shaka2005-06-13

怒涛の結婚式月間が漸く終了して、昨日は解放された気分で屍となっていたわけですが、暑い…。汗ダラダラかきながら寝ていたので余計に疲れた気分。じゃあ、起きろよ。
そんなわけで、土曜日には後輩の結婚式の司会という重責も無事終えて、とにかくホッとしました。さすがに二週間の間隔で司会を二本やると、「もう満腹」という感じ。実際には式の最中料理に手をつける時間もあまりないんですが、気分的には腹一杯ですな。別の意味で幸せ太りしそうです。
まあ、毎度のことながら冠婚葬祭の場では、旧知の人間に会えることが嬉しい。この日も5年から10年近く振りに会う人達が何人かいて、それぞれに元気そうでよかった。それにしても新郎とは15年、新婦とは12年の間友人でいると披露宴や二次会に参加する人の殆んどが自分の知り合いになる。これはこれでやりにくいなあ。

ポイントカード、是か非・補遺

先日の戯言が、なんか知らぬ間にdominoの編集後記(id:domino)経由でカトゆー家断絶モノグラフに取り上げていただいていたようで、アクセスがもの凄いことになってます。こんな脳内妄想を曝け出してよかったんだろうか。まあ、今のところ叩かれたりもしていないようなので、よしとする。
で、多くの方が既に読んでいただいてからで申し訳ないんですが、一つ訂正。『新文化』への寄稿は日書連の理事ではなく、現在は流対協(出版流通対策協議会)の会長からでした。その立場(流対協は元々再販制度擁護のために設立された)からだとああいった内容になってしまうのは当然なのかと。まあ、立場の問題ではなく一読者からすると「なんだかなあ」に変わりはないんですが。とにかく、お詫びして訂正いたします。
ちなみに流対協のサイトはここ。トップから声高にポイントカードへの反対を表明しています。このあたりに書いてあることが、先日の新文化に掲載されていた内容とほぼ同じと考えていただいて構わないと思います。
で、日書連のフォローをするわけではないですが、『新文化』のその次の号(6/9号)では、新しく日書連の会長に選出された廣文堂書店の店長のインタビューが掲載されており、「ポイントカードの問題については、現状ではまだなんともいえないので、問題を見極めていきたい」と否定論ありきの立場ではない発言をしてらっしゃいます。廣文堂は私もたまにお世話になっている(少女マンガ系の雑誌は大概ここで買う)立地こそ神保町ですが、小規模書店なわけで、当然ポイントカードは導入していません。そういった立場からすると流対協の会長の言う「正直ものがバカを見る」立場側のはずですが、日書連としてはまず反対、ということではないということらしい。中小規模の書店が多くを占める日書連にとっては、大規模店舗やチェーン店舗が導入するポイントカードに対して複雑な思いもあるでしょうし、難しい問題ですが、今度どのようになっていくのか。印象深いのは、ポイントカードの問題も含め「出版社が書店側に責任を押し付けている」と語っていること。やっぱ、現在の出版業界は足並み揃ってないなあ、と感じさせる発言でした。
あ、そうそう肝心のid:dominoさんへの返信。確かにid:dominoさんがおっしゃる通り、ポイントカードサービスというのが魅力的なソフトか、と言われればそうではない(この辺は以前にポイントカードについて語ったので割愛)かもしれない。ただまあ、個人的には神保町での買い物が新刊に限っては三省堂を第一優先になったけど。それで、人が集まるか、といわれれば違うわな。
私が評価したいなあ、と思うのはソフトとしてのポイントカードではなくて、再販制度や旧態依然とした業界に対して、書店側が動きを見せた、ということだったりする。それもこれまでは一蓮托生として考えられていた出版社や取次に反旗を翻すような真似までして。だからこそ「違反だ違反だ」と騒ぐだけで、「ではどうすればいいのか?現状のままでどうにかなるのか?」という解答のない発言には疑問を持っちゃう。随分前になりますが、ブックオフ問題の時にも語ったように、凝り固まってジリ貧の出版業界に風穴を開けるような現象を私は歓迎する者なのです。しかしまあ、こんなことは実際に出版業界の現場で働いている人にとっては「他人事だと思って好き勝手言ってるなあ」と思われてしまうのだろうし、それは自覚しているつもり。ただ、だからといって何も言わず、というのも性格的に出来ないのでした。
あと、id:dominoさんの言う「粗利」に関しては、ここはどうやっても「取次」を外して語るわけにはいかないところで、色々調べて見てはいるんですが、まだまだ取次に関してはブラックボックスというか、秘密主義的なところが多くて、素人ではツッコミにくい。この辺のことを想像で語ってみるのも面白いんですが、さすがに今回は人の目が多そうなので、自粛します。

『夜のピクニック』映画化

http://www.nikkansports.com/ns/entertainment/p-et-tp0-050613-0017.html
来るとは思ったが、ホントに来たか。まあ、ベストセラー=映画化というのは既定路線ですからね。個人的には低予算の無名の新人を集めた青春映画とかならいいと思うんですが。かつての『台風クラブ』とか『がんばっていきまっしょい』みたいにね。多分、そうはならないと思うけどね。

『ルパンの消息』横山秀夫(ISBN:4334076106)

今は亡きサントリーミステリー大賞の佳作を受賞したが、デビューに至らず15年間埋もれていた作品を改稿してこの度出版された。当然ファンの間では「幻の作品」扱いだったが、個人的には「ルパン」という名称がやや軽く感じられ、あまり期待はしていなかったのだが、まあファンとしては出たからには読んでみようと。
そしたら、これがまた来ましたよ!。さすがは横山秀夫ですよ!。もー、やられましたわ。
ある朝、突然警察にもたらされた情報。それは15年前に起こった女性教師の自殺は、実は殺人事件だったというタレコミ。しかも、その出所は本庁。事件の時効は今日。たった一日で15年前の事件の真相を暴き、果たして真犯人を逮捕することが出来るのか?
というのが本筋としてのあらすじ。でもね、この本筋のサスペンスとか、事件の中で見え隠れする「三億円事件」の陰とか、事件の真相とかそんなものはもはやどうでもいい。事件が片付いた後で語られるラストエピソード、それがとにかく素晴らしいんですよ。もう、これが読めただけで満足です。ある意味、横山秀夫の長編としてはこのラストのパンチ力は最大級。『半落ち』よりも『クライマーズ・ハイ』よりも私は断然好きだね。
ただし、ラストの良さに比例して本筋もすべてが面白いか、といわれると残念ながらそうでもない。いや、それでも横山秀夫ってことで面白さ自体は保証しますが、改稿したとはいえさすがに色んな意味で荒っぽい。小説ではデビュー作の荒削りさが良い、それが勢いとなっている、という場合も多々ありますが、横山作品をお読みの方はわかるように、この人の良さは抑えた筆致であり、本作もそれは変わらない。だからこそ、たまに見えてしまう荒さが、イコール粗さとなってしまうのは致し方なし。個人的には下手に三億円事件と絡めない方が良かったとは思う。死体の処理とかにも無理あるし。でもまあ、賞の応募作としてはこれくらいハッタリきいてないとダメなのかもしれませんが。
ラスト抜きでも、他の横山秀夫作品と並べて遜色はないんですが、とにかくラストなんですよ!。なんというか「いいもん読ませてもらったなあ」というのが率直な感想。ファンならまず満足できる作品だと思います。ある意味、貴重な至極真っ当なミステリ長編です。