『ダーティファイター』

この週末は、ブルーレイで『ダーティファイター』を見た。

ダーティファイター [Blu-ray]

ダーティファイター [Blu-ray]

1978年のアメリカ映画。
監督はジェームズ・ファーゴ
主演はクリント・イーストウッド
何か最近、クリント・イーストウッドの映画ばっかり見ているような気がするが、それは単純に、70年代の出演作がたくさんブルーレイ化されているからである。
特に、イーストウッドのファンだからという訳ではない。
本作は「ダーティ」と邦題に付いているが、原題は『Every Which Way But Loose』。
多分、『ダーティハリー』シリーズと勘違いして観に来る客を当て込んだのだろうが、何の関係もない。
それにしても、イーストウッドの演じるキャラクターはいつも同じだ。
共演は『ガントレット』のソンドラ・ロック。
この頃のイーストウッドの愛人だ。
僕は、あんまり好きなタイプではないが。
それから、『荒野のストレンジャー』のジェフリー・ルイス。
更に、『ローズマリーの赤ちゃん』『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』のルース・ゴードン。
相変わらず、ふてぶてしい婆さんを演じさせたら天下一品だ(地?)
道路を走るトラックの空撮から始まる。
運転しているのはファイロ(クリント・イーストウッド)。
仕事が終わって、酒場へ。
他の客のつまみのピーナッツを盗ってケンカになる。
こんなセコイことでケンカするなよ、と思うが。
そして、相手の客をボコボコにする。
自分のピーナッツを盗られた上に、ボコボコにされるとは、何て気の毒な!
でも、本作ではボコボコにしたコイツが主役なのだ。
彼が自宅に帰ると、オランウータンが彼を襲い、持っていた缶ビールを奪う。
ファイロの飼っているオランウータンで、名前はクライド。
ファイロの相棒だ。
全編を通じて、このオランウータンの役者っぷりが素晴らしい。
それだけで、本作は見る価値がある(それだけかも)。
チンパンジーの出て来る映画と言えば、大島渚の『マックス、モン・アムール』だが、オランウータンの出て来るのは本作で決まりだ。
ファイロは、檻に繋がれていたクライドを、ファイティングで勝って助けたのであった。
ファイロの近所に住むのは、とぼけた友人のオ―ヴィル(ジェフリー・ルイス)と、その母親(ルース・ゴードン)。
オ―ヴィルのママは、何度も車の免許の試験に落ちている。
しかし、濃いキャラクターだ。
翌日、ファイロは殴り合いの賭けをして勝利する。
ケンカのシーンでは手持ちカメラが多用されていて、臨場感がある。
彼は、とにかく強い。
夜は、酒場で姉ちゃんをナンパ。
そこで歌っていた娘・リン(ソンドラ・ロック)に声を掛ける。
今度は、クライドとドライブ。
中指を立てるオランウータン。
素晴らしい!
で、チンピラ・バイク野郎二人といらん揉め事を起こして、カー・チェイスになる。
ファイロは、バイク野郎どもをどこまでも追い掛ける。
君が強いのはよく分かったから、放っておいてやれや。
結局、連中には逃げられてしまう。
相棒のクライドとは仲良し。
で、次はまんまとリンとドライブ。
酒場に入ると、黒い蜘蛛のイレズミをした野郎二人に絡まれる。
どうやら、先日のバイク野郎達の仲間のようだ。
毒グモ団の復讐である。
またも酒場で大ゲンカになり、いつものようにボコボコに叩きのめす。
それにしても、酒と女とケンカしかないとは、チンケな人生やなあ。
ただ、ファイロは女にはあまり免疫がないらしい。
情にほだされて、賭けで獲ったカネをリンに渡してしまう。
翌日、彼女は「プロのカントリー歌手になりたい」とかいう置き手紙を残して、姿を消してしまう。
カネを受け取った翌日に消えるなんて、コイツはとんだ一杯食わせ者だよ。
と、普通なら思いそうなものだが、そこは惚れた弱み。
ファイロは、オ―ヴィル、クライドを連れて、クルマで彼女を探す旅に出るのであった。
ここからはロード・ムービー風。
オ―ヴィルは途中でエコーという姉ちゃんをナンパして、彼女も旅に加わることに。
留守中に、例の毒グモ団が大挙してファイロの家に押し寄せる。
対応するのは、オ―ヴィルのママ。
このバアさんは面白い。
コワモテの男達も歯が立たない。
更に、警察もファイロを探している。
ここから、毒グモ団、警察も巻き込んだドタバタ・ムービーになる。
一方、リンは他の場所でも、ファイロにやったのと全く同じ手口で男を引っ掛けていた。
とんでもない女だ。
よせばいいのに。
途中、深夜の動物園にクライドを侵入させて、オランウータンの相手を探させるシーンがある。
とにかく、このオランウータンは演技派だ。
まあ、何ということはないオバカ映画だが、ウータン君とバアさんは見もの。
イーストウッドは、飲酒運転の嵐である。
今なら、検閲に引っ掛かって、上映出来ないだろう。
国家権力による芸術作品の規制絶対反対!!