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2010-11-06

600兆円の政府紙幣を発行せよ/『政府貨幣特権を発動せよ。 救国の秘策の提言』丹羽春喜


 この国は政権交代をしても変わらないことが明らかになりつつある。国民は民主党政権には期待していた。期待が大きかっただけに、裏切られた思いもまた強い。ウェブ上では既に自民党政権を懐かしむ声すらちらほら見える。


 何かおかしい。その象徴が小沢封じ込め&メディアリンチ&検察の裏工作だろう。議員立法なる言葉が示している通り、我が国の政治家が法律を作ることは珍しい部類となる。「エ、国会ってえのあ立法府じゃないんスか?」御意。立法府でありながら、実際に仕事をしているのは官僚だ。


 ちょっと考えれば誰にでもわかることだ。初めて大臣となった人物は、大臣の職務を誰から学ぶのだろう? 官僚だ。国会答弁の仕方は誰が手伝ってくれるのだろう? これまた官僚だ。喫緊の重要課題をレクチャーしてくれるのは誰か? それも官僚だ。


 しかも官僚は選挙で選ばれるわけではないから、長期間にわたって情報を統制することが可能だ。当然、各省庁には独自の文化や伝統、あるいは申し送りがあることだろう。私は敗戦後から変わらぬ一連の流れがあると睨(にら)んでいる。戦勝国であるアメリカが蒔(ま)いた種があるに違いない。


 バブルが弾けてからというもの、日本経済は一向に低迷を脱することができない。世界経済は2007年のサブプライムショック、2008年のリーマンショックで打撃を被ったが、それ以前はバブルで賑わっていたのだ。日本だけが貧乏くじを引いた格好だ。


 経済学の教科書に必ず書いてあるように、金融政策は景気の過熱を抑えるのには効果的であるが、不況に落ち込んだ経済を回復させることには、ほとんど役に立たないものなのである(マスコミがもてはやしている「公的資金による資本注入」という施策についても、同断である)。


【『政府貨幣特権を発動せよ。 救国の秘策の提言』丹羽春喜〈にわ・はるき〉(紫翠会出版、2009年)以下同】


 そう言われれば確かにそうだ。バブル崩壊の原因は大蔵省から金融機関に対して行われた総量規制であった。経済を回復させるには消費を喚起する必要があるので雇用環境が大きく影響する。給料が上がる前に物を買おうという人はあまりいないだろう。政府によるばらまきだって限定的なものだ。


 現在のわが国の経済においては、膨大なデフレ・ギャップが発生しており、インフレ・ギャップ発生のおそれは皆無である。


 デフレ・ギャップとは供給過剰のこと。物が売れない、物が余っている状態である。これを解消するには政府が需要を拡大するしかない。


 本書の冒頭に【口絵として掲げたグラフ】が示すように、近年のわが国では、デフレ・ギャップの形で、年々、400兆円以上もの潜在実質GDP(90年価格評価)が実現されえずに、空しく失われ続けているのである。


 これはどうなのか? チト、私には難しすぎる。デフレ・ギャップ=GDPギャップであることは理解しているが、その事実を「総生産が失われた」とする見方がよくわからん。例えば売れていない不動産はどのように考えればいいのだろうか?


 在庫は「将来売る為の商品」であるから、企業の将来への投資支出の一種とみなせる。従って生産された最終財・サービスは最終的に誰かの支出となる。


Wikipedia


 そんなわけがない。大体廃棄されるものだって山ほどあるだろうよ。あるいは企業の倒産など。サービス残業はどうなるんだ?


 というように、専門性の高い本の書評を試みると、膨大な検索をする羽目となる。いやあ参ったよ。


 現実的には、「コイン形態での政府貨幣」あるいは「政府紙幣」を実際に巨額に発行する必要は、必ずしもない。つまり、前記の「国(政府)の貨幣発行特権」は、いわば、【政府が無限に多く持っている一種の無形金融資産】であるから、そのうちの、たとえば数十兆円ぶん、あるいは、数百兆円ぶんといった一定額ぶんの「政府貨幣発行の権利」を、政府が日銀に売り、その代価を日銀から政府が受け取る形にすれば、それでよいわけである。


 現行法では、「日銀券」とは違って、「政府貨幣」は【負債として扱われるものではなく】、「諸財への請求権証」そのものなのであるから、日銀にとっては、その発行権の取得は、超優良資産を入手しうるということにほかならない。しかも、政府がその発行権の一定額ぶんを日銀に売るにさいして、ある程度の値引きをすることにすれば、日銀は、この「政府貨幣発行権」の所定額ぶんの取得によって、日銀自身の資産内容を大幅に改善することができ、日銀が債務超過に陥るといった前記の怖れからも脱却することができる。


 ご存じのように紙幣は日銀が、貨幣は政府が発行している。極端な話ではあるが、例えば10万円硬貨を発行することも可能なのだ。で、丹羽春喜は600兆円の政府紙幣(貨幣)を発行せよ、と迫っている。これがデフレ脱却に必要な金額とういことらしい。


 読んだ時は、「おお、すげえーっ!」と思ったんだが、こうして書評を書いてみると、「どんなもんかね?」という感じになってしまう。


 晴耕雨読にいくつか記事があったので紹介しよう。

 マネーという幻想は人間の判断を大きく狂わせる。交換手段であるはずなのに、いつの間にか目的と化している。


 例えば100人の住人がいる島があったとする。お金の供給量(マネーサプライ)が変わるだけで物価が上下するのだ。デフレとは供給過剰で物の値段(価値)が下がってゆくことだから、貨幣価値は上がることになる。その中で円高が進行中とはどういう意味になるのか?


 政府は量的緩和でインフレへと誘導しようとするが上手くいっていない。貨幣(お金)の価値が上がるなら、証券や債権の価値も上がりそうなものだが株価は下がりっ放しだ。


 結局のところ何もかもおかしいのだ。第一次産業に直結した経済指標を用いるべきだと思う。


 政府が貨幣を発行できる権利を有しながら発行しないのには何らかの理由があるのだろう。経済的混乱を避けるためなのか、あるいはアメリカから圧力があるのかは知らないけど。

政府貨幣特権を発動せよ。―救国の秘策の提言

『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』櫻井義秀


霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造 (新潮新書)


 信じる者は救われぬ。スピリチュアリティ(神霊・心霊)を騙れば簡単に金儲けはできる。ほんの少しだけ「不安」を煽り、安易な「癒し」を差し出せば判断能力は歪められ、人は喜んで搾取され続けるのだ。その危険性について現代人はあまりに無防備である。神世界、統一教会、テレビ霊能者から仏教、神道、キリスト教など既存の宗教まで、霊と金、宗教と経済の関係を対応させながら現代社会を鋭く読み解く意欲作。

廃墟時計


 打ち捨てられた時計たちの写真を集め、ひとつの時計にする。その針は二度と動かないだろう。しかし、一日に二度だけ正しい時をさす。720個の時計たちの刻んだ最期の時が集まることで、彼らは再び、時計として働ける。


 死んだ時計が告げる現在時間を見つめる不思議。私の生と時計の死が渾然一体となる瞬間。時間との遭遇。巡り、二度と戻ることのない時間たちよ。


精神的な問いとは?


 精神的な問いとはなんでしょうか?

 極端に図式化して言うなら、政治的な問いとは正義と不正にかかわる問いであり、道徳的な問いとは、善と悪、人間的なことと非人間的なことにかかわる問いです。精神的な問いとは、こんにち言われているところにしたがうなら、【意味】にかかわる問いであり、ということは無意味にかかわる問いだということです。


【『資本主義に徳はあるか』アンドレ・コント=スポンヴィル/小須田健〈こすだ・けん〉、C・カンタン訳(紀伊國屋書店、2006年)】

資本主義に徳はあるか

歴史家には落下傘兵タイプとトリュフ狩りタイプがある


 かつて、フランスの偉大な歴史家エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリが、歴史家にはふたつのタイプがあると語っている。落下傘兵タイプと、トリュフ狩りタイプである。落下傘兵タイプは過去をはるか彼方から眺め、ゆっくりと地上に舞い降りてくる。一方、トリュフ狩りタイプは土中に埋もれた宝に魅せられ、地面から鼻を離そうとしない。日常の生活においても、落下傘兵タイプの気質の人もいるし、細々としたことに心を砕くトリュフ狩りタイプの人も大勢いる。われわれは過去を研究する際にも、この気質の重荷をつねに背負っている。


【『歴史を変えた気候大変動』ブライアン・フェイガン/東郷えりか、桃井緑美子〈ももい・るみこ〉訳(河出書房新社、2001年/河出文庫、2009年)】

歴史を変えた気候大変動 (河出文庫)

谷豊が生まれた日


 今日は谷豊が生まれた日(1911年)。満州事変が起こりマレーシアでは華僑が排日暴動を起こしていた。谷家も襲撃され、妹シズコが斬首。帰国した母親からこの事件を聞いた豊は激怒。2年後に単身マレーシアへ渡り友人らと華僑を襲う盗賊団を結成。戦時中は諜報活動を。怪傑ハリマオのモデル。

ハリマオ―マレーの虎、六十年後の真実 マレーの虎ハリマオ伝説 (文春文庫) 神本利男とマレーのハリマオ―マレーシアに独立の種をまいた日本人