八重洲・神田達磨「薄皮たいやき」

きのうの朝はご飯を炊くのを忘れて、家を出てきてしまった。
帰ってから炊くのもめんどくさい。なにか食べて帰ろうと思う。
けれどもきょうが給料日で、財布のなかはちょっと言えない状況。
職場のある丸の内南口、有楽町に出てどこか安いところ、
とも考えたが、今日は八重洲まで足を延ばすことにした。

東京駅は今、復原作業中。以前の建物があったところには
囲いが出来ていて、それ沿いに丸の内北口まで歩いて
八重洲北口へ出る自由通路へ。10分ちょっとかかった。

着いた八重洲は丸の内とちがってお父さんの街。
そのせいか、やたらゴルフ屋が目立つ。路地もあり、
飲み屋だけじゃない、鰻やそば、中華料理、イタメシなど、
多種雑多な食い物屋がお父さんたちの食欲を満たすため
シノギを削っている。それでもケバケバしく数字が踊っているチェーン店の
居酒屋がないだけでも、ちょっとはほっとした気分になる。

結局、松屋牛めし並をかき込んだあと、隣にたい焼き屋があるのを見つけた。
早速一匹注文。このたい焼き、巷では「羽根付きたい焼き」というそうだ。

羽根のように広がった衣のバリもいっしょに戴く。

餡は粒餡というものの、あまりそうは感じず、こし餡といってもいいぐらい。
焼きたてで、しかもその名のとおり、薄皮で包まれたほんのり温かい甘さは、
春が近いこの夜には、ぴったりのデザートだった。