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2010-11-16

生命とは情報空間と物理空間の両方にまたがっている存在/『苫米地英人、宇宙を語る』苫米地英人


 経典本(きょうてんぼん)、あるいは神本(かみぼん)だ。しつこく書いておくが私は苫米地英人の人間性を信頼したことは、ただの一度もない。だからこそカテゴリーに「苫米地英人」を設けていないのである。それでも否応なく彼のアクロバティックな知的アプローチに魅了されてしまう。あな恐ろし。苫米地は21世紀の提婆達多なのかもしれぬ。


 発行の順序とは逆になるが、先に『なぜ、脳は神を創ったのか?』を読んでおいた方がいいだろう。双方とも科学・宗教・脳がテーマになっている。各界が大騒ぎして取り上げるほどの内容となっている。

 こんなニュースも苫米地理論の有力な証拠として数えることができよう。


 それなりの知識がない人が読むとトンデモ本と思い込んでしまうだろうがそうではない。苫米地が試みているのは「宇宙を数学次元で読み解くこと」なのだ。ここをしっかりと押さえておく必要がある。


 未来が原因であり、現在は過去と考えると、ビッグバン(宇宙のはじめの大爆発。宇宙ははじめに集まる超高密度・超高温状態であり、約150億年前にビッグバンによって膨張し始めたとされる)は結果になります。原因ではありません。

 では、エントロピー(元は熱力学の用語。乱雑さ・無秩序さの度合いを表す概念。無秩序な状態ほどエントロピーは「高い」とされ、情報科学などにも使用される)という概念で見てみます。

 物理空間においては時間の方向性上、過去が原因で未来は結果です。そうした時間軸上のエントロピーの推移を、物理空間ではエントロピーが増大するといいます。

 ということは、時間の方向性を逆向きに見れば、エントロピーが極大化したところから、極小化したところに流れているのが物理空間での時間ということになります。

 では、情報空間ではどうでしょうか。

 情報空間のエントロピーというのは物理空間とは逆向きに働いています。時間が経(た)てば経つほど情報は整理され、構造化された結果、より整合的になっていきます。

 例えば一つの数学理論を作ったならば、理論はどんどん整理されながら読み続けられていくことで存在するわけです。つまり、情報空間はエントロピーを極小化させる状態へと向かうわけです。極小ではなくとも、小さくした状態を続けることができるわけです。

 それを未来から過去という逆向きの時間の流れで見ると、情報空間では未来のエントロピーは今よりはるかに小さい状態であって、ビッグバンに向かって増大していくと考えることができます。

 つまり、情報空間においては、エントロピーはビッグバンのときが極大なのです。そのエントロピーがどんどん下がり、小さくなって今があるのです。

 そして、最終的には情報空間においては、エントロピーが極小の状態、つまり「空」(くう)に行きつくでしょう。


【『苫米地英人、宇宙を語る』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(角川春樹事務所、2009年)】

 見事な発想の転換。縦軸yを空間、横軸xを時間とするグラフを想像してほしい。このグラフを裏返しにすれば苫米地の発想は決して不思議なものではない。地図だって同様だ。北極を下にしても構わないし、地球の内側から見た地図があってもいいはずだ。時間という不可逆性を引っ繰り返す発想が絶妙だ。


 ただし「情報空間はエントロピーを極小化させる状態へと向かう」というのはそう簡単な話ではない。もしそうであるなら宗教だって統合されるわけだから。国家の数だって増えている。しかし、その一方で言語の数は減っている。


 いずれにしても、苫米地が提示した時間観は卓見といえよう。恐るべき抽象度の高さである。


 この情報空間と物理空間の両方にまたがっている存在が、生命です。実は、この両側に立つ存在というところに、宇宙がなぜあるのかを解き明かす答えがあります。


 情報空間と物理空間の間に存在しながら、双方のエントロピーが往還する「時間」に位置するのが生命だという指摘だ。凄い。全く凄すぎる。ため息しか出ないよ。x軸とy軸が交わる座標に「私」という存在があるのだ。これは法華経で説かれた諸法実相に迫る視点であると思う。


 心の定義はいろいろありますが、かなりの部分は情報であるということができるでしょう。

 ということは脳内も情報ということになります。そして、情報にオリジナリティがあれば、それを存在ということができるのです。


 オリジナリティの情報=自我である。「私は他の誰でもない。私は私だ」あるいは「かけがえのない自分」という時の「私」のこと。脳科学の発達によって、心=脳ということが明らかになりつつある。「脳内も情報」とはシナプスの結合である。脳の中身は情報ネットワークそのものだ。


 人間は思考する動物である。思考は言葉によって形成される。言葉は情報である。苫米地が説く情報は、更に物理学的・数学的な意味合いが込められており、「伝わるもの」「伝達可能な物質」をも含んでいると考えるべきであろう。


スター・トレック』の転送装置で、星の地上にいる人が宇宙船の中にビームで転送されるとき、何をやっているかというと、その人のいる地上の空間の素粒子状態、つまり情報状態を全部スキャンしているのです。そしてそのスキャンした状態を宇宙船の中に移動させているわけです。

 簡単にいえばコピーするということでしょうか。もちろん、思考も記憶も全部一緒にコピーをしています。それを移動と呼んでいるだけなのです。

 ただし、コピーだけでは移動ではありません。ただの複製になってしまうため、オリジナルの消去もあわせて行っているのです。

 スコッティーが転送してくれたときに、たまたま宇宙船が攻撃されて、オリジナルの消去ができなかったとしたら、オリジナルとコピーが同時に存在することになります。

 そして、しばらくしてからスコッティーに、「ごめん、あなたの転送は終わった。したがってこれからあなたを消去します」といわれてしまうわけです。

 では、どちらが本物か。

 それは、移動した方が本物なのです。それがインテンショナリティ、つまり意思という考え方です。

 移動するという意思が反映されているのは移動後のほうです。

 理論上は、寸分たがわず、魂まで含めた完全コピーではあります。しかし、移動という意思は複製された側にあるわけですから、結果として、オリジナルのあなたは消去されるべき存在になってしまうのです。


 ここでいう意思とは、自由意志に関わるテーマである。思想的には決定論・因果論・運命論と密接不可分の領域だ。


 存在のコピーという思考実験が実に巧妙である。だがよく考えてみよう。「私」とは昨日の私のコピーに過ぎない。「私」の実体とは私の「過去」に依(よ)っているのだ。繰り返されてきたオリジナルな反応および反射こそが、「私」という自我の正体であろう。

 意思が連続しても、記憶が消えてしまえば、自我が維持できませんから同じ人とはいえません。同じく、記憶に整合性があっても、意思がなければ、やはり同じ人とはいえないのです。

 つまり、インテンショナリティがあるものはたった一つであり、それがその存在の絶対条件となってくるのです。

 となると、基本的人権を得ることができる人とは、インテンショナリティがオリジナルの延長線上にあり、さらに記憶が整合的である人、ということになっていきます。


 つまり自我とは記憶なのだ。苫米地は多分、まだクリシュナムルティを知らないのだろう。踏み込みが甘くなっている。それでも相応の深みには達している。


 実は、こうした宇宙こそ、2500年前に釈迦(しゃか)がいった、唯識(ゆいしき)の世界なのです。

「宇宙はすべて意識で存在している」。つまり、情報状態だとすでにいっていたのです。

 ホーキングの限界はここにありました。西洋哲学、西洋物理学においては、外の世界と心の世界が別々に考えられていたのですが、すべては物理的現実世界との相対です。しかし、宇宙は最初から情報状態で成り立っているのです。


 完全に脱帽。私は多分、苫米地よりも古くから唯識を知っているが、かような発想は生まれ得なかった。こんなことを説かれた暁には、高額セミナーに行きたくなる気持ちも確かにわかる(笑)。いや、本当に凄いよ。


 結局のところ、科学の領域が宗教に迫ってきたのは、アインシュタインに代表される思考実験によるところが大きい。科学者は想像力を駆使して宇宙の実像を思い描いた。そして脳内のシナプスというシナプスが攪拌(かくはん)され、沸騰し、火花を散らしたところにパラダイムシフトを可能にする発見が生まれたのだ。


 おわかりだろうか? 発見はすなわち悟りなのだ。ゆえに悟りとは情報と情報とのつながりから発生するのだ。だが公式や言葉が悟りそのものではない。アインシュタインの脳内でE=mc²に達するその瞬間に悟りがあるのだ。科学の世界において悟りは発見された知識となってしまい、ダイナミックな生の躍動を失ってしまう。


 アインシュタインが発見する前からE=mc²という事実は宇宙に存在した。だがアインシュタイン以外は誰にも見えなかった。アインシュタインはある瞬間にそれが「見えた」のである。つまり悟りとは発見であり、気づくことなのだ。


 外なる宇宙の法則は次々に発見されている。内なる宇宙の法則は手つかずのままだ。21世紀の人類は100億光年も遠い星を眺めながら争い合っている。イエスの教えも、ブッダの法もいまだ世界を救ってはいない。この現実を見落としてはなるまい。


 尚、本書を読んだ人は、レオナルド・サスキンド著『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』も必読のこと。

苫米地英人、宇宙を語る

「月のワルツ」諫山実生


 cematinさんのツイートで知った曲。「いさやま・みお」と読む。女性シンガー。今井美樹Metisを足して2で割った感じ。随分と音程が正確だな、と思っていたら絶対音感の持ち主らしい。



名曲撰 ユメミゴコチ

最年少ブラックホールの存在確認 NASA


 米航空宇宙局(NASA)は15日、エックス線宇宙望遠鏡チャンドラを使い、できてから約30年しかたっていないブラックホールの存在を確認したと発表した。

 1979年に確認された、寿命を迎えた巨大な星の大爆発(超新星爆発)の後にできたとみられる。これまで確認されたブラックホールの中では最も若く、星の爆発やブラックホールができる仕組みの解明に役立つとしている。

 ブラックホールは地球から5000万光年離れたM100星雲で見つかった。太陽の約20倍の質量を持った星が超新星爆発を起こした後の燃えかすが収縮。超高密度のブラックホールになったと考えられる。

 エックス線による分析で、ブラックホールは周辺にあるガスなどを吸い込んでいることが判明。NASAは爆発に伴い飛び散った物質か、二つの星がお互いを回る連星からの物質を吸い込んでいるとみている。


47NEWS 2010-11-16

小2の息子がバカすぎる


 大笑い。子供が世の中を鋭く見つめていることがよく理解できる。小2で「兼業農家」という言葉を知っているとは、あな恐ろし。

ナチス残党に退避場所 米司法省が秘密報告書


 14日付の米紙ニューヨーク・タイムズは米司法省の秘密報告書の内容として、第2次世界大戦後に米政府当局がナチス・ドイツの残党に米国内の「避難場所」を提供していたと伝えた。

 同紙によると、これまでにも米情報当局がこれら残党を利用していたことは知られていたが、政府の関与がこれだけ詳細に明るみに出たのは初めてという。

 報道によると、秘密報告書は約600ページで約4年前に作成。情報公開法に基づき先月、民間調査機関に公開されたが、削除された部分が多く、同紙は独自のルートで全文を入手した。

 報告書は米政府がナチス残党の過去を知りながら入国を許したケースがあるとし「米国は迫害を受けた者の避難の場であることを誇りにするとともに、小規模ながら、迫害者の退避場所にもなっていた」と分析した。

 一例として、ナチスのロケット工場における強制労働に関与した後、米国に渡って宇宙計画に参画したロケット科学者のアーサー・ルドルフ氏(1996年に89歳で死去)について「当初考えられていたよりずっと積極的に強制労働にかかわっていたことが後に判明した」と指摘した。


47NEWS 2010-11-15

「勉強する生活」が「生活が勉強だけ」になる


 この間の(祖母殺し高校生自殺)事件にせよ、2年前のAさんの(開成高校殺人)事件にせよ、要するに勉強のことが問題になっているわけなんです。自分もそうだったんだけれど、塾通いをした小学生のころから「勉強する生活」に慣れています。これがひっくり返ると、「生活が勉強だけ」になってしまう。うちの学校自体がそれに慣れてしまって、やっぱり成績重視だ。最初よかった成績がどんどん落ちて行くと、ああいうケースが起きても不思議ではないのではないか。(開成高校生談)


【『子供たちの復讐』本多勝一朝日新聞社、1979年/朝日文庫、1986年)】

子供たちの復讐 (朝日文庫)

歴史を書くことは倍率の低い顕微鏡でものを見るのに似ている


 世界の歴史を書くという作業は、倍率の低い顕微鏡でものを見るのに似ている。その場合、観察者は標本のかなりの部分を見ることができるが、細かいところは犠牲になってしまう。


【『ドラッグは世界をいかに変えたか』デイヴィッド・T・コートライト/小川昭子〈おがわ・あきこ〉訳(春秋社、2003年)】

ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史

まど・みちおが生まれた日


 今日はまど・みちおが生まれた日(1909年)。「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」などは童謡になっている。さかなやさんが/さかなをうっているのを/さかなはしらない/にんげんがみんな/さかなをたべているのを/さかなはしらない/うみのさかなも/かわのさかなもみんなしらない(「さかな」)

まど・みちお詩集 (ハルキ文庫) いわずにおれない (集英社be文庫) まど・みちお全詩集

郭沫若が生まれた日


 今日は郭沫若(かく・まつじゃく)が生まれた日(1892)。業績は多岐に。文学の代表作としては『女神』『屈原』があり、中国古代史学においては西周時代を奴隷制時代とした『中国古代社会研究』など。三国志関連では論文「替曹操翻案」を発表しており、これが悪人扱いされていた曹操の評価を改める大議論の契機となる。

歴史小品 (岩波文庫 赤 26-2)