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2011-03-30

E・H・カー、岡田英弘


 2冊読了。


 30冊目『歴史とは何かE・H・カー清水幾太郎訳(岩波新書、1962年)/歴史とは現在と過去の対話である、と。ウーム、やはり名著。こりゃ凄い。講演を編んだものとは思えない格調の高さ。


 31冊目『歴史とはなにか岡田英弘(文春新書、2001年)/この合わせ技を自画自賛したい(笑)。岡田英弘は歴史を道具のように扱う。リアリズムに徹し、歴史の分類は「いまとむかし」しかないと言い切る。終章で国民国家に切り込み、共和制よりも君主制に軍配を上げる件(くだり)には、ぐうの音も出ない。進化論的な意味合いでの歴史的優位性を説く。

2011-03-23

川口有美子


 1冊読了。


 29冊目『逝かない身体 ALS的日常を生きる』川口有美子(医学書院、2009年)/「シリーズ ケアをひらく」の一冊。第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。ALS(筋萎縮性側索硬化症)はルー・ゲーリック病とも呼ばれる。簡単にいえば筋肉が死んでゆく脳神経疾患である。スティーヴン・ホーキングでALSを知った人も多いことだろう。川口は元教員とのことだが、それにしても文章が上手い。各章のエピグラフも秀逸だ。ALSは過酷な病気で最終的に身体が全く動かなくなる(TLS:Totally Locked-in State/眼球だけが動く状態は閉じ込め症候群という)。人工呼吸器を装着しても最後は心臓の筋肉が死んでしまう。川口は母の介護をしながらヘルパー事業所を立ち上げているので知識も正確だ。ジャーナリストが取材してもこれほどの作品に仕上げることは多分困難であろう。傑作といってよい。しかし、である。私はこの人が好きになれない。ほんのわずかではあるが嫌な匂いを発している。これは彼女と母親の関係に由来していると思う。ま、普通の人なら全く感じないだろうから、安心して読み給え(笑)。

2011-03-17

アーヴィング・ゴッフマン、野口悠紀雄、宮城谷昌光


 2冊挫折、1冊読了。


 挫折13『スティグマの社会学 烙印を押されたアイデンティティ』アーヴィング・ゴッフマン/石黒毅訳(せりか書房、2001年)/文章が読みにくい上、構成が悪い。社会の差別構造は、社会学よりも進化論でアプローチすべきだというのが私の持論。理由は物語の再構成で差別意識を払拭することはできないからだ。まったく新しいインセンティブを考える必要もある。数十ページで挫ける。


 挫折14『1940年体制 さらば戦時経済』野口悠紀雄(東洋経済新報社、2010年)/狙いはいいのだが読みにくい。驚くべき事実を示しながら、無味乾燥な文章で綴られている。もう少しドラマチックにできないものか。半分を少し過ぎたところで中止。誰かがリライトすれば、ベストセラーになるかもね。


 28冊目『介子推』宮城谷昌光〈みやぎたに・まさみつ〉(講談社、1995年/講談社文庫、1998年)/『重耳』を読み終えたので再読。宮城谷は後半に失速する癖がある。ラストで重耳が介推(かいすい)のことを知る件(くだり)もあっさりしすぎだ。孔子の弟子であった子路(しろ)と介子推は似ている。この清らかな正義感を知る人は少ない。陽報なき陰徳を損と考える人の方が多いことだろう。その浅ましさを私は嗤(わら)おう。

2011-03-12

宮城谷昌光


 2冊読了。


 26冊目『重耳(中)』宮城谷昌光〈みやぎたに・まさみつ〉(講談社、1993年/講談社文庫、1996年)/祖父・称から詭諸(きしょ)へと代が変わる。驪姫が正夫人となって詭諸の人が変わる。重耳(ちょうじ)は晋国を逐(お)われる。


 27冊目『重耳(下)』宮城谷昌光〈みやぎたに・まさみつ〉(講談社、1993年/講談社文庫、1996年)/重耳の流浪は19年に及んだ。介子推(かいしすい)の登場が実に鮮やか。大器晩成というが重耳が晋の君主となったのは62歳の時であった。重耳は後に文公と呼ばれる。