『地球へ2千万マイル』

この週末は、ブルーレイで『地球へ2千万マイル』を見た。

地球へ2千万マイル [Blu-ray]

地球へ2千万マイル [Blu-ray]

1957年のアメリカ映画。
監督はネイサン・ジュラン。
特撮は、『原子怪獣現わる』『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』『シンドバッド七回目の航海』のレイ・ハリーハウゼン
主演は、『理由なき反抗』のウィリアム・ホッパー、『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』のジョーン・テイラー。
コロムビア映画
今回見たのは、着色したカラー版。
ワイド。
最初にナレーションで、人類は科学の進歩で、地球から2千万マイルの彼方へ到達した旨が説明される。
イタリア・シシリーのとある漁村。
漁師達が漁をしている。
セリフは英語。
巨大なロケットが海に落下する。
小舟に乗った漁師達が近付いてみる。
ロケットには大きな穴が開いていて、二人の漁師がそこから中へ入ってみる。
2名の生存者を助け出すと、ほどなくして沈むロケット。
アメリカのペンタゴンには、生存者がいたとの連絡が入る。
先のロケットの乗組員救助にも立ち会っていた少年ぺぺは、海岸で筒状の容器を発見する。
中を開けてみると、水に浸かった繭が入っていた。
ぺぺはそれを持ち帰る。
それにしても、よくこんな気色悪い物を持って帰る気になるなあ。
ぺぺは、島でキャンプをしていた生物学者のレオナルド博士の所に繭を持って行く。
一緒にいた孫娘のマリザ(ジョーン・テイラー)は見習い医師。
一方、病院では生存者のカルダー大佐(ウィリアム・ホッパー)が目覚める。
もう一人、虫の息だった科学者は、謎の死病で死ぬ。
顔面には怪しいデキモノだらけ。
よく素手で触るな。
この死病で、ロケットのクルーは全滅した。
科学者は、研究ノートを残した。
そこには、生物の「標本」を持ち帰ったとあった。
その頃、レオナルド博士のキャンピング・カーの中では繭から怪物が孵化していた。
これが有名な「金星獣イーマ」である。
猫くらいの大きさなので、博士はそれをオリの中に入れる。
ところが、コイツは数時間で人間くらいの大きさになってしまった。
ペンタゴンからイタリア大使へ、13ヵ月前にアメリカが打ち上げた金星探査ロケットが、金星旅行の途中で隕石に衝突したとの報告がなされる。
そこに乗っていた「金星の動物の胎児」を回収することが急務になる。
レオナルド博士は、この怪物(イーマ)を、ローマの動物園に売り渡すつもりだった。
今や、イーマの行方は大事になり、軍関係者やら警察やらが大挙して漁村に押し寄せ、漁師に「話しを聞きたい」と告げる。
ロケットからなくなった筒を捜していると。
「そいつはペペが持っている」とのことで、問い詰められたペペは「中身はレオナルド先生に売った」と白状する。
その頃、レオナルド博士の輸送中のオリから、イーマがオリを破って出て行った。
怪物は、近くの農家に向かった。
馬も羊も、一斉に逃げ出す。
この撮影は、うまいことやったなあという感じが。
農家の番犬は果敢にもイーマに挑戦するが…。
イーマは、銃で撃っても効かない。
結局、またどこかへ逃げてしまった。
被害を食い止めたい軍や警察と、金星の生物を生きたまま残しておきたい生物学者との対立が少しはあって。
まあ、日本の初代ゴジラにもあったテーマだな。
そんなことをしている間に、話しがどんどんでかくなる。
イーマもどんどん巨大化するのだが。
地球の環境では、イーマは巨大化するらしい。
で、ローマの街でイーマは大暴れするのだが。
と言っても、そんなにものすごい被害が出る訳でもない。
動物園の象が1頭死んだのは可愛そうだったが。
イーマと象が闘うシーンは、レイ・ハリーハウゼンの苦労の結晶だろう。
結末は、ちょっと『キングコング』みたいだが(ネタバレ?)。
銃撃が効かないイーマに、何故バズーカが効くのか?
最初の死病は何だったのか。
納得が行かない部分も多々ある。
カルダー大佐とマリザのメロドラマ調も余計。
こういうB級映画のお約束なのか。
結局、本作はイーマの造形が秀逸なだけで、他には大して見るべきところのない作品のように思える。
余談だが、作中に「東京大学のコロク博士」というのが出て来る。
コロクって小六?
蜂須賀小六か?
それって名字じゃないのでは?