福島第1原発事故 国直轄除染、楢葉町が検証委 市町村初設置 住民の健康管理対策

(11/27 20:26 毎日新聞配信)

国直轄除染を検証し住民の健康管理対策を考えるため、福島県楢葉町は26日、除染検証委員
会を設置した。直轄除染を行う県内11市町村では初めて。農林業放射線医学、リスクコ
ミュニケーションの専門家ら7人を委員に委嘱し、環境省や県も交え、▽除染が適切に実施
されているか▽仮置き場の保管状況▽線量低減効果▽帰還する住民の放射線防護など健康
管理−−を審議する。

この日の初会合には、比較的線量の高い上繁岡の住民3人が参加。帰還の目安として国際原子
力機関(IAEA)が主張する年積算線量20ミリシーベルトへの不安や、農業再開に向けた課題
を訴えた。

委員長の児玉龍彦・東京大アイソトープ総合センター長は「住民の健康管理は原発事故前
(年1ミリシーベルト)が基準。環境汚染を払拭し、古里を取り戻すことが目的。住民の
不安の声に応え、農地や森林を含めた効果的な除染を国に提言する」。来春に帰町時期を
判断する松本幸英町長は「日本有数の専門家に集まっていただき、町民の疑問に丁寧に答え
ていきたい」と話した。委員らはこの後、除染廃棄物の袋が山積みになった同町上井出の
仮置き場や民家を視察した。

同町の除染廃棄物の推定量は56万立方メートルで、中間貯蔵施設に搬入するまで町内22カ
所(77.6ヘクタール)の仮置き場に保管する。除染進捗率は宅地や農地などで50〜70%で、
目標の毎時0.23マイクロシーベルト(年1ミリシーベルト)に低減していない場所もある。【中尾卓英】