古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ダニエル・C・デネット


 1冊読了。


 142冊目『解明される宗教 進化論的アプローチ』ダニエル・C・デネット/阿部文彦訳(青土社、2010年)/訳注を含めると580ページというボリューム。紙質もよく青土社の気合いが伝わってくる。よくぞ3200円に抑えることができたと思う。無神論者の著者が宗教の解体を試みた内容。説得力は十分なのだが、後半失速。科学者としての慎重さが仇になってしまっている。これは米国の宗教事情という背景も考慮する必要あり。前半は笑いが止まらぬほど面白い。俎上(そじょう)に乗せられているのはキリスト教イスラム教であるが、全ての制度宗教・組織宗教と考えて読むべきだろう。