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EPUB版『InDesign者のための正規表現入門』

InDesignのTips一覧

2010-06-02

[][][][]『組む。』セミナー

組む。 - InDesignでつくる、美しい文字組版

組む。 - InDesignでつくる、美しい文字組版

かつてI氏が内神田にいらしゃった頃、L社を我がモノにするだけに足りず、柳田某のペンネームであれこれ書かれていた時期があります。まことに胸のすく思いでした。10年ひと昔の話です。


昨日(6/1)、凸版印刷の紺野慎一さんによるセミナー、DTP Booster 012に参加させていただきました。著書『組む。』の出版記念講演の趣もあり、たいへんすばらしいセミナーでした。

USTREAMによる録画はこちらをごらんになってください:
Adobe station5 / 2010.6.1 / DTP BOOSTER「理詰めでアプローチするInDesign」

本書『組む。』にしろ、今回のセミナーにしろ、紺野さんの主張はInDesignの「型」を提出するってことです。それは「InDesignの定石」であり「シーケンスの美しさ」だと思います。本書の主張はシンプルでありながら、重箱系です。例えば、文字組み空き量設定について「なにも足さない、なにも引かない」などといいながら、ちゃっかり調整量優先の話題をとりまぜています。*1

本書は市井の類書にありがちなあいまいな推定や、ぬるく寝ぼけたボカシ表現が避けられています。あくまでも紺野さんの美意識によって独善的断定的決定的に書かれています。本書は模範解答的な教科書ではありません。ぼくも本書のすべてに同意しません*2

本書の主題である「組む」について、輪郭のはっきりしない事柄は、あいまいにしておいた方が波風が立たなくていいに決まっています。ひとこと言えばなにかとうるさい人達がわらわら出てくるでしょう。

本書はあらゆる反論を待っています。誰かが言わなければ、反論すらできなかったことでした。InDesignの10th Yearにふさわしい一冊です。


...と、ここまで考えた時、紺野さんが社会的な位置をはっきりとさせた上で本書を書かれたのは、少しハンデがあり過ぎだと感じます。InDesignユーザーはぼくみたいにすれっからしばかりじゃありません。「凸版印刷の紺野さん」のおっしゃることを、金科玉条のように受け取る向きもあるでしょう。中堅ユーザーにとってさえ、上意下達の匂いに幻惑されるかもしれません。

もちろん本人が自覚していないはずはないと思います。あえて正面から世に問うのだとしたら、波風を立てリスクを取って言わなければならないとしたら、それはどれほど切実であろうかと空想せずにいられません。

*1:もちろん、約物を全角固定にすることで調整量が理解しやすくなるくだりはたいへん論理的です。

*2:たとえばぼくはレイアウトグリッドに対してちょっと否定的だったりします。http://twitter.com/seuzo/status/13473417785

2010-02-27

[][]「欧文組版 組版の基礎とマナー」出版記念講演「デザイナーのための欧文組版セミナー」

本日(2/27)、AppleStore銀座で行われた「デザイナーのための欧文組版セミナー」に参加させていただきました。このセミナーは「欧文組版 組版の基礎とマナー」の出版記念講演として著者の高岡昌生氏*1が行ったものです。

わたしの拙いメモはこちら。

市川せうぞー(@seuzo)/2010年02月27日 - Twilog


欧文組版に関して、わたしの苦い経験をひとつ。

わたしがまだSKコーダー(厨)だった頃、営業さんが持って来た欧文組版の仕事を気楽に受けてしまったことがあります。隣の席の同僚のSさんが「欧文組版なんか、あんたできるの?」という忠告もその時は耳に入りませんでした。結果は、惨憺たるものでSさんに大笑いされてしまったことはいうまでもありません。もちろん、これを思い出している今だって欧文組版にはまったく自信がありません。

欧文組版は日本語組版とはまったく違うAnother Worldです。文字アキ、単語間スペースの開け方、行間、ハイフネーション、約物の使い方や字種も違います。行頭に引用符をブラ下げにするなどのルールもあります。もちろん、シカゴルールやオックスフォードルールなんて「言葉」を知ってるだけでは、なんの役にも立ちません。今日、高岡氏がおっしゃったように、こうしたルールはしょせんルールであって例外には対応しません。

もちろん、本書を通読してもその技能が早晩に身に付く道理はありません。例外処理に対する許容範囲や処理方法は、圧倒的な(あらゆる欧文組版に触れる)読書体験量が必要です。しかしながら、ほんの少しずつでも欧文組版の流儀を学ぶことは必ずプラスになるはずです。

高岡氏は講演の中で、「この印刷物を誰が読むのか? それは読みやすいか? かっこよければそれでいいか?」と問い、組版ルールはつまるところ「思いやり」であるとおっしゃいました。コンピュータを遣ったDTPは、確かにいろいろなことがスピーディに行えるかもしれません。金属活字の植字整版のなかで培われた「思いやり」という技能を、いかにわたしたちが継承できるのかが問われています。高岡さんの見つけた「思いやり」は、きっと散歩の途中で見つけた小さな花のようなものだとおもいます。自動車で排気ガスをバンバンと垂れ流しながら、ぼくらがそれを見つけるのはとても難しいかもしれません。

セミナーから帰宅したら、Amazonで注文した本書が届いていました。本文は欧文組版にならって1段落目の行頭インデントがされていません。なんともさりげないかっこよさを感じました。

欧文組版 組版の基礎とマナー (タイポグラフィの基本BOOK)

欧文組版 組版の基礎とマナー (タイポグラフィの基本BOOK)

参照:欧文の凸版植字&印刷 - 名もないテクノ手

*1:高岡氏の「高」は実際ははしご高です。

2010-02-23

[]「プログラマのための文字コード技術入門」

プログラマのための文字コード技術入門 (WEB+DB PRESS plus) (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

プログラマのための文字コード技術入門 (WEB+DB PRESS plus) (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

DTPの仕事に携わる人は、毎日多くのテキストを扱っているにもかかわらず、文字コードのことは案外無頓着でいたりします。Excelからテキストを書き出しては「バケラッター」と言い、メールにファイルを添付しては「バケラッター」といいつつ、その原因を探ろうとはしません。とても不思議なことです。

文字コードがこんなにも複雑で、プロフェッショナルな人にとっても優しくないという原因はいくつか考えられます。ひとつには、文字コードの混沌の黒歴史があり、さまざまな方式の文字データが存在すること。いくつかの文字集合や符号化方式、エンディアンの違い、フォントによる字形差や文字集合差などが問題をわかりにくくしています。テキストデータは、いまやもっとも判読しにくいフォーマットのひとつかもしれません。ひとつの符号化方式を支持することは、ある種の宗教にさえなっています。こわいこわい。

だから黙って、エディタの自動変換にすべてを任せて安心していられるでしょうか? いただいた原稿をコピー&ペーストしたら何文字か化けてしまったなどという事故は「コンピュータのしでかしたほんのちょっとした失敗」と説明できるでしょうか?

プロフェッショナルとして少なくとも、今編集しているテキストの文字コードが何なのか? この文字コードで表せない文字が何なのか? 何が原因かを検証できるスキルをもっているかどうかが重要です。

本書は、文字集合文字コードの基礎からプログラムによる検証方法まで詳細に記された1冊です。オススメ!

2010-02-06

[][][]「Adobe InDesign 文字組み徹底攻略ガイド 第3版」「DTP&印刷スーパーしくみ事典 2010年度版」

Adobe InDesign 文字組み徹底攻略ガイド 第3版

Adobe InDesign 文字組み徹底攻略ガイド 第3版

DTP、とりわけInDesignを使うユーザーにとって、定番中の定番書籍の改訂版が2冊発行されました。どちらも前版ですでに高い評価を得ている書籍です。


「Adobe InDesign 文字組み徹底攻略ガイド 第3版」は、InDesignの文字組み空き量設定をまさに「徹底攻略」するための必読書です。

今回の改訂版では「大幅改定増補(CS4完全対応)」と書かれている通り、前版にくらべてほぼ半分くらいが書き換えられています。文字組み機能のハウツーやカスタマイズの仕方から逆引き的に使える目的別リファレンス、さらに文字種のクラス分けあたりが大きく書き加えられています。

なにかと「難しい」と言われる文字組み空き量設定ですが、この機能の全体を俯瞰するためには細部への理解が必要になります。重箱の隅をつつくような検証をせずに、結果を予測することはできません。本書は文字組み空き量設定を攻略する上で、優秀なシェルパになるでしょう。


DTP&印刷スーパーしくみ事典 2010年度版」は、DTPおよび印刷全般の「しくみ」について、全体像を一望にできる書籍です。DTPの職業に就いてまだ経験の浅い方には、教科書的に使えるでしょう。

DTPおよび印刷は高度に分業化された業種だといえます。すべてのことを詳細に知る人はいないと言って過言ではありません。しかし、DTPのデータ作成をする人が印刷のことを何も知らないのでは、なにかとトラブルの元になります。自分のデータがどのような原理やアーキテクチャで実現されているのか、後工程の人はどんな処理をするのか、さらに選択しうる印刷方法や製本加工について、知っているのと知らないのでは大きな違いが生じます。

本書は初心者ばかりではなく、中堅のデザイナや技術者にとっても「いまさ訊けない」ことを丁寧に教えてくれます。ぜひ職場やご家庭に一冊置いておきたい本だといえます。

2010-01-27

[]Mac Fan 縮刷版DVD-ROM 2007-2009

Mac Fan 縮刷版DVD-ROM 2007-2009

『Mac Fan』誌の2007年3月号〜2010年2月号のすべてがPDFで収録(7800ページ分)されているDVDです。本誌36冊分のほかに別冊付録なども入っています。PDFは、総目次から各号目次へ、さらに各記事へとリンクをたどりながら読み進められます(1冊まるごと入った低解像度版も用意されています)。

ディスクごと「カタログ付き全文検索インデックス」が作られているため、36冊分の全文検索も比較的高速です。雑誌が検索できるっていうのは、かなり気分がいいですね。雑誌の記事はうろ覚えになっていることがおおくて、思い出せないと何日か小骨がひっかかってしまうんですよね^^

こうして通読してみると、Mac Fan誌には玄人好みな渋い記事が結構あります。気になっている連載も再読するととても興味深いです。初心者の方はビギナーズ部分だけを読むだけでもおすすめしたい一冊(一枚っていうのか)です。