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2010-11-23

『ロードサイド・クロス』ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳(文藝春秋、2010年)


ロードサイド・クロス


 尋問の天才キャサリン・ダンス、ネットにひそむ悪意に挑む。陰湿なネットいじめに加担した少女たちが次々に命を狙われた。いじめの被害者だった少年は姿を消した。“人間嘘発見器”キャサリン・ダンスが少年の行方を追う一方、犯行はエスカレート、ついに死者が出る。犯人は姿を消した少年なのか?だが関係者たちは何か秘密を隠している―。幾重にもめぐらされた欺瞞と嘘を見破りながら、ダンスは少しずつ真相に迫ってゆく。完全犯罪の驚愕すべき全貌へと。

カトリックとプロテスタントの風俗史/『宗教改革の真実 カトリックとプロテスタントの社会史』永田諒一


 歴史は海のうねりのようにゆっくりと動く。劇的な変化もよく目を凝らして見れば、長期間にわたって圧力や負荷に覆われていることがわかる。小事が積もり積もって大事へ至る。


 中世の宗教改革を社会史の観点から読み解いている。


 宗教改革と宗派対立の時代とされるこの16世紀と17世紀の前半は、最近の研究成果によれば、実は宗教観だけでなく、社会のどの局面をみても、中世と近代の境目に位置する重要な時期であったといわれる。


【『宗教改革の真実 カトリックとプロテスタントの社会史』永田諒一(講談社現代新書、2004年)以下同】


 ところが、社会史はこれ(※歴史学)に対抗する形で社会の全体、あるいは中下層に焦点をあわせ、また、100年も200年も変わらない制度、習慣、ものの考え方に注目する。


 歴史学とは権力の変遷に光を当てたものなのだろう。支配、統治の関係性および社会性がテーマだ。軍事・経済が中心となるのは言わずもがな。


 歴史学を氷山とするなら、社会史は氷山に該当するのだろう。多分。あるいは鍋底か。


 試みとしては興味深いのだが、如何せん面白くなかった。悪い意味での教科書本といっておこう。大きなテーマを欠いているようにも感じた次第だ。


 宗教改革はどのように展開したか──


 とりわけ宗教改革派は、活版印刷術を用いて安価で大量の宣伝パンフレットを流布させ、ひとびとの支持を獲得するとともに、自らの勢力基盤を確立した。「活版印刷術なくして宗教改革なし」といわれるゆえんである。宗教改革は、印刷物というマスメディアを用いた、歴史上最初の思想宣伝運動であった。


 何とプロパガンダ工作によってであった。現代においては新聞・テレビ・週刊誌が衣鉢(いはつ)を継いでいる。戦略的布教、あるいは洗脳、または詐欺。メディアよ、汝を嘘と名づけよう。思想宣伝が出版によって行われているのは現代でも同様だ。


 この時代の識字率がどの程度であったか触れられていないが、いずれにせよパンフレットが紙つぶてとなって時代を揺り動かしたのだ。当然何らかの衝撃が走ったわけで、キリスト教社会において神を再確認せざるを得なくなるような発見があったはずだ。パラダイムシフト。


 例えば、一般信徒は、聖書の教えを聖職者から口頭で聞き学ぶべきで、自ら聖書を読む必要はない、あるいは、読んではならないとされていた。ラテン語で書かれた聖書は、聖職者たちが占有する門外不出の聖典であり、それを各地域の言葉に翻訳することは固く禁じられていた。(中略)ラテン語の聖書を自分たちの日常の言語に翻訳する試みも行われたが、そのような行為をするひとびとは異端として弾劾された。


 教会や寺院は必ず閉ざされてゆく。ヒエラルキーの頂点を高くしようと目論んで必ず失敗する。信仰にありがたみという付加価値をつけようとしてインチキを行う。その動機は金と名誉。


 門外不出、禁コピー、マル秘──結局、権力とは情報へのアクセス権限であることが理解できよう。「お前は知る必要がない」ってわけだよ。内容はどうでもいい。人々が知らない情報を自分が知っているというだけで欲望を満たすことが可能だ。


 当然のようにダブルスタンダードとなる。本音と建て前、隠された意図が知る者と知らざる者との懸隔を築く。キリスト教はテキスト教でもある。だから教義という鋳型に無理矢理人間をはめ込もうとする。神のせいで人間は二次的な存在となり、現実世界は天国の下部構造へと格下げされる。そしてここが暴力の温床となるのだ。


 マルティン・ルター贖宥状(しょくゆうじょう)について「95ヶ条の論題」をもって質(ただ)した。彼は神学上の質問をしたにすぎなかった。だから神学上の根拠があるかどうかを問いかけただけであった。


 とりわけ、当時ドイツで販売されていた贖宥状は、買った当人だけでなく、別のひと、それもすでに死んで、ちょうど今煉獄で苦しんでいるひとにも有効と定められていた。

 この規定は、贖宥状の販売実績を飛躍的に伸ばすことになった。


 巧みなマーケティング戦略だ。悪知恵の見本。あの世にまで伸ばされる商いの手(笑)。教会の入り口では「おいでやす」と言っていたに違いない。


 一方で宗教改革という知的ムーブメントが台頭し、他方では魔女狩りの嵐が吹き荒れていた。ここを本当は掘り下げてもらいたかったんだよね。西洋の中世史ってのはさ、一言でいえば「言ってることとやっていることが違いすぎる」のよ。ま、二重人格だわな。


 勘案するに我々の社会のネットワーク環境は、歴史を動かし安くなっていることだろう。だからブログであろうとツイッターであろうと、自分が感じた何かを伝える営みが大切だ。たとえ文句や愚癡の類いであろうと、ある瞬間に燎原の火の如く広がる可能性がある。

宗教改革の真実 (講談社現代新書)

ザムエル・クンツ氏死去 ナチスの元強制収容所看守


 ザムエル・クンツ氏(ナチスの元強制収容所看守)ドイツ・ボン地裁によると、18日、死去、89歳。死因などは不明。

 ナチスが占領していたポーランドのベウジェツ強制収容所で43年ごろに看守をしており、43万人以上のユダヤ人殺害をほう助したなどとして、今年7月に起訴された。

 ユダヤ系団体によると、ナチスの生き残りで3番目に重要な人物。ロシア・ボルガ川沿い地域出身のドイツ人という。


47NEWS 2010-11-22

アメリカの比類なき軍事力


 アメリカの単独行動主義的な外交路線を支えているのが、世界で突出した比類なき軍事力である。3991億ドル(2004年度)という軍事予算は全世界の4割以上を占め、第2位のロシアの6倍以上にものぼる。これはアメリカが名指しで「ならず者国家」と呼んだイラクや北朝鮮といった7カ国の合計の実に26倍以上という数字だ。

 総兵力という面でも140万の正規軍、250万の予備役と州兵(アメリカでは各州が軍隊を持っている)という数字は他国を圧倒している。第二次世界大戦勃発時点のアメリカでも兵力は17万人に過ぎない。現在、アメリカは何らかの形で実に全世界の130カ国、750カ所に自国の軍隊を駐留させている。これらの軍事的展開は冷戦時代であれば「共産主義国家であるソ連の全体主義から民主主義国家を守るため」という大義が通用したが、冷戦が終結して以来、その意味は大きく揺らいでいる。


【『世界反米ジョーク集』早坂隆(中公新書ラクレ、2005年)】

世界反米ジョーク集 (中公新書ラクレ)

病的な心理情況


「べつに悪いことをしてもいないのに罪の意識を抱くのは不必要なことですし、また病的なことです。それと同じように、悪いことをしていながら罪の意識を感じないというのも病気です」


【『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』M・スコット・ペック/森英明訳(草思社、1996年)】

文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫)

白井義男が生まれた日


 今日は白井義男が生まれた日(1923)。小学6年生時の夜祭りの余興で行ったカンガルーとのボクシングに負けて以後、ボクシングにのめり込んだという。日本人として初めての世界王者となった(フライ級)。敗戦に打ちひしがれた日本人にとって白井の活躍は希望の光であり、その功績は計り知れない。

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ジョン・ウォリスが生まれた日


 今日はジョン・ウォリスが生まれた日(1616年)。イングランドの数学者で微分積分学への貢献で知られている。1643年から1689年までイングランド議会(後には王宮)に暗号研究者として雇われた。また無限を表す記号として「∞」を採用したことでも知られている。

暗号事典