司法・首長判断で逆風も 原発再稼働、推進に不透明感

(8/12 17:17 時事通信配信)

四国電力伊方原発3号機(愛媛県)が12日、再稼働した。東日本大震災後の新規制基準の下で5基目の再稼働だが、
安全性に対する地域の懸念は依然根強い。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)は住民の申立てを受けた裁判所の
判断で再び停止し、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に対しては新知事が一時停止を主張。司法や首長の
判断が逆風となるケースも出ており、政府による再稼働推進に不透明感が強まっている。

原発東京電力福島第1原発事故後一時稼働ゼロとなったが、政府は「重要なベースロード電源」と位置付け、
原子力規制委員会の審査に合格したものから順次再稼働させている。昨年8月の川内1号機を手始めに5基が再稼働
し、2基が合格済み。さらに19基が審査中だ。原発の収支改善効果は高く、電力各社の期待も大きい。

しかし、今年1、2月に再稼働した高浜3、4号機は、大津地裁による3月の運転差し止め仮処分決定を受けて再び停止
中。川内1、2号機は、一時停止・点検を選挙公約に掲げた三反園訓氏が7月に鹿児島県知事に就任し、今秋以降の定
期検査での停止後、再び稼働できるか予断を許さない状況だ。伊方3号機も愛媛、広島、大分各県で運転差し止めの
仮処分が申し立てられている。世耕弘成経済産業相は再稼働について「バランスの取れた電源構成に向けた重要な
前進だ」と評価したが、先行きは楽観できる状況にはない。

政府は現在のエネルギー基本計画で、原発の電源比率を30年度に20〜22%に引き上げる方針。来年度の計画見直しでは
実現に必要とされる原発増設や建て替えを打ち出すかが焦点だが、経産省内には「再稼働しても(司法判断などで)止ま
る状況では、議論は容易ではない」(幹部)との声も出ている。