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2010-11-22

『宗教で読む戦国時代』 神田千里(講談社選書メチエ、2010年)


宗教で読む戦国時代 (講談社選書メチエ)


 宣教師も驚いた戦国日本人の高度な精神性。その「ゆるやかな宗教性」のバックボーンとしての「天道」思想をキーワードに、一向一揆、キリシタン論争から島原の乱まで、日本人の心性に新たな光を投げかける。

『コズモグラフィー シナジェティクス原理』バックミンスター・フラー/梶川泰司訳(白揚社、2007年)


コズモグラフィー―シナジェティクス原理


「複数の原理を相互に調整し秩序づける行為を私はデザインと呼ぶ」──現代のレオナルド・ダ・ヴィンチともいわれるバックミンスター・フラー。彼の遺作である本書は、「シナジェティクス」、「テンセグリティ」という自身の思想の核心を一般読者にむけて綴った、もっとも重要な作品です。フラーが発見した究極の「宇宙の幾何学」とは何か? 20世紀の巨人の常識を覆す哲学を凝縮した、フラー・ファンには絶対見逃すことのできない一冊です。

消費税が国民を殺す/『消費税のカラクリ』斎藤貴男


 税という名の暴力がある。国民・県民・市民・区民は税金と引き換えに何を手にしたのだろうか? あるいは失ったものの方が多いのだろうか?


 租税には三つの機能がある。公共サービスの費用調達機能、所得の再分配機能、景気の調整機能である。この前提自体がそもそも嘘臭い。大体元々は年貢だろ? 平安時代以降、百姓がまともなサービスを受けていたっていうのか? 徴収は簒奪(さんだつ)の異名である。


 政治の役割は立法と予算決定であるが第二次世界大戦敗戦以降、我が国においては政治が機能していない。アメリカがコントロールしているのかもしれないし、日本の官僚がコントロールされたフリをしているだけなのかもしれない。だがいずれにせよ、この国において国民が何かを決めたことはないように思う。


 で、話を元に戻すが、国家が国民の懐に手を突っ込んで労働対価を奪うには、それ相応の巧妙な手口で行う必要がある。一歩間違うと国家がひっくり返る可能性があるからだ。その中で最も狡猾な手段が消費税ってわけ。


 国際競争力をつけるという名目で税制改革が行われてきたが、実は大企業と金持ちが優遇されていただけの話だった──


 かつて19区分、最高税率で75%もあった所得税の累進課税の仕組みは、1980年代半ばから緩和され続け、99年からの8年間はわずか4区分、最高税率37%という状況に至った。年間所得が100億円の人と1800万円の人の税率は同じであり、1000万円に満たない人ともあまり変わらないという、あからさまな金持ち優遇税制だ。

 表には含まれていないが、この間には住民税の累進課税も大幅に緩和された。14区分だったものが89年までに3区分(5%、10%、13%)となり、2007年にはこれも廃止されて一律10%の完全フラット化。年間所得100億円の人も100万円そこそこの人も、課される税率は同じだというのが現状なのである。

 かくて所得税の所得再分配機能は消失し、1991年度のピーク時には26兆7000億円あった税収も2009年度は12兆8000億円へと半減した。偶然ではもちろんない。

 財界の主導で進められた規制緩和、構造改革の、これも一環だった。


【『消費税のカラクリ』斎藤貴男(講談社現代新書、2010年)以下同】


 政官業の癒着。三位一体。三人寄れば文殊の悪知恵。所得の再分配は胴元が取る仕組みだったってこと。人間という動物は苦しい情況に置かれると自分のことしか考えられなくなる。国民という枕詞(まくらことば)の実体は納税者・消費者・労働者・兵士・一票にすぎない。選択肢はあらかじめ狭められているから、どんな方向にでも誘導可能だ。ベルトコンベアー、あるいはエスカレーター上で行われる批判と議論にさしたる意味など存在しない。


 斎藤は消費税の欺瞞を次々と暴いてみせる──


 消費税は、国税のあらゆる税目の中で、最も滞納が多い税金なのである。


 ゲゲッ、知りませんでした。

 消費税の滞納者が急増した1998年という年は同時に、この国の年間自殺者が初めて3万人を超えた年であったという事実を、とりあえず知っておいてもらいたいと思う。


 消費税が国民を殺しているというのだ。恐るべき現実だ。で、滞納した消費税の取り立てについては税務署が好き勝手に決めている。


「長年にわたって消費税を滞納している納税義務者を、税務署の最前線では“優良事案”と呼んでいます。取り立てれば上に褒めてもらえるからで、しかも手段を選ぶ必要はないとまで指示されている。倒産や廃業に追い込む結果を招いても構わない、いや、消費税を滞納する奴らなど潰してくれ、などというセリフさえ、署内では当たり前のように交わされているんですよ。変な言い方ですが、そういう発想が税務署の文化のようになってしまいました」(※大規模税務署の中堅署員)

 国税庁は1998年頃から、あらゆる税目の中で消費税の徴収を最優先する“消費税シフト”を敷き続けている。


 これでは暴力団とやっていることが変わらない。彼らはアイヒマン同様「命令に従っただけ」とでも言うのだろう。


 消費税を滞納し、差し押さえた挙げ句に自殺する中小企業の社長がいる。


(分納分を納めていたにもかかわらず、突然、売掛金を差し押さえられ、この社長は自殺した)

「税務署の担当者には、『あんたたちのせいだ』と言わせてもらいました。お悔やみの言葉、ですか? いいえ、『規則ですので』だけです。滞納するから悪いんだと、それだけでしたね」


 税は暴力なのだ。国家が暴力装置である事実を我々は自覚する必要がある。


 税金に関する書籍なんで細かいデータが多く読みにくいのは確かだ。しかし「自分の懐の問題」だと認識すれば、やはり襟を正して読むべき一冊といえる。


 お金が企業や人の間を移動するだけでかすめ取るのが税金である。再分配が機能していない以上、富は特定の階層に集中する。つまり租税が貧困を拡大しているのだ。

消費税のカラクリ (講談社現代新書)

見事に生きる


 私たちは、当たり前にできること、当たり前にあるものに、価値を見い出すことができずに、新しい何かを必死になって追い求めています。

 雪絵さんは教えてくれました。

 今あるものを最大限に生かすことを。

 今あるものの価値を認めることを。

 今そばにいる人を愛することを。

 今の人生を大切にすることを。

 自分という命をまっとうすることを。

 表現するとは、当たり前にできること、当たり前にあることを大切にすること、それは、

 見事な笑顔。

 見事な挨拶。

 見事なありがとう。

 見事な見送り。

 見事な歩き方。

 見事な握手。

 見事な立ち方。

 見事な……。


 雪絵さんがその大いなる存在を通して教えてくれた大切なこと。


「生きるとは自分を最大限に発揮すること」


 これ以上の人生を豊かにする法則は他にないと思います。


【『世界に一つだけのギフト』平野秀典(実業之日本社、2009年)】

世界に一つだけのギフト 人生に幸運と奇跡を呼ぶ15の感動エピソード

ヒューマニズムはキリスト教以降の信仰


 ヒューマニズムは科学ではない。人間はかならずや過去に例のない輝ける世界を実現すると断じるキリスト教以降の信仰である。キリスト教以前のヨーロッパでは、未来は過去とさして変わりないと考えるのがふつうだった。知識が進んで新しいものがつくられるにしても、価値体系が大きく変わることはない。歴史は果てしない循環であって、そこに一貫した意味はない、と人は理解していたのである。

 これを異教の考えとして、キリスト教は歴史を罪と贖いの寓話と解釈した。キリスト教の救済の理念を人類解放の祈願に置き換えたのがヒューマニズムであり、進歩の概念は神慮を待望するキリスト教信仰の世俗版である。それゆえ、キリスト教以前の世界は進歩に関心がなかった。

 進歩信仰にはもうひとつ別の根拠がある。科学においては、知識は増大し、蓄積する。だが、人間の存在は全体として蓄積に向かわない。ある世代が獲得したものも、つぎの世代には失われるかもしれない。また、科学の場合、知識は純粋善だが、倫理学や政治の世界では功罪相半ばする。科学は人間の能力を増進すると同時に、人間が持って生まれた欠陥を拡大する。人間の寿命を延ばし、生活水準を向上させるのも科学なら、破壊をほしいままにさせるのもまた科学である。現在、人類はかつてない規模で傷つけ合い、殺し合い、地球を破壊している。


【『わらの犬 地球に君臨する人間』ジョン・グレイ/池央耿〈いけ・ひろあき〉訳(みすず書房、2009年)】

わらの犬――地球に君臨する人間