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EPUB版『InDesign者のための正規表現入門』

InDesignのTips一覧

2009-06-13

[]「〈第2回〉InCopyとInDesignによる革命的ワークフロー入門」レポート

昨日6/13に、ComBrain[株式会社コム・ブレイン主催、黒須信宏氏による「〈第2回〉InCopyとInDesignによる革命的ワークフロー入門」セミナーを受講してきました。

40名程度の少人数セミナーで、主にIncCopyワークフローについて実務的な内容を含む、よいセミナーでした。このセミナーはおおまかに2部構成になっており、「InDesignとInCopyのワークフロー実務」と「XML自動組版事例」とに分かれていました。わたしは(この2つの題目に)関連性がいまひとつ見いだせなかったんですが、どちらも有用な内容を含んでいました。正直にいうなら、黒須氏の才能と努力の蓄積にただただ驚き、軽い嫉妬さえ覚えたのを告白しなければなりません。


InDesignとInCopyのワークフロー実務

InCopyについて

このセクションでは、まず(FAX校正や手書き赤字、電話でのやりとり)などによる、非効率問題・ヒューマンエラー問題をとりあげ、その解決策としてのInCopyの検討が提示されました。その後、実際のストーリーのアサインやパッケージ、メールでのやりとりなどの初歩的なInCopy実務を紹介しました。これらの部分については、InCopyの導入を考えている方には非常に有用だと思います。特に、「アサインをレイヤー分けし、ユーザーによってアサインを使い分ける」テクニックは実務経験から来る説得力があります。ここで紹介された手順は黒須氏の著書「InCopyとInDesignによるワークフロー革命 CS4 & CS3 対応 for Macintosh & Windows」を踏襲しています。(レビュー)

質問者による「アサインの互換性で『InCopy CS3』を選択した時、相互参照などのInDesign CS4固有の文字はどうなるか?」の質問に対し、黒須氏は「そうしたバージョン依存の機能については欠落する」と回答されました。また、「ルビのやりとり(編集)はできるか?」との質問に、その場で実験の結果InCopyでルビ情報は含まれない、従って編集できない結果を得ました。ああ、CJKのことなど考慮されていないんだ、いつもことだ。とため息。この件についてはコム・ブレインのサイトなどで追加検証のレポートが上がるかもしれない、とのこと。

Smart Connection Enterpriseサーバーについて

その後、こうしたメールでの煩雑なやり取りの解決策として、WoodWing 社の「Smart Connection Enterprise Server」サーバーを介したコンテンツのやりとりを紹介されました。現実的に考えて、InCopyワークフローを導入するならば、Smart Connectionを使用しなければ、ワークフローの改善どころか混乱が予想されます。ただし、この部分は決してリーズナブルではないので、ワークフローの改善による計画性をユーザーに求めるものになります。質問者の「Smart Connection Enterpriseサーバーの体感的な実用度はどうか?」という質問について、黒須氏は「ローカルサーバーであればまったく問題はない。ネット越しのサービスを利用しても(個人的に)実務に耐えうる速度」であると回答されました。

InCopyワークフローの問題点について

InCopyワークフローの問題点について以下の2点が上げられました。

  • InCopyアプリケーションの購入(29,925円税込)
  • InCopyの操作方法について、ライターやデザイナー、編集者が学習する必要

わたしは、これ以外にもSmart Connection Enterpriseサーバーの必要性や、ワークグループ全体がワークフローに対する理解を深める必要性があるように思います。

黒須氏の掲げる「(手書き校正やFAXのやりとりなどの)アナログワークフローからの脱却」は、それが正当な流れであるがゆえに危ういものを感じます。「デジタル=正義」は非常に強いバイアスです。性急でテクニカルすぎるワークフローの改善は、ややもするとワークグループ内での混乱を生じさせる危険性もあるでしょう。クライアントに対する慣れない作業の弊害は、むべなるかな... ワークフローの改善にはバランス感覚も大切です。


XML自動組版事例

旅行ガイド「地球の歩き方」の実際を見ながら、XML自動組版事例の紹介がありました。このセクションについてはInCopyとは関連はありません(InDesign上の編集段階ではどうかわからないけれど)。この事例について、下記のサイトにまとめれています。

CrossDesign Media Workflow

ライターはWeb上のフォームによってDBを書き換え、かつ同時にXMLを内部に書き出しています。サーバーにはInDesign Serverも稼働しており、ライターは書き上げた原稿の組上がりを即座にPDFで確認できます。後日デザイナーは書き出されたXMLにアクセスすることによって、InDesignXML機能+内部的なプログラムに従って、自動組版ドキュメントを得ます。紙媒体と同時にWeb媒体へのコンテンツの共有も行われています。これについては、かなり進んだXML事例と言えるでしょう。見ていて圧巻でした。さらに驚いたことに、これらのシステムの初期構築(入力・DB・組版プログラミング)はすべて黒須氏による単独の仕事であったとのことです(現在は専属の社内プログラマによるメンテナンスが行われている)。


参照

Adobe InCopy CS4

Cross Media Publishing Solutions for Smart Publishers | WoodWing.com

セミナー「InCopyとInDesignによる革命的ワークフロー入門」を開催しました -- コム・ブレイン(第一回のレポート)


追記

(2009-06-13T01:10:00 JST)アンケートの「参考にしているサイト」のチェック事項に「IDMLWiki」がリストされていました。WOW! なんだかとても嬉しくなりました。

(2009-06-15T15:00:00 JST)InCopyでルビを扱うことは可能でした。InDesignと同様、親文字を選択しておいて、コンテキストメニューから「ルビ」-「ルビの位置と間隔」を選ぶか、キーボードショートカットでCmmand+opt+R(Mac)でルビダイアログを開いて編集できます。

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