『審判』

この週末は、ブルーレイで『審判』を見た。

審判 Blu-ray

審判 Blu-ray

1963年のフランス・イタリア・西ドイツ映画
監督・脚本は、『黒い罠』のオーソン・ウェルズ
主演は、『サイコ』のアンソニー・パーキンス
共演は、ジャンヌ・モローロミー・シュナイダーオーソン・ウェルズ、エルザ・マルティネリ、シュザンヌ・フロン、マドレーヌ・ロバンソン、ミシェル・ロンズデール。
原作はカフカだ。
高校生の頃、『変身』を読んだな。
リンゴを甲羅に投げ付けられて、グチャッと潰れるところの描写が生々しかった。
今、考えてみると、翻訳が上手かったのかも知れない。
僕の会社の先輩が、高校時代に読んだ唯一の本が、カフカの『変身』らしい。
「何でまた?」と思ったら、読書感想文の課題に出された本の中で、一番薄かったからとか。
確かに、1冊の文庫にするには短い。
それにしても、世の中には、本を読む習慣がない人もいるんだな。
さて、映画『審判』はモノクロ、ワイド。
切ない音楽で始まる。
セリフは英語なのに、クレジットはフランス語である。
最初に「法の番人」の話しを、イラストで解説する。
本編の中で出て来るが、「誰でも知っている話し」らしい。
しかし、何が言いたいのかはよく分からん。
で、これは夢だったということなのかな。
銀行員のジョゼフ・K(アンソニー・パーキンス)は目覚める。
本作は、概ね彼の一人称だと言って良いだろう。
早朝6時。
部屋に二人のオッサンが入って来る。
僕は逮捕されたらしい。
何だかよく分からん。
3人の銀行員(会社の同僚)が、隣の女性の部屋を物色している。
不条理な話しだ。
まあ、カフカだからな。
本作は、広角レンズを多用している。
キューブリックみたいだ。
まあ、キューブリックオーソン・ウェルズを尊敬していたからな。
で、部屋の大家が出て来る。
夫人だ。
刑事は、何の容疑で逮捕したかは言わない。
いよいよ不利になる。
ただ、逮捕したとは言っても、拘束された訳ではない。
隣の部屋に住む踊り子の女性が帰って来る。
水商売だから、朝帰りだ。
派手な見た目。
大家は軽蔑する。
しどけなく、僕に迫る。
しかし、僕が逮捕されたと知った途端、部屋を追い出される。
で、僕はたいほされたはずなのに、出勤する。
広大な職場である。
すごいセットだ。
何か、疎外感を出すために、こういうセットを作ったのかな。
従妹のアーミーが来ているが、僕は追い返す。
で、自宅の近く。
荷物を運ぶ女性と出会う。
彼女は、僕に「着いて来ないでよ」と言う。
隣の部屋の踊り子の友人らしい。
踊り子は引っ越すのだとか。
大家に追い出されたのだと。
今度は劇場。
場面がポンポン変わる。
いちいち悩んでいると、展開に付いて行けない。
後ろの席の女性から手紙を渡される。
で、僕は審問されるらしい。
法廷へ向かう途中、上半身裸で番号札をぶら下げた囚人がいっぱい。
皆、老人である。
一様に無表情だ。
これだけのエキストラを集めるのは大変だったろう。
非常に不気味な画になっている。
法廷にも傍聴者がいっぱい。
「いい加減な裁判だ」と僕が言うと、傍聴の連中が一斉に笑う。
僕はそこを出て行く。
今度は狭い部屋で同僚が殴られている。
ワイロを渡そうとする同僚。
今度は元の職場。
叔父のマックスが待っている。
「逮捕されたのは本当か?」と尋ねられる。
職場には巨大なコンピュータが。
パソコンが普及した現代とは、隔世の感がある。
僕は叔父さんと一緒に弁護士のアルバートオーソン・ウェルズ)に会いに行く。
弁護士は病気らしい。
ベッドで葉巻をスパスパ吹かしている。
秘書のレニ(ロミー・シュナイダー)という若くて色っぽい女性が、僕に色目を使う。
で、今度は法廷の事務局長とかいう冴えないオッサンが出て来る。
レニは彼を誘惑する。
彼女の手のひらには、カッパのような水かきがある。
ああ、だんだん書くのが面倒臭くなって来た。
本作は、終始こんな調子。
ヘンな映画だ。
さっぱり分からん。
あんまり考えちゃいかんのかな。
ポンポンと訳の分からない展開をするのは、『不思議の国のアリス』みたいだ。
分からなさ加減は『去年マリエンバートで』くらいかな。
ラストは、『気狂いピエロ』か(ネタバレ)。
映像には迫力と、シュールながら異様な現実感があるのだが。
内容は全く理解出来ん。
夏風邪で熱があったから、余計に悪化した。
こういう観念的な映画はキライだ。
でも、必ずこういうのが好きなヤツがいて、「分からん」と言うと、バカにするんだな。
知るか、タコ!
映画の好き嫌いなんて、完全に個人の自由だ!
あ、そうか、安倍政権は強権的だから、いつでもこういうことが起こるぞという警告か。
それなら、納得が行くな。