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英文学をゼロから学ぶ

2018-02-07

イギリス文学史I(第2回)『ベーオウルフ』

イギリス文学の起源

今回から、イギリス文学の歴史を具体的に見て行きましょう。

まずは、イギリス文学の起源について、『はじめて学ぶイギリス文学史』(ミネルヴァ書房)から引用します。

イギリス文学について語るとき、しばしば問題とされるのは、その起源をどこにおくかという点である。12世紀以前のものは、今日の文学と比べて、表現形式においてのみならず内容的にも大いに異なっているからだ。そのため従来は、これらをアングロ・サクソン文学として、イギリス文学とは区別することがおこなわれてきた。しかし、今ではイギリスの地で生まれた文学という意味で、この時代の作品を古英語(Old English)の文学と呼び、イギリス文学の発祥をここに求めるのが普通である。

イギリス文学の歴史』(開拓社)によると、英語史の区分で、古英語の時代というのは、おおよそ紀元700年から1100年頃までになります。

古英語は、後の中英語(1100〜1500年頃)や近代英語(1500年頃〜現代)と比べて、文字や文法体系が明らかに違うので、まるで別の言語のようです。

大学の英文科でも、古英語という科目が設置されている大学は少なく、仮に設置されていても、選択する学生は滅多にいません。

僕の在籍した大学でも、古英語の授業はありましたが、果たして受講者がいたのかは謎です(もちろん、僕も選択していません)。

『ベーオウルフ』について

古英語で書かれた文学の代表的なものとして、『ベーオウルフ』(作者不詳)があります。

現存する英文学の中では最古の作品の一つです。

一般には、8世紀に成立したとされているので、偶然ですが、日本では、『古事記』や『日本書紀』が生まれた頃ですね。

では、『ベーオウルフ』について簡潔にまとめられた箇所を、再び『はじめて学ぶイギリス文学史』から引いてみましょう。

一国の文学の歴史は通常、詩からはじまる。古英語で書かれた文学の代表的なものは、英雄叙事詩ベオウルフ』(Beowulf)である。その舞台がイギリスでなくスカンジナヴィアにおかれているのは、アングロ・サクソンの故郷だからであろう。物語は単純、豪快である。第1部で怪物グレンデルに悩まされる隣国を救ったベオウルフが、第2部では50年後自国を脅かす龍と戦ってこれをしとめたものの、自らも力尽きて倒れるというものである。

ここにある素材は明らかに異教的なものであるが、その想念にはキリスト教が深くかかわっている。『ベオウルフ』は個人の作というより、長い年月の間に人々の間で言い継がれ、歌い継がれてきたものの集大成とみるべきであろう。現在大英図書館所蔵の写本は10世紀のものであるが、実際の制作年代は7、8世紀とみられている。3,000行にあまるこの大作において、古英詩の特色とされる、強弱のストレスと頭韻を用いた素朴な調べが、荘重で深い悲哀にあふれた内容とよく調和している。

ちなみに、叙事詩については、『イギリス文学の歴史』の中に、分かり易い記述があります。

叙事詩epic

長い物語詩の一種で、崇高荘重な韻文によって、歴史や伝説に現われる神々や英雄的人物の行為・行績を扱う長詩である。元来epicは、原始的起源を有するもので、たえず口伝(くでん)による変更を受けながら伝承されて、次第に増大し、ついに叙事詩形式として凝固したものである。epicには2種類がある。(1)原始的叙事詩:(例)ホーマーの『イリアッド』、『オディセ』や『ベイオウルフ』など、(2)文学叙事詩:(例)ミルトンの『失楽園』など。

『ベーオウルフ』の語り口は、事件が必ずしも時系列に沿って語られる訳ではありません。

更に、事件・人物についての叙述・描写は「選択的」「省略的」であり、飛躍に富むので、現代の読者にとっては、かなり分かり難いです。

そのような点を考慮して、岩波文庫版の『ベーオウルフ』には、「まえがき」に梗概が掲げられています(以下、引用)。

 〔第一部〕

(前半) 武名並ぶ者のないデネ(デンマーク人)の王フロースガールは、ある時、人の子らの聞いたためしのない豪壮な宮殿を造営しようと思い立った。やがて宮殿が落成すると、ヘオロット(「牡鹿」の意)と名づけ、それを祝って連日連夜の祝宴を催す。ところが、弟殺しの罪で神に追われたカインの末裔として人里離れた曠野に棲むグレンデルという名の巨人が、祝宴のさんざめきに怒りを発し、ある晩、館の警固の家臣らが寝静まった頃に襲ってきて、三十名の家臣を殺す。さしもの宮殿も夜の帷が下りるや誰一人泊ることもなくなり、十二年の歳月が過ぎる。そういう噂を、イェーアト族(スウェーデン南部に住んでいた部族)のヒイェラーク王の甥である若い勇士ベーオウルフが伝え聞き、十四人の従士を率いて海を渡り、救援におもむく。神の御加護によって無事に船旅を終え、上陸した一行に、岸壁上で海岸警備にあたっていた衛士が馬を駆って近づき、その身許と来島のおもむきをただす。宮殿に案内された一行を、フロースガール王は、かつてベーオウルフの父親を助けた縁もあって、大いに歓迎し、宴席をもうける。やがて宴がはねると、ベーオウルフらは館の警固にあたることになる。夜も更けた頃、つねのごとくグレンデルが襲来し、ベーオウルフの従士の一人を啖い、次いでベーオウルフに摑みかかろうとする。眠ったふりをしていたベーオウルフはがばと跳ね起き、怪物と一騎打ちになる。勇士はついに怪物の片腕をもぎ取り、敵は血をしたたらせながら荒地に逃れて行く。夜が明けて事の首尾を知ったフロースガール王は、ベーオウルフの武勇を称えて祝宴を催す。

(後半) その晩のこと、グレンデルの母なる女怪が息子の復讐のために襲来し、昔のとおり宮殿に詰めていたフロースガール王の寵臣をさらって行って食い殺す。王は大いに悲しみ、ふたたび怪物退治をベーオウルフに依頼する。王に案内されて怪物の住処である荒地の沼におもむいたベーオウルフは、従士らを岸に残してただ一人沼に躍りこむ。沼の底へと潜って行くうちに、それと知った女怪が迎え撃ち、水底の洞窟で格闘となる。鎖鐙のおかげで命びろいをした勇士は、壁に懸かっていた霊剣を手にして、かろうじて相手を斃し、床に倒れて死んでいたグレンデルの首級をあげて水面に浮び上がる。頭領の運命に絶望していた従士たちは大いに喜ぶ。フロースガール王はまたも祝宴を開き、ベーオウルフに向かって王者たるべき者の心得として、世の栄華に終りのあることを銘記し、心の傲りを自戒するよう教え諭す。大いに面目をほどこしたベーオウルフは褒賞を賜り、別れを惜しみつつデンマークを後にし、帰国するとヒイェラーク王にかの地での出来事の一部始終を報告する。

 〔第二部〕

ヒイェラーク王は遠征に出て討死する。そこで妃はベーオウルフを後継の王に推挙するが、彼は固辞し、幼い王子ヘアルドレードが即位する。しかし、彼もその後戦死する。ここにおいてやむなくベーオウルフは王位に就く。そして五十年が過ぎる。折しも、竜が番をしている、塚に収められた宝を荒した者があり、怒った竜は夜な夜な炎を吐いて人里を襲う。たまりかねたベーオウルフ王は、十一人の従士を率いて竜退治に向かう。人間の近づくのを知った竜は火を吐きながら襲ってくるが、従士らはそれに恐れをなして近くの森に逃げこむ。王は、ただ一人踏み留まったウィーイラーフとともに炎をかいくぐって竜に迫り、悪戦苦闘の末にこれを斃すが、自身も致命傷を負う。死期の迫るのを悟ったベーオウルフ王は、自分の亡き後は遺骸を荼毘に付し、後の世まで国民が自分のことを想い起こすように岬に大きな塚を築いて葬るようにと命ずる。そして、遺言どおりに築かれた塚をめぐって、十二人の貴公子は馬を駆りつつ、亡き王の高貴な心ばえと雄々しい勲を言葉をつくして称える。

要するに、ベーオウルフという名の勇者が巨人と闘って、その母親とも闘って、王になって、竜と戦って、自らも死ぬという話しです。

人間と巨人が闘うって、何か『進撃の巨人』みたいですね(読んだことがないので、詳しくは知りませんが)。

英文学なのに、どうして舞台がデンマークなのでしょうか。

それは、アングロ・サクソンの故郷だからかも知れません。

考えてみれば、『ハムレット』もデンマークでしたね。

余談ですが、夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905)にも、『ベーオウルフ』について言及された部分があります。

英文学者 夏目漱石』(松柏社)によると、漱石が学生の頃の東大英文科では、『ベーオウルフ』を読んだという記録はないようです。

英文学史は学生が自修させられたとあるので、文学史の中に出て来て知ったのでしょう。

あるいは、漱石イギリス留学中に、現代語訳を読んだのかも知れません。

さて、岩波文庫版の「解説」によると、『ベーオウルフ』は、大英図書館に所蔵されている「コットン・ヴィテリアス」という、ただ1本の写本によってのみ伝わっています。

かつてはサー・ロバート・ブルース・コットン(1571〜1631)という人の持ち物だったのが、国家に寄贈されました。

それが18世紀前半に火災に遭い、焼失を免れたものが現在残っているという訳です。

この写本は複合写本で、本来は全く別々の二つの写本を、17世紀にサー・ロバートが合本にしたと言われています。

前半部は12世紀の半ばに筆写されたもの(サジック本)、後半部は10世紀の終わり頃に筆写されたもの(ノーウェル本)です。

『ベーオウルフ』がいつ、どこで作られたかを示す外的証拠(この詩への言及を含む古英語期の文書等)は一つも存在しません。

現在伝わる写本は数回の筆写を経たものです。

その中に原本の年代と場所(方言)を示唆する語句が含まれているか(内的証拠)、古英詩の展開の中で本作がどの辺りに置かれるべきかという文学史的位置付け、本作のような詩を生み出した環境としてどの時代・地域を想定するのが適当であるかという文化的・歴史的背景等の点から、成立年代を検討しなくてはなりません。

『ベーオウルフ』は、英国最初の宗教詩人キャドモンの作品よりやや後に作られたに相違ないと考えられることから、成立の「上限」を一応8世紀の初頭と設定することが出来ます。

一方、8世紀末から9世紀初頭に詩作をしたキュネウルフの作品に『ベーオウルフ』の影響が認められることから、「下限」を9世紀初頭に置くことが出来るでしょう。

これらの事実に照らして、本作は8世紀に作られたとするのが、今のところ、最も妥当ではないかと訳者は述べています。

中英語期には、古英語はほとんど忘れ去られていましたが、近世に入って、学者達の目が古英語の写本に向けられるようになりました。

18世紀末頃に、アイスランドのソルケリンという人がイングランドに渡り、自らと助手の手によって、『ベーオウルフ』を転写します。

そして、彼は1815年に、最初の刊本を世に送りました。

『ベーオウルフ』には、神話的要素とキリスト教的主題が入り混じっています。

作者は、果たして本作を人々に道徳的教訓を与えるために作ったのか、それとも、聴衆に娯楽を与えるために作ったのか。

訳者は、基本的には後者だろうと述べています。

上述のように、本作における描写や叙述は省略的・選択的です。

作者は、人物・風景・事件等の特定の面のみを取り出して描いており、近代的な写実的描写法・叙述法とは全く異質だと言えるでしょう。

事件の叙述においては、しばしば飛躍があり、時系列にも必ずしも従っておらず、また、繰り返しも多くあります。

このような点から、現代人にとっては、本作は非常に取っ付き難いのですが、その反面、強い詩的効果を生んでもいるようです。

「解説」では、『ベーオウルフ』の「詩の技法」についても解説されていますが、これは原文を読んでみないと、日本語で説明されてもピンと来ません。

特に、「韻律」「頭韻」についてはそうです。

が、『イギリス文学史入門』(研究社)を参考に、ごく簡単に書くと、韻律は、弱音節と強音節の配置によってリズムを整え、各行に頭韻が配置されました。

頭韻とは、『イギリス文学の歴史』によると、「同じ行のいくつかの語が同じ音、もしくは同じ文字で始まる」ことです。

また、「ケニング(代称)」という古英詩に特徴的な表現方法があります。

これは、一つの名詞を幾つかの語で比喩的に表現する技法で、例えば、sea(海)をwhale-road(鯨の道)、sun(太陽)をworld-candle(世界のろうそく)と言ったりするのです。

テキストについて

ペンギン版(原文)

原文(古英語)のテキストで最も入手し易いのは、次のペンギン版でしょう。

Beowulf: Old English Edition (PENGUIN ENGLISH POETS)

Beowulf: Old English Edition (PENGUIN ENGLISH POETS)

アマゾンで注文すれば、数日でイギリスから送られて来ます。

初版は1995年。

編者はMichael Alexander氏。

見開きで、左ページに原文、右ページに語注というレイアウトになっていますが、古英語の知識のない一般人が、本書だけで内容を理解することは不可能です。

そのため、現代英語版を参照する必要がありますが、こちらも入手し易いのは、僕の近所の調布市立図書館にも置いてあるペンギン版。

ペンギン版(現代英語)

Beowulf: A Verse Translation (Penguin Classics)

Beowulf: A Verse Translation (Penguin Classics)

初版は1973年。

現在の改訂版が出たのは2003年。

訳者は、上のオリジナル版の編者でもあるMichael Alexander氏。

現代英語なので、辞書さえあれば読めますが、韻文にするためか、原文と微妙に表現が違う箇所が散見されるので、注意が必要です。

また、現代英語とは言っても、原文の雰囲気を出すためか、妙に格調高くて、難しいような気がします。

とは言っても、一般人が読めるのは、こちらしかないのですが。

翻訳について

最終的に、一番頼りになるのは、やはり翻訳(日本語訳)版でしょう。

岩波文庫

手に取り易い文庫版は、岩波から出ています。

ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

現在は品切れのようですが、絶版になった訳ではないので、重版が掛かるのを待ちましょう。

初版は1990年

翻訳は忍足欣四郎氏。

こちらも、古風な訳文なので、かなり読みにくいです。

訳者は、学問的な厳密さよりも、「作品」としての『ベーオウルフ』を一般読者に提供したかったと述べています。

各節毎に、最初に「あらすじ」がまとめられているので、分かり易くて、良いですね。

そして、本文の行数が下に記されています。

ただ、訳者によると、原文と訳の行は必ずしも一致している訳ではなく、日本語として読み易くなるよう配慮したとのことです。

あくまで目安に過ぎません。

「訳注」は20ページ以上に渡って、作品の「構造と意味」についての理解を助けるものを中心としており、なかなか詳細です。

原語の綴りが記されているのが、大いに参考になります。

それから、巻末の「解説」は、本作について必要な情報がコンパクトにまとめられているので、必読です。

映画化作品について

更に、手っ取り早く内容を把握するには、映画化作品を見るという方法もあります。

ただし、映画には解釈が含まれているので、必ずしも原作通りとは限らないことに注意が必要です。

ロバート・ゼメキス監督作品

『ベーオウルフ』の映画化で最もポピュラーなのは、次の作品でしょう。

2007年のイギリスアメリカ合作映画。

監督はロバート・ゼメキス

主演はレイ・ウィンストン

共演は、アンソニー・ホプキンスジョン・マルコヴィッチアンジェリーナ・ジョリー等。

結論から言うと、本作は、あの古典の『ベーオウルフ』とは全くの別物です。

素材だけ借りて、勝手に料理したような感じ。

シェイクスピア作品は勝手にセリフをいじれませんが、セリフの少ない『ベーオウルフ』ならいいだろう、みたいな。

確かに、古典をそのまま映画化しても、現代の観客には退屈なのかも知れませんし、また、そもそも荒唐無稽な物語ではありますが。

それにしても、これはヒドイ。

本作は、全編フルCGで作られているため、まるでゲームの映像を見ているようで、古典の風格など皆無です。

せっかく有名な俳優をたくさん出しているのに、単なるCGのモデルでしかありません。

ストーリーも、かなり大雑把には同じようなものですが。

勝手に現代的な解釈(?)を施して、主人公のべオウルフは訳ありの勇者になってしまっているし、色恋沙汰も出て来ます。

原作は、異教の時代の物語のはずなのに、やたらキリスト教が絡んで来たり。

時代考証も適当なようなので、原作の理解を深める目的で本作を見るのは止めましょう。

グレアム・ベイカー監督作品

続いては、ちょっと変わり種の映画を。

ベオウルフ [DVD]

ベオウルフ [DVD]

1998年のイギリス映画

監督はグレアム・ベイカー。

主演はクリストファー・ランバート

『ベーオウルフ』を、舞台を未来に移して描いたSFアクションということで、既に原作とは全く別物です。

同じなのは、主人公の名前と、彼が砦を襲う怪物と闘い、次に、その母親と闘うということだけ。

上のロバート・ゼメキス版以上にお色気設定も交えてあります。

まあ、普通にB級SFアクション映画として見る分にはいいのでしょうが。

こうでもしないと、古典は現代人には退屈なんですかねえ。

と言う訳で、英文科の学生は、本作を見てレポートを書かないように。

原文読解

それでは、『ベーオウルフ』の冒頭部分(序詞)を読んでみましょう。

下に、「原文」「現代英語」「日本語訳」を記しました。

「現代英語」には、語注も付けてあります。

ほとんどの英文科の学生は古英語を学んでおらず(僕も全く読めません)、また、イギリス文学史を学ぶにあたって、古英語を学ぶことは前提ではないと思うので、現代英語で読めば良いと思うからです。

ですので、原文は、あくまで参考のために載せました。

※原文の内、「æ」にマクロン(長音記号)、及び「y」にマクロンは、うまく表示されていません。

Beowulf

Beowulf(名)ベーオウルフ(8世紀初めの古期英語の叙事詩の名/その主人公)

(1)

(原文)

(テキスト2ページ、2行目〜)

Hwæt wē Gār-Dena in geār-dagum

þēod-cyninga þrym gefrūnon,

hū ðā æþelingas ellen fremedon.

(現代英語)

Attend! We have heard of the thriving of the throne of Denmark,

how the folk-kings flourished in former days,

how those royal athelings earned that glory.

attend(自)注意する、注意して聞く

hear of 〜 〜のこと(消息)を聞く

thrive(自)栄える、繁栄する、盛んになる

of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)〜が、〜の

throne(名)(the 〜)王位、帝権

Denmark(名)デンマークヨーロッパ北西部の王国/首都Copenhagen)

how(副)(疑問詞)(方法・手段を尋ねて)(to doまたは節を導いて)どうやって〜するか

folk(形)民衆の、庶民の、国民(大衆)の、民衆的な

flourish(自)(副詞句を伴って)(人が)(歴史のある時に)活躍する

in(前)(時間を表わして)〜(のうち)に、〜の間、〜中

former(形)前の、以前の、先の ・in former days 昔

day(名)(しばしば複数形で)時代、時世、時期

royal(形)気高い、高貴な、威容のある

atheling(名)(アングロサクソンの)王子、貴族、(特に)皇太子、皇子

earn(他)(名声・評判などを)博する、取る

that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人・量をさして)あの(⇔this)

glory(名)栄光、誉れ、名誉

(日本語訳)

いざ聴き給え、そのかみの槍の誉れ高きデネ人の勲、民の王たる人々の武名は、

貴人らが天晴れ勇武の振舞をなせし次第は、

語り継がれてわれらが耳に及ぶところとなった。

(2)

Oft Scyld Scēfing sceaþena þrēatum,

monegum mǣgþum meodo-setla oftēah;

egsode eorlas, syððan ǣrest wearð

fēasceaft funden; hē þæs frōfre gebād:

wēox under wolcnum, weorð-myndum þāh,

oðþæt him ǣghwylc þāra ymb-sittendra

ofer hron-rāde hȳran scolde,

gomban gyldan: þæt wæs gōd cyning!

Was it not Scyld Shefing that shook the halls,

took mead-benches, taught encroaching

foes to fear him — who, found in childhood,

lacked clothing? Yet he lived and prospered,

grew in strength and stature under the heavens

until the clans settled in the sea-coasts neighbouring

over the whale-road all must obey him

and give tribute. He was a good king!

it(代)(it is 〜 thatの構文で文の主語・(動詞または前置詞の)目的語・副詞語句を強調して)(このitの次にくるbeの時制は通例clause内の動詞の時制と一致し、clause内の動詞の人称は直前の名詞・代名詞に一致する)

Scyld(名)スキョル(デンマークのスキョル王朝(the Scyldings)の名祖といわれる伝説上の英雄/BeowulfではSceafの息子とされ、北欧伝説ではOdinの末裔とされている)

that(代)(関係代名詞)(It is 〜 that 〜の形で名詞(相当語句)を強調して)〜のは

shake(他)(〜を)震動させる、震わせる、揺るがせる

hall(名)(行事用の)集会場、ホール

take(他)(副詞句を伴って)(ある場所から他へ)持って行く、連れていく

mead(名)はちみつ酒

bench(名)ベンチ、長腰掛け(通例二人以上が座れる長いす)

teach(他)(人に)(〜するように(するしかたを))教える(+目+to do)

encroach(自)(他国・他人の土地などを)侵略(侵入)する

foe(名)敵

fear(他)(〜を)恐れる、怖がる

who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は

childhood(名)幼年時代、幼児 ・in one's childhood 子供時代

lack(他)(〜を)欠く、(〜が)ない

clothing(名)衣類、衣料

yet(接)それにもかかわらず、しかしそれでも、それなのに

live(自)(しばしば時の副詞句を伴って)生きる、生存する

prosper(自)(子供が)すくすくと育つ

grow(自)(次第に)(〜に)なる

in(前)(状態を表わして)〜の状態に(で)

stature(名)(精神的な)偉大さ

heaven(名)(またthe heavens)天、天空(=skies、sky)

until(接)(動作・状態の継続の期限を表わして)〜まで(ずっと)

clan(名)(集合的/単数または複数扱い)一族、一門

settle(自)(〜に)定住する、住みつく(in)

in(前)(場所・位置・方向などを表わして)〜において、〜で

seacoast(名)海岸、海浜、沿岸

neighbouring→neighboring(形)近所の、近隣の

over(前)(海・川・通りなど)の向こう側に(の)(=across)

whale(名)クジラ(鯨)(英米では食用としない)

all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな(通例代名詞の場合に用いる)

obey(他)(人に)従う、服従する

tribute(名)貢ぎ(物)

シェーフの子シュルドは、初めに寄る辺なき身にて

見出されて後、しばしば敵の軍勢より、

数多の民より、蜜酒の席を奪い取り、軍人らの心胆を

寒からしめた。彼はやがてかつての不幸への慰めを見出した。

すなわち、天が下に栄え、栄光に充ちて時めき、

遂には四隣のなべての民が

鯨の泳ぐあたりを越えて彼に靡き、

貢を献ずるに至ったのである。げに優れたる君王ではあった。

(3)

Ðǣm eafera wæs æfter cenned

geong in geardum, þone God sende

folce tō frōfre; fyren-ðearfe ongeat,

þæt hīe ǣr drugon aldor-lēase

lange hwīle; him þæs Līf-frēa,

wuldres Wealdend, worold-āre forgeaf;

Bēowulf wæs brēme — blǣd wīde sprang —

Scyldes eafera, Scede-landum in.

A boy child was afterwards born to Scyld,

a young child in hall-yard, a hope for the people,

sent them by God; the griefs long endured

were not unknown to Him, the harshness of years

without a lord. Therefore the life-bestowing

Wielder of Glory granted them this blessing.

Through the northern lands the name of Beow,

the son of Scyld, sprang widely.

boy(形)男の子の、少年の(ような) ・a boy baby 男の赤ちゃん

child(名)赤子、赤ん坊

afterwards(副)(英)=afterward(副)のちに、あとで

born(形)(人などが)生まれて ・be born to 〜のもとに生まれる

to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)〜まで、〜へ、〜に

in(前)(行為・動作の方向を表わして)〜の中に

hall(名)(昔の)荘園領主の邸宅

hope(名)望み、希望(⇔despair)

people(名)(the 〜)(一国家に属する)国民、選挙

send(他)(神が)(〜を)許す、与える(+目+目)

grief(名)(死別・後悔・絶望などによる)深い悲しみ、悲痛

long(副)長く、長い間、久しく

endure(他)(〜を)耐え忍ぶ

unknown(形)未知の、不明の、未詳の ・be unknown to 〜にはわからない

to(前)(行為・作用の対象を表わして)〜にとっては、〜には

harshness(名)<harsh(形)(人・罪・気候など)厳しい、苛酷(かこく)な

year(名)(複数形で)非常に長い間、多年(=ages)

lord(名)(封建時代の)領主、君主

therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)

life(名)(個人の)命、生命

bestow(他)(人に)(名誉・称号などを)授ける、贈る(=confer)

wielder(名)<wield(他)(権力・武力などを)ふるう、掌握する

of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)〜を、〜の

grant(他)(〜を)(願いを聞き入れて正式に)与える(+目+目)

this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)

blessing(名)祝福(の言葉)

through(前)(あちこち至る所を表わして)〜じゅうを(に)、〜の間を(あちこち) ・The news spread through the whole country. そのニュースは国じゅうに広まった。

northern(形)北の、北にある

land(名)国、国土

name(名)(a 〜)(〜という)評判、名声(=reputation)

Beow→Beowulf

spring(自)一躍(突然)(〜に)なる

widely(副)広く、広範囲に

やがて館に世嗣ぎの男子が生れ出でた。

民を安んぜんとて神がこの世に遣わし給うたのである。

統べるべき君主なきままに民が久しく

耐えたる苦難を神は見そなわした。

命の主なる、栄光を司り給う神は、現し世の誉れを

この君に授け給い、シュルドの御子ベーオウルフは、

声望普く広まり、シェデランドにて

その名は隠れなきものであった。

(4)

Swā sceal geong guma gōde gewyrcean,

fromum feoh-giftum on fæder bearme,

þæt hine on ylde eft gewunigen

wil-gesīþas, þonne wīg cume,

lēode gelǣsten; lof-dǣdum sceal

in mǣgþa gehwǣre man geþēon.

For in youth an atheling should so use his virtue,

give with a free hand while in his father's house,

that in old age, when enemies gather,

established friends shall stand by him

and serve him gladly. It is by glorious action

that a man comes by honour in any people.

for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は〜だから(=as、since)

youth(名)青年時代、青春(期)、若いころ ・in youth 若いころに

use(他)(才能・暴力などを)行使する、働かす

his(代)彼の

virtue(名)徳、美徳、徳行、善行(=goodness/⇔vice)

with(前)(道具・手段を表わして)〜を用いて、〜で

free hand(名)(a 〜)(〜する)自由行動権、自由裁量権 ・give a person a free hand 人に自由裁量を与える

that(接)(目的を表わして)〜するように、〜せんがために

age(名)(人生の)一時期 ・old age 老年

when(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(〜すると)その時(書き言葉で多く用いられる)

gather(自)(通例副詞句を使って)集まる(⇔scatter)

established(形)常設の、常勤の(=permanent)(⇔temporary)

friend(名)味方

shall(助動)(予言を表わす)〜であろう、〜なるべし

stand by 〜を援助(味方)する

serve(他)(人に)仕える、奉仕する ・serve a master 主人に仕える

gladly(副)喜んで、快く

by(前)(手段・媒介を表わして)〜で

glorious(形)栄光ある、栄誉ある、光輝ある、名誉の

action(名)(具体的な)行動、行為

man(名)(男女を問わず一般に)人、人間

come by 〜を手に入れる

honour(名)(英)=honor(名)名誉、栄誉

in(前)(範囲を表わして)〜において、〜内で

people(名)民族、種族、国民(文化的・社会的な共通性をもつ人々)

王子たる者、かくのごとく、父君の庇護の下にある時より、

すべからく徳を施し、惜しみなく財宝を頒ち与うるべきである。

さすれば、やがて年老いたる後、いざ合戦の秋到るや、

忠義なる郎党は、王を助け、仕えまつるであろう。

いかなる民にあっても、人は名誉ある

行いをもって栄えるものである。

(5)

Him ðā Scyld gewāt tō gescæp-hwīle

fela-hrōr, fēran on Frēan wǣre.

At the hour shaped for him Scyld departed,

the hero crossed into the keeping of his Lord.

at(前)(時の一点を表わして)〜に ・at the beginning 初めに

hour(名)(the 〜、one's 〜)死期

shape(他)(進路・方針・未来・一生などを)定める、決める

for(前)(用途・指定・適否を表わして)〜向きに(の)、〜用に(の)

depart(自)死去する、亡くなる、逝く

cross(自)(道・川を)越えて(〜から)(〜へ)渡る、渡航する(into)

keeping(名)管理、保管、守護(of)

lord(名)(通例the Lord)神

さるほどに、いと力すぐれたるシュルド王は、

定命尽きて、主の御許へとみまかった。

(6)

Hī hyne þā ætbǣron tō brimes faroðe,

swǣse gesīþas, swā hē selfa bæd,

þenden wordum wēold wine Scyldinga,

lēof land-fruma lange āhte.

They carried him out to the edge of the sea,

his sworn arms-fellows, as he had himself desired them

while he wielded his words, Warden of the Scyldings,

beloved folk-founder; long had he ruled.

carry(他)(〜を)(他の場所へ)(持ち)運ぶ、運搬する(to)

edge(名)(二つの線の接する)縁、へり、かど(of)

sworn(形)誓い合った、契(ちぎ)った ・sworn friends 盟友、無二の友

arms(名)(複)(騎士が盾(たて)・旗などに用いた)紋章、しるし

fellow(名)(通例複数形で)(主に男性の)仲間

as(接)(様態・状態を表わして)〜のように

have(他)(もの・人を)(〜して)もらう、(〜)させる(+目+過分)

himself(代)(再帰的に用いて)(一般動詞の目的語に用いて)

desire(他)(人などに)(〜して)ほしいと願う

wield(他)(健筆を)ふるう

word(名)(しばしば複数形で)(口で言う)言葉

Warden(名)総監、総督

beloved(他)(古)beloveの過去分詞/愛されている

founder(名)始祖、開祖

rule(他)支配する、統治する

されば股肱の臣らは、シュルディング人の王、

国を統べるべき慕わしき君が、未だ言の葉を

意のままに操る能う間に自ら仰せ付けたとおり、

亡骸を波打ち寄せる渚へと運んで行った。

(7)

Þǣr æt hȳðe stōd hringed-stefna,

īsig ond ūt-fūs, æþelinges fær;

ālēdon þā lēofne þēoden,

aga bryttan on bearm scipes,

mǣrne be mæste; þǣr wæs mādma fela

of feor-wegum, frætwa, gelǣded.

A boat with a ringed neck rode in the haven,

icy, out-eager, the atheling's vessel,

and there they laid out their lord and master,

dealer of wound gold, in the waist of the ship,

in majesty by the mast. A mound of treasures

from far countries was fetched aboard her,

with(前)(所持・所有を表わして)〜を持って(た)、〜のある

ringed(形)環状の

neck(名)首に相当する部分

ride(自)(通例副詞句を伴って)(船などが)浮かぶ

haven(名)港、停泊所

icy(形)氷でおおわれた

out(副)(船など)陸を離れて、沖へ(出て)

eager(形)(〜を)しきりに求めて、熱望(切望)して

vessel(名)(通例ボートより大型の)船

lay out(遺体)の埋葬準備をする、安置する

their(代)彼ら(彼女ら)の

master(名)支配者、主君

dealer(名)<deal(他)(人に)(〜を)配る、分配する

wound(動)windの過去形・過去分詞

wind(他)(糸などを)巻く

waist(名)中部甲板

majesty(名)威厳

by(前)(場所・位置を表わして)〜のそばに(で)、のかたわらに(の)、の手元に

mast(名)帆柱、マスト

mound(名)(積み上げた)山(of)

from(前)(出所・起源・由来を表わして)〜から(来た、取ったなど)

far(形)(距離的に)遠い、遠くへの、はるかな(⇔near) ・a far country 遠い国

country(名)国、国家

fetch(他)(ものを)取って(取りに)くる、(人を)呼んで(呼びに)くる

aboard(前)(船・列車・バス・飛行機)に乗って

泊には、環形なす舳を備えた船、王の御座船が、

氷もて覆われ、今や船出せんとて繋がれていた。

家臣らは、慕わしき王、宝環を頒ち与え給う君、

高名なる君主を、船の懐の、帆柱のかたえに

安置しまつった。そこには、遠方より集めた

数々の財宝が積みこまれた。

(8)

Ne hȳrde ic cȳmlīcor cēol gegyrwan

hilde-wǣpnum ond heaðo-wǣdum,

billum ond byrnum; him on bearme læg

mādma mænigo, þā him mid scoldon

on flōdes ǣht feor gewītan.

and it is said that no boat was ever more bravely fitted out

with the weapons of a warrior, war accoutrement,

swords and body-armour; on his breast were set

treasures and trappings to travel with him

on his far faring into the flood's sway.

it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)

say(他)(人に)(〜と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+that)/(+wh.)

that(接)(名詞節を導いて)(〜)ということ/(主語節を導いて)

ever(副)(否定文で)かつて(〜することがない)

more(副)もっと、いっそう

bravely(副)華やかに(=gaily)、立派に、景気よく

fit out(船を)艤装(ぎそう)する、装備する(=equip)

with(前)(材料・中身を表わして)〜で

weapon(名)武器、兵器、凶器

warrior(名)戦士、武人、武士、古つわもの、勇士

war(形)戦争の(に関する)

accoutrement(名)(複)(職業などがひと目でわかる)装身具、飾り衣装、携帯品、(武器・軍服以外の)装具

sword(名)剣、刀

body armour→body armor(名)(警官・兵士などの)防弾防刃チョッキ、ボディーアーマー

breast(名)胸

trappings(名)(複)装飾、アクセサリー

on(前)(動作の方向を表わして)〜に向かって、〜をめがけて ・go on a journey 旅行に出かける

far(形)長距離(時間)の ・a far journey 長い旅行

fare(自)(古)行く(=go)、旅をする

flood(名)(古)海、川、湖

sway(名)揺らぐ(揺れる)こと、振動

武器・甲冑、刀剣・銅甲にて、船舶が

かくも目もあやに飾られた有様を

聞き及んだためしはない。王の胸の上には、

共に海の涯へとはるばる漂い行くべき

数多の宝物が置かれていた。

(9)

Nalæs hī hine lǣssan lācum tēodan,

þēod-gestrēonum, þon þā dydon,

þe hine æt frumsceafte forð onsendon

ǣnne ofer ȳðe umbor-wesende.

This hoard was not less great than the gifts he had had

from those who at the outset had adventured him

over seas, alone, a small child.

this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)

hoard(名)(財宝・食料などの)貯蔵

not less 〜 than 〜 〜にまさるとも劣らない

great(形)(通例数量を表わす名詞を伴って)多数の、多量の、たくさんの

have(他)(〜を)得る、もらう、受ける

from(前)(送り主・発信人などを表わして)〜から(の) ・have A from B BからAを受ける

those(代)(指示代名詞)(whoなどの関係代名詞を伴って)(〜な)人々(⇔these)

who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)〜する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)

at(前)(時の一点を表わして)〜に 

outset(名)(the 〜)初め、発端 ・at the outset 最初に

adventure(他)(命・お金を)危険にさらす

sea(名)(しばしば複数形で/通例修飾語を伴って)波、波浪

alone(副)ひとりで、単独に(で)

small(形)幼い、年が若い

王が幼かりし頃、初めに彼をただ一人波路を越えて

流した者らがなしたのに決して劣ることなく、

家臣らは捧げ物、夥しき宝を

今は亡き王に供えまつったのである。

(10)

Þā gȳt hīe him āsetton segen gyldenne

hēah ofer hēafod, lēton holm beran,

gēafon on gār-secg; him wæs geōmor sefa,

murnende mōd. Men ne cunnon

secgan tō sōðe, sele-rǣdende,

hæleð under heofenum, hwā þǣæm hlæste onfēng.

High over head they hoisted and fixed

a gold signum; gave him to the flood,

let the seas take him, with sour hearts

and mourning mood. Men under heaven's

shifting skies, though skilled in counsel,

cannot say surely who unshipped that cargo.

high(副)高く

hoist(他)(〜を)(ひょいと)持ち上げる、かつぎ上げる

fix(他)(通例副詞句を伴って)(〜を)(〜に)取り付ける、据える

gold(形)金色の、黄金色

signum→sign(名)標識、標示、掲示

to(前)(行為・作用の対象を表わして)(間接目的語に相当する句を導いて)〜に ・give a to B AをBに与える

let(他)(容認・許可を表わして)(人・ものなどに)(〜)させる、(人・ものなどに)(〜することを)許す(+目+原形)

with(前)(様態の副詞句を導いて)〜を示して、〜して

sour(形)不機嫌な、気難しい

heart(名)(環状、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、感情

mourn(自)(死者・死・損失・不幸に対して)嘆く、悲しむ、哀悼する、弔う(=grieve)

mood(名)(一時的な)気分、機嫌

man(名)(通例複数形で)兵、水兵、下士官兵

shifting(形)移動する

skilled(形)熟練した、腕のいい(in)

in(前)(性質・能力・芸などの分野を限定して)〜において、〜が

counsel(名)助言、忠告

unship(他)(船荷などを)おろす、陸揚げする

cargo(名)貨物、積荷、船荷

家臣らはさらにまた、王の頭上高く

金糸の幟を押し立て、潮が遺骸を運ぶにまかせ、

亡骸を海原に託した。彼らの心は萎れ、

悲嘆に打ち沈んだ。広間に控える評定衆

天が下の丈夫たちは、何者がこの積荷を受け取るか、

正しく言い当てるすべを知らなかった。

(忍足欣四郎・訳)

【参考文献】

はじめて学ぶイギリス文学史神山妙子・編著(ミネルヴァ書房

イギリス文学の歴史』芹沢栄・著(開拓社)

吾輩は猫である (岩波文庫)夏目漱石・著

英文学者 夏目漱石亀井俊介・著(松柏社

イギリス文学史入門 (英語・英米文学入門シリーズ)川崎寿彦・著(研究社)

新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)

リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

リーダーズ・プラス』(研究社)

新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

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