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2011-02-27

月並会第1回 「時間」その二

 テクノロジー開発の目的は「時間の短縮化」といえる。移動、製造、記録がスピードアップすることで、現代人の情報量は増大の一途を辿っている。その分、「豊かな時間」は失われた。CMをカットした録画番組を観たところで、CMの時間の分だけ人生が長くなるだろうか?


 時間が手段になったとすれば、一生という時間も目的のための手段に過ぎなくなる。時間は有限だ。私が死んだ瞬間、あるいは地球が滅んだ瞬間、更には宇宙が消え果てた瞬間に時間は溶けてなくなる。観測者もいなければ、変化する物も存在しない世界だ。


 人々の生活は時間に追われている。労働・家事・育児と。子供たちの学校生活も時間割で管理されている。現代社会においては否応なく労働を強いられ、よき納税者であることを求められる。歴史は権力者のペンで記されるとすれば、権力が人々の時間管理をするのも当然か。


 人間の知覚は0.5秒ほどのタイムラグがある。我々が認知している世界はわずかながら過去の世界だ。知識も過去であり、歴史も過去である。そして自我もまた過去である。なぜなら自我とは記憶の異名に他ならないからだ。


 意識とは何ぞや? 意識とは言葉で織りなされる思考である。学習された言葉で行う思考もまた過去である。思考の次元で現在を捉えることはできない。「あ、わかった!」という理解の瞬間や、何かに感動した時、そこに現在性が立ち現れる。


 自我とは記憶の異名である。「認知症になったらおしまいだ」という発言を時折耳にするが、これは「自分が自分でなくなる恐怖」を示していると思う。では、その自分とは何かといえば、過去の体験に裏打ちされた記憶にすぎない。


 私は「私」という時間を記憶する媒体なのか? 多分そうなのだろう。私は「私」という情報である。教育・文化・宗教の目的は「コピー」なのだ。多分。


 音楽は時間である。終わらない音楽はない。きっと人生も音楽のようなものだろう。曲は終わる。だが余韻を残すことは可能だ。とすると時間を司っているのは聴覚かもしれぬ。


 物語という時間もある。起承転結、序破急など。脳神経という縁起世界は因果を志向しながら物語をつくり上げる。

2011-02-24

月並会第1回 「時間」その一

 時間は過去−現在の間でしか計測することができない。一般的には「将来」(まさにきたる)というが、仏教では「未来」(いまだきたらず)と表現する。時間は過去である。

 時間を計測するのは観測者である。すなわち時間は意識と関係している。それゆえ認識・分析には時間を要する。意識された体験世界を時間が貫く。眠っている間は時間を感じない。夢は意識が働いているので時間を感じる。


 夢や理想は過去の裏返しである場合が多い。我々は過去の延長線上にしか未来を捉えることができない。


 キリスト教……現象世界を「超越」の方向につきぬける/仏教……現象世界を「内在」の方向につきぬける──と広井良典氏は分析している。神の時間は外に流れ、瞑想の時間はゼロ地点で止まる。これが止観。


 時間は概念であるゆえ、永遠は存在しない。観測者がいなくなった時点で時間は消失する。変化という諸行無常の姿が時間の本質なのかもしれない。


 宇宙がビッグバンから始まったとすれば、特異点の向こう側には時間が逆に流れている可能性がある。ビッグクランチが逆回しになっているかもしれない(笑)。


 時間がプランク時間で形成されているとすれば、時間は断続的に流れていると考えられる。とすると、物凄いスピードでコマ送りしているが、実は異なる世界が瞬間瞬間誕生している可能性もあると思う。仏の別名を如来とも如去ともいう。

2011-01-25

「量子もつれは時間も超越」:研究論文


 眉唾論文の紹介が目立つ「WIRED VISION」だが、これは興味深い記事だ。


 奇妙な量子物理学の世界において、互いに相関を持つ2つの粒子は、たとえ何マイルと離れた距離にあっても、同じ運命を共にする。量子もつれと呼ばれるこの不思議な現象について、距離だけでなく、時間的に離れている粒子どうしでも互いに相関を持ちうることを、このほど2人の物理学者が数学的記述によって示した。


「ある量子状態を、途中の時間を飛ばして未来へと“送る”ことが可能だ」と、今回の研究論文の主執筆者である、オーストラリアのクイーンズランド大学の量子物理学者S.Jay Olson氏は話す。


 通常の量子もつれにおいては、2つの粒子(通常は電子か光子)は密接に相関し、1つの量子状態(これにはスピンや運動量その他、多くの変動要因がある)を共有している。1つの粒子は、もう一方の粒子の状態を常に「知って」いる。量子もつれの関係にある一方の粒子の状態を測定すると、もう一方の状態も同時に定まる。


WIRED VISION