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ドキドキ上海日記 RSSフィード

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11月26日(日)【1DAY】レネット×メイリッシュコラボカフェ
何の前フリもなくこのお店の話題が出ることがあります。
ていうか、そればっかりです。

2018/02/21 (Wed)

しまりん

佐藤賢一『ラ・ミッション ―軍事顧問ブリュネ―』(文春文庫)

相変わらず佐藤賢一先生はネタを拾ってくる目の付けどころは抜群にイイのに肝心の小説はちっともうまくないという(笑)、いわば田中芳樹タイプの作家である。

ブリュネは以前から気になっててこの日記にも書いたことがある。

鈴木明『追跡 ―一枚の幕末写真―』(集英社文庫)

http://d.hatena.ne.jp/shanghai/20110521/book

そのブリュネを佐藤賢一が書く! なるほどやられた! と思ったのだが……。

これは確か『小説フランス革命』を読んだ時の感想だが今も評価は変わらないなぁ。

最初に書いた通りフランス人の視点から戊辰戦争の顛末を書く、ていう着想はいいんですよ、とても。ただプロットでいうとあまりにも英仏に寄りすぎて榎本も土方も書き込まれてないし、ブリュネを書くなら(上に挙げた過去エントリにも書いた通り)「軍を脱走して旧幕府軍に合流する決断をするところ」と、もう一つ彼らは結局、五稜郭の陥落前にフランスの船で函館を離れてるんだけどその部分を納得できるように書く、この二点がキモだろう。そこがイケてない。

まず、幕府寄りだったフランス全権公使ロッシュが更迭され、後任のウートレー公使は外交方針転換に伴いイギリスに追随し官軍側に接近する動きを見せる、みたいな外交の内幕が書かれる。ちなみにフランス人視点なので幕府は「タイクン政府」、明治新政府は「ミカド政府」、さらにフランス人はHが発音できないので横浜は「ヨコアマ」表記だし土方は「イジカタさん」と呼ばれる(笑。

これは当時の共通認識なんだけど幕府残党軍が「交戦団体」つまり日本の内戦において官軍と対等の勢力であると認められている限りは、国際法上は各国とも「局外中立」を守らねばならないので介入できないわけです。この局外中立がいつまで成立するか、いつ解除されるかというのが駆け引きになる。函館を制圧して北海道全体を支配下に置いた榎本の蝦夷共和国は改めて各国に政権を承認させ引き続き局外中立をキープしつつ、その中立国に明治政府との講和を仲介してもらおうという戦略なわけですが、結局この小説ではフランス本国およびウートレー公使の方針が明治政府寄りになってしまったのでブリュネら軍事顧問団と感情的な対立が生じ、その葛藤を書くのに終始している。ウートレーを必要以上に悪役に仕立てているのもまさにこの作者の悪いところが出てる感じ。ブリュネの脱走が遅れたのも局外中立を盾に公使に頭を押さえられてたからという感じになってるし、それもグダグダになって、一大決心の瞬間! みたいなクライマックスがない。

二点目の函館脱出についても、榎本の目標は最初から停戦講和であるからブリュネは母国フランスにその仲介を頼むべく不仲なウートレーに頭を下げるため函館を脱出する、という流れで、それはそれで自然ではあるけど一種の逃げだよなあ、と思った。しかも人質にとったブリュネの現地妻に手紙を書かせてまで出頭を強いたウートレーは最初から講和に手を貸すつもりなどなかった、という話で、全ての物語がこの小物の悪役と主人公の個人的な対立に収束してしまうのはどうなのか。あとこの時、ジッタロウこと田島応親もこの艦に同乗して函館を脱出したことになってるけどこれは史実なんだろうか。確認できず。

さらに、最後に無理なオチを付けるため、函館から横浜で上陸も許されずそのままサイゴンまで送還されたはずのブリュネが、艦長を説得して再度函館に寄港したという相当に不自然な展開になっている。

その前によかった部分も書いておくか。

フランスは陸軍国なのに旧幕府軍(榎本)の優位は海軍力にあり、逆に英国は海軍国なので新政府軍を支援するも陸戦がうまくない、という観点で書かれてるのは考えてなかった点で新鮮だった。それから函館に合流したフランス人が軍事顧問団の脱走組だけでなく香港に駐留してた艦隊からも来てたりするのは、蝦夷共和国が直接選挙(士官以上による入れ札)で元首を決めるという、この時点では相当に先進的な制度を実現したので、特に革命をやったフランス人にとっては革命の精神を真に体現した政府だというので人気があったとか。なるほどなあ。こういう西洋史の専門家らしい視点で蘊蓄を積み重ねるような小説の構築をやってほしいのに、なんで変な悪役を振ったりして済ませちゃうんだろ。勿体ない。

では以下大オチについてネタバレ。

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2018/01/30 (Tue)

刀使の巫女

石ノ森章太郎『ミラクルジャイアンツ童夢くん』

石ノ森章太郎デジタル大全で単行本が出てた! これが初の単行本化では?(未確認)

TVアニメ版は知られてますけど原作というかマンガ版は学研の学習誌『○年の学習』に連載されてました。つまり1〜6年の6誌に同時連載してたのでそれぞれ担当作家が違う。学年が上がると、ストーリーの進行はだいたい同じだけど描いてる作家が違う別の作品に切り替わるわけです。Wikipediaの情報が、昔はなかったんだけどいつの間にか充実していて、5年が石ノ森章太郎、そして6年がなんと桜多吾作だった。俺自身の記憶でも、5年から6年になった時のギャップが酷かった(笑。 メロディちゃんがすげえバタくさい顔でエロい身体になって困惑したよ! 当時は作者名なんて覚えてなかったしそもそも桜多吾作を知らなかったけど、後から知ってまあ納得。マジンガーの印象が強いけどもともと石ノ森プロ出身だったんですね。俺の記憶ではその前に読んでたのはちょっとスマートな絵柄で大人しい童夢だったイメージなんだけど石ノ森先生のは見るからにクソガキである(笑。 今見るとアニメのキャラデザもそれなりにこれを意識してるっぽいな。あと正確にはマンガ版のタイトルは『ミラクル・リトル・ジャイアンツ 童夢くん』だったと思うんだけどいつの間にかアニメのほうのタイトルで統一されたのか。そこはWikipediaでもフォローしてない。

昔の野球マンガって先行作品のネタを流用することに妙に寛容だったりして(野球に限らず大らかな時代だったつーこともあるだろうけど特に野球に顕著じゃね?)、『巨人の星』にしてからが『ちかいの魔球』の影響下にある。まあ少年マンガそのものが今よりはるかに定型的だったし、さらに同じ野球となるとパターン化も避けられないところか。童夢くんの下敷きになっているのは明らかに『リトル巨人くん』で、小学生がジャイアンツに入団して活躍するというネタがそのまんまである。もっと言うとリトル巨人くんの初出は小学館の学習誌『小学○年生』で、童夢くんの掲載誌とは競合といってよいのかな。印象としては学研のほうが教育色(?)がずっと強く、小学館のは俗っぽいイメージだが、実際どうかはよく知らん。ただリトル巨人くんの方が、のちコロコロに移籍してリブート(?)したので全体としては長期シリーズだが初出は童夢くんより10年以上前なので、ちょっと上の世代の人と話をすると童夢くんよりリトル巨人くんだったという人が多い。歳がバレる(笑。 上記の通り童夢くんマンガ版のタイトルに「リトル」が入ってたのはリトル巨人くんへのオマージュ的な意味の目配せだったのかもしれない。

ただリトル巨人くんは(ほとんど読んだことないけど知る限りでは)野球マンガ的な要素は薄く小学生ネタ(?)がメインだったので、内容的に童夢くんが参照しているのはむしろ『巨人の星』的な野球マンガの系譜である。魔球やキャラの立ったライバル選手、打たれると特訓して新魔球を編み出すなどの構造もそうだし、特にマンガ版では同じ小学生の藤谷学が女房役の捕手として登場し親友になるが、のち大洋ホエールズ(当時)にトレードされて打者として強敵になる流れは露骨に伴宙太である。しかも童夢くんの父親である新城夢人(やはり巨人の投手で81球完全試合を達成)が交通事故に遭いそうな子供を助けて身代わりになった、その時の子供が実はこの藤谷学だったというすごい因縁があった。

一方で小学生ネタというのは、童夢くんが21時以降登板できないとかそういうやつ。バント攻勢で体力を削りにくる敵の作戦とかもあった。

余談だが、↓こんなエピソードまでフォローしてるWikipediaの記事すごいな。

新城夢人の背番号「42」は、現実の巨人では、1968年の大隅正人投手(66に変更)→新浦壽夫投手の後、1997年にロッテから移籍したエリック・ヒルマン投手が付けるまでの間空き番となっていた(途中、1990年頃ドン・ベイラー臨時コーチがキャンプ期間中のみ着けていたことがあるが、正式に登録されたものではない)。その後外国人選手の背番号として使用されていたが、2017年からはDeNAからフリーエージェントで移籍した山口俊投手が、日本人選手としては49年ぶりに着用。

永久欠番ではないけどそれに匹敵するような伝説の投手として扱われている新城夢人の背番号として、使われてない比較的若い番号をうまく拾ったのか、球団側にも話は通してあったのかしら。背番号ってどれくらい空きがあるもんなのかよくわからんけど。ヒルマンが付けた時、仲間内のごく一部のヲタの間で話題になったのを覚えている(笑。 俺は現実のプロ野球にはあまり興味なかったのだが。

閑話休題、後楽園球場に代わって巨人の本拠地として開場したばかりだった東京ドームをフィーチャーしたのが童夢くんの独自色とはいえる。初期の魔球はドーム内の空調の気流とか天井を保護色にするとか、東京ドームの特徴を利用しておりドームでしか投げられないという設定だった。後期の魔球は完全に超能力(念動力)としか思えないものばかりでアレだった。広島に超能力者(テレパス)の敵キャラとかいたし。

と、実はここまで買ったマンガを読まずに書いた(笑。

読んでみるといろいろおかしい。話が2年目のシーズンから始まっているのである。Wikipediaの記事をみるとマンガは1988年8月号からスタートしているはずなのに5年の学習の石ノ森章太郎版だけ1989年4月号からとなっている(註によるとこの記述は逆にこの単行本が根拠)。'88年度はここに記載のない別の作家が描いていたのか、石ノ森先生が描いてたけど何らかの事情で未収録なのか、5年〜だけ掲載がなかったということはないはずなのでどちらかだと思われるが謎である。

というわけで'89年4月号掲載分から始まるこの単行本1巻は魔球2号ブーメランボールが登場済みで、それを攻略しにメロディちゃん(前年度に日米野球で登場済み)がアメリカから来て中日に入団するあたりから始まる。通天閣虎雄とかスノーミラージュボールのくだりが読めないのは残念。

さらに、2巻は'91年3月号までで終わっていて、次の年度も石ノ森版は(読者に合わせて6年の学習にスライドして)続いてるはずなのに単行本はここまで。話もシーズンオフに山籠もりしてる回で終わり。なんじゃこりゃ。やはりこの前後もあるけど未収録ってことなんだろうなあ。

ていうか、上に書いたように俺が記憶してるのは桜多吾作版と、おそらく4年のつはらよしあき版で、その間に読んでたはずの石ノ森版の記憶が全くない。今読むと石ノ森マンガ以外の何物でもないが、当時は石ノ森を意識はしてなかったにしろちょっとは記憶に残ってるシーンあってもよさそうなのになー。謎である。

まあポジティブに考えると、アニメ版の内容に相当するレインボースパークボール以降の展開はちゃんと把握してなかったので石ノ森版でしっかり読めたのは収穫だった。小学生向けの月刊誌連載という性質上か、各回の盛り上げ方とかはわりと大味だけど、むしろこれが石ノ森的なのか? 忍者の修行するところとか丸っきり石ノ森立川文庫の猿飛佐助だし、物干し竿バットのくだりで佐々木小次郎も出てくるし。老師みたいなキャラのもとで修行するというベタな展開をわりと安易にやっちゃうのも石ノ森チックである。

あと藤谷学を大洋にトレードする理由が、この年(90年)から大洋の監督になった須藤豊が前年まで巨人の二軍監督で、自分が育てた選手だから欲しかった、という話の流れになっていた。なんか考証のうまい時代小説みたいでいいな、これ。しかも両者の自立を促すため親友を一度敵にするのが藤田監督の意図ということになってる。

童夢くんが二軍に落ちると呂明賜がいる、とかプロ野球界の時事ネタも拾ってくる。チョイ役級の選手までちゃんと顔を似せて描いてるのも嬉しい。石ノ森章太郎による似顔絵と考えるとかなり貴重な仕事なんではないかこれ。野球好きだったのかな。嫌いならそもそもこんな仕事しないか(笑。

2018/01/25 (Thu)

姉弟子銀子ちゃん

子連れ狼

Kindleのクラシック漫画特集というセールで一冊100円になってたので全28巻まとめ買いしてしまった。

子連れ狼とは何か、から説明が必要かもしれない。

中学生の頃、カートみたいなやつに石灰粉を入れて転がして歩くとグラウンドに白線が引けるラインカーという器具があって、うちの中学ではそれに「大五郎」という名前がついていた。本体に大五郎と落書きしてあったのだと思う。ある時、担任が雑談で「なんであれ大五郎っていうか知ってる?」と訊くとクラスがシーンとなったので、俺が「“子連れ狼”ですか?」と言ったら「そうそう!」となったのだが、他には誰一人わかる者がおらず全員ドン引きでなんだこいつみたいな空気になった(いつものことだったがw)。

俺らの世代でも認知度はそんなもんだったので、今は知らない人のほうが多いと考えるべきか。

『子連れ狼』とは、小池一夫原作、小島剛夕作画の劇画である。TV時代劇や映画にも何度もなっているのでむしろそちらでよく知られているかも。日本のマンガがアメリカに紹介された最初期の例としても知られており、トム・ハンクスの映画『ロード・トゥ・パーディション』のプロットが子連れ狼のイタダキであることは有名である。閑話休題。主人公の浪人が乳母車(劇中では「箱車」)に乗せている子供の名前が大五郎。ラインカーが箱車を連想させるので誰かが洒落たものであろう。

小池一夫作品て『傷追い人』とか『クライングフリーマン』とかは読んだんですが子連れ狼ってちゃんと読んだことなくて、ドラマや映画もちゃんと観たことあるわけでもなくて、なぜ中学生の俺が知ってたのかというと「知っておくべきと思われる古典の名作」は最低限押さえるという今に通じるヲタ意識もあってなんとなく知ってたとしか言えないんですけど、そんな断片的な知識の中にたとえばアーケードゲーム版の『子連れ狼』というのがあって、箱車に機関銃が仕込んであって撃ちまくれるというギミックがありそれはドラマ版準拠の設定っぽかったので、いわば『必殺!』シリーズが池波正太郎の仕掛人・藤枝梅安から全くかけ離れてどんどんムチャクチャな殺し屋の演出にエスカレートしていったのと同じで、ドラマ版が悪ノリして「乳母車にマシンガン」をやらかしたんだろうと思っていた。ところがその設定が原作にもある(!)と知って小池先生すげえ!! と思ってた。あ、それも読む前の話。まあ原作のは「順発銃」という、単純に銃身を二段×十本くらい束ねただけみたいなやつで、これが江戸時代に少なくとも図面レベルでは実在してた(他の時代劇でも稀に見かける)と知って三度ビックリですよ。ドラマ版のは完全にガトリングガンみたいになってた気がするけど。

で、その『子連れ狼』を遂に読んだ。メッチャ読み応えあった。気分的にはほぼ一気読みしたけど何日もかかった。それはまあ普通か。しかし絵で見せるタイプの話だし、チャンバラアクションがメインなわけだからパラパラめくってればあっという間に読み終わる感じでもおかしくないジャンルなのに、全くそうではないのである。

俺の知る限り他の小池作品、上の『傷追い人』や『クライングフリーマン』も代表作に挙げられることもあるような作品だけど、それらと比べても全くレベルの違う傑作だと思った。すごい。俺の中で小池一夫という作家への評価も何段階も上がった感じ。山手樹一郎先生の内弟子をして時代小説家を目指してたというけど、ガチだったんだなと思いました。もちろん、主人公が子連れの浪人で殺し屋だとか、敵がいわゆる裏柳生だとかそういう部分は荒唐無稽だし、初期は明暦年間という記述が出てくるので普通に考えると将軍家綱の時代で、後半は将軍本人も出てくるんだけどあくまで実在の大物は人名を出さないようにフワッとした感じで書いてる(うまく曖昧にぼやかしている)。しかしそれらを支えるデティールの描写が、上記の順発銃みたいなキワモノっぽい設定まで含めて、すげえしっかり調べた上でフィクションのウソをつくため効果的に使われているのがわかる。脱帽した。極端に言うと、これは失礼な言い種だが小池先生はこの一作品で全てを出し切ってしまったのではないか? とすら思った。やばい。

もちろんストーリーテリングもすごい。「子連れで殺し屋」という無茶な設定も、一族を虐殺されて復讐のため刺客人になる際に、大五郎に侍の子として「刀を選ぶか玩具を選ぶか」を三歳児本人に自己決定させるシーンがあって、もし玩具を選んだら人の子としての幸せ=死んだ母の許に送ってやるつもりだったけど刀を取ったので「父子で冥府魔道に入る」=人の道も侍の道も捨てる、とその時点で決定していて、以後一切ブレてないんですね。子供を人質に取られても微塵も動じないし、何なら殺す相手に接近するため子供を囮に使う策とか最初からバンバン使ってくる。一藩丸ごと敵になったりとかどう考えても絶体絶命の危機に陥ることも何度もあるわけですが、「六道四生順逆の境は覚悟の上」なので全く動じることもないし判断もブレない。主人公に芯が通ってるので、どんなムチャな展開になっても不自然な行動だなーと感じさせないのが素晴らしい。このへんは「キャラを立てれば勝ち」という小池先生のキャラクター創作論の最も理想的な実例といえる。全28巻中、10巻までの第一部は基本的に一殺五百両の報酬で依頼されて人を斬る刺客人の話が一話完結で続き、およそこの設定で考えられるプロットのあらゆるパターンが網羅されているので読むと本当に勉強になる。主人公の拝一刀より息子の大五郎がメインになる話も多いし、40話目くらいで拝一刀が全く登場しない大五郎だけの回を描き切ったときはやった!と思った。

ただ、小池先生の教える創作論は「キャラクター論」に偏っているけれども、上に書いた通り俺は時代劇としてのベースを支える教養や考証的な裏付けの部分に凄みを感じたので、そういうことは弟子に教えないのかなーと思った。ただでさえ本格的な時代劇って失われつつあるジャンルなわけで、その技術論の精髄を伝えられる貴重なレジェンドなのに。まあそこは極論「歴史を勉強しろ」で終わっちゃう話だし今の時代には合わないということなのかな。とか思ってたら最近は「時代劇 夜ばなしの会」というのも講義するそうで、その方面も考えておられるのかしら。人格的には、というか世俗的にはあまり芳しくない評判も聞こえてくる小池先生ではあるが(真偽は知らん)、劇画村塾も含め創作論の実績は間違いなく本物であるから今回もその成果に期待したい。って俺はどの立ち位置で論じてるのかよくわからんが。閑話休題。

話を戻すと、10巻で一度、柳生との決戦があるも水入りになって勝負つかず(ここで例の順発銃は失われて以後出てこない)、第二部は「柳生封廻状」なる密書を巡る柳生からの刺客との暗闘という流れができ、これはもちろん五味康祐の柳生武芸帖を下敷きにしてるんだろうけど、結局何だか分からなかった柳生武芸帖と違って最終的にちゃんと謎解きをやってるのも素晴らしい。しかしここからが長い。封廻状の謎を解いた拝一刀が柳生との最終決戦のため江戸に入ったあたりからがいわば最終章だが、裏柳生の刺客と戦う流れだった第二部とも違って、ラスボス柳生烈堂と一対一の戦いになるとこれがバビル二世VSヨミみたいな感じで何度も戦って決着つかないという引っぱり方もまた巧い(笑。 さらに両者は剣客として武士として敵同士ではあるがどこか通じ合っているという感じになってくるので、そこへ第三項として公儀御唇役(将軍家の毒味役)・阿部頼母という、全く武士らしくない悪役がアンチテーゼとして出てくるのだが、こいつが意外と面白いキャラになったのでおそらく予定外に長く引っぱって重要な役になったのだな、と伝わってくるのもいい(笑。 第一部、第二部、第三部と(後者は便宜上勝手にそう呼んでるだけだが)話の構造が変わり、それぞれ実にうまくできているので三度おいしいという、まさに必読の書であろう。

以下、今さらだが結末についてネタバレ。

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2018/01/20 (Sat)

高木さんガールズ

『ガールズ&パンツァー最終章 第1話』

やっと観た。バルト9。7.1chだった。以下ネタバレ。

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2018/01/16 (Tue)

ナナシ『イジらないで、長瀞さん』(マガジンポケット)

https://pocket.shonenmagazine.com/episode/13932016480029136187

たぶんマガポケの連載が始まった時にコミックナタリーの記事になったのを読んで、Pinga経由でチェックしていた。

ドS女子が気弱な先輩をひたすら攻める「イジらないで、長瀞さん」マガポケで

https://natalie.mu/comic/news/255756

よく読むとこの記事に既に、

本作は、ナナシが自身のpixivで公開していた作品だ。

と書いてある。

それを知らんかったのでですね、最新話を読んでたら長瀞さんが友達から「ハヤっち」と呼ばれてる描写があって、今まで下の名前が出てないのに、その名前を捩ったと思しき愛称で呼ばれるというのはかなりハイコンテキストな演出であり、このマンガにはあまり似つかわしくない表現ではないか? と、理屈でいえばそんな風な違和感を覚えた。あるいは名前が既出だったのを読み逃したか忘れてたか、と思って調べてたら、原形になった一連のpixiv投稿があったのを知った次第。

イジらないで、長瀞さん とは【ピクシブ百科事典】

https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7%E3%80%81%E9%95%B7%E7%80%9E%E3%81%95%E3%82%93

2011年に774氏が投稿し、衝撃を巻き起こしたオリジナルキャラクター長瀞さん。

ドMの先輩とドSの後輩という強烈なカップルのラブラブバイオレンスな風景は瞬く間に人気を獲得し、その後pixivでシリーズ投稿され大きな反響が有ったが、それから6年後の2017年、講談社の漫画配信アプリマガジンポケットで、まさかの商業化

そんな昔からやってたんかい!

長瀞さん とは【ピクシブ百科事典】

https://dic.pixiv.net/a/%E9%95%B7%E7%80%9E%E3%81%95%E3%82%93

pixivユーザーの774氏によるオリジナルキャラクター。フルネームは長瀞 早瀬(ながとろ はやせ)。ドSキャラで、「99%のツンと1%のデレ」な性格。

というわけで名前も確認できた。pixiv版はまだ見てない。これからチェックしよう。

つーか、774先生て永遠娘に描いてた人じゃん。知ってるよ。マガポケでは「ナナシ」名義だから気づかなかった。絵柄というか線の質感なんかもだいぶ違う気がする。ちなみに永遠娘・壱では吸血鬼を描いてた(笑。

f:id:shanghai:20180116213039p:image:w360

ジャレて突き飛ばしたセンパイが軽く吹っ飛んでしまい引く長瀞さん。

2018/01/12 (Fri)

ゆるキャン△

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(Violet Snow)

これ、原作は京アニ大賞の小説(KAエスマ文庫刊)で、『Free!』とか『境界の彼方』と同じく何年も前に原作のCMでショートアニメが作られてましたよね。京アニ大賞およびKAエスマ文庫については別のところに書いたことがある。同期の入選作の中でも最後のアニメ化って感じですか。他意はないですが。

で、その原作CMでも使われてた『Violet Snow』という曲がわりと印象的で、今回のアニメのPVでも流れてるんですけど、何年も前からある曲なんだからとっくに音源リリースされてるかと思ったらされてない。3月28日発売のボーカルアルバムタイトル未定に各バージョンが収録される模様。

D

しかしこれ、結城アイラが歌ってるのが「原曲Ver.」と表記されているけど、おそらく初出であろう原作CMはこのバージョンじゃなかったと思うんだよねえ。Kate Higgins の英語バージョンだろうか。これでもなかった気がするんだが、なにぶん数年前の記憶なので自信がない。

と、ここまで書いてから調べたら原作の公式サイトにあった。

D

Kate Higgins バージョンで間違いなさそうね。こっちは2コーラス目だし、同じテイクではなさそうだけど。数年前って言うたけど刊行が2015年末でこのCMもその頃か。思ったほど前じゃなかった。

ていうかこの曲、主題歌でもないし本編でも(第1話)使われてないんだが。使えよ!

(追記)コメントで指摘いただいた通り、どちらもボーカルは結城アイラの別録バージョンだそうです。何度か聴いてみたくらいでいい加減なことを書いて申し訳ございません。てかボーカル違いすら聴き分けられないとはお恥ずかしい次第。

2018/01/04 (Thu)

終末

Komiflo

https://komiflo.com/

月額980円で対象のエロマンガ誌読み放題のサービス。この話は旧年中に書こうと思ってたんですがズレ込んでしまい新年一発目の更新がエロマンガの話になってしまいました。

対象はワニマガジンから快楽天、失楽天、快楽天Beast、X-EROS、コアマガジンからホットミルクというラインナップで、わりとメジャーどころド真ん中が揃ってるのでヘタするとこれだけで十分じゃね? という感じなんですが、個人的にはGOTのアンスリウムE×Eはチェックしておきたいし茜新社のコミック高と一応LOも、できればコアマガジンからはコミックメガストアαも入れといてほしかったし、あとはBAVELは文苑堂で真激の版元はクロエ出版というのか。今まで認識してなかった。他に特定作家のチェックのためにペンギンクラブ山賊版 (富士美出版)とか夢幻転生(ティーアイネット)まで見なきゃならん場合もあってですね、何が言いたいのかというと、そんなに追い切れないし紙の雑誌なんか大量に買いたくないから電子版で読みたいんだけどエロの分野ではKindleがあからさまに弱くて、配信が何ヶ月も遅れたりそもそもKindle版がなかったりそれどころか紙のもAmazonで扱ってもらえなかったり、最初から電子版何それ?って雑誌もあるし、非常に悩ましいわけです。

そんなわけでKomiflo試してみたらわりとよかったのでそのまま利用し続けてるんですが、

https://komiflo.com/about

各雑誌の最新号を発売日に配信!

X-EROS、HOTMILKは発売日より数日間程、配信までにお時間を頂く可能性がございます。

なぜかX-EROSとホットミルクに限り配信が数日遅れることになっていてですね、これは一説によると局部の描写における修正基準が媒体によって異なるからだということで、Kindle版の配信が遅いやつも同じ理由らしい。正直そこはあまり気にしたことがなかったのだが「消し」が違ってるのね。

それはいいんだけど12月28日発売のホットミルクが1月4日現在まだ配信されてないんですよ。その修正の実作業をどのパートの誰がやってるのか知らんけど、普通に年末年始の休みに入ってしまったのだろうと理解はできる。でも去年の雑誌は年内に配信しといてほしかったな!

というのもホットミルク2月号には、12月号に載ったえいとまん先生の将棋もの『鬼手』の後編が載ってるはずだからで、前編を読んで以下のツイートしたら先生ご本人に捕捉されてしまったという経緯がありまして(笑。

後編も見届けねばなるまい。

ところでKomifloって「最新号+1年間のバックナンバーを配信」てことになってるんだけど、つまり一年経つと読めなくなってしまうのもネック。まあ月額サービスだから文句を言う筋でもないんだけど、俺ふつうに一年以上前のエロマンガに言及したりするし、そんな時に読み直して確認できないと困る。やはり電子書籍としての配信をもっと進めてもらわんとなあ。本当はKindleに統一してほしいんだがAmazon側の政治的な問題もあって難しそうだし、そこでエロに関してはDMMが頑張ってくれてるとは思うが十分でないというか、実は個人的にDMMのビューワ苦手であまり利用してないのだった。

2017/12/29 (Fri)

ドS

コミケでバットを買う

夏冬通じてコミケ一日目参加は久しぶりな気がする。

バットを買いに行ってきた。

リトルバスターズ! 10th Memorialバット

価格:10,000円(税込)

リトルバスターズ!10周年を記念したメモリアルバットです。

プロ野球のバットを製作する職人が手がけた1本です。

素材:ヤチタモ(軟式用 木製)

公式がこんなネタ振ってきたらユーザーとして応えざるをえまい。

限定100本だそうです(笑。

スマホの外カメラの調子が悪くてうまく撮れんかった。

他にも「Key迷言かるた」はリトバスの葉留佳(他2キャラ)の声で読み上げるCDが付くというので是非とも欲しかったのだが最初に売り切れてしまった。あとこれは再販だがリトバスアートブックも完売。あやうくバットだけ買うことになるところだったが(笑)、だーまえの新ユニット Satsubatsu Kids のアルバムは買えた。

2017/12/22 (Fri)

ガタリズ

『アルスラーン戦記』完結

光文社のノベルスになってから電子版がないから最後まで紙でつき合ってしまったわい。

わりと予想した終わり方と違ったので、物語全体の印象も変わったというか、コミカライズ連載中の荒川弘先生はハシゴを外された感じではないかと思う(笑。 いやまだ先だろうから軌道修正は利くのか。読んでないけどまだやってるんだよね?

アルスラーン戦記の構成は当初、第一部7巻、第二部7巻の全14巻とされていて、銀英伝をきっちり全10巻で終わらせた田中先生のことだから、たとえ実際に書くのに30年以上かかるとしても(笑)シリーズ構成は出来上がってるんだろうと思ってたら結果は全16巻に。角川文庫と二段組のカッパノベルスとじゃ一巻あたりの長さが全然違うだろうしどこかのタイミングで構成やり直したんだろうな。予告されてたタイトルの一つ『蛇王再臨』の時点で出てくるタイミングが違ってたし。そのへんは今後のインタビューなどを待ちたい。もう出てる?

以下ネタバレ。

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2017/12/15 (Fri)

the pillows / RETURN TO THIRD MOVEMENT! vol.1

http://pillows.jp/2017rt01/

於、Zepp DiverCity

“第3期”序盤の1997年発売 5th album『Please Mr.Lostman』と1998年発売 6th album『LITTLE BUSTERS』の2枚のアルバム収録曲全曲で構成されるライブツアー!

ベースは有江嘉典

Zeppダイバーシティ初めてだったんでどこだっけと思ったらZepp東京のすぐ近くっつーか同じ東京テレポート駅の反対側みたいな感じなのね。このへんの地理全然わかってない。

さわおは以前から、「レコ発ツアーはどうしてもニューアルバムの曲中心になるけど古い曲にも思い入れあるからもっとやりたい。自分が二人いれば両方やるんだけど」みたいなこと言うてて、活動再開以後は安定して長期活動を続けるために何かしら刺激になることを取り入れるという方針なのでこういう試みも出てきたんだろう。とか思ってたら今日のタイミングで vol.2 も発表されてた。今度は『RUNNERS HIGH』と『HAPPY BIVOUAC』の全曲ライブだそうな。

特にライブでやることが少ない曲として "SUICIDE DIVING" と "THAT HOUSE" を挙げていた。「ほとんどの人は聴くの初めてなんじゃないかな?」と。後者は最初のアルバムツアーの途中でもうやらなくなったとか。当時二十代で不遇だったさわおの鬱屈した自意識が出てる曲が多いと本人もさんざんネタにしていたが、その中でも最右翼といえる "Black Sheep" は「全国で聴いてもらって気が済んだ」から「もうやらなくていいだろw 他にいい曲いっぱいあるよ!」とのこと。

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ユニコーンガンダムがいた。先代のRX-78を見に行ったのは2009年の潮風公園の時だったからここじゃなかったんだな。

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帰りは青くなってた。