東電に2700万円賠償命令 原発避難者自殺訴訟 福島地裁

(06/30 16:28 時事通信配信)

東京電力福島第1原発事故後の避難生活によるストレスでうつ状態となり自殺したとして、福島県浪江町五十崎喜一さん=当時(67)=
の遺族3人が東電を相手に、計約8700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、福島地裁であり、潮見直之裁判長(西村康夫裁判長代読)
は約2700万円の支払いを命じた。

潮見裁判長は、避難生活によるストレスなどでうつ状態になったとして、原発事故と自殺の因果関係を認定。東電は避難者の中に自殺者が
出ることについても予見可能だったと指摘した。

一方、「事故以前から罹患していた糖尿病に起因する精神的負荷は相当程度あったと認めざるを得ない」と述べるとともに、「精神障害
以外の要因が関与した可能性を適切に斟酌」し、賠償額を減額した。

判決によると、五十崎さんは2011年7月23日、避難先の二本松市のアパートを出て、24日に飯舘村の真野ダム近くで投身自殺しているのが
見つかった。避難後に睡眠障害や食欲衰退に悩まされ、「浪江に帰りたい」と繰り返していた。