屋の見習いが19世紀最大の科学者と言われるようになった。

ロウソクの科学 (角川文庫) マイケル・ファラデー―科学をすべての人に (オックスフォード科学の肖像)


D


D


D

2010-09-21

飢餓状況地図ハンガーマップ


 世界の食糧支援 年間670万トン/日本の食料廃棄 年間2000万トン


D


D

米リセッション終息は09年6月、18カ月継続 NBER


 2007年12月に始まった米リセッション(景気後退)は2009年6月に終息し、その期間は世界恐慌以来で最長の18カ月間だったとの見解が示された。米景気の拡大・縮小の転換点を判断する全米経済研究所(NBER)の景気循環判定委員会が20日、昨年6月が景気の底だったとの結論を発表した。

 景気循環判定委員会の責任者を務めるスタンフォード大学のロバート・ホール教授はインタビューで、「米国は今も拡大を続けているが、失望するほど緩やかなペースだ」と述べ、「リセッションの影響から立ち直るにはまだ時間がかかることを考えると、リセッションのコストを算定するのは時期尚早だ。今回のリセッションよりもはるかに悪かった大恐慌を例外とすれば、今回がこれまでで最も厳しかったのは確かだ」と続けた。

 同委員会は声明で、「2009年6月を景気の谷だと判断したが、委員会は6月以降の経済状況がそれまでよりも良好である、あるいは正常な能力で景気が推移しているとの結論には至っていない」と説明した上で、「この先に景気縮小があるとすれば、それは新たなリセッションとなり、2007年12月に始まったリセッションの延長ではないと見なす」と言明した。

 今回のリセッションは、住宅市場やサブプライム(信用度の低い借り手向け)住宅ローンの崩壊に端を発した世界的な金融市場の崩壊が特徴だった。世界恐慌は1929年から33年まで43カ月間続き、今回のリセッションの期間はこれには及ばなかったが、73年から75年、および81年から82年の16カ月より長期にわたった。

 今回のリセッションで800万人以上の雇用が失われたが、雇用が回復するまでには数年かかるとみられている。

 NBERの景気循環判定委員会の判断は、回復が最も遅い経済統計のひとつである雇用統計も判断材料にしているため、終息宣言は他のエコノミストらに比べて遅い。


ブルームバーグ 2010-09-21

高3女子を遺棄容疑で逮捕 出産直後、乳児遺体捨てる


 東京都世田谷区で、ごみ収集車からごみ袋に入った乳児の遺体が見つかった事件で、警視庁捜査1課は21日までに、死体遺棄の疑いで、同区の高校3年の女子生徒(18)を逮捕した。

 同課によると、女子生徒は「産んですぐ動かなくなり、どうしていいか分からなくなって捨てた」と供述している。

 逮捕容疑は13日午前9時ごろ、マンションにある自宅のトイレで男児を出産。その後、死亡したため同日午後、遺体をタオルに包んでごみ袋に入れ、マンションのごみ集積場に遺棄した疑い。

 女子生徒は母親らと暮らしているが、家族は妊娠に気付かなかった。18日に家族に付き添われて、世田谷署に自首したという。

 司法解剖の結果、男児の死因は不詳。出産直後は生きていたとみられ、捜査1課は死亡の経緯について調べている。遺体は14日午前、ごみ袋を回収したごみ収集車の中で作業員が見つけた。


47NEWS 2010-09-21

『私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日』今西憲之、週刊朝日取材班(朝日新聞出版、2010年)


私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日


 2009年6月14日、“厚生労働省の星”との呼び声も高かった女性局長が大阪地検特捜部に逮捕された。逮捕容疑は、虚偽有印公文書作成・同行使。実態のない障害者団体に偽の証明書を発行するように部下に指示した、というものだった。しかし、逮捕直後から一貫して、「私はこの事件に関与していない」と容疑を否認していた。

古典の「う」は「ん」?


 これらの語では、「う」と表記されている部分が、くせものなのです。平安時代では、撥音表記が確定していません。撥音に該当する部分を表記しなかったり、「む」や「う」で表記したりしています。ですから、「ちう」「こうこう」「ちりう」の「う」が、現在の「ん」の音に近い音を表わしていた可能性が大きいのです。


【『犬は「びよ」と鳴いていた 日本語は擬音語・擬態語が面白い』山口仲美〈やまぐち・なかみ〉(光文社新書、2002年)】

犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い (光文社新書)

弾丸が頭をかすめていく時には、怒ったミツバチがたてるようなブーンという独特の音が聞こえる


 何百ものライフルの発砲音、マシンガンの発射音、バズーカなど重火器の炸裂音が毎晩ずっと聞こえていた。昼になって小康状態が訪れることがあると、外に出て何らかの活動を続けられたが、時には銃撃の的となることもあった。弾丸が頭をかすめていく時には、怒ったミツバチがたてるようなブーンという独特の音が聞こえる。あの音が聞こえる時には、弾丸が一体どれくらいまで来ているのだろうと今でも思う。ある兵士は慰め顔でこう言ってくれた。「そんな音なんて気にすることはないさ。自分に当たるやつは聞こえやしないんだから。」


【『良心の危機 「エホバの証人」組織中枢での葛藤』レイモンド・フランズ/樋口久訳(せせらぎ出版、2001年)】

良心の危機―「エホバの証人」組織中枢での葛藤

H・G・ウエルズが生まれた日


 今日はH・G・ウエルズが生まれた日(1866年)。小説『解放された世界』で原子核反応による強力な爆弾を用いた世界戦争を描き、原子爆弾を予見したとされる。科学者レオ・シラードは、この小説に触発されて核連鎖反応の可能性を予期。マンハッタン計画につながるアメリカの原爆開発に影響を与えた。

解放された世界 (岩波文庫) 宇宙戦争 (創元SF文庫) 透明人間 (偕成社文庫) タイムマシン (角川文庫)

2010-09-20

『ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学』サラ・ロイ/岡真理、小田切拓、早尾貴紀編訳(青土社、2009年)


ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学


「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領実態と国際社会の援助の行方。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。

『サバルタンは語ることができるか』ガヤトリ・C・スピヴァク/上村忠男訳(みすず書房、1998年)


サバルタンは語ることができるか (みすずライブラリー)


 フェミニズムとポストコロニアルの問題圏の交差点に定位しつつ、サバルタンの女性と知識人のあり方をめぐって展開される目眩く筆致。従属的地位にあるサバルタンの女性について、知識人は語ることができるのか、フーコードゥルーズを批判しながら、一方でインドの寡婦殉死の慣習を詳細に検討した、現代思想の到達地平。

世界はいまだみずからの最も偉大なる人々を知らない


「世界はいまだみずからの最も偉大なる人々を知らない」とはある人の言葉である。これらの偉人たちの生涯と事業とを知ることができたら、われわれはまさしく「地上における神の伝記」を持つことになるのではあるまいか。

 神の啓示を受けて書かれた文書はおびただしい量にのぼるが、それらの傍らに置かれると詩人たちの創作品は色うすれてみえる。最初に神々が登場し、次に(神話の化身たる)英雄たちが、次に発見者たちと予言者たちが、そしてその次に詩人たちが登場した。 


【『ヘンリー・ミラー全集11 わが読書』ヘンリー・ミラー/田中西二郎訳(新潮社、1966年)】

ヘンリー・ミラー全集 第11巻 わが読書

エディ・タウンゼントのアドバイス


 もっとも、「彼女」をつくってはいけないというのではなかった。老人(エディ)のアドバイスは、

「いい彼女をつくるのよ。勝ったときにね、抱きついてくる彼女はいらないの。負けたときにね、泣きたいときに助けてくれる彼女をつくるの」

 というものだった。


【『遠いリング』後藤正治〈ごとう・まさはる〉(講談社、1989年/岩波現代文庫、2002年)】

遠いリング (岩波現代文庫―社会)

茂木健一郎氏の連続ツイート「無記」に関する違和感


 茂木健一郎氏の連続ツイート「無記」に関する違和感。無記が「大切な問い」に変質している。無記は圧倒的な沈黙にこそ意味があるのだ。ブッダが示したのは思考や言論の詐術であったに違いない。それは対話が論争へと堕落することを拒否した姿勢でもあった。人々は問いの立て方を修正せざるを得なくなる。

教会大分裂の日


 今日は教会大分裂の日(1378年)。4月に選出されたローマ教皇ウルバヌス6世を支持しないフランス人枢機卿が独自に教皇選挙を行い、その結果ロベール・ド・ジュネーヴクレメンス7世として即位。こうして教会大分裂が始まり1417年まで続いた。

図解 世界史 (歴史がおもしろいシリーズ!)

2010-09-19

菊池英博、松本健一


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折71『消費税は0%にできる 負担を減らして社会保障を充実させる経済学』菊池英博(ダイヤモンド社、2009年)/挫折したんだが、これはオススメ。消費税という税がどれほどの欺瞞に満ちているかを見事に喝破している。ただ、やたらと専門用語が頻出していて読みにくい。国民を騙すのが官僚の仕事であることが一目瞭然だ。仕入れにも消費税が発生するため、中小・零細企業は値引きせざるを得ない現実がある。これに対して輸出の比率が高い大企業は、輸出戻し税によって利益を出しているそうだ。115ページで挫ける。


 116冊目『砂の文明・石の文明・泥の文明』松本健一(PHP新書、2003年)/東晋平さんのオススメ。何とか読み切った(笑)。もっと軽い読み物にすべきである。スタンスが中途半端になっていて、内容の進行方向がつかみにくい。誤った箇所もいくつか散見される。ま、蘊蓄本(うんちくぼん)と思って読めばそこそこ面白い。本書を読んだ人は必ず『環境と文明の世界史 人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』も読むべきだ。

イオンの葬儀事業にケチをつける伝統仏教(=葬式仏教)教団


明瞭会計の葬儀事業に僧侶異議 「言い値」放置に苦情も


 大手スーパーのイオンが昨秋、「安心の明瞭(めいりょう)会計」をうたい、葬儀事業を始めたが、これに僧侶らが「仏教本来の精神を踏みにじった」と異議を唱えている。寄付金であるお布施や戒名料などを定額料金のようにホームページで表示したことに対し、伝統仏教教団でつくる全日本仏教会(全日仏)が反発。イオンは削除に応じた。ビジネスと仏事のはざまで葬式が揺れている。

「お布施はシステム化になじまない。遺族それぞれに寄り添う変動相場制であるべきだ。(イオンは)もっとおとなしくやっていただきたい」

 全日仏が東京・秋葉原で13日に開いたシンポジウム。パネリストの一人、僧侶で作家の玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)さんは、こんな不快感を示した。


asahi.com 2010-09-18


 呵々、笑止千万。江戸時代以降、権力者の走狗に成り下がった連中が「仏教本来の精神」を騙(かた)っているよ。「変動相場制であるべきだ」って、結局経済の次元になっているじゃないか(笑)。

テレビから消えた「ご意見番」 森田実氏


 森田氏がテレビスクリーンから消えたことはとくに驚くことではないという専門家は少なくない。なぜなら、日本の大メディアによる自己検閲の問題は国内外で批判されているからだ。日本の大メディアは「権力と共謀しているのです。問題は権力の強さでなくメディアの弱さなのです」と以前名古屋の椙山女学園大学でジャーナリズムを教えていたNHKの元政治記者川崎泰資氏は言う。


神林毅彦

鎌倉時代の国土認識


 当時の人々の国土認識は、天皇−洛中−西国と、「周縁」としての東国・南九州として定式化されるという。日蓮の認識も、基本的には天皇を「国王」と認め、「中心」を京(洛中)に求めるものであった。

 しかし一方で日蓮は、鎌倉執権北条氏を「国主」として実質的な権力者と認識していた。だから彼は北条時頼に『立正安国論』を上呈したのである。


【『戦国仏教 中世社会と日蓮宗』湯浅治久(中公新書、2009年)】

戦国仏教―中世社会と日蓮宗 (中公新書)

上野玲「看護師は医師の性のはけ口」


 そのことについて、「取材を断るにしても、待たせるだけ待たせたのだから、本人がきちんと断る理由を言うべきではないか。そうした常識すらないから、看護師は医師の性のはけ口としてしかみられないのではないか。せいぜい医師の性処理でもしていなさい」というツイートをした。(上野玲公式ブログ

f:id:sessendo:20100919150006j:image

『ガリレイの生涯』ベルトルト・ブレヒト/岩淵達治訳


ガリレイの生涯 (岩波文庫 赤 439-2)


 地動説の撤回をめぐって教会とガリレイとの間に起った歴史的事件は「それでも地球は動く」という伝説的名句とともに誰もが記憶にとどめている。ブレヒト(1898-1956)はガリレイの人物と時代を知悉してそれを戯曲化し、彼の生き方を問うことによって、ナチ時代を生きた作者自身の、そして我々の生き方をも問うている。

高橋是清が生まれた日


 今日は高橋是清が生まれた日(1854年)。第20代内閣総理大臣であったことよりも、五度にわたって大蔵大臣を務めたことで知られる。アメリカで奴隷になったり、芸妓のヒモになったり、詐欺に遭ったりと七転び八起きの人生だった。ケインズに先立ってケインズ理論を実施。昭和金融恐慌を収束させた。

大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清 高橋是清自伝 (上巻) (中公文庫) 高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫) 昭和恐慌と経済政策 (講談社学術文庫 (1130))


D

2010-09-18

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから


 思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

 習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

 性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。


【作者不詳】


 マザー・テレサの言葉としているサイトが散見されるが、実際は作者不詳のようだ。身口意(しんくい)の三業(さんごう)を見事に表現している。


 マハトマ・ガンディーに次の言葉があるそうだ──


 信念が変われば、思考も変わる。

 思考が変われば、言葉も変わる。

 言葉が変われば、行動も変わる。

 行動が変われば、習慣も変わる。

 習慣が変われば、人格も変わる。

 人格がかわれば、運命も変わる。


【『「思考」のすごい力』ブルース・リプトン/西尾香苗訳(PHP研究所、2009年)】


 一見すると同じようなことを言っているような錯覚に囚われるが実際は異なる。なぜなら信念は言葉によって変わるからだ。冒頭の「信念が変われば」というのが実に安易。

プラグマティズムを学ぶ


プラグマティズム (岩波文庫)


 プラグマティズムは、もっともアメリカ的なものの考え方であり、今日のアメリカ資本主義社会とその文化を築き上げてきた基調である。本書は、このような考え方を初めて体系づけ、ヨーロッパの伝統的な思考方法を打破した点で不朽の功績をもつ。アメリカ的なものの見かたの核心は、じつにこの一冊に圧縮されている。


純粋経験の哲学 (岩波文庫)


 プラグマティズムで知られるアメリカの思想家ウィリアム・ジェイムズ(1842‐1910)は、心理学、宗教学、哲学の各領域で多大な影響力をもった。ジェイムズが晩年に追求した彼なりの体系的な形而上学“純粋経験の哲学”の構築を、よりシャープなかたちで跡づけるべく、『多元的宇宙』『根本的経験論』所収の論文を編訳。


経験と教育 (講談社学術文庫)


 子どもの才能と個性を切り拓く教育とは? 子ども自身の経験が好奇心を喚起し、独創力を高め、強力な願望や目的を創出し、能動的成長を促す。経験の連続性と相互作用という二つの原理を軸に、経験の意味と教師の役割を深く分析した本書は、デューイの教育思想を凝縮した名論考であり、生きた学力をめざす総合学習の導きの書でもある。


プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫)


 9.11以後、アメリカの思想は変貌してしまったのか。ピルグリム・ファーザーズから現代まで、弛まず築き上げられてきたアメリカの伝統思想は、さまざまな人種の移民により形成されてきた社会ゆえに、一つの原理によって統一する一元論ではなく、相互に違った価値観を認めあう多元主義であった。それは、「体系を排すること、眼前の事実を重視すること、物事の理由を権威にたよらず独力で探求し、結果をめざして前身すること、定式をとおして物事の本質を見ぬく」プラグマティズムである。パース、ジェイムズ、ミード、デューイ、モリス、ローティーなど、その思想の展開とこれからの可能性を探る。

『三酔人経綸問答』中江兆民/桑原武夫、島田虔次訳


中江兆民 三酔人経綸問答 (ワイド版岩波文庫) 三酔人経綸問答 (岩波文庫)

(※左がワイド文庫、右が文庫)


 一度酔えば、即ち政治を論じ哲学を論じて止まるところを知らぬ南海先生のもとに、ある日洋学紳士、豪傑君という二人の客が訪れた。次第に酔を発した三人は、談論風発、大いに天下の趨勢を論じる。日本における民主主義の可能性を追求した本書は、民権運動の現実に鍛え抜かれた強靭な思想の所産であり、兆民第一の傑作である。現代語訳と詳細な注を付す。

子供が産まれたら子犬を飼うがいい


「子供が産まれたら子犬を飼うがいい。子犬は子供より早く成長して、子供を守ってくれるだろう。そして子供が成長すると良き友となる。青年となり多感な年頃に犬は年老いて、死ぬだろう。犬は青年に教えるのである、死の悲しみを」


【『ゴルゴ13』の第130巻「黄金の犬」のラストシーン/zwchrさんのツイート】


ゴルゴ13 (130) (SPコミックス)

『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』武藤春光、弘中惇一郎(現代人文社、2008年)


安部英医師「薬害エイズ」事件の真実


 血液製剤によるエイズ感染で、業務上過失致死罪で起訴されたものの、メディアの予想に反して無罪となった安部英医師。無罪判決の理由を解説し、メディアと検察から誤った責任追及が行われた「薬害エイズ事件」の真相に迫る。

レーサーパンツが高いのでゲルシートパッドにした


 レーサーパンツを買おうかと思ったのだが、やはり値段が高い。あちこち探し回ったところ、サドル用のゲルシートパッドを発見。数日前から使っているがこれで十分だ。ただし、簡単に盗まれそうなんで一々取り外した方がいいだろう。


サミュエル・ジョンソンが生まれた日


 今日はサミュエル・ジョンソンが生まれた日(1709年)。「地獄への道は善意で舗装されている」「腐敗した社会には、多くの法律がある」「愛国心はならず者の最後の隠れ家」「多忙という威厳をまとった怠惰に、人は何よりもたやすくひきつけられる」「私は征服されるだろう。だが私は降参しないだろう」。

ジョンソン博士の言葉 (大人の本棚) 英国文化の巨人サミュエル・ジョンソン

2010-09-17

ロバート・B・パーカーが生まれた日


 今日はロバート・B・パーカーが生まれた日(1932年)。「おれという人間は、おれのすることによって決まるんだ。それを表現するのに適当な言葉を見つけても変わりはない。おれが脅えているか、興奮しているか、といったことは重要じゃないんだ。重要なのは、おれがやるか、やらない、という点だ」(『約束の地』)

約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3))

2010-09-16

『ボルヘスとわたし 自撰短篇集』ホルヘ・ルイス・ボルヘス/牛島信明訳(新潮社、1974年)


ボルヘスとわたし 自撰短篇集 ボルヘスとわたし―自撰短篇集 (ちくま文庫)

(※左が単行本、右が文庫本)


 人間の運命が無限に反復する──そんな迷宮的世界を描きつづけた作家ボルヘス。本書は、そのボルヘス自身が凝縮・構築した、“ボルヘス小宇宙”ともいうべき珠玉の一冊である。全体は三部からなり、第一部は代表作「アレフ」「死とコンパス」「円環の廃墟」「ボルヘスと私」など自ら選りすぐった20編を収録する。第二部「自伝風エッセー」では、幼少期から短篇執筆の日々までを回想し、さらに第三部で収録全短篇作品をボルヘス自身が注解する。

東電OL殺人事件は作られた事件?


 もし売春が事実だとしても、事件は殺人事件でありその被害者なのだから、たとえ刑事裁判の公判ではそのことを言わざるを得なくても、報道についてはそのことを伏せるという配慮がされてもよかったし、東京電力が大企業であることから、自社のスキャンダルを報道させないという圧力をマスコミにかけることもできたはずだ。更に、被害者は自分が東京電力の上級社員で経済レポートなどを書いていると再三再四売春客に語っていたとされる。それならば、なぜ、そういったうわさが東電本社に伝わらなかったのか、または、週刊誌にネタとして売られなかったのか?(武田信弘

東電OL殺人事件 (新潮文庫) 東電OL症候群(シンドローム) (新潮文庫) グロテスク〈上〉 (文春文庫) グロテスク〈下〉 (文春文庫)

コペルニクスは宇宙における人間の位置づけを変えた

 革命はいつでも突然起こるというものではないし、釣りあいのとれた叙事詩でもない。特に、それが観念の革命である場合には。16世紀なかごろ、ポーランドの天体学者ニコラス・コペルニクスが『天球の回転について』と題する大部の本を出版した。100年におよぶ推移を経て、コペルニクスの文書は人々の宇宙観すべてと、宇宙における人間の位置づけを変えた。


【『黒体と量子猫』ジェニファー・ウーレット/尾之上俊彦、飯泉恵美子、福田実訳(ハヤカワ文庫、2007年)】


黒体と量子猫〈1〉ワンダフルな物理史 古典篇 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) 黒体と量子猫〈2〉ワンダフルな物理史 現代篇 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

権威主義


「権威」とは、特定の分野で技能や知識の格段にすぐれた人が自然に発する光のことである。

 それに対して、「権威主義」は、本来的な権威のない人が、権威あるふりをして無理に光を発しようとしたり、自分自身に権威がない人が、権威者の威を借りて光ではなく圧迫感を発しようとするときに発生する。


【『権威主義の正体』岡本浩一〈おかもと・こういち〉(PHP新書、2005年)以下同】


 権威主義の最大の問題は、最終的にそれが非倫理的な行動や、リスクの高い行動を無理強いすることである。身内の論理と社会の倫理が食い違うとき、身内の病んだ倫理を教条とすることを要求する。そして、個人の良心の発揮を妨げる機能を果たす。

権威主義の正体 PHP新書 330

B・B・キングが生まれた日


 今日はB.B.キングが生まれた日(1925)。B・Bは「Blues Boy」の略。最後の奴隷世代。「ブルース・シンガーになるということは、二度黒人になるようなものだ」。ブルース・アーティストとして初めてショー・ビジネスの世界に進出。ブルース親善大使としてブルースを世界中に広めた。

D


ロック・ミー・ベイビー ザ・ヴェリー・ベスト [日本独自企画ベスト盤]

2010-09-15

リー・チャイルド、曽根富美子


 2冊挫折、1冊読了。


 115冊目『前夜(下)』リー・チャイルド/小林宏明訳(講談社文庫、2009年)/昨日読了。一気読み。謎解きの度合いが増す。タイトルの意味が今ひとつピンと来ない。もちろん「前夜」に何があったかはわかっているのだが。ラストは意見の分かれるところだろう。私はもっといたぶった上で何か新しい情報が出てくれば面白かったと考えている。アメリカ本国では既にジャック・リーチャー・シリーズが10作以上出ているそうだよ。ハードボイルド好きにはオススメ。


 挫折69、70『親なるもの 断崖曽根富美子〈そね・ふみこ〉(主婦と生活社、1991年/宙〈おおぞら〉出版、2007年)/今月前半の課題図書。選者でありながら私は読み終えることができなかった。白状しよう。松恵が首を吊ったところまでしか読めなかった。第1部の45ページ。昭和2年、青森県から北海道の遊郭に売り飛ばされた少女達の物語だ。圧倒的なリアリティが福本伸行を軽々と凌駕している。曽根富美子はこの作品で日本漫画家協会賞の優秀賞を受賞しているが、吉川英治文学賞か山本周五郎賞の方が相応しいと思う。表現手法が漫画というだけであって、完全な文学作品といってよい。私は本書を手元に置きながらも、一生読むことはないだろう。それほど怖い。


親なるもの断崖 第1部 (1) (宙コミック文庫) 親なるもの断崖 第2部 (2) (宙コミック文庫)

大地が生んだ不思議な音楽 坂田明モンゴル大草原を行く


 モンゴルの人々の素朴な風貌、即興で行われる坂田明と旅芸人とのセッション、モンゴルの大地を覆う静謐に耳を傾ける坂田、羊の屠殺、ミジンコを見つめる少年、そして口琴のような音を響かせるホーミー。ホーミーは風が運んだ滝の音を模した音楽だという。その全てが宗教性を帯びている。これほどの番組を見たことがない。この動画を初めて見た時、ホーミーの声に合わせて外の鈴虫が一斉に鳴き声を上げ、ホーミーが終わると静まり返った。度肝を抜かれた私の耳に静寂が轟き渡った。

上位者の話を鵜呑みにする傾向


 こうした(※アンケート調査で「霊は実体を持った存在である」と回答した)人々の中には、「自らの体験」だけでなく、「他者の体験」を根拠として採用する場合もある。この場合の「他者」は「自らの判断を準拠できる程度に信用できる他者」であって、あまり信頼性のない他者の判断は採用されない傾向がある。すなわち、「自分から見て一枚上手(うわて)の者」「自分より優れていると一目おいている者」「人間関係において自分よりも上位に位置する者」などが準拠の対象とされ易い傾向がある。また、「(母親が)見たことがある(と言っていた)」という事実を「霊が存在する証拠」と考える思考法の背景には、少なくとも、「母親が体験した(と主張している)ことは、客観的な批判の対象であるよりはむしろ、それ自身、真実であることの証である」と考えていることを示唆するものであり、母親を客体として見ることのできない、思考態度におけるある種の「マザー・コンプレックス」の一形態とも言える。こうした「引きずられた幼児性」は「自我(アイデンティティ)の未確立」の裏返しとも解釈できるかもしれない。


【『霊はあるか 科学の視点から』安斎育郎〈あんざい・いくろう〉(講談社ブルーバックス、2002年)】

霊はあるか―科学の視点から (ブルーバックス)

ラ・ロシュフコーが生まれた日


 今日はラ・ロシュフコーが生まれた日(1613年)「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」「誰も彼もが自分の記憶力を慨嘆し、誰一人として自分の判断力を慨嘆しない」「哲学は過去の不幸と未来の不幸をたやすく克服する。しかし現在の不幸は哲学を克服する」──言葉の相対性理論


ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫)

2010-09-14

自閉症、脳に小さい部分 遺伝子型で差


 自閉症の人は、他人との協調にかかわる脳の「下前頭回」という部分の体積が一般の人に比べて小さいとの研究結果を、山末英典東京大准教授らが14日、発表した。

 また自閉症と関連があるとされる遺伝子が特定の型の人は、人の感情の理解に関与する脳の「扁桃体」の体積が大きいことも分かった。

 山末准教授は「自閉症の原因や仕組み解明に脳の体積や遺伝子レベルで貢献し、新たな治療につながる可能性がある」としている。

 山末准教授らは、自閉症などの人と一般の人で、こめかみ付近にある下前頭回の体積を測定。自閉症の人は約20%小さく、特に下前頭回のうち脳の右側にある「弁蓋部」という部分の体積が小さいほど、他人とのコミュニケーションがうまくとれない傾向があった。

 山末准教授らは、自閉症と関連があるとされる「オキシトシン受容体」の遺伝子が、自閉症の人に多い型の場合、扁桃体が大きいことを突き止めた。


47NEWS 2010-09-14

「個性重視の教育」に対する異議


 確かに、文部省のお役人や大学の先生方のおっしゃる通り、論文試験は、○×式の試験に比べて、より受験者の個性を明確に反映するものなのであろう。

 しかし、だからといって、私は彼らの言う「個性重視の教育」だの、「個性ある学生を選抜する」だのと言ったお題目を、無邪気に信用する気持ちにはなれない。

 論文が書いた者の個性を反映するものなのだとしたら、それを採点するということは「個性」を採点することにほかならない。とすれば、論文試験は、むしろ個性の圧殺につながるはずだ。○×式のテストは「人間を機械的に序列化する」ということでとかく評判が悪いが、私に言わせれば「人間を機械的な方法によらず序列化」することの方がよほど不気味なのだ。

 彼らは「個性」を選抜するかもしれない。しかし、そうやって彼らが選抜する「個性」は、結局のところ「彼らにとって望ましい個性」というところに落ち着くに決まっている。

 たとえば私のような、疑ぐり深くて偏狭で口が悪い上に平気で約束を破る人間の「個性」を彼らは認めるだろうか。彼らは、教授の話を鼻先で笑うような学生を欲しいと思うだろうか。

 どうせ彼らが望んでいる個性は「明朗」とか「向学心に富む」とかいったことなのであろうし、教授さんたちが口を酸っぱくして言っている「疑問を持ち給え」というセリフにしたところで、その疑問が「大学の自治」や「学費値上げシステムの正当性」に向かうや否や、大あわてで撤回される手のものなのだ。


【『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆朝日新聞社、1992年/朝日文庫、1995年)】

パソコンゲーマーは眠らない(単行本)


パソコンゲーマーは眠らない(文庫本)

セオドア・ルーズベルトが大統領に就任した日


 今日はセオドア・ルーズベルトが大統領に就任した日(1901年)。6日に狙撃されたアメリカ合衆国大統領ウィリアム・マッキンリーの死去に伴い、副大統領から昇格。テディベアのネーミングはこの人の愛称が元になっている。大統領就任式で聖書を用いずに宣誓した唯一の大統領。フランクリンは従弟。

テディアダムスJr Sゴールド


D

2010-09-13

アカデミーの原点


 アカデミーは教えるものと学ぶものとが、即ち教師と学生とが、生活を共にし、研究を共にする共同体であった。共に学びつつ共に生きる社会であった。教師は学ぶことによって教える。学問をどこからか「仕入れて」くるのでは、大学の教育にはならない。借りものの学問には、学生を教育する力はない。絶えず学びながら、自らの学問をつくり出しながら、その「学ぶということ」を学生に教える場所が、大学である。研究は大学に不可欠だが、より根本的なのは、教師の教育への意志、あるいは教育に対する責任の意識である。それの欠けたところには、大学はないのである。


【『教育の再生をもとめて』林竹二(筑摩書房、1984年)】

教育の再生をもとめて―湊川でおこったこと

結果だけが存在する


 罰とか報いというものはない

 あるのは結果だけなのだ


【『裏切り』カーリン・アルヴテーゲン/柳沢由美子〈やなぎさわ・ゆみこ〉訳(小学館文庫、2006年)】

裏切り (小学館文庫)

斎藤隆夫が生まれた日


 今日は斎藤隆夫が生まれた日(1870年)。3年目を迎える日中戦争に関して議会で質問。「すべての戦争は力と力との衝突である。そうした戦争観を鏡とすれば、国際正義、道義外交、共存共栄、世界の平和等の美名を掲げて聖戦などと称することは、単なる虚偽にすぎない」と。衆議院から除名になる。

斎藤隆夫日記〈上〉大正5年~昭和6年 斎藤隆夫日記(下) 齋藤隆夫かく戦えり 評伝 斎藤隆夫―孤高のパトリオット (岩波現代文庫)

2010-09-12

ジュリアス・レスター、リー・チャイルド


 2冊読了。


 113冊目『奴隷とはジュリアス・レスター木島始、黄寅秀〈ファンインスウ〉訳(岩波新書、1970年)/今月後半の課題図書。読んだのは二度目。著者がフォークシンガーだったとは。踊らずには、歌わずには、笑い飛ばさずにはいられなかった黒人の苦しみを想う。彼等は私の同胞だ。


 114冊目『前夜(上)』リー・チャイルド/小林宏明訳(講談社文庫、2009年)/これはめっけ物。軍警察指揮官が軍隊の不正を暴くという筋書き。相棒の女性MPがチト出来過ぎだが、いい味を出している。主人公ジャック・リーチャーも皮肉が効いていてグッド。保身に走る上級将校との闘い。軍隊こそは理想的な組織とされるが、理想的な組織を支えるのは理想的な官僚なのだ。

「世論」は常に正しいとは限らない


「世論」は常に正しいとは限らない。1933年のヒトラー登場も、1941年の太平洋戦争も、1970年代のベトナム戦争も、2003年のイラク戦争も、当時はすべて「世論」の圧倒的な後押しがあった。そうした「世論独裁」が国民を不幸な戦争に引きずり込んだのである。

 政治家に求められるのは、場合によってはそうした「世論」に逆らっても、「にもかかわらず」と言い切る信念によって、決断することではないか。(上杉隆

文庫化『人間の建設』小林秀雄、岡潔(新潮文庫、2010年)


人間の建設 (新潮文庫)


 有り体にいえば雑談である。しかし並の雑談ではない。文系的頭脳の歴史的天才と理系的頭脳の歴史的天才による雑談である。学問、芸術、酒、現代数学、アインシュタイン、俳句、素読本居宣長ドストエフスキーゴッホ、非ユークリッド幾何学、三角関数プラトン、理性……主題は激しく転回する。そして、その全ての言葉は示唆と普遍性に富む。日本史上最も知的な雑談といえるだろう。

真の懐疑は精神の成熟を示すものである

 純粋に懐疑に止まることは困難である。ひとが懐疑し始めるや否や、情念が彼を捕えるために待っている。だから真の懐疑は青春のものでなく、むしろ既に精神の成熟を示すものである。青春の懐疑は絶えず感傷に伴われ、感傷に変ってゆく。


【『人生論ノート』三木清創元社、1941年/新潮文庫、1954年)】

人生論ノート (新潮文庫)

人間の虚栄心は死をも対象とすることができる

 仮に誰も死なないものとする。そうすれば、俺だけは死んでみせるぞといって死を企てる者がきっと出てくるに違いないと思う。人間の虚栄心は死をも対象とすることができるまでに大きい。そのような人間が虚栄的であることは何人も直ちに理解して嘲笑(ちょうしょう)するであろう。しかるに世の中にはこれに劣らぬ虚栄の出来事が多いことにひとは容易に気附かないのである。


【『人生論ノート』三木清創元社、1941年/新潮文庫、1954年)】

人生論ノート (新潮文庫)

詩人はいつも反逆している


「詩人は天国のまん中にいても不満なんだ。詩人はいつも反逆しているんだから」


【『木曜の男』G・K・チェスタトン吉田健一訳(創元推理文庫、1960年)】

木曜の男 (創元推理文庫 101-6) 木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

(※左が旧訳、右が新訳)

スティーヴ・ビコが殺された日


 今日はスティーヴ・ビコが殺された日。1977年8月18日、再びテロリズム法第6条で拘禁され、ポートエリザベスにて警察により拷問を受け、その後、プレトリアまで、救命設備もない普通の車にて移送される。ポートエリザベス〜プレトリア間の距離は約1100kmで、日本の東京〜福岡間の距離に相当する。移送先のプレトリアで拷問による脳挫傷のため死去。映画『遠い夜明け』。

俺は書きたいことを書く 遠い夜明け 【ベスト・ライブラリー 1500円:サスペンス特集】 [DVD]


D


D


D

2010-09-11

Keith Loutit監督「Bathtub IV」


 見よ、このジオラマを。


D


 本当はこれ、実写なのだ。本城直季と同じ手法で、被写界深度を浅くすると実際の映像がミニチュアに見えるらしい。

イヤホンの学生、遮断機ない踏切ではねられる


 耳を塞いだ挙げ句の悲劇。カーステレオも同様だ。注意力を司るのは耳であることを知ろう。


 8日午後4時半頃、埼玉県熊谷市曙町の秩父鉄道持田―熊谷駅間の踏切で、自転車で渡ろうとした同市に住む大学4年の男子学生(22)が、下り普通電車(3両編成)にはねられ、全身を強く打ち、意識不明の重体になった。

 熊谷署の発表によると、現場は警報機も遮断機もない踏切。運転士は数十メートル手前で、左側から年配の女性が自転車で横切ったため警笛を鳴らしたが、直後に右側から学生が進入してきたという。学生は耳にイヤホンを付け、ポケットにある携帯型の音楽プレーヤーが再生状態になっていた。

 同署は、学生が音楽を聴いていたため、電車の接近に気づかなかったとみて調べている。


YOMIURI ONLINE 2010-09-09

475件の申告、自殺者も ベルギー教会の性的虐待


ブリュッセル共同】ベルギーのカトリック教会で神父らが長年にわたり児童らに性的虐待を行っていた問題を調査している同教会系の調査委員会は10日、これまでに被害の申告が475件に達したことを明らかにした。虐待の被害者13人の自殺、6人の自殺未遂も確認されたという。

 被害者らの度重なる訴えにもかかわらず、教会が虐待の事実を隠ぺいしていた疑いが出ており、ベルギー司法当局は6月、教会を家宅捜索するなど異例の強制捜査に踏み切り解明を進めている。

 ベルギーのメディアが伝えた調査委の報告によると、神父らの性的虐待は1950〜80年代に集中。被害者の当時の年齢は主に10代だが、2歳、4歳の幼児もいた。

 今年4月、北西部ブリュージュの司教が長年、少年と性的関係を持っていたことを認めて辞任して以降、性的虐待被害の申告が急増したという。

 ベルギー司法当局は6月、「重要な情報がもたらされた」として、ブリュッセルの北方メヘレンで大聖堂、前大司教宅などを一斉捜索。強引な捜査方法にローマ法王庁が抗議声明を出す事態に発展した。


47NEWS 2010-09-10

『ヤマザキパンはなぜカビないか 誰も書かない食品&添加物の秘密』渡辺雄二(緑風出版、2008年)


ヤマザキパンはなぜカビないか―誰も書かない食品&添加物の秘密


 ありとあらゆる加工食品には多種多様な食品添加物が使われています。また、お弁当や惣菜には防腐効果のある添加物が使われています。本書ではこうした食品や添加物を一つ一つ取り上げ、消費者の視点から見直しています。食品業界のタブーを破る。

9.11テロが起こった日


  今日は9.11テロが起こった日(2001年)。ノーム・チョムスキーによれば、アメリカこそ最悪のテロ国家であり、最大のテロ支援国家である。戦争の世紀からテロの世紀へと時代は移り変わった。死者は2993人。イラク戦争では米軍の死者が4328人。報復という名で国民を死地へと駆り立てた。

アメリカの国家犯罪全書 テロの帝国 アメリカ チョムスキー 21世紀の帝国アメリカを語る チョムスキー、アメリカを叱る

2010-09-10

物語に陶酔する/『廃市・飛ぶ男』福永武彦

    • 物語に陶酔する

 物語に陶酔する。福永が作るのはストーリーの建築物である。登場人物は影絵のようなものだ。結構がシルエットを際立たせることで、登場人物は普遍性を帯びる。


 絢爛なタペストリーを思わせる短篇集である。『鳥 デュ・モーリア傑作集』に匹敵する作品といってよい。作風も似ている。読み比べてみるのも一興であろう。


 デュ・モーリアの「モンテ・ヴェリタ」に対し、福永の「未来都市」と「飛ぶ男」は同じ光を放っている。まるで宝石のように。SF的手法で宗教的な世界を描き出しているのも同じだ。


 ――しかし動機なんて、何の役にも立ちませんよ。現代は死ぬための動機に充満しているんです。そういう時代なんです。問題は、生きるための動機を見つけ出すことで、死ぬための動機じゃありません。

 ――生きるための動機なんかあるものか、と最初の男が怒鳴った。我々は生きているんじゃない、生き【させられて】いるんだ。だから死ぬ権利だってある筈(はず)だ。(「未来都市」)


【『廃市・飛ぶ男』福永武彦(新潮文庫、1971年)以下同】


 絶望した画家が「自殺酒場」という飲み屋に入る。アルコールが客の心に火を放つ。男達は吐き出すように生と死を語り出す。


 その時だった。塑像のようにじっと僕等の前に立っていたバアテンが、初めて重々しく口を開いた。それは幾分嗄(しわが)れた、深い地の底から轟(とどろ)いて来るような声だった。

 ――死にたければ、特別のカクテルをつくりますよ。


 客の中で一番悲しむ人が少ない者が選ばれた。主人公の画家だった。バーテンは淡々と更に語った。


 ――死が終りとは限っていない、それはひょっとしたら初めかもしれないでしょう。それは虚無ではなくて希望かもしれませんよ。


 バーテンのニヒリズムに満ちた言葉は限りなく甘い。そして死へと誘(いざな)う。「僕」は杯を呷(あお)った。気がつくと未来都市へ案内されていた。


 ここから神話的な展開となるのだが、科学と政治が進歩しきった世界が描かれている。そこは哲学者が君臨して、社会全体が完璧にコントロールされているユートピアだった。


 主人公が選んだ自由は、芸術家特有の放埒(ほうらつ)さがあって、とても思想的に評価できる代物ではない。それでも自由を考える手掛かりになっている。現実世界では生きる気力を失った「僕」が、虚構世界では本能の命ずるままに生を燃焼させているのも面白い。


 ユートピアが象徴しているのは「死」であった。とすると、酒場で毒杯を呷る一瞬の心理を物語化したと考えることもできよう。現実を否定した「僕」が、肯定し得る現実(ユートピア)をも否定するのだ。


 崩壊するユートピアと、そこから逃げ去る主人公。ここでまた二重の構造が描かれる。ただし、酒場では死へと向かった方向性が、ここでは生へと方向転換をしている。


 すまん。まとまらなくなってきた(笑)。


「飛ぶ男」はもっと不思議な小説だ。意識と肉体が乖離(かいり)しているのだ。重力を感じる肉体と、それを上から見下ろす意識が描かれている。


 しかしドアは再び金属的な響きと共に閉じ合される。一人だ。そしてエレヴェーターは落ちて行く。撃たれた鳥のように、隕石(いんせき)のように、落ちて行く。

 その瞬間に意識が止る。意識が二分される。一つは彼の魂、それは動かない、それは落ちない。それは依然としてあの高さ、8階の高さの空間の中にある。その鳥は依然として空中を飛ぶ。その隕石は依然として宇宙空間の中にある。もう一つは彼の肉体、それは動く、それは落ちて行く。エレヴェーターと共に烈しく落下する。撃たれた鳥のように、隕石のように。その二つとも彼だ。彼の意識は二つに分れ、その距離が見る見るうちに遠ざかる。垂直に。(「飛ぶ男」)


 スゲー文章だわな。何も書く気がしないよ(笑)。透明感を湛(たた)えた文章が死に向かって転落してゆく。そうでありながら上昇する物語なのだ。


 ウーム、まとまらない。もう一度読む必要がある。まったく太刀打ちできない(笑)。


 最後に付言しておくと、「写真家」(デュ・モーリア)と「影の部分」も異様なエロティシズムが酷似している。

廃市・飛ぶ男

木村政彦が生まれた日


 今日は木村政彦が生まれた日(1917年)。姿三四郎の作者の富田常雄は「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とその強さを称賛した。


 同じく史上最強と評価されることもある山下泰裕と木村両方の全盛時代を知るライバル広瀬巌は「今、山下君が騒がれているけれど、木村の強さはあんなものじゃなかったよ」と言い、1948年の全日本選手権を制し東京五輪監督も務めた松本安市は「絶対に木村が史上最強だ。人間離れした強さがあった。ヘーシンクも山下も含めて相手にならない」と語っている。


 また、前三角絞めの開発者として有名な高専柔道出身の早川勝(旧制六高OB、元日経連専務理事)は「較べものにならない。山下君もたしかに強いけども、僕らの時代は木村先生と何十秒間試合できるかというのが話のタネだった」と言う。


 同じく両者の全盛時を見ている柔道新聞主幹の工藤雷介は「技の切れ、凄さからすればやはり木村君だ」と断言し、直木賞作家の寺内大吉も「戦中の木村柔道をぼくはほんの二試合ほどしか見ていないが、それでも『鬼の政彦』を実証する強さだった。もちろん比較はできないが山下泰裕より遙かに上位をゆく豪力であったと思う」と言っている。


 また、木村の愛弟子で全日本選手権も獲っている岩釣兼生は現役時代に50歳の木村とやっても寝技ではまったく歯が立たなかったようで、「木村先生のパワーにはぜんぜん敵わないと思いますよ。山下君にも間違いなく腕緘(うでがらみ)を極めるでしょう。これは断言できます。私でもロジャース(東京五輪重量級銀メダリスト)でも寝技でぼろぼろにやられましたから」と言い、同じく木村に稽古をつけてもらった弟子蔵本孝二モントリオール五輪軽中量級銀メダリスト)は「(山下とは)ぜんぜん問題にならないです。立っても寝ても腕緘一発です」と断言している。


 拓殖大学の後輩で極真空手の創始者である大山倍達も実際に木村の試合を観戦しているが「木村の全盛期であればヘーシンクもルスカも3分ももたないと断言できる」と述べている。


ゴング格闘技』誌が「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(増田俊也)という評伝を長期連載中で、書評紙・誌で話題を呼んでいる。この連載では昭和29年12月22日の力道山戦の謎に迫りながら、怪物木村政彦の知られざる側面を描き出している。

わが柔道 グレイシー柔術を倒した男 岩釣兼生 木村政彦伝 鬼の柔道 [DVD]


D


D


D


D


D


D


D


D

2010-09-09

『順礼紀行』徳富健次郎(中公文庫、1989年)


順礼紀行


 日露戦争終結直後の明治39年4月から8月まで、念願の聖地パレスチナ巡礼を敢行し、さらにはロシアのヤスナヤ・ポリヤナに文豪トルストイ翁を訪ねた貴重なドキュメント。トルストイとの対話から深い人類平等の思想を吸収するなど、生涯忘れ得ぬ体験と新たな発見を重ねた、蘆花初の海外紀行。

『イカルス失墜』伊藤整(新潮文庫、1974年)


イカルス失墜 街と村・生物祭・イカルス失墜


 詩人として出発し、小説、評論、翻訳等、広汎な活動のうちに、常に時代を先駆し、唱導した著者の文壇的出世作『街と村』。“郷土小樽”という現実の場所と青春時代の過去と幻想を交錯させ、人間の意識の底に息づく根源的なものを描く、“自伝”的小説『街と村』(「幽鬼の街」「幽鬼の村」)へ発展する『生物祭』『イカルス失墜』『浪の響のなかで』等、青春のリリシズム溢れる初期代表作6篇。(講談社文芸文庫

『氾濫』伊藤整(新潮文庫、1961年)


氾濫 氾濫

(※左が1961年版で、右が1990年版)


 実業家・真田佐平、俗物教授・久我象吉とその家族たちを中心に、現代人のさまざまな生活や偽装、金銭、名誉、地位、セックスへの欲望といったものを大胆に描いてゆく。人間の真実の姿をどこまでも追究して一切の虚飾をはぎとり、内面に隠された心理をあばくことで、エゴイズムの醜さ、いやらしさを徹底的なまでにえぐり出して、心理的リアリズムの極致を現出せしめた大作である。

なぜ最高裁はこのタイミングで鈴木宗男衆議院議員 の上告を棄却したか?


 最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。(佐藤優の眼光紙背

青年将校化する検察官


 検察、裁判所が、私が賄賂をもらったと判決しようが、届けた側が明確に否定していることこそが真実ではないか。官僚化し、小さな出世欲にとらわれ、自分のことしか考えない一部青年将校化した検察官、また自分の出世しか頭にない心ない裁判官がいることに、「本当に日本は民主主義国家なのか」と、自問自答するものである。(ムネオ日記

アッティカ刑務所暴動が起こった日


 今日はアッティカ刑務所暴動が起こった日(1971年)。当時、アッティカ刑務所では食堂と作業場に催涙ガスが取り付けられ、囚人への待遇は週1回のシャワーと トイレットペーパー1巻きが与えられるというものだった。また、囚人のうち54%はアフリカ系アメリカ人、9%はプエルトリコ人だったのに対し383人の所員は全員白人だった。 刑務所内の状況に関するレポートによれば、看守は公然とした人種差別主義者であり、通称 「ニガー・スティック」なる警棒で囚人を殴打していたという。

レフ・トルストイが生まれた日


 今日はレフ・トルストイが生まれた日(1828年)。世界的名声を得たものの『アンナ・カレーニナ』を書き終える頃から人生の無意味さに苦しみ、自殺を考えるようになる。精神的な彷徨の末、宗教や民衆の素朴な生き方にひかれ、山上の垂訓を中心として自己完成を目指す原始キリスト教的な独自の教義を作り上げ、以後作家の立場を捨て、その教義を広める思想家・説教者として活動するようになった。

アンナ・カレーニナ (上巻) (新潮文庫) アンナ・カレーニナ (中巻) (新潮文庫) アンナ・カレーニナ (下巻) (新潮文庫)


文読む月日〈上〉 (ちくま文庫) 文読む月日 (中) (ちくま書房) 文読む月日 下 (ちくま文庫)


D


D


D


D


D


D

2010-09-08

有吉佐和子の『複合汚染』に登場する菅直人


 菅直人は市川房枝の若者応援団のリーダーとして『複合汚染』冒頭に登場しているが、有吉は菅が自分を市川の代わりとして勝手に候補者にかつぎあげようとも考えていたと聞いてゾッとし、「ハンサムだけど嫌われなければならない」と思いつめてことさらにガミガミ怒鳴りつけたと記している。


Wikipedia

複合汚染 (新潮文庫)

谷風梶之助が生まれた日


 今日は谷風梶之助が生まれた日(1750年)。江戸時代の大横綱で、大相撲史上屈指の強豪。江戸本場所で土つかずの63連勝を成し遂げている。小野川喜三郎や後続の雷電為右衛門らとともに、寛政に最初の相撲黄金時代を築いた。

雷電本紀 (小学館文庫)

玄宗皇帝が生まれた日


 今日は唐の玄宗皇帝が生まれた日(685年)。ミスター晩節汚し。楊貴妃を寵愛したことで知られるが、それまでは善政を布いていた。長安から蜀へ避難する際、宝物庫を焼き払おうとする楊国忠に「賊が宝物を得られなければ、今度は民への略奪が激しくなる」と言って制止した。また蜀の桟道を渡った後、賊の追撃を防ぐ為に楊国忠が桟道を焼き払おうとしたが、「後から逃げようとする士庶達の路を絶つな」と言って制止している。

項羽と劉邦と韓信・玄宗と貴妃


D

2010-09-07

父の権威、主人の権威、指導者の権威、裁判官の権威/『権威の概念』アレクサンドル・コジェーヴ


 学問の本質は「謎を解く」ことにある。「なぜ世界はこうなっているのか?」という疑問に対し、より多くの人々が納得のゆく“新しい物語”を示すことこそ学問の王道であろう。もっと具体的にいえば、脳内の情報空間がすっきりと整理され、より合理的になることを意味する。


 ロジックの力業(ちからわざ)が凄い。「権威という犯人を追いつめる本格推理小説」として読むことも可能だ。


 スタンレー・ミルグラムの『服従の心理』を読んだ人は必読である。本書は政治哲学なので、より抽象度が高い。一読しただけで自分が天才になったかのような錯覚を与えてくれる(笑)。


 フランソワ・レテの緒言が長文で、尚かつ本文中に山ほど脚注があるが、いずれも功を奏していて、思索のアクセントになっている。


 権威は必ず服従を伴い、つねに服従を要求する。にもかかわらず、それは強制や説得とは相容れない。なぜなら、強制と説得はともに権威を無用にするからである。世界史におけるこの特異な時代状況のもとで、権威は他と明確に区別された独自のものとなる。(「緒言」フランソワ・レテ)


【『権威の概念』アレクサンドル・コジェーヴ/今村真介訳(法政大学出版局、2010年)以下同】


 ポイントその一──権威(オーソリティ)は権力(パワー)ではない。相手が自発的に従うのが権威である。


 本書は1942年にドイツ占領下で書き上げられたという。コジェーヴはロシアで生まれ、ドイツ、フランスへと移住している。一方、ミルグラムアイヒマン実験を行ったのは1963年で、『服従の心理』を著したのが1974年のこと。


 奇妙なことだが、権威の問題と概念はこまでほとんど研究されてこなかった。権威の移転や権威の生成に関する諸問題ばかりが人々の関心を集めてきたが、この現象の本質自体が関心を引くことは稀であった。にもかかわらず、権威としての権威が何であるかを知ることなしに政治権力や国家の構造そのものを論じることは明らかに不可能である。したがって、暫定的にではあれ権威の概念の研究は不可欠であり、この研究は国家の問題の研究全体に先行しなくてはならない。


 ミルグラムは人間心理に光を当てたが、コジェーヴが見つめていたのは国家であった。要は国家というシステムがどのようにプログラミングされているかを明らかにしようと試みたのだ。そのアルゴリズムとして権威が生成されているのだろう。


 まるで詰め将棋のようなスリルに満ちているのだが、やはり白眉は権威を四つのタイプに腑分けした箇所だ──


 さて、我々は権威の【四つのタイプ】(単純で、純粋または要素的なタイプ)を区別することができる。

 α.子供に対する父(または両親一般)の権威。(【ヴァリアント】――年齢の大きい隔たりから生まれる権威――青年に対する老人の権威。伝統と伝統を保持する者たちの権威。死者の権威――遺言。自分の作品に対する「著者」の権威。等々)。


 死者の権威に関する注記。一般に、人間は生前よりも死後においてより多くの権威をもつ。遺言は、まだ存命中の人間が与える命令よりも大きい権威をもっている。約束は、それを交わした相手の死後にいっそう拘束力を発揮する。死んだ父の命令は、父が生前に与えた命令よりもずっとよく尊重される。等々。その理由は、死者に対しては【対抗する】ことが実質的に不可能だからである。したがって、それは定義からして権威をもつ。だが、対抗行為の【不可能性】は、死者の権威に【神的な】(聖なる)正確を与える。死者による権威の行使は、死者にとってはいかなる【危険】もない。ここに、この権威の強みと弱みがある。要するに、それは【神的】権威の特殊なケースである。


 β.奴隷に対する主人の権威。(【ヴァリアント】――平民に対する貴族の権威。民間人に対する軍人の権威。女性に対する男性の権威。敗者に対する勝者の権威。等々。)


 勝者の権威に関する注記。勝者の権威が存在するためには、勝者がまさに勝者であることが敗者によって「承認」されなくてはならない。すなわち、敗者が自分の敗北を「認め」なくてはならない。これは自明である。たとえば、「【戦場では負けなかった】」というドイツのスローガンを見よ。このスローガンによって、1918年の勝者たちの権威はまだ生まれかけのときに破壊されてしまった。この勝者たちは、その勝利をドイツに「承認」させることに失敗したので、いかなる権威ももたなかったのである。したがって、彼らは実力行使に訴えざるをえなかった――その結果は周知の通りである。


 γ.同輩たちに対する指導者(原語略)の権威。(【ヴァリアント】――下級者――従業員、兵士、等々――に対する上級者――現場責任者、将校、等々――の権威。生徒に対する教師の権威。学者、技術者、等々の権威。占い師、預言者、等々の権威。)


 将校の権威に関する注記。この権威は、【混合的】権威の好例である。将校は、兵士に対して行使する【指揮官】の特殊な権威に加えて、およそ軍人が民間人に対してもつ【主人】の権威をも帯びる。また、兵士に対しては、将校は一般に【父】の権威ももっている。最後に、将校は【裁判官】の権威をも体現する。これについてはすぐ次に挙げられている。


 δ.裁判官の権威。(【ヴァリアント】――調停者の権威。監督官、検閲官、等々の権威。聴罪司祭の権威。正義の人または誠実な人の権威。等々。)


 聴罪司祭の権威に関する注記。これまた、【混合的】権威の好例である。聴罪司祭は、【裁判官】の権威に加えて、【父】の権威はもとより、「良心の導き手」の資格において【指導者】の権威も帯びる。だが、彼には【主人】の権威が欠けている。

 正義の人に関する注記。実をいえば、これは裁判官の権威の最も純粋なケースである。なぜなら、厳密な意味での裁判官は、裁判官としての権威――自然発生的な権威――に加えて、役人としての権威――派生的な権威――をも備えているからである。


 そしてここからコジェーヴは「ありうべき全ての権威タイプの完全一覧表」64パターンを示している。燃えたぎる知性は、誰人も知らぬ山頂を目指して突き進む。


 これを権力とは別の意味での「階級圧力」と考えれば、社会のパターンとして当てはめることも可能かもしれない。家族的関係、社会的関係、労働的関係・コミュニティ的関係など。裁判官の権威は神に由来していると思われるが、その断罪的行為は最も強靭な権威といってよいだろう。人々が村八分に従うのも、この権威の強大さを物語っている。主人の権威を欠いていながら、人々をかしずかせるところに裁判官の権威がもつ断罪の力が窺えよう。損得を超越しているのだ。


 権威が現に存在するのは、それが「承認」されているかぎりにおいてのみである。つまり、「承認」されているかぎり、権威は【現に存在する】。


 人々の「承認」が権威を存在させるとすれば、時代によって権威は移り変わるものと考えられる。一人ひとりが賢明になった暁には、より純粋な権威が確立されることだろう。それが望ましい国家像なのか、あるいは恐怖社会の到来なのかは今のところ判断がつかない。


 人間が社会化せざるを得ない以上、権威を中心にヒエラルキーが構築されることが大前提となる。だが、閉ざされた専門性の世界における権威は、そのまま権力化することだろう。とすると、異種格闘技的な色彩を帯びた権威が望ましいように思う。例えば政治的見識の優れた宗教家や、社会問題を鋭く論じる科学者など。いま流行りの言葉でいえば「越境的」ということになろうか。

権威の概念 (叢書・ウニベルシタス)

ホーキング博士曰く「ビッグバンに神の介在は無い」


 ホーキング博士は最新の著書「The Grand Design」の中で、ビッグバンに神の介在は無いと断言しているそうだ。

アンディ・フグが生まれた日


 今日はアンディ・フグが生まれた日(1964年)。病状を直前まで知らされていなかった角田信朗が慌てて病院に駆けつけた時には、既にアンディは声をかけても反応できない状態にあり、やがて心肺停止状態に陥った。しかし角田が「何してんねん!」「アンディ、ファイト!」「ハンズ・アップ!(「構えろ!」)」「試合はまだ終わっていないぞ!」と声をかけると、アンディの心肺機能が一時復活した。アンディは角田の呼びかけに3度応えたが、4回目には応えず、心肺は停止した。その時、側にいた主治医は「角田さん、アンディは3度立ち上がった。ドクターストップです。もう休ませてあげましょう」と言ったという。2000年、35歳で没。

アンディ・フグの生涯 


D


D


D

ソニー・ロリンズが生まれた日


 今日はソニー・ロリンズが生まれた日(1930年)。1963年、初の日本公演を行う。演奏のみならず、モヒカン刈りの頭で、日本のファンに強烈な印象を残した。ロリンズは後年、「僕は同じマイノリティ(アフリカ系アメリカ人)として、インディアンが抱えていた社会問題とは無縁でいられなかったから、衝動的に髪を剃った」と発言している。


サキソフォン・コロッサス


D

2010-09-06

星新一が生まれた日


 今日は星新一が生まれた日(1926年)。父が急逝したため大学院を中退し、会社を継ぐも当時の星製薬は経営が悪化しており、経営は破綻。会社を手放した直後、病床でレイ・ブラッドベリの『火星年代記』を読んで感銘を受ける。この出会いがなければSFの道には進まなかっただろうと回顧している。

ボッコちゃん (新潮文庫) 明治・父・アメリカ (新潮文庫) 人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫) 星新一 一〇〇一話をつくった人

マゼラン隊が世界一周を成し遂げた日


 今日はマゼラン隊が世界一周を成し遂げた日(1522年)。マゼラン自身は同年の4月27日に戦死。1519年9月20日にスペインを出発。265名の乗組員はわずか18名になっていた。地球が丸いことを証明し、キリスト教世界観を一変させた。コペルニクス地動説が発表されたのは1543年のこと。

マゼランと初の世界周航の物語―星雲を見た マゼラン―世界分割(デマルカシオン)を体現した航海者


D


 大航海時代、世界一周の偉業を成し遂げたマゼラン一行ですが、マゼラン本人は航海中に死んでしまいます。歴史に「if」はありませんが「もしマゼランの魂が現世に残り、世界一周を続けたなら……」と未知なるマゼランの航海をイメージして作りあげました。

 地球一週航海途中、死を迎えたマゼランの魂はそれだけを求め、世界中を駆け巡ります。そこには、今までにみた事のない世界が彼を待ちうけます。幾多の未知なる大地、未知なる海……それらの世界に触れ続けたマゼランの魂はやがて地球全てを制覇するのです。

 この曲には、自然と言う大きな力に人間という矮小な物が挑む姿が描かれています。悠然と広がる海の大きさ、あたたかさ、強さ、狂暴さ、恐ろしさなどさまざまな姿が表出されると共に、マゼランの自己の信念に基づき真実を追い求める姿が表現されています。(樽谷雅徳)

2010-09-05

カーリン・アルヴテーゲン


 1冊挫折。


 挫折68『裏切りカーリン・アルヴテーゲン/柳沢由美子〈やなぎさわ・ゆみこ〉訳(小学館文庫、2006年)/カーリン・アルヴテーゲンで挫けたのは初めてのこと。まったく残念なことだ。人格破綻モノ。正確には人格障害モノといっていいだろう。150ページまでしか読んでないので偉そうなことはいえないが、必然性が感じられない上、登場人物のほとんどが人格障害のため、登場人物が入り乱れてわかりにくくなっている。異様さも際立たず、こっちの尻が終始ムズムズする始末だ。たぶん思い込みの勝ちすぎた男女が偶然出会って、反抗に至るというストーリーなんだろうが、どうもいただけないね。

無限に続く円周率を考える


 このニュースについて考えてみよう。


長野の男性、円周率を5兆けた 自作パソコンで新記録


 長野県飯田市の会社員近藤茂さん(55)が8月、自宅のパソコンで円周率を小数点以下5兆けたまで計算、昨年末にフランスの技術者がパソコンで記録した約2兆7千億けたを大幅に更新した。

 かつてスーパーコンピューター(スパコン)の独壇場だった円周率計算。近藤さんは「スパコンに追い付け」と手作りのパソコンで試行錯誤を重ね、停電の危機も乗り越えて新記録を達成した。近くギネスブック登録を申請する予定だ。

 近藤さんによると、自作パソコンに通常の数十台分となる32テラバイトのハードディスクを搭載。米国の大学院生アレクサンダー・J・イーさん(22)のプログラムを使った。メールを通じてテストを繰り返した後、5月4日に計算を開始。8月3日まで、検証を含め90日と約7時間かかった。

 計算中は苦労の連続。妻幸子さんは「電気代が月2万円もかかって大変だった」と苦笑する。パソコンの熱で部屋は40度近くに。扇風機で冷やし続けた。

 高等専門学校4年の時、雑誌のプログラムをまねて千けたを計算して以来、円周率にのめり込んだ。食品会社でシステム管理をする傍らパソコンを何度も自作。記録達成の1台には150万円以上かけた。


47NEWS 2010-08-30

 少し乱暴に円周率計算の意義をまとめると、円周率の計算により「(計算システムの)性能や信頼性を実証する」ことができる、ということになる。/PCによる円周率世界記録更新の意味(Yama’s Memorandum


 円周率を何桁まで求めるか、ということは数学における長年の挑戦課題の一つなのだ。で今回、筑波大学の「高性能数値計算アルゴリズム」の専門家がその新記録に挑んだわけだ。重要なのはハード(スパコン)というよりソフト(アルゴリズム)だ。(ズブズブに理系でいこう!


 無限は怖いです。どんなに拡大(後退)しても、どんなに縮小(接近)しても、見え方はまったく変わらないんですものね。宇宙を超高速で飛行したら進行方向を向いている人には宇宙がどんどん拡大していっているように見えるし、進行方向と逆方向を向いている人には宇宙が縮小していっているように見える。飛行する(あるいは数直線上を移動する)ということはどういうことなのでしょう。『「無限」に近づく』なんてできないことなんですよね。相手に「無限」を選んでしまったら、「自分はつねに静止している」「自分は自由に動き回ることはできない」と思い知らされるだけなのでしょうね。「真理」も「無限」と同じでしょうか。「思考」も「飛行」のようなものだとしたら、空恐ろしくなります。人間が本当にやるべきこと、人間の本当の存在意義、それは「思考」なんかじゃないのかも。(mori0309さん


「そんな桁数まで計算して何の役に立つの?」は言いっこなしだ。それを言うなら、100メートルを10秒前後のような超高速で走ったり、42.195キロを2時間ちょいで走ったりしてなんの役に立つの?ちゅう話になるわな。(ズブズブに理系でいこう!)


 乱数が無限に続くということは即ち「位置を参照すればこの世の全ての情報が円周率に記録されている」ということに他なりませんからね。(pasocon720さん


 一般に、起こり得る出来事の組み合わせが有限であれば、時間の流れが無限だとすると、同じ出来事は必ずどこかに含まれることになる。(ニーチェの 永劫回帰。)結局、世の中の全ては無限乱雑空間の一部であり、その最終的な存在理由は「偶然」である。 従って、哲学的な思考をどこまでも深く深く究めていくと、どこかで必然的に無意味に到達し、どこかで「現に存在してしまった、この世界」に折り返してくる必要がある。(自循論::無限乱雑空間

【結論】πが表しているのは「割り切れない気持ち」なのかもしれぬ(笑)。知の本質は腑分けして分析することで、これを我々は「分かる」と表現する。しかしながらπのランダム性は、規則性・法則性を否定している。その上無限だ。「21世紀の人類はπの意味を知らなかった」と言われる時代が来るかも。

敗者の「がっかり」表情、勝者の脳の「喜び」に


「反共感」という残酷なメカニズム。人間の持つ暴力性がまた一つ明るみに出てきた。


「敗者」の悔しい表情を見た「勝者」の脳の反応を、放射線医学総合研究所(千葉市)の研究チームがとらえることに初めて成功した。

 脳の前頭葉と呼ばれる部位で通常より強い電気信号が現れ、自己愛(ナルシシズム)の強い人ほど反応が大きかったという。神戸市で4日開かれた日本神経科学学会など3学会の合同大会「ニューロ2010」で報告された。

 他人の幸福や不幸に対し、同じ気持ちを抱く心理状態が「共感」と呼ばれるのに対し、野球やサッカーなどの試合で勝者が敗者の悔しい表情を見て喜ぶ感情は「反共感」と呼ばれている。

 研究チームは、反共感の際、実際に反応する脳の部位を確認するため、トランプで数の大きい方が勝ちとなる単純なゲームを実施。敗者の悔しげな表情を見た勝者では、前頭葉の前部帯状回と呼ばれる部位に現れる「フィードバック関連陰性電位」という電気信号が、通常よりも強く脳波計で測定された。

 被験者に自己愛度を測る心理テストも受けてもらったところ、自己愛の強い人ほど、この電位が高くなった。一方、相手に同情しがちな人では、電位はあまり変わらなかった。

 チームの山田真希子研究員は「自己愛性人格障害など様々な対人関係障害の病態理解につながる」と話している。


YOMIURI ONLINE 2010-09-04

棟方志功が生まれた日


 今日は棟方志功が生まれた日(1903年)。少年時代にゴッホの絵画に出会い感動し、「ゴッホになる」と芸術家を目指す。頻繁にゴッホの名を語る棟方に対し周囲の知人は「風邪でも引いたのか」とからかったという。「アイシテモ愛しきれない オドロイテモ驚ききれない ヨロコンデモ喜びきれない カナシンデモ悲しみきれない それが板画です」と言った。

棟方志功―わだばゴッホになる (人間の記録 (13)) 板極道 (中公文庫) 棟方志功 いのちを彫る (アートセレクション)


D

2010-09-04

パウル・ティリッヒ


 1冊挫折。


 挫折67『生きる勇気』パウル・ティリッヒ/大木英夫訳(平凡社ライブラリー、1995年)/氏家さんのツイートにパウル・ティリッヒの名前が出てきたので読んでみた。5ページで挫折(笑)。勇気は論ずるものではないと思う。確かこれ、友岡本にも出てきたような気がする。いい本なのだろうが、クリシュナムルティを知った後では不要だ。

2000年以上にわたって共有されてきたユダヤ教、キリスト教の物語


 思えば、2000年以上にもおよぶ長い間、ユダヤ人や、キリスト教徒によって共有されてきた物語があるということは、彼らの精神的文化の厚みに驚嘆せざるを得ません。


【『イメージを読む 美術史入門』若桑みどり(筑摩書房、1993年/ちくま学芸文庫、2005年)】

イメージを読む―美術史入門 (ちくまプリマーブックス) イメージを読む (ちくま学芸文庫)

(※左が単行本、右が文庫本)

ホロコースト文学のインチキ

 ヒトラーの最終的解決を題材にホロコーストの主要教義を露骨に押し出した文学作品は、学問的には無価値なものが大半だ。実際ホロコースト研究の分野は、まったくの嘘とは言わないまでも、ナンセンスなものであふれかえっている。特に顕著なのは、そうしたホロコースト文学を育てている文化環境である。

 ホロコーストのでっち上げで最初に大きく取り上げられたのは、ポーランドからの亡命者イェールジ・コジンスキーの書いた『異端の鳥』だった。この本を「英語で書いた」理由についてコジンスキーは、「感情を交えず、母語につきものの感情的な含意に縛られずに書きたかった」からだと説明している。しかし実際にコジンスキーが書いた部分は――そこも本当に自分で書いたかどうか自体まだ未解決なのだが――ポーランド語で書かれていた。この本はコジンスキーの自伝的作品という体裁をとっていて、子どもだった第二次世界大戦中にポーランドの農村地帯を一人でさまよっていたときのことを綴っている。しかし実際のコジンスキーは、戦争中ずっと両親と暮らしていた。


【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン/立木勝訳(三交社、2004年)】

ホロコースト産業―同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち

二宮尊徳が生まれた日


 今日は二宮尊徳が生まれた日(1787年)。子供の頃、わらじを編んで金を稼ぎ、父のために酒を買った。両親の死後、叔父の家に預けられると、寝る間も惜しんで読書をした。油代がもったいないと叔父に指摘されると、荒地に菜種をまいて収穫した種を菜種油と交換し、それを燃やして勉学を続けた。


代表的日本人 (岩波文庫)


D

2010-09-03

おひかり様を弾劾する中学生


おひかり様(1950年2月11日)


 長橋カツエ

 前田秋子


 今日おひかり様のことがもんだいになりました。おひかり様がいま村にはやっていることがもんだいになりました。みんなして、おひかり様にはいっている人が、「おひかり様にはいっていない人は昭和27年頃死んでしまう。」といっているそうですが、それはほんとうでしょうかということでもんだいになったのです。それに、おひかり様にはいると、田や畑にこやしもいらないというので、青年の中にも、どしどしはいろうという人さえでてきたことが話あいになったのです。おひかり様が、ほんとに病気をなおしてくれるのでしょうかと話をして、みんなに、「おひかり様はほんとだろうか。」ときいて、みんな、「うそだ。」といったので、決議文をつくって村にはることにきめました。壁しんぶんにすることにきめたのです。その決議文をかいておきます。


〔村にはった文章〕


おひかりさま

 おひかりさまのことが私たちの学級で問題になりました。おひかりさまにはいると肥料をいれなくとも米がとれるということはほんとうでしょうか。それがほんとうだとすれば、八貫目の炭を背負ってもおひかりさまにはいっている人は、ほかの人よりもかるくなるじゃないかということでみんなで笑いました。

 ほんとにおひかりさまはよいものでしょうか。

 私たちの組で、「おひかりさまに賛成できる人」といったら、だれもいませんでした。

 かぞえてみると、山元村では、30人もはいっているようです。1人で1万円以上かかるそうです。1人平均1万円かかったとしても、30万円もおひかりさまの札をかったことになります。山元村の今年の学校予算は14万6623円です。

 こういうふうにくらべて見て、このおひかりさまのことについては、村の人はもっと考えて見なければならないのではないでしょうか。


(山元中学校2年自治会決議)


【『山びこ学校』無着成恭〈むちゃく・せいきょう〉編(青銅社、1951年/角川文庫、1992年/岩波文庫、1995年)】

山びこ学校 (岩波文庫)

フェルディナント・ポルシェが生まれた日


 今日はフェルディナント・ポルシェが生まれた日(1875年)。オーストリアの自動車エンジニア。1900年代から1930年代にかけて自動車史に残る傑作車を多数生み出した設計者として知られる。ヒトラーからの依頼でフォルクスワーゲン・ビートルを開発。ポルシェを設計したのは息子のフェリー

オートカー・セレクション|ポルシェ911タイプ997 (NEKO MOOK 1382) ポルシェ911 ドライビングバイブル


D

2010-09-02

J・クリシュナムルティ


 1冊読了。


 112冊目『自由と反逆 クリシュナムルティ・トーク集』J・クリシュナムルティ/大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2004年)/数日前に読了。1928年と1947年の講話が収められている。大野龍一の訳文は読みやすい。でも135ページで1600円は高い。クリシュナムルティ思想の原型を見る限り、悟りの内容が変化した形跡は窺えない。表現に磨きがかかることはあっても、根本は揺るぎがない。それから、クリシュナムルティの翻訳者は自己主張を控えるべきだ。程度が低すぎる。クリシュナムルティ本はこれで41冊目。

「忘れてはいけない」中島みゆき


 許さないと叫ぶ野良犬の声を

 踏み砕いて走る車輪の音がする

 認めないと叫ぶ少女の声は細い

 いなかったも同じ少女の声は細い

 でも忘れてはいけないことが必ずある

 口に出すことができない人生でも

 忘れてはいけないことが必ずある

D


miss M.(紙ジャケット仕様)

大衆消費社会は「モノの消費」から「情報の消費」へ


 現代は、消費社会とか、高度大衆消費社会等と言われる。モノの生産よりも、消費のほうが経済を主導する要因になっているような社会、という意味であり、その背景は、産業化社会が一定以上の水準に達し、衣食住などの基本的な需要は満たされるに至った社会であるため、かつての「モノ不足」の時代には生産の水準こそが経済の決定要因であったのに対し、むしろ消費のありようとか消費者の志向こそが、生産活動や経済を導いていくようになっている、ということである。

 しかもその場合の消費とは、「モノ」の消費とは限らない。むしろ純粋に「物質的」な意味での消費の比重は、経済が高度化するにつれて小さくなってきている。例えば、私たちがTシャツを買ったり、小物を買ったりするとき、私たちは決してその「素材」そのものに着目して購入するのではなく(もちろんそうした場合もあるだろうけれども)、むしろそのデザインとか、場合によってはブランド等により関心を示して買うわけである。これをやや哲学的(?)に言うと、私たちはそういうとき、「モノ」を消費しているのではなく、いわば「情報」を消費しているのであり、モノはそうした情報が込められた乗り物に過ぎない、ということになる。


【『ケアを問いなおす 〈深層の時間〉と高齢化社会』広井良典(ちくま新書、1997年)】

ケアを問いなおす―「深層の時間」と高齢化社会 (ちくま新書)

ナポレオン「さあ、さあ、市民(シトロワイヤン)たちよ、眼をさまそうではないか。まだ2時にすぎない」


 或る日、朝の2時に、或る行政上の会議で、陸軍大臣が居眠りした。列席者の数人もくたくたになっていたので、ボナパルトは言った。《さあ、さあ、市民(シトロワイヤン)たちよ、眼をさまそうではないか。まだ2時にすぎない、フランス国民がわれわれに与えている金を有効に使わなければならない》。


【『ナポレオン言行録』オクターブ・オブリ編/大塚幸男訳(岩波文庫、1983年)】

ナポレオン言行録 (岩波文庫 青 435-1)

『必殺仕掛人』が放映された日


 今日は『必殺仕掛人』が放映された日(1972年)。池波正太郎原作。日陰者が主人公となる作風が反響を呼んだ。TBS系列局は19時『海のトリトン』→9時半『お笑い頭の体操』→20時『8時だョ!全員集合』→21時『キイハンター』→22時『必殺仕掛人』と、土曜の夜を独占状態にした。

新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫) 新装版・梅安蟻地獄 仕掛人・藤枝梅安(二) (講談社文庫) 新装版・梅安最合傘 仕掛人・藤枝梅安(三) (講談社文庫)


新装版・梅安針供養 仕掛人・藤枝梅安(四) (講談社文庫) 新装版・梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(五) (講談社文庫) 新装版・梅安影法師 仕掛人・藤枝梅安(六) (講談社文庫) 新装版・梅安冬時雨 仕掛人・藤枝梅安(七) (講談社文庫) 


D

2010-09-01

名もない人々の歴史こそ本当の歴史である


 名もない人々の歴史こそ、本当の歴史である。

 日本史の勉強をはじめたばかりの頃、私が先学の仕事から鮮烈に受け取ったメッセージはこのことだった。最近の歴史書がとかく大文字でばかり書かれるのを見るにつけ、私はいいものを先学から頂戴したと思っている。不透明なこんな時代には、身近なもの、小さなものから社会や歴史を考えることができる人が一人でも多くなってほしい。本書の執筆動機を心底に探せば、そういうところに行き着くような気がする。


【『戦国仏教 中世社会と日蓮宗』湯浅治久(中公新書、2009年)】

戦国仏教―中世社会と日蓮宗 (中公新書)

心にかかる国の行く末


 人々が藩のことしか考えていない時代のやり取りである。


「やれ」

 麟太郎が突然そういった。

「え?」

「そ奴をおやり」

 竜馬はいきなり、大きな声で

「君がため

 捨つる命は惜しまねど

 心にかかる

 国の行末(ゆくすえ)」

 唄い出した。元々朗々としたいい声で詩吟はうまかった。

「もう一度やれ」

「はっ」

「もう一度だ」

「よし」

 五度目を吟ずる竜馬の頬に、すーっ、すーっと涙が伝って来た。そして泣きながらまたその歌をつづけた。


【『勝海舟子母澤寛(日正書房、1946年/新潮文庫、1968年)】

勝海舟 (第1巻) (新潮文庫) 勝海舟〈第2巻〉咸臨丸渡米 (新潮文庫) 勝海舟 (第3巻) (新潮文庫)


勝海舟 (第4巻) (新潮文庫) 勝海舟〈第5巻〉江戸開城 (新潮文庫) 勝海舟〈第6巻〉明治新政 (新潮文庫)

関東大震災の日


 今日は関東大震災の日(1923年)。デマの中には朝鮮人が「暴徒化した」「井戸に毒を入れ、また放火して回っている」というものもあった。このデマを流布した首謀者は、時の警視庁官房主事で後に読売新聞社主となる正力松太郎である。一方で横浜市の鶴見警察署長・大川常吉は、保護下にある朝鮮人等300人の奪取を防ぐために、1000人の群衆に対峙して「朝鮮人を諸君には絶対に渡さん。この大川を殺してから連れて行け。そのかわり諸君らと命の続く限り戦う」と群衆を追い返した。さらに「毒を入れたという井戸水を持ってこい。その井戸水を飲んでみせよう」と言って一升ビンの水を飲み干したとされる()。また、軍も多くの朝鮮人を保護した。

D


D