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名もないテクノ手 このページをアンテナに追加 RSSフィード

EPUB版『InDesign者のための正規表現入門』

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2008-09-25

[][]「コンピュータのきもち」

新教養としてのパソコン入門 コンピュータのきもち

新教養としてのパソコン入門 コンピュータのきもち

特にネタがない日が続きそうな時はブックレビューを書くことにしました。

この「コンピュータのきもち」は2002年初版なので、少し古い本になりますが、今読んでも相当面白いのでご紹介します。

いわずとしれた山形浩生さんです。経済学の本も面白いし、バロウズ論もずば抜けているし、オープンソース三部作の翻訳者としても有名なので、ファンも(敵も)多い人ですね。一時期、朝日新聞の書評欄もやっておられたと思うのですが、彼が勧める本はどれも面白かったのを思い出します。

この本、初心者向けを装ってはいますが、ずぶの初心者向きの本じゃありません。難しいという意味ではなくて、中上級者にとって深い意味と示唆に富んでいて「なるほど」と膝を打ちたくなります。コンピュータを使う人間には、それぞれ自分自身とコンピュータの「間の取り方」みたいなものがありますが、山形さんのそうしたベーシックな立ち位置を見られる貴重な一冊だと思います。本書ではコンピュータを、キーボードとディスプレイの間にある「ぬるぬるしたもの」と表現したり、コンピュータの中には「ひとりぼっちの女の子」が入っていて次々と無意味な命令をこなしていると想像したりします。想像するか、そんなこと。

話題はコンピュータの歴史から、ネットワークやら文字コード、果ては著作権(知的財産権)にまでおよび、独特のエピソードを交えた山形ワールドが展開されます。

個人的に、著作権(知的財産権)のくだりは多いに影響を受けました。わたしたちの創作物は99%以上、他人が作った創作物の上に成り立っています。日本語を作ったのはわたしじゃありませんし、いまタイプをしているMacを作ったのもわたしじゃありません。他人の作った米を食べ、他人の作った映画や本にインスピレーションを受けて、見えるもの見えないものすべての影響を受けていまの自分なり自分の創作物があると思います。「孫世代まで生活が保証されないと創作意欲が湧かない」とおっしゃるどこかの漫画家さんに読んでいたいだきたい一冊です。