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shakezoの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-01-04

データサイエンティストになりたい学生の為の就職先の選び方

 ここ半年でIT業界ではビッグデータというバズワードが一気に広がり、データ分析者の需要が急増しています。データサイエンティストは今後10年で最も魅力的な職業になるとも言われており、データ分析に携わる仕事に就きたいと考えている学生も以前よりは増えてきているのではないかと思います。

ビッグデータ、データサイエンティストデータマイニング機械学習などのキーワードが散りばめられた記事も連日のように投稿されていますが、新卒の学生がデータ分析の仕事に就くための方法について触れられているものはあまりないようです。IT業界で働いている人たちの間でも、正しい認知が進んでいない状況ですので、データ分析業界の構造を学生さんが理解することは難しいのではないかと思います。

私自身はデータ分析に携わって5年程度で、まだまだ初心者の域を脱していないぺーぺーですが、データマイナーになるためにどんなキャリアを積めばよいかについては主観的な部分も多いですが、過去の経験からある程度語ることができると思っています。B3,M1の方々は新年を迎えそろそろ本格的に活動を始められると思うので、少しでも就職先選定の際に参考になれば幸いです。

ちなみにタイトルでは興味を引くようにデータサイエンティストという言葉を使っていますが、今回の話はデータマイナーになるための就職先の選び方です。データサイエンティストの定義がはっきりしないので私自身はあまりこの言葉を好みません。ここでのデータマイナーの定義はデータマイニング技術を用いてデータから意味のある情報を引き出して、何かしらのアクションにつなげる仕事に関わる人というところでしょうか。


さてデータ分析にかかわる職種は大きく分けて以下の3タイプあります。

それぞれのタイプの特徴を図に纏めました。職種によって求められる資質・能力が違うので、自分の性格や興味によって選ぶと良いと思います。

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純粋な研究開発タイプは大企業の研究所などに所属している人達ですので、この職に就きたい場合は大手メーカや通信会社等の研究所に入るか、データ分析会社の研究開発部署に所属するのが一般的です。仕事内容は研究開発なのでサービスに直接活かす分析をするというよりは手法の開発がメインになります。アナリストタイプとエンジニアタイプはデータマイニング技術を用いて実務の分析を行う人達です。今回は後者の2タイプの仕事に就きたい人達の会社選びにフォーカスします。


さて、データ分析に関わる企業は大きく分けて2つあります。1つはBtoBビジネスを行なっている企業で他社のデータを分析する仕事。もう1つはBtoCビジネスを行なっている企業で自社のデータを分析する仕事です。BtoCはビジネス to コンシューマの略で、消費者に直接サービスや商品を提供する企業群です。例えば電機メーカやソーシャルゲーム会社やWebサービスを展開する会社はBtoCになります。一方BtoBはビジネスtoビジネスの略で、企業を顧客とする企業です。国内の多くの企業はBtoBで、わかりやすい例を挙げると材料メーカやSIerコンサルティング会社などが該当します。また、データ分析に関わる企業は、エンジニアタイプ主体の会社とエンジニアタイプとアナリストタイプを両方抱えている会社に分類できます。これを図解したのが下の図です。

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(1)の領域は大企業マーケティング部門や分析部門、大手ソーシャルゲーム企業(G,D社あたり)など、自社の商品・サービスの分析を行っている企業です。(2)の領域は他社の抱えているデータを分析するビジネスをしている企業です。自前の分析部隊を持っていない多くの企業は分析を行うときに(2)の領域の企業に仕事を発注します。またレコメンドエンジンやマイニングツールを保有しているのも(2)の企業です。(3)は主にWeb業界の企業やソーシャルゲーム企業です。(1)と似たような企業なのですが、データマイニング業務に携わる社員は機械学習データマイニングを使えるエンジニアが多く、アナリストタイプの人が少ないのが特徴です。(4)はここ最近のビッグデータブームに乗ってデータ分析サービスを開始しようとし)ているSIerです。この領域の特徴はHadoopなどのデータの処理系の基盤技術に力を入れているものの、その環境をつかって分析する人材がいません。また(4)に属する企業は経営層のデータ分析についてのリテラシーが低いため、データマイナーの職業特性を理解する文化も無いことが多く、データマイナーにとってはあまり居心地の良い企業ではありません。

もし新卒でデータマイナーになりたい人はどの領域の企業に入るべきか?と学生さんに聞かたら、できるだけ(1)か(2)の領域の会社に入りましょう。というのが私の回答になります。(1)、(2)の特徴はデータ分析のチームを持っている点です。もし皆さんがアナリストタイプのデータマイナーになりたいのであれば、上の領域に行くしかありません。下の領域の企業でキャリアを積んでなれるのはデータマイニングを理解しているエンジニアです。またアナリストタイプだけでは実際の運用やサービスが作れないためエンジニアタイプも抱えています。そのため、上の領域の企業であればアナリストタイプ、エンジニアタイプ両方を目指すことが可能です。ただし自分はエンジニアとしてやっていきたいと考えているのであれば(3)の企業も選択しては有りだと思います、また(3)に属する企業はこれから(1)の領域にシフトする可能性が高いです。


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(1)と(2)のどっちが良いのかについては、これは個人の趣向によります。動機の観点からは、一企業やクライアントのために尽くすということに意義を感じるのであれば(2)の領域、サービスを通して大衆に影響を与えたいなら(1)が良いと思います。キャリアの観点から言えば、(2)の企業郡で働くと多種多様なデータセットに触れることができる、(1)の企業では特定のデータセットを深く追求できるという違いがあります。自分の貢献したい業界や好きなデータがあるのであれば(1)が良いでしょうし、そうでなければ(2)のほうが可能性は広がります。(2)は仕事をするためにドメイン知識の勉強や新しいマイニング手法を使うことになることが多いので、新しいもの好きに向いてるかもしれませんが、受託特有のきつさもあります。


(1)、(2)の企業群をおすすめしてきましたが、選ぶときに気をつけるべき点として配属リスクがあります。当然ながらデータ分析部門がある会社に入社したとしても配属されなければ意味がありません。特に(1)の領域でWeb、ソーシャルゲーム業界以外の業界、例えば自動車、飲食、電力などの業界でデータ分析に関わりたい場合に注意が必要です。これらの企業でデータ分析に関われる人は、全社員の中でほんの一握りですし、実際まだまだ手探りの段階で、部署の規模も小さいことが多いです。学生時代からデータマイニングを学んでおり、職種別採用などで入社しない限り、入社後に希望の仕事につけるかはほぼ運次第になりがちです。(1)の領域でデータマイナーになりたいのであれば現段階ではWeb,IT業界以外に就職することはオススメしません。最終的に自動車業界や、飲食業界などでデータ分析の仕事をしたいのであれば次のステップを踏むことが現実的です。

STEP1. (2)のデータ分析部門に数年勤務してデータ分析の基礎を叩き込む

STEP2. 国内のデータ分析需要が増加するタイミングを見計らって(1)の領域の企業に転職する


データアナリストになるのに確実な方法は、データ分析を専門にしている(2)の領域の企業に入ることです。会社にもよりますが、大抵の場合(2)の企業は多様なクライアントを抱えています。そこでデータマイナーとして働くことで、多種多様なデータセットに対する分析経験を積むことが可能です。場合によっては目的の業界の仕事のデータ分析をする機会もあるでしょう。いま就職活動中の方が入社して数年働けばちょうど技術が身につく頃に各業界でデータマイナーの不足が本格化するのではないかと思います。その時に(1)の領域に移るか、(2)の領域に留まるかを検討しても遅くはありません。(2)を代表する企業としては有名どころだとブレインパッドやALBERTなどです。セミナーでトップの話を聞いたり、実際に務めている知人から話を聞いた限りでは、どちらも入社すればデータマイナーとしてのキャリアを積める環境だと思いますので検討しておいて損はしないと思います。


長々と書いてしましましたが、最後に簡単にまとめておきます。

  • Web、ソシャゲ業界で自社サービスに関わりたいデータマイナーになりたいなら(1)の企業へ
  • Web,ソシャゲ以外のBtoC企業でデータマイナーになりたいならまずは(2)の企業へ
  • 多種多様なデータセットを扱いたい、問題解決や分析すること自体に興味がある人は(2)の企業へ
  • 機械学習データマイニングに関わるエンジニアになりたいなら(1)、(2)、(3)の何処かへ

参考程度にお役立てください。