古本屋の覚え書き このページをアンテナに追加 RSSフィード


WWW を検索 古本屋の覚え書きを検索

2010-08-17

一部週刊誌に抗議の手記/北谷町米兵暴行事件


 強姦救援センター・沖縄(REICO)は24日、北谷町で発生した米軍曹による女性暴行事件の被害女性からREICOに対し「一部週刊誌の報道や取材におびえる生活を強いられ、精神的にもどん底の状態にある」とする訴えがあったと発表、マスコミや社会に対し被害者の視点で事件を認識するよう求めた。また同日、県内の女性議員44人は「被害者の心身ケアが十分保障される具体的施策を講ずること」など四項目を求める連名アピールを発表した。女性議員によるこうした連帯声明は初めて。

 REICOの広報を担当する高里鈴代さんは「被害者に落ち度があったかのような一部報道やプライバシーを考えない取材があり、どこに主眼を置いて取材するかの姿勢が問われている。二次、三次の人権侵害が起こっていることを認識し、被害者の声を受け止めてほしい」と話している。

 REICOは、被害女性をサポートする立場から今月4日付の本紙を通じ、同事件の被害者に対し「性犯罪で悪いのは百パーセント加害者で、被害者に落ち度はない」とするメッセージを発表。これを受け、被害者から現在の状況に関する訴えが寄せられた。

 被害者の女性は手記の中で「事件をおもいだすのもつらい。プライバシーも考えずに一部週刊誌が私をおとしめるような事実でもないことを書き立てていることに憤りを感じます」と抗議。

 週刊誌の女性記者が職場に偽名で電話をかけ、「夜中にちゃらちゃらする女が問題」「お金が目当てでしょう」「テレビ局が来てモザイクで放映されるという話がある」などと言われたことなどを記し、「ちょっとしたことで事件を思い出しパニックになる。裁判も控え、大きな不安と恐怖が襲ってくる。これ以上騒がないで下さい」と訴えている。

 高里さんは「性被害の被害者が声を上げにくいのは、声を上げた後に先々で周囲の攻撃を受けることがあるから。被害者の声を聞くと人権侵害が起きていることが分かるし、こうした状況に耐えていくのは大変な負担。途中でめげてしまう状況も生まれかねない」と話し、マスコミや周辺社会に対し、被害者のプライバシー保護と、被害者の視点で問題を認識することを求めている。


琉球新報 2001-07-25

2009-04-20

誤報:朝日新聞阪神支局襲撃の手記掲載 週刊新潮の対応に疑問の声


識者ら「第三者委が必要」


 虚偽の証言に基づく誤報が今年、相次いでいる。日本テレビの「真相報道バンキシャ!」が岐阜県庁の裏金問題に絡み、関係者のうそ証言を放送したのに続き、朝日新聞襲撃事件を巡って「実行犯」の手記を掲載した週刊新潮が、誤報だったことを認め謝罪した。新潮社は、事態をどう教訓とするのか。ジャーナリズムの姿勢が問われている。


「説明責任果たした」


 先月、東京都内で開かれた「月刊現代」の休刊を考えるシンポジウム。ノンフィクション作家の佐野眞一さんは週刊新潮の誤報問題を取り上げ「異論を承知で言えば、雑誌を殺したのは編集者だ。偽物か本物か人間を見る目が曇ってしまった。劣化の極みが週刊新潮の大虚報だ」と会場にいる新潮社関係者を前に厳しく非難した。

 その一方で「週刊新潮は『こうしてだまされた』という記事を書くべきだ。同誌の芸風で、雑誌再生につながるかもしれない」と提案した。今月16日発売の同誌(4月23日号)が、誤報の経緯を検証し、謝罪した記事のタイトルは、「『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙(だま)された」。この記事を巡っては識者らから「不十分な検証内容だ」との批判が相次ぐ。しかし、新潮社の伊藤幸人・広報宣伝部長は毎日新聞の取材に対して「16日発売号の記事をもって会社としても社会に対する説明責任を果たしたと考えている」との姿勢だ。

「バンキシャ!」による裏金報道では、日本テレビは社内調査の結果を会見して公表。放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会が特別調査チームを設けて検証作業中だ。

 メディア界では、報道倫理上の問題が発生した時に救済を図るため、放送界は業界横断的な組織のBPO、新聞界は各社ごとに外部の第三者が関与する機関を設けているが、出版界にはない。

 奈良県田原本町で06年に起きた母子3人放火殺人事件を取り上げた草薙厚子さんの単行本「僕はパパを殺すことに決めた」を出版した問題で、放火した長男らの供述調書が大量に引用された経緯を検証するため、講談社が奥平康弘・東大名誉教授を委員長にした社外の識者による委員会を設置して、検証したケースがあるだけだ。

 04年に田中真紀子・元外相の長女の私生活を取り上げた週刊文春の報道を巡り、長女側が申請した出版禁止の仮処分で東京地裁が妥当とする決定を出した。この問題をきっかけに文芸春秋社は、第三者機関の設置を検討したが、最終的に見送っている。

 朝日新聞が05年に従軍慰安婦問題を取り上げたNHK特集番組が政治家の圧力で改変されたと報道した問題で、同紙も社外の学識者らで構成する「NHK報道」委員会(丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長ら4委員)を設置した。メディア界では、読者や視聴者に報道を巡って不信を招いたケースでは第三者委員会による検証を行う流れができつつある、と言える。

 これに対して、新潮社は「外部の識者を入れた第三者委員会の設置は考えていない」(伊藤部長)として、週刊新潮による内部調査で十分だとの立場だ。

 大西五郎・元愛知大教授(ジャーナリズム論)は「週刊新潮の早川清編集長は、だまされたという言い方をしているが、それ自体が週刊新潮には自浄作用がないことを示している。雑誌ジャーナリズムの信頼回復のためにも外部の厳しい目によるチェックが必要だ」と指摘する。


「真実と信じた」


「『自分は実行犯だ』と名乗りを上げた人物がいて、その証言について取材し、『真実相当性がある』と判断し、手記を掲載した」。早川編集長と取材班の連名による検証記事はそう主張した。記事は、その根拠について「事件についての証言が詳細でリアリティーがあったため真実であると思い込んでしまった」とも記している。

 この弁明は、岐阜県庁の裏金虚偽報道問題で、「バンキシャ!」の番組関係者が、日本テレビの内部調査に対して明らかにした内容とよく似ている。「バンキシャ!」に明かした元建設会社役員の男性の証言について、証言や資料に関する角度を変えた質問に対する回答が一貫し、不利益を承知で告発しているとして「信ずるに足る」と判断したという。

 さらに、真実だと信じた根拠の一つに金銭的な要求がなかったことを挙げていることでも共通している。しかし、証言を支える根拠は、同じ人物による物証だったわけだ。

 検証記事は「週刊誌の使命は、真偽がはっきりしない段階にある『事象』や『疑惑』にまで踏み込んで報道することにある」と強調する。だが、その姿勢は、訴訟リスクを抱えることにもつながる。

 田北康成・立教大講師は「名誉棄損裁判で被告となった報道側が勝訴するためには真実相当性を立証する必要がある。裁判所は、報道機関に対して真実と誤認するほどの裏付け取材の証明を求めている。朝日新聞襲撃事件をめぐる手記について、週刊新潮は、掲載時に相当性があったと言っている。だが、検証記事を読む限り、仮に裁判になった場合、裁判所が認めるほどの相当性があったのかは疑問だ」と話す。


「処分はなし」


「当面、この問題での処分は考えていない。処分についての話は社内では一切、出ていない」。伊藤部長は、毎日新聞の取材に対し、こう言い切った。

 早川編集長は「人事処分は会社や役員会が考えること」と取材に答えていたが、会社としても責任は問わず、早川編集長を今月20日付で予定通り、同誌担当役員に就任させる考えだ。休刊や廃刊はない。

 岐阜県庁の裏金虚偽報道問題では、日本テレビの久保伸太郎社長が社長を引責辞任。報道局長が更迭されるなど5人が処分された。また、「僕パパ」の出版問題では、講談社は担当編集者への処分は「現場の萎縮(いしゅく)効果に配慮した」として見送ったが、担当常務ら4人を減給処分にした。

 検証記事には、具体的な再発防止策は示されていない。東京地裁は今年2月に同誌を巡る名誉棄損訴訟で「名誉棄損を防ぐ社内体制が整備されていない」として、佐藤隆信社長個人の賠償責任も認める異例の判断を示した。

 服部孝章・立教大教授(メディア法)は「新潮社は社会が納得できるような再発を防止するためのチェック体制を示し、誤報した責任の所在を明確にすべきだ」と述べる。


ことば


週刊新潮の手記掲載問題

 朝日新聞阪神支局襲撃事件(87年)など一連の警察庁指定116号事件の実行犯を名乗る島村征憲氏(65)の手記を2月5日号から4回掲載。朝日が手記を「虚報」だとする検証記事を掲載するなど信ぴょう性に疑問符が付いた。新潮社は3月19日、手記で指示役とされた元在日米国大使館職員の男性から訂正・謝罪を求められて和解。今月、島村氏は毎日新聞などの取材に「実行犯ではない」と手記内容を否定。4月23日号の検証記事によると、新潮社は手記の原稿料として計90万円を支払ったほか、ホテルの宿泊費などを負担。「自立支援のため」として、島村氏の生活保護申請や健康保険証の入手を手伝ったという。


【毎日新聞 2009-04-20】

2009-04-16

朝日新聞阪神支局襲撃:週刊新潮誤報 編集長「捏造したわけでない」 「被害者」強調


 朝日新聞阪神支局襲撃事件の「実行犯」の手記を掲載した週刊新潮の早川清編集長は15日、毎日新聞の取材に裏付け取材の不足を認めたが、「結果的に誤報だったが、捏造(ねつぞう)したわけではない」と、島村征憲氏のうそに翻弄(ほんろう)された被害者との立場を強調した。インタビューは各社個別とし、記者1人で30分に限定した。

 早川編集長との一問一答は次の通り。


 ――警察に裏付け取材しなかったのは。


 ◆時効になった事件について警察に取材しても、本物か偽物かを答えることはない。最初から除外した。


 ――朝日新聞から手記掲載前に「(手記内容は)事実と異なる」と回答されながら、なぜ掲載したのか。


 ◆朝日の見解が正しいかどこで証明するのか。島村氏が虚偽のことを言っているのか、本当の犯人が秘密の暴露をしているのか、その検証手段を持っていなかった。


 ――取材の不十分さはどこか。


 ◆手記を掲載した大きい理由は実名告白だった。欠落していたのは周辺取材。そこを徹底して取材していれば彼の経歴からほころびが掲載前に出ていたのではないかと思う。


 ――元米国大使館職員と和解した理由は。


 ◆和解の内容は第三者条項で言えない。そのとき、疑念が生じ始めたが、すべて虚偽だとは思わなかった。


 ――小尻記者の遺族に謝罪はしないのか。


 ◆私たちが一番しなければならないことは読者への説明だ。小尻さんのご遺族にはある意味でお騒がせしたというか、不要な摩擦を起こしてしまったことは申し訳ないと思う。


 ――休刊、廃刊、人事処分は検討しないか。


 ◆捏造とは全く次元の違う問題だ。誤報の責任は編集長として感じていて、大変重く受け止めている。新聞でも雑誌でも誤報したら休刊、廃刊しなければならないのかとなる。人事処分は会社や役員会が考えること。


説明責任を果たしてない――朝日新聞社広報部の話


 週刊新潮は、初報掲載後2カ月余りがたち、ようやく誤報を認めました。しかし、弊社に対してはいまだに正式な謝罪はありません。同誌編集部から事前に問い合わせを受け、島村証言には事件の客観的事実と明らかに異なる点が多数あることを回答したにもかかわらず、「告白手記」を連載し、今になって「週刊新潮はこうして騙(だま)された」と被害者であるかのようなおわび記事を掲載する姿勢は疑問です。取材上の問題点の客観的な検証や再発防止策への言及もなく、説明責任を果たしているとは言い難いと考えます。


経緯の検証、不十分――大石泰彦・青山学院大教授(メディア倫理法制)


 週刊新潮が取材経緯を検証した記事は、島村氏にだまされたとし、被害者の立場を強調するのみで、誤報の経緯を十分検証しているとは言えない。そもそもこれだけ重大な事柄を数人の取材班で、有力な物証も見つからないまま、今年1月初めの直接取材から掲載まで1カ月足らずの短い取材で報じたのは余りに拙速すぎたのではないか。

 検証記事からは最初は島村氏に疑問の目を向けながらも徐々にマイナス材料は無視していく様子がわかり、ジャーナリズムの基本である事実確認を忘れてしまったかのようで、手記を掲載するという企画ありきの意識がうかがえる。その姿勢は、朝日新聞が島村氏の証言を否定したことを無視したり、捜査当局への取材をしなかった理由を言及していないことからも分かる。

 島村氏に宿泊施設を提供するなどして囲い込むとともに、他メディアへの取材を受けないよう助言したことは、島村氏が週刊新潮が期待する情報を出すなどの誘導に応じたり、他のメディアによる事実のチェックを鈍らせるなどの危険性に対する認識が低い。

 ただ、積極的なジャーナリズムには、誤報はあり得る。重要なのはその後にどう生かしていくかで、社会で共有するためにできる限り情報開示が求められる。今回も早川編集長は報道各社の個別取材に応じたものの、記者を1人に制限したり写真取材を拒んだと言うが、閉鎖的で組織防衛的な態度は誠実さを欠いていると批判されてもやむを得ない。(談)


【毎日新聞 2009-04-16】

2009-04-15

陸上の為末選手、新潮社に勝訴 記事巡り220万円賠償命令


 陸上男子400メートル障害の為末大選手が週刊新潮の記事や広告で名誉を傷つけられたとして、発行元の新潮社などに計4500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(畠山稔裁判長)は15日、広告が名誉棄損に当たると認定し、新潮社側に220万円の支払いを命じた。

 問題になったのは、2008年4月10日号の週刊新潮の「『詐欺の片棒を担いだ』と告訴されるメダリスト『為末大』」との見出しの記事と、電車内の中づり広告など。実際には為末選手は告訴されなかった。

 畠山裁判長は判決理由で、「記事本文は『為末選手の告訴が間違いない』としたものではない」として、内容が真実だったと指摘。一方、広告については「電車の中づり広告などを見た者のすべてが雑誌を読むわけではない。『告訴される』という断定的な広告は真実とはいえない」として、名誉棄損に当たるとした。


【日本経済新聞 2009-04-15】

2009-03-27

講談社などに4290万円賠償命令 大相撲八百長報道


 大相撲の「八百長」疑惑を報じた雑誌「週刊現代」の記事をめぐる名誉棄損訴訟で、東京地裁は26日、発行元の講談社(東京都文京区)などに計4290万円の支払いと、記事を取り消す内容の広告を同誌に掲載するよう命じる判決を言い渡した。中村也寸志裁判長は「取材は極めてずさんというほかない」と同社側の姿勢を厳しく批判した。

 横綱・朝青龍ら力士30人と日本相撲協会が約6億2千万円を求めていた。判決は、力士全員と協会への賠償を命令。最高額は「八百長を頻繁にしていた」と報じられた朝青龍の1100万円で、協会は660万円だった。

 八百長疑惑報道をめぐって同社側が名誉棄損を認定されたのは、北の湖親方が原告となった訴訟の判決(今月5日)に続いて2件目。今回の判決の賠償額は、雑誌の記事をめぐる名誉棄損訴訟で命じられた賠償総額としては過去最高とみられる。

 問題となったのは、同誌が07年2月3日号から連載した「横綱朝青龍の八百長を告発する!」など3本の記事。

 判決は、記事を書いたフリーライター武田頼政氏(50)が「関係者から八百長について聞いた」と主張したことを「八百長の合意や金銭の授受についての具体的な内容を明らかにしておらず、真実であると裏付けられない」と指摘。証人として出廷した元小結・板井圭介氏の証言も裏付けにならないと判断した。

 そのうえで、70万部を超える雑誌の連載で社会の注目を集めたことなどの背景を挙げ、「八百長が認められるなら力士生命に直接かかわるもので、黙認した協会も存立の危機になりかねない」と高額の賠償を認めた理由を説明。「被害回復は損害賠償だけでは十分ではない」として取り消し広告の掲載も命じた。



 週刊現代・乾智之編集長のコメント この判決で相撲協会に対してさまざまな改革を求める機会が失われてしまうことを危惧(きぐ)する。



【朝日新聞 2009-03-27】