『ゲッタウェイ』

この週末は、『ゲッタウェイ』をブルーレイで見た。

ゲッタウェイ [Blu-ray]

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この映画を見るのは2回目だ。
1972年の作品。
監督はバイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー
主演は我らがヒーローであるスティーブ・マックイーン
マックイーンは『大脱走』とか『パピヨン』とか、「逃げる」映画に縁がある。
この作品は、マックイーンの意見で脚本や音楽が差し替えられ、監督が「これは自分の作品ではない」と激怒したといういわくつきだが、皮肉なことにペキンパー監督の最大のヒット作になった。
今でこそ巷にあふれているアクション映画だが、この作品などは、もはや「古典」と言えるだろう。
後の映画で真似されているようなシーンがてんこ盛りである。
冒頭の刑務所の場面から、とにかく展開が早くて飽きさせない。
登場人物はみんな腹に一物を抱えた「ワル」ばかり。
画面には、常に裏切りが充満している。
それはマックイーンと、彼の出所を心待ちにしていた妻(アリ・マッグロー)との間ですらそうである。
いや、むしろ、主役のマックイーンがいちばん素直だと言えるかも知れない。
西部警察」ばりのカーアクションや爆破シーン、銃撃シーンの連続だが、最近のアメリカ映画のような、これ見よがしのウソ臭い過剰な演出はない。
クインシー・ジョーンズの音楽と相まって、乾いた空気を醸し出している。
マックイーンをヒーローだと思って見ないと、登場人物に感情移入するのはなかなか難しいかも知れない。
いかにマックイーンが自分を格好良く見せるかを考えて撮らせた映画だとも言える。
細君などは、かなり「どいつもこいつも」と不満タラタラで見ていた。
ラストも、安直な「勧善懲悪」映画を見なれた人には納得が行かなそうだ。
でも、一流の「皮肉」だと取れないことはない。
ちなみに、マックイーンとマッグローは、この作品での共演がきっかけで結婚した(後に離婚)。
それにしても、どうにも軽過ぎる昨今の映画から離れて、映画の「原点」を見直すには、どうしても避けて通れない作品ではある。