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2016-11-09 予想外の大統領 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

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ま。これはともかく。

まさかトランプが大統領になるとは思いませんでした。
事前の予想でも、クリントン優勢が伝えられていました。 これによれば、クリントンが堅い地盤を前提にすれば、フロリダノースカロライナネバダニューハンプシャーの全てでトランプが勝って初めて大逆転、ということでしたが(図1)、現実の選挙では、ライブでクリントンが優勢になった瞬間は一度もなく、トランプ大統領が決まりました。

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図1 2016年大統領選 事前予想
[出所] FiveThirtyEight 
日本時間2016年11月09日昼時点。


選挙後にアメリカ選挙区を郡単位で眺めると、中西部どころか実は全米がトランプの赤に染まっていたことがわかります。(図2)
事後講釈的には全米に「隠れトランプ」が多数いたためとされています。*1

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図2 大統領選 選挙結果 (郡レベル)
[出所]election 2016 live results

この郡レベルの選挙結果は、英国でのEU離脱時の離脱派の分布を彷彿とさせるものですね。(図3)

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図3 英国でのEU離脱派の分布
EU残留派が多数派という事前予想を裏切り、反連邦主義スコットランドを除けば、
残留派は殆どロンドン周辺部に限られた。


「次期大統領ドナルド・トランプ」と報じられた直後の本日の日経平均株価は1000円に迫る下げでした。

ただ現実の政治の世界を考えると、ウォール街などの支援を受けて1%のための政治を続けるであろうクリントンの従来型政治から大きく舵を切って、米国中産階級から支持を受けたトランプは、意外と中産階級を厚くする「善政」をしく可能性もありそうです。*2

同時に日本との関係もまた大きく変わるのではないでしょうか。

駐留米軍は抑制される可能性が出てきましたし、日本がロシアと友好を深めることにも抵抗がないということも考えられます。
貿易でもTPP締結についてはトランプは公約通り拒絶するし、日中から貿易では被害を受けていると思っているトランプは保護貿易主義をとる可能性も高くなりました。

日本政府は従来通りに「米国の第51番目の州」として金魚のフンのように米国に盲従することにためらわれる局面も出てくるでしょう。

といったことで、筆者としては、冒頭の「格言」*3とは異なり、トランプが大統領に決まったことは米国内のみならず、日本にとっても好ましい結果になるのではと期待しています。

*1:某IT大企業ではトランプ支持と表明したらクビの雰囲気だったとか

*2:可能性といってもprobability(蓋然性)ではなく まだpossibilityの方ですが

*3:単にダダ滑りギャグです

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/11/10 18:45 中国はバブル崩壊、ロシアも財政がやばい、アメリカも世界の警察やめるとか混沌すぎて笑えないですね・・・

2016-11-05 日銀首脳と巷間リフレ派はドングリの(以下自粛) このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

一月ほど前ですが、週刊文春日銀岩田規久男総裁の本音(?)を日銀関係者が語ったという記事が載っていました。

THIS WEEK週刊文春
量から金利へ回帰 リフレ派終焉で岩田副総裁の変節 2016.10.01 07:02

辞任も覚悟と公言していた岩田氏だが…
 日本銀行は9月21日の金融政策決定会合で、2013年4月から続く異次元緩和の戦略を修正した。市場に流すお金の量を年80兆円ずつ増やす目標をなくし、長期金利を「0%程度」とする目標に置き換えたのだ。

「そもそも日銀異次元緩和は、デフレからの脱却をめざし、お金の『量』さえ増やせば物価が上がると唱えた『リフレ派』の考えを採り入れてスタートしたもの。今度の修正策はそうしたリフレ派の主張を否定して追いやり、伝統的な金利政策に回帰する色彩が強い」(経済部記者)

この文春経済部記者の見方は鋭いですね。 
「これからは、イールドカーブコントロール(YCC)だ」
と新金融政策を打ち出したかにみえましたが、内実は量から金利への回帰ということになります。

その上、日銀が直接コントロールできる短期金利以外に、市場が決めるはずの長期金利までもコントロールすると宣言したことにより、速水総裁時代の日銀内でリフレ政策を孤軍奮闘唱えた中原伸之からさえ、「イールドカーブを国家管理の下に置くのは戦時下と同じ発想」と斬って捨てられる始末です。*1

さて、先の文春記事に戻ってみましょう。

 長らく異端扱いだったリフレ派が台頭したのは、2012年12月。政権奪回を果たした安倍晋三首相が「大胆な金融緩和」を日銀に迫ったのが始まりだ。リフレ派に近い元財務官黒田東彦氏が総裁リフレ派の筆頭だった学習院大教授の岩田規久男氏が副総裁に送り込まれ、日銀リフレ派の占領下におかれた。

 だが、リフレ派に従った金融緩和策の成果は出なかった。初期こそ円安誘導で輸入品は値上がりしたが、景気は回復せず、円安が一服すると物価も前年比で下落に転じる。金融緩和頼みの限界が見え、黒田総裁は豹変する。

「今年1月のマイナス金利導入でいち早く宗旨替えした黒田総裁はダメとわかれば固執しないタイプ。一方、岩田副総裁はこだわりが強いと見られていたが、最近は『巷のリフレ派は分かってない』などと言い始めて主張を転換。共通するのは自分の責任は認めないこと」(日銀関係者)

岩田副総裁のいう、『巷のリフレ派』とは、誰の、どのような言説を指すのかが不明ですが、リフレ派の理論的支柱であるはずの岩田規久男氏が自らの信者を切り捨てたのだとしたら、リフレ派もおしまいではないでしょうか。 

ちなみに、量的緩和は無意味と主張しているこの私も、「リフレ派」をデフレ脱却が必要だとする人々とする緩い定義ならば、いまもって私もまた岩田規久男氏にdisられている広義『巷リフレ派』()なのかもしれません。

それはともかく、文春記事ではさらに。

 かくしてリフレ派は敗北を喫し、日本経済を使った「壮大な実験」と呼ばれた異次元緩和は、「量」から「金利」重視へ回帰したのだ。しかし、安倍首相を後ろ盾とする前内閣官房参与本田悦朗・駐スイス大使日銀外のリフレ派は怒り心頭だ。

日銀政策修正には『緩和はもう十分。あとは政府構造改革規制緩和の問題』とのメッセージも含まれる。『もっとお金の量を増やせ』『まだまだ増やせる』が持論のリフレ派にとっては面白いはずがなく、このまま引き下がるとは思えない」(前出・経済部記者)

 今後も政府日銀は蜜月を続けられるのか。残り1年半の黒田総裁の任期はそこが焦点になる。


この文春記事は、リフレ批判に終始し、結局実際にどうやったらデフレ脱却が可能かには触れられずに終わっています。

また、記事中登場する岩田規久男氏といい、本田悦朗氏といい、第一の矢・金融政策と第三の矢・構造改革には関心があっても、第二の矢・財政政策には言及されていません。

ただ実際の消費者物価の動きをみれば(図表1;引用元楽天証券)、消費税という負の財政政策を実施した途端に物価が下がり始めたことは誰の目にも明らかでしょう。

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図表1 アベノミクス期の物価推移
[出所]総務省物価指数より楽天証券作成

負の財政政策物価に直ちに効く(ただしマイナス方向に)、となれば消費税廃止を含む正の財政出動デフレに効かない理由はないでしょう。

ところが、デフレ脱却の責任を負う当の黒田・日銀総裁は、消費税を上げるかどうかの分岐点となった13年8月の消費増税の集中点検会合の席上、次のように強く主張しました

黒田総裁消費税先送りは「どえらいリスク」 点検会合で発言 2013/9/7付 日経電子版
 内閣府は6日、8月30日に開いた消費増税の集中点検会合の議事要旨を公表した。日銀黒田東彦総裁が、増税を先送りして金利が急騰するリスクについて「万が一そういうことが起こった場合の対応は限られる」と発言し、予定通りの税率引き上げを求めていた。

 ただ内閣府が内部でまとめた詳しい議事録によると、黒田総裁金利急騰の危険性に触れ「確率は低いかもしれないが、起こったらどえらいことになって対応できないというリスクを冒すのか」と、政府側に予定通りの増税を強く迫った。

 黒田総裁国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率について現在の約220%から「250%でも大丈夫かもしれない。(しかし)300%でも、500%でも、1000%でも(大丈夫か)といったら、それはあり得ない。どこかでぼきっと折れる。折れたときは政府日銀も対応できない」と発言。「中央銀行として脅かすつもりは全くないが、リスクを考えておかないと大変だ」と述べた。

 内閣府が公表した議事要旨ではこうした発言を修正・削除している。

この発言により、安倍政権消費税増税に導いておきながら、実際消費税を上げた結果のデフレ逆戻りにも、消費低迷にも無視し、更には14年11月と今年6月に増税延期されても金利急騰どころかマイナス金利が定着していることにもホッカムリを通しています。 

現在の日銀黒田東彦岩田規久男体制になって早くも3年半。 その間物価消費税増税までは多少上がり、その後は右肩下がりで現在に至っています。 日銀では先日、もう何度目かも判然としないインフレ率2%達成時期の先送りを発表しました。 その間皆が忘れている間も日銀国債買い入れは続いており、効果不明の長短金利調節も始まりました。

もうそろそろ、日銀の中も巷間リフレ派も、この3年半で結果的に効果がはっきりしてきた第ように「二の矢、正の財政政策デフレ脱却」という簡単な結論に到達しても良い頃ではないでしょうか。

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/11/06 13:53 いい加減さっさと減税して財政出動してほしいですね・・・。
安倍首相は今度3選して政権を9年握ってもぎりぎりデフレ脱却できるぐらいの時間しかなさそうですね。出生率1.8やら待機児童介護離職ゼロも政府支出増やせば達成できそうなのにやらないのが本当に問題だと思いますよ

hat_24ckghat_24ckg 2016/11/06 20:33 財政再建派はつける薬がないとして、社会保障を強化したい勢力は財務省お決まりの「財源がない」に対して「国債増発で賄え」と迫るべきです。なぜ大人しく引き下がってしまうのか。

2016-10-23 今更ですが、消費税増税は何のため? このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 今更ながらの話にはなるのですが、消費税増税されたのは一体何のためだったでしょう。

政府財務省マスコミ、そして国民の大多数も「消費税増税分の使途は社会保障財源に決まってます。」というのでしょうね。 確かに自民公明民主の三党合意、正しくは税と社会保障の一体改革に関する三党合意では社会保障の安定財源と明記されています。

問題はお金には色がついていないことです。 本当に消費税増税分が社会保障費に充てられているのかは、自分の頭で一度整理してみる必要があります。

 私たち個人の立場で考えてみると、消費税は8%に増税されて確実にサイフから多く出ていくことになりました。 ところが安倍内閣では、社会保障の「自然増」を1.3兆円削減、公的年金もこの間3.4%削減されました。

不思議な話ですよね。社会保障費に回されるはずの税が増えたのに、国民に戻ってくる社会保障費は確実に減額されているのですから。 

 f:id:shavetail1:20161023165706j:image:w200:right では、増税された消費税は実際のところ、何に使われているのでしょうか。 右の図は実際の消費税の使途を政府広報説明通りに図示したものです。*1

消費税増税で増加した5兆円のうち、1割に相当する0.5兆円こそ、子育て支援など文字通りの社会保障充実に充てられるわけですが、残りの9割方は「基礎年金国庫負担」「安定財源確保」が使途になっています。これら、基礎年金国庫負担、安定財源確保という部分は国民に新たに分配されるものではありません。 これまで国債で賄われていたものを消費税で置き換えたわけです。

国債で賄われていたものを、税で置き換える。
これは何を意味するのでしょうか。

ある消費により支払われた消費税は、それを預かり支払い義務が生じた企業の銀行預金から政府預金に振り替えられます。
その政府預金が、国債の代わりに使われる、ということは、要するに、国債は家計の預金量とは無関係に発行可能 - シェイブテイル日記 国債は家計の預金量とは無関係に発行可能 - シェイブテイル日記 でご紹介した、市中消化した国債による財政出動逆回転ということになります。 

ということは、消費税増税分の使途とは、1割が社会保障の充実、9割は負の財政出動ということですね。

そうすると、安倍内閣が主導する「失われた30年」 - シェイブテイル日記 安倍内閣が主導する「失われた30年」 - シェイブテイル日記 でみましたように、日本は元々世界の先進国で最も財政出動をせず、その結果、最も名目GDP成長率が伸びない国だったのに、消費税増税はこれに追い打ちをかけるように、名目GDPの抑制策というだけであり、「社会保障の充実」のための消費税増税というのは絵に描いた餅、もっとはっきりいえばウソ、ということです。

アベノミクスデフレ脱却を掲げ、第一の矢では総額400兆円を超すほどのマネタリーベース(殆どは日銀と金融機関の間を行き来するおカネ)を積み上げながら、最近ではコアコアCPIもマイナス圏に転じ、黒田日銀総裁も自分自身の任期一杯までのデフレ脱却を曖昧にするところまで見解が後退しています。

ではなぜ、財務省は日本経済潰しにしかならない消費税増税を、こうした国民に対するダマシ打ちで強行しているのでしょうか。
ここが私もよく理解しかねる点でしたが、元財務省出身の高橋洋一氏はこの点に明確に答えを出しています。

”歳出権は予算上の歳入がポイント、これが増えれば予算編成がら楽になりかつZは各省からありがたがられる。予算上の歳入を増やすには増税が手っ取り早い。経済成長で増えるのは決算上の歳入だが、これでは歳出権は大きくならない。*2

財務省の役人に本音を語ってもらえば、
「歳出権という省益増大のためというが消費税存在意義であり、その消費税により日本経済が半潰れになろうが知ったことではない。社会保障のための消費税などという虚構に騙される国民が悪い。」
ということになるのでしょうか。

*1:図の出所はこちら

*2Twitter2016.10.23

DYODYO 2016/10/24 20:24 いわゆるただの官僚制の逆機能でしょうねw
官僚制が硬直的で同じ間違いを何度も繰り返すというのは社会学的には語り尽くされたのではw

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/29 17:38 始めまして、あなたのブログを少し覗いて興味を持ったのでコメントさせていただきます。此度の28兆円の財政出動に関してはどういう意見を持たれていますか?また1月に与党が解散するというニュースがありますが、その際にどういった政策を持って解散に踏み切ると思われていますか?

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/29 17:53 この際私はもう減税を選挙の公約として推してもらいたいのですが、それは不可能に近いと思っているのでどのように動きそうですかね・・・
累進課税の強化、や格差是正の資産課税を行ってもらいたいのですが・・・。

shavetail1shavetail1 2016/10/29 17:58 初めまして、こ↑こ↓さま

財政出動28兆円の評価はなかなか自分で解釈するのは難しいですね。 私が財政政策の分析で自分より信頼を置いている「経済を良くするってどうすれば」氏は、 ”28兆円の経済対策が決定されたが、確実なのは、補正予算が前年度より0.7兆円増えるということだけで、あとは、前年度との比較で、本当に需要を増加させるものなのかは不透明である。”としています。 
http://blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba/e/4fd9883eb07b6e72104b2497bf83173f

日本の財政は本当に財務省の玩具にされているといっても過言ではなく、一般会計と特別会計、更に日銀まで巻き込んで一般人どころか、予算を審議する国会議員にも分かりにくい構造にしています。

それから、解散の話については、野党第一党から緊縮財政を訴えて自爆しようとしていて、他党もこれに選挙協力するとなれば、普通に戦えば、さらなる与党躍進は初めから決っているようなものではないでしょうか。

ただ、政策の自由度が高いので調子に乗って、改憲にまで踏み込めばさすがに大敗する可能性が出てくるでしょうか。
そうなれば、まともな選択肢を封じられた国民は悲惨な洗濯を迫られることになるかもしれません。

それから、累進課税は消費懲罰税である消費税よりははるかにマシですね。 ただ累進課税を与党が掲げても財務省は既得権益の消費税8%を手放すとも思えません。 となると、国民全体からみれば、さらなる緊縮策ということになる可能性もありますね。

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/29 18:58 蓮舫の二重国籍問題というカードがあるとはいえ、小泉内閣と国民が支持したように今度もまた国民が野党の緊縮財政に乗る失態を起こさないとも取れないのが怖い所ですね あと国土強靭化計画についてはどう思っていらっしゃるのでしょうか?

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/29 22:12 小泉内閣を支持したように今度もまた国民が与野党の緊縮財政の賛同する失態を起こさないとも取れないのが怖い所ですねでした 訂正します

shavetail1shavetail1 2016/10/29 23:16 結論からいえば、強靭化計画賛成派です。
財政出動が公共投資に偏っているという点では諸手を挙げて賛成とまでは言えませんけれど、緊縮派が多い安倍政権の周辺では藤井先生の主張が一番まともです。また、二階氏という自民党有力者の理論的支柱にもなっていますし、近い将来に日本が緊縮財政から拡張財政に転換することがあるとしたら、国土強靭化が突破口になる可能性が一番大きいんじゃないでしょうか。

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/30 13:05 ご返答ありがとうございます。
私も予算が偏っているとは思っていますが老朽化したインフラを建て直すことと需要を生むためにはいい計画だと思っています。
話は変わりますが昨日紹介してもらったブログを見ていると28兆円の経済政策は実体はあまり財政出動させているわけではない上に、需要が増えるのか疑問な部分に金を流していると書かれてましたね。 勝手な財政規律のために補正予算の後出しで国民を混乱させることなくもっと最初の予算から緊縮しすぎないように予算を組んでもらいたいですね。 もう50兆円ぐらい国債刷って投げてくれてもいいと思います。(無責任)

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/30 13:09 あともう一つすみませんが本気で野党は10パーセントの増税を推進するみたいですね・・・与党も暴走気味だけど野党がもっと暴走するとか予想外ですわ・・・

shavetail1shavetail1 2016/10/30 18:58 野党は国民に選択肢を無くすことで、自民党一党独裁を支援していますね。存在意義ゼロです。

国債はもっと刷るべきでしょうね。懇意にさせていただいている富山大学の桂木健次先生からは、「日銀による直接引き受けの余地が10兆円以上あるのでこの通貨発行益も活用すべき」という卓見をいただきました。

こ↑こ↓こ↑こ↓ 2016/10/30 19:15 増税推進を公約に上げて支援団体の連合はあきれ果ててるでしょうね・・・経団連は増税を推進してるという話を見ましたがあっちは何を考えているんでしょうね・・・

けやきけやき 2016/11/01 20:27 はじめまして。
大平首相の登場を緊縮志向の始まりとツイートされていましたが、
その通りだと思います。
彼の持論は、「棒樫財政」と「安くつく政府」ですから。
http://www.ohira.or.jp/cd/book/zai/za_08.pdf
↑は大平氏の財政観を記したエッセイですけど、ヤバいです。
均衡財政と小さな政府を志向していたわけです。

続く鈴木善幸内閣は、大平内閣の消費税が選挙で否定されたことで、「増税なき財政再建」を標榜して行財政改革に取り組みます。
いわゆる土光臨調がこれですね。
『元総理鈴木善幸 激動の日本政治を語る』(岩手放送)を読むと、鈴木総理が総理に就いたときの赤字公債の累積は70兆だったみたいですが、これで大騒ぎしてたようです。

もともと宏池会の創始者池田勇人自身が『均衡財政』という著作を発表しているように、財政均衡に強いこだわりを持った派閥です。
宏池会の再評価もまったなしです。

財政拡張が望まれる現在、もっとも評価するべきは佐藤栄作内閣の福田赳夫蔵相による「福田財政」ではないでしょうか。
福田氏というと、田中角栄内閣の狂乱物価対策での緊縮イメージが強いですが、佐藤内閣では昭和40年不況(オリンピック不況)時には、戦後初の赤字国債発行に踏み切っています。
その後も、建設国債の発行により戦後安定成長の記録である「いざなぎ景気」をもたらしています。
福田氏本人も、
「公債発行というのは景気の調整というところに読みがあるわけで、節度を持って発行に当たれば、財政の持つ景気調整作用に偉大な効果さえ持ち得る。」
「正しく高橋是清、福田赳夫の考え方でやっていけば、国力増進に大きな役割を果たすものである。」
と『回顧九〇年』(岩波書店)で回想しています。

大蔵省出身といっても、福田赳夫と大平正芳でこれだけの差があったのですね。

shavetail1shavetail1 2016/11/01 22:13 けやきさま

大平元首相の「棒樫財政論」は知りませんでした。
勉強になります。

一方、福田赳夫氏は単なる緊縮でもなく、単なる拡張でもなく、高橋是清と同じく財政政策の機微に通じていた人物だったんですね。 

今の日本が学ぶべきは、1980年代あるいはそれ以前の日本自身かもしれません。 私も時間を作って一度「回顧九十年」を手にとってみたいですね。

けやきけやき 2016/11/03 16:10 福田氏については、先頃亡くなられた元経済企画庁長官の宮崎勇氏も、『証言 戦後日本経済 政策形成の現場から』(岩波書店)で、

「経済政策という点からいえば、福田さんは財政の弾力的活用を最も巧みに行った人だと思っています。引き締め一方ではない、緩める一方でもない。その転換が非常に早かった。ほかの人たちは政策転換がいつも遅い。締めるのも緩めるのも遅くて、犠牲が大きかったのですが、福田さんは違っていたという感じがします。立派な景気対策を実行した政治家だったと尊敬しています。」

と振り返っています。
昨今の田中角栄ブームもいいですけど、福田氏の財政政策ももっと注目されるといいですね。

2016-08-11 「国民1人当たり830万円詐欺」には気をつけよう このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

報道によれば、財務省から6月末時点での「国の借金」について昨日新たな発表があったようです。

 財務省は10日、国債借入金などの残高を合計した「国の借金」が6月末時点で1053兆4676億円になったと発表した。

 3月末時点から4兆1015億円の増加で、不足する税収分を賄う国債の発行額が増えた。7月1日時点の人口推計(1億2699万人)を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約830万円になる。

国の借金1053兆円=1人当たり830万円―6月末 
     時事通信 8月10日(水)17時58分配信


ほぼ同様の報道は同日、日経新聞朝日新聞産経新聞からも報じられています。

改めていうまでもないことですが、日本の国自身は対外資産が340兆円と世界一であることはこれらの報道機関自身が報じていますので、「国の借金」1053兆円という報道は誤りであり、正しくは「政府の家計などに対する負債が1053兆円」であり、報道とは逆に「国民1人当たり830万円の借金を政府が抱えている」という表現が正しいことになりますね。

その根本的間違いを一旦おくとしても、政府債務1053兆円を「国民1人当たり830万円」と報じられていることを世界的企業トヨタに置き換えてみましょう。

直近の決算では、トヨタ自動車は売上28兆円、従業員35万人で、有利子負債よりも利益剰余金現金同等物株主資本を合わせた金額が多い、実質無借金経営をしています。

ただ、負債はないわけではなく、ないどころか、負債総額は29兆円もあります。
ということは、実質無借金の優良企業トヨタ自動車でも、従業員1人当たりにすれば85百万円もの借金を抱えていることになります。

もしある日、トヨタ自動車の社長が従業員に「あなた達従業員は現在85百万円もの借金を抱えているので、将来の従業員にツケを残さないために、給料から8%、2年後からは10%を天引きして借金を返済します。」と発表したら、従業員は全員、社長が気が触れたと思うことでしょう。

財務省時事通信日経新聞朝日新聞産経新聞など報道各社は、これと同様に、世界一おカネを海外に貸している無借金経営の日本について、気が触れたとしか思えない内容の報道を毎度毎度繰り返し、消費税増税が必要と唱えています。

本当にこれらの人々が気が触れていて日本は破綻寸前と信じているのならお気の毒なことで、としかいいようがないのですが、気が触れて財政破綻を信じている人たちが、ちゃっかり3年連続の公務員人件費増額を決めたり、消費増税時には新聞への軽減税率を求めたりもしないと思うんですが。

皆さんも、横行する国民1人当たり830万円詐欺には騙されないよう、十分気をつけましょう。
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通りがかりの人通りがかりの人 2016/08/12 06:35 3000万の住宅ローンを借りて家を建てた人、物件評価額が2000万円だとしたら、借入負債が3000万円で資産が2000万円と表現する。国の財政も同じで、対外的な資産サイドがあっても、1053兆の借金があると言う事実と表現は正しい。

国の借金は、国民の徴税権をある意味担保にしているので、最終的に国民の資産でオフセットされることを考えると、国の、政府の借金は国民の借金と言ってもあまり違和感はない。財政破綻してハイパーインフレが起きたジンバブエは、日本のように借金ができない。徴税権を担保にした財政が成立しないから。

トヨタと日本の事例で違和感あるのは、トヨタは利益を担保に借金ができているということであり、日本は国民の資産で担保ができているという違いが混合していること。日本の財政は恒常赤字で、借金は毎年30兆以上増えている。しかし、対外的な資産や、国民への徴税権があるから、借金の拡大がいまのところ許されている。トヨタは、資産だけでなく、将来生み出す利益も含めて、財政が健全とされた上での借金。ましてや、従業員に対する資産没収権などはないので、日本政府と国民の関係性を当てはめるのは、明らかにミスリードにつながるので、その論調はやめたほうが良い。

shavetail1shavetail1 2016/08/12 07:01 日本政府にはいつからあなたのいう国民の財産没収権が生まれたんですかね?
一般的に言っても、債務者・日本政府が債権者・日本国民の財産をいつでも没収する権利があるというのなら、最初から賃借関係は破綻していることになり、日本は初めからデフォルトしていることになりますね。

shavetail1shavetail1 2016/08/12 08:35 >他の国は60年償還ルールではありませんし、1200兆円どうやって返すのかというその考え方自体が普通財政の議論にはないものです。日本は財政の本当の姿を正確に見せた方が良いと思います「日本の借金1200兆円は返済の必要なし」ソシエテ・ジェネラル会田卓司氏 
https://zuuonline.com/archives/70155

shavetail1shavetail1 2016/08/12 08:38 FRB元議長Ecclesによる議会証言
Mr. Patman: "How did you get the money to buy those $2 billion of Government securities?" (20億ドルの国債購入資金はどうやって入手しましたか?)
Mr. Eccles: "We created it." (我々が創りました。)
Mr. Patman: "Out of what?" (どっからですって?)
Mr. Eccles: "Out of the right to issue money, credit." (信用貨幣を創造する権利によってです。)
Mr. Patman: "And there is nothing behind it, except the Government's credit?" (つまり、政府の信用以外には何もない、ということですね。)
Mr. Eccles: "We have the Government bonds." (我々には政府国債があります。)
Mr. Patman: "That's right, the Government's credit." (そう、政府の信用が。)
Mr. Patman: "You have made the statement that people should get out of debt instead of spending their money. You recall the statement, I presume?"(あなたは、人々はお金を使うのは止めて借金を減らすべきといったこと、覚えてますよね?)
Mr. Eccles: "That was in connection with installment credit."(それは消費者割賦払いについて述べたものです。)
Mr. Patman: "Do you believe that people should pay their debts generally when they can?"(人々は債務は支払うべき、とは考えていますか?)
Mr. Eccles: "I think it depends a good deal upon the individual; but of course, if there were no debt in our money system..."(それは相手にもよりけりかと。もし我々の通貨システムに債務がなければ…)
Mr. Patman: "That is the point I wanted to ask you about."(そこですよ、私がお尋ねしたかったのは。)
Mr. Eccles: "There wouldn’t be any money."(お金は存在しなくなります。)
Mr. Patman: "Suppose everybody paid their debts, would we have any money to do business on?"(もし、全ての人々が債務を払ってしまえば、経済活動を行うためのお金は全くなくなってしまうと?)
Mr. Eccles: "That is correct."(その通りです。)
Mr. Patman: "In other words, our system is based entirely on debt."(言い換えれば、我々の通貨システムは全て債務によるもの、ということですね。)

JancloJanclo 2016/08/12 21:00 通りがかりの人 さん

国民の資産を担保と言いますが、デフォルトした時、誰に渡すのでしょうか?

また、仮にハイパーインフレが起きても、日本は資源も技術もないジンバブエではなく、同じ島国のイギリスの様になるだけでしょう。
先日も、ソフトバンクがarm社を買収しましたよね?
日本がハイパーインフレが起きた時に、日本の作る車や部品の国際価格も暴落すると思いますか?
むしろ、投資収益率が良くなるので、外資がこぞって日本企業を買収するようになるだけでしょう。

JancloJanclo 2016/08/12 21:31 マスコミがおかしいのは、借金を問題にしながら、公共事業より福祉や教育に金を出すべきというところ。
トヨタなんかは借金は、工場や製造設備、貸付金として資産に化けて、リターンを得ているわけです。トヨタが日本政府と同じように投資を絞って、社員に高給をばら蒔けば、あっという間に倒産するでしょう。

投資と費用の区別や現金と利益の違いだとか、簿記の基礎を無視して、議論するからおかしい俗論がまかり通るんでしょうね。

GokaiGokai 2016/08/16 00:05 通りがかりの人 さん
>1053兆の借金があると言う事実と表現は正しい。

1053兆円の借金が政府にあるということは、そのおかげで民間に1053兆円の預金を生み出しているということですから、もっと政府は借金を増やせばよいのです。(信用創造)それで国民はお金持ちになります。

SS 2016/08/16 09:24 財政赤字の累積と財政破綻の間にそもそも因果関係が無いのだった。
でも多くの人があると思い込んでいる。
そこで躓いてんだよね。

S 2016/08/16 09:29 誰かが誤解しているみたいだけど、日本国債の担保は徴税権じゃないぞ。

GokaiGokai 2016/08/16 19:13 Sさんへ
>誰かが誤解しているみたいだけど、日本国債の担保は徴税権じゃないぞ。

・通貨発行券でしょうね。

GokaiGokai 2016/08/16 19:13 Sさんへ
>誰かが誤解しているみたいだけど、日本国債の担保は徴税権じゃないぞ。

・通貨発行券でしょうね。

田中リンクス田中リンクス 2016/08/17 01:08 通貨発行の限界は生産力の限界なので、結局国債発行の担保は生産力に行き着くんじゃないですかね?

ウナギマンウナギマン 2016/08/17 07:47 はじめして。
記事をいくつか拝見いたしました。そこで、教えていただきたのですか、(どなたでもかまいません。)

仮に政府の負債を現時点で0にした場合(強制的に国民の富を徴収するとかして)
それは単に国民の富が政府に移るだけのことで、国民の生活等は現状と何もかわらない。

それ以降、国債発行はしません、なんてした場合には消費税15%くらいになって、経済は更に負のスパイラルに…。
こんなイメージで間違ってないでしょうか。

shavetail1shavetail1 2016/08/17 17:39 田中リンクスさま
同意です。

ウナギマンさま
政府債務をゼロにしたら、想像を絶するようなデフレ不況になり、暫く経てば自給自足で暮らさざるを得ない人々が多発するでしょうね。
現実にはそこまで待たずに政府債務ゼロ目標の誤りが誰の目にも明らかになってその方針は中断されるでしょうけれど。

GokaiGokai 2016/08/17 23:01 ウナギマンさま

・政府借金の1000兆円を強制的にゼロにしたら、国民の預金も同額の1000兆円が減ってしまい、今ある1100兆円の預金総額が残り100兆円の残額になってしまいます。

・これは、shavetail1さまも常日頃言われていることですよね。

ウナギマンウナギマン 2016/08/17 23:54 shavetail1さま、Gokaiさま。

ご返答いただきましてありがとうございます。
書き方が悪くて申し訳ありません。
Gokaiさまが書かれているとおりのことを書きたかったのです。
やはり、政府の債務を0にすることはまったくもって誤りですね。

自分は簿記も会計も勉強したことはないのですが、メディア等で書かれてあることはどうにも
辻褄が合わないので、専門的な方に聞いてみたかったのです。

ありがとうございました。

苫戸法師苫戸法師 2016/08/30 12:28 国の借金論の場合、折角高橋さんが頑張って政府のバランスシートを作られたのですから、負債総額は1,171兆円ですが、資産が679.8兆円あるので資産・負債差額は492兆円です。さらに政府の子会社の日銀の保有最近が324兆円ほどあるので、それを連結すれば168兆円で先進国でも最も借金の少ない国のひとつです。とダイレクトに説明した方が判りやすのではないでしょうか?
さらに国の資産が預貯金、債券、出資金、委託金など換金容易なものが409兆円くらいあるので負債を減らすことも容易ですと言えばさらに良いのでしょうか?(2016年3月末の数字で書きました)

苫戸法師苫戸法師 2016/08/31 21:50 データのある財務省と日銀のURLを書いておきます。ご参考ください。
http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.htm
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/

GokaiGokai 2016/09/02 19:10 苫戸法師へ

政府のバランスシートを作成されたという高橋様は、“信用創造機能”を否定しておられるのでしょうか?
何故そのようなBSが有意義と考えるのでしょうか?

苫戸法師苫戸法師 2016/09/03 12:04 えっ?信用創造機能と政府のBSは関係ないでしょ?
政府の借金が問題なら政府の資産も問題としなければならないだけだと思いますけど。
まあ徴税権も一種の資産でこれが抜けているというなら750兆円くらい積んどけば良いですけど。

GokaiGokai 2016/09/05 21:44 信用創造機能の意味がよくわかっておられれば、政府債務が単なる借金で無いとわかるだろうし、それゆえ政府BSなどがいかに無意味かもわかると思いますよ。
なので高橋様は信用創造機能を否定しているのですかと問うたのですが、高橋様とは高橋洋一様のことですか?

苫戸法師苫戸法師 2016/09/05 22:03 Gokaiさんの立場は判りましたが、信用創造を政府が作っても、それを連続して増やしていかなければならない金融機関が、サラ金、外為、国債、日銀当座預金の利子と海外証券会社の債券手数料だよりでは見通しくらいですね。
黒田さんには銀行が本来の機能を果たすような施策をもっと取ってほしいとは思いますが、まあ無理ですかね。

2016-07-01 英国の経済格差は日本よりどれだけ酷いか調べてみた このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

先週末のイギリスEU離脱決定は今も世界経済に影を落としたままです。

イギリスでは、エリート社会と低所得者社会がもともと分断されているところに、この投票結果はさらに分断を強める結果になるだろうと報じられています。

そうすると、近年移民流入が続く英国格差社会はかつての格差を超えて、さぞ酷いことになっているのだろうと思い、ピケティの所得データベースを使って実際のところを調べてみました。(図表1)


  英国所得下位者の所得は伸びているし、格差拡大もしていない
  日本の所得下位者の所得は著しく減り、格差は英国以上に拡大

f:id:shavetail1:20160701125647j:image:w600
 図表1 英国・日本の所得上位10%と下位90%の所得推移
 出所:The World Top Incomes Database Thomas Piketty他
 それぞれの所得水準は、2010年通貨で実質化されている。
 英国所得格差は5.5倍程度で変化がないが、日本の所得格差
 4.4倍から6.1倍と階級社会英国を超えている

 英国の下位90%の平均所得は、実質ベースでも1993年から2010年にかけて伸びていますし、絶対値では5倍以上開いている上位10%の平均所得との比も、予想に反して開いていません。

 一方、比較対象とした日本の下位90%の平均所得は実質ベースで1993年の225万円から149万円へと、実質34%もの減少となっています。
その結果、英国所得格差は5.5倍程度で変化はありませんでしたが、日本の所得格差は4.4倍から6.1倍と階級社会英国を超えるまでになっています。 また日本の場合、英国とは異なり上位、下位とも実質所得が減少していることも特筆に値します。

 英国では日本同様の緊縮財政を続けている一方で、ロンドンのシティを世界の金融センターとして維持したり、住宅取得ローンに政府保証をつけたりと、民間の活力維持にはそれなりの努力をしている結果、民間の所得維持が可能になってるのでしょうか。

 かたや日本。 鳴り物入りで始まり、今も安倍首相は成果を強調するアベノミクスでしたが、総務省のデータなどによれば、国民の実質所得の低下はアベノミクスの間に更に強まっています。

 政府日銀は、イギリスEU離脱ショックに備えるため、潤沢な流動性供給などで協力すると報じられていますが、政府経済失政をいつまでもこうした海外環境や天変地異のせいにせず、あり得ない国債暴落を防ぐという無意味な緊縮政策が過去や将来の日本で必要だったのかを内省する必要があるのではないでしょうか。

?? 2016/07/01 22:47 失業率は??

shavetail1shavetail1 2016/07/02 08:19 今の日本のように、極めて低賃金の劣悪な仕事だらけで求人すれば、求人倍率は何倍にも増えていくし、それと上のグラフの実質賃金低下は何の関係もない話ですね。

通りすがり通りすがり 2016/07/02 11:06 別にアベノミクス論者ではありませんが、政策開始から効果が出るまでのタイムスケールを厳密にして議論しないと、アベノミクスの効果の可否と断定できないのでは?

shavetail1shavetail1 2016/07/02 17:00 通りすがりさま

アベノミクスはこの数年ですが、日本で所得下位者の所得低下が著しくなった時期はアベノミクスを含めたこの20年にわたります。 その間ほぼ一貫しているのは、緊縮財政です。

アベノミクスも、2014年の消費税8%への増税で実質賃金も消費指数も両方ともいっぺんに悪化しました。 
私もアベノミクスについては、2011年末から2013年にかけて一時的に期待していて、財金併用をやってくれるものと思っていましたが、2014年以降は、逆に緊縮財政が酷くなってしまいました。 
安倍さんはいまだに「財政再建の旗は降ろさない」などといっていますから、いまもってご自分が引き起こした国民生活の窮乏はご存じないのでしょう。

阿Q阿Q 2016/07/02 19:57 緊縮財政が20年も続いているとかいう割にアベノミクスが引き起こした国民生活の窮乏にご存じないとは、全責任のっけるような書き方ですね。
ご自身がつらいのはわかります。
私もそうやって政治の責任にできる精神的勝利法を体得したいですので、その秘儀の一部だけでもぜひ記事にしていただけないでしょうか。

名は実を語る名は実を語る 2016/07/03 11:04 政治に影響力が無いのであれば、日本という実体は無いに等しい。
個人の能力と責任が日本の有り様を決める最大要因であるならば、国の存在価値は無いに等しい(どころか税金で国民の足を引く害虫のような存在かw)
自身が展開する論法そのものが魯迅が批判した阿Q的論法であろう。

shavetail1shavetail1 2016/07/03 11:15 名は実を語るさま

いいことおっしゃいますね。 今後ともよろしくお願いします。

BaruBaru 2016/07/03 15:56 イギリスの状況は知りませんが、日本については、高齢化の進行が格差拡大にもっとも寄与しています。格差を論じるときには、高齢化に関する分析が欠かせないと思っております。
調べた限りでは、イギリスは1993と2010の間でそれほど信仰していないようですので、高齢化の進行度合いの違いが、イギリスとの違いを生んだのではないでしょうか?

JancloJanclo 2016/07/03 16:31 >高齢化の進展
これは私も思ったのですが、どうなのでしょう?

安倍総理は半年前、高齢者は消費性向が高いから3万円配るんです!と言ってましたが、これは高齢者が現役時代にためた資産を削っているから高く出る、という数式上の話 。

こういった世代特性を無視して議論すれば、解決策が明後日の方向に行きかねない気がしますがどうでしょう?

kemushikunkemushikun 2016/07/03 21:35 こういう意見もありますよ。

富の独占率:日本低水準、中国は大幅に上昇
http://www.chinapress.jp/12/43753/
>一方、富の分配が最も進んでいる国家はベルギーであった。
>所得上位10%人口の資産が、ベルギー総資産に占める割合は47.2%にとどまる。
>第2位は日本の48.5%。富の独占率が50%を下回ったのは調査国中、ベルギーと日本の2カ国のみであった。


駐英でしたがイギリスはロンドンとそれ以外は完全に別の国になってます。投票後にロンドン独立論が出たのを見てもわかるでしょう。地方は完全に衰退してます。それなりの格式のある店は防犯用の鉄格子がはまってるケースが少なくないです。残りの店の存在理由は貧乏人に必要な生活必需品の提供。顧客の中に自分の名前すら書けず、仕方なく名前欄に「×」を入れたことも何度かあります。日本でそんな経験はありません。


フォーブスの世界長者番付ですが、上位200人の中で日本人はたった3人しかランクインしてません。
世界で3番目の経済大国なんですがね。孫正義さんも世界の中じゃ小物の部類です。私は日本の格差がそこまで酷いとは思いません。
http://www.forbes.com/billionaires/list/5/#version:static

stuffstuff 2016/07/04 16:10 全体として上昇していれば、格差は対した問題ではないはずなんです。
日本はずっと全体的に下がっているのが深刻。(先進国で唯一?)

格差格差と叫んで、上の人の足を引っ張って低値で平等を求める日本式横並びは、結果として「皆で貧乏」「社会全体で貧乏」にしてるだけですね。

お金持ち増やして気持ちよく納税してもらおう、という仕組みに転換しないと…

タニタタニタ 2016/07/04 21:05 印象操作でアベノミクスを批判してみた
って記事だな・・・
大卒就職率や失業率とかの数字は出しません(苦笑い)

田中リンクス田中リンクス 2016/07/06 20:04 stuffさん

お金持ちを増やして気持ちよく納税、とは具体的にどういう政策ですか?
法人税の更なる減税?それとも累進課税の廃止?

タニタさん

大卒就職率や失業率の改善はアベノミクスのおかげなのですか。成る程成る程。
では具体的にどういった政策がどういった経路により失業率の改善に繋がったのでしょうか?そして雇用が増えた産業はどこなのか?なぜ人手不足に陥っているのか?
是非とも御教授願いたい。

JancloJanclo 2016/07/06 21:53 田中リンクス さん

横レスですが、
>お金持ちを増やして気持ちよく納税
資産取得に対する損金の拡大や固定資産税、相続税の減税などですね。

資産家や企業に多額の税金を掛ければ、税金を支払うために現金の需要が増すだけ。
つまり、デフレを強めるだけなんです。

>具体的にどういった政策
金融緩和による円安で、自動車や鉄鋼産業なんか求人が増えてますよ。

とおりすがりとおりすがり 2016/07/09 15:10 与党の予定では、秋の補正予算で財投債(プライマリーバランスに関係しない国債)でリニア建設等、阿保ほど(隠れ)財政出動(ヘリコプターマネー)をやるので、思ったほど心配はないのでは。

JancloJanclo 2016/07/09 21:00 財投債で景気対策となると、小泉改革での天下り改革て何だったのかと呆然となりますね。(私は賛成ですが)

ただ、もし財投債で景気対策となると、財投改革に携わったシバキリフレの人とかやかましそうだ。

SS 2016/07/12 11:24 「お金持ち増やして気持ちよく納税してもらおう、という仕組み」

これが累進化税率の強化を意味しているなら正しい。そうでないならぺけ。

のぞみのぞみ 2016/07/23 16:51 sさん、落ち着いて!
2回も同じ投稿をしないでください。
ところで、あなたはアク禁ではありませんか?

SS 2016/07/25 11:05 Sとsさんは別人です。念のため。
更に、sさんは前のsと別の人のような・・・

2016-06-26 途上国に始まり、EUに終わる? このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

f:id:shavetail1:20160626083430j:image:w250:right今日も英国EU離脱報道がまだ続いています。 英国はもちろんですが、英国での離脱派勝利から、ドイツ以外のEU主要国内でもEU離脱派が勢いづいているようです。
各国内でも、ドイツに牛耳られて一挙手一投足に規制を入れてくるEUに対する不満が大きくなっているのでしょう。

ただ、EU英国を準加盟国扱いにするという情報もあり、ノルウェー、あるいはカナダに準じて処遇するとすれば、英国に対して常識的な幅の中でオプションを提示して、離脱させるという流れになるとすれば、英国の離脱問題自身は不透明性が高い今が問題のピークなのかもしれません。

それに対して主要加盟国から離脱運動が盛んになっているEUのあり方こそ、今後の焦点となっていくのではないでしょうか。

ところで、2011年秋ごろ、リーマン・ショックで個人は多額の負債を抱えたまま放置されているのに、サブプライムローンを売った側の大手金融機関の多くが救済されたという不公平などの理由から、ウォールストリートが占拠されたことがありました。 

あのウォール・ストリート占拠運動もまた、直接的には欧州内に渦巻いていたEUに対する不満が米国に飛び火して発生したものでした。
その占拠運動の主導者のひとりは、デビッド・グレーバーという人物で、活動家でもありますが、本職はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学教授です。*1

彼は人類学調査で赴いたマダガスカルで、経済危機によりIMFから多額の債務を受けざるを得なくなりその代償として厳しい緊縮財政を強いられ、マラリア駆除の予算さえ削減されて、人々の命が緊縮政策の犠牲になる状況を目の当たりにしました。

この経験により、本職の人類学の研究から負債貨幣の関連、およびマダガスカルの状況から負債と緊縮政策との関連について深く関心を持った結果、前者からは現在の経済学に対する強い疑問をいだき、後者から活動家にも進んだようです。 

シェイブテイルとしては、グレーバーはこう考えたのではないかと思います。 
「現在の経済学の基本的な誤りから、世界中に間違った緊縮政策がはびこり、人々を苦しめている」と。

さて、グレーバーの活動家面についてはおくとして、人類学の研究からは2011年に重要な一冊の本が書かれました。 Debt: The First 5000 Yearsという本です。
とても興味深い本なのに500ページほどの原書で、買って読めずにいましたが、この本の骨子について解説した文献を文化人類学者の松村圭一郎氏が現代思想に書いてくれていました。*2
この文献もとても短いという訳ではありませんが、更に骨子に当たる部分を引用します。

(以下引用)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
貨幣負債の起源
貨幣の起源を語る経済学者にとって、負債はつねに貨幣のあとに発達したものだった。ずっと人類学がその誤りを指摘してきたにもかかわらず、経済学的には、信用貸しと負債は純粋に経済的な動機から生じるとされた。だから、負債貨幣以前に存在するとは認められなかったのだ。経済学者は、交換の媒体としての貨幣が登場するまで、人びとは物々交換をしていたと考えた。社会が複雑になるにつれ、直接的な物々交換は煩雑になる。貨幣が媒体となってはじめて、市場が生まれ、取引がうまく機能するようになった。グレーバーは、この神話が想像の産物にすぎないという。

 未開の物々交換を貨幣代替していくという神話の基礎をつくつたのが、アダム・スミスだった。スミスは、貨幣政治体制によってつくられたという考えを否定し、それ以前に貨幣と市場が存在していただけでなく、貨幣と市場こそが人間社会の基礎であると主張した。人間だけが、ある物を他の物と交換し、そこから最大の利益を得ようとする。その人間の性質が労働の分業につながり、人類の繁栄と文明をもたらした。政治の役割は、貨幣の供給を保証するなど限定的なものにすぎない。このスミス観点が、経済が道徳や政治からは切り離され、それ自身のルールに則って作用するという考え方をつくりあげた。
 グレーバーは、その説明には何ら根拠がないと指摘する。 人類学は、物々交換が異邦人や敵どうしのあいだで祝祭的、儀礼的に行われてきたことを示してきた。二度と会わない相手、継続的な関係を結ぶことのない相手との交換では、相互の責任や信頼を必要としない一回きりの物々交換が適切だった。

 経済学のテキストでは、交換する人びとが親しくなることも、地位の差もないという現実離れした想定がなされている。じつさいに社会関係をもつ人びとのあいだでは、物々交換ではなく、贈与交換になる。それが、人類学があきらかにしてきたことだ。

 洗練された物々交換は、むしろ国家経済の崩壊にともなって生じ。最近では、1990年代のロシア、そして2002年前後のアルゼンチンで、貨幣が使われなくなった。かって、ローマ帝国フランク王国カロリング朝が滅んで物々交換への転換が起きたときにも、硬貨を使わない信用取引が行われた。

 古代エジプトメソポタミア時代の紀元前3500年の記録も、硬貨の発明に先立って信用取引が行われていたことを記している。シュメール文明の時代に発明された硬貨の使われ方からは、貨幣が商業的な取引産物ではなく、物資を管理するために官僚機構によってつくられたことがわかる。負債や市場での価格が銀貨で算定されても、それを銀貨で払う必要はなく、ほとんどが信用取引だった。グレーバーはさまざまな時代の資料を示しながら、物々交換の神話が虚構だと論じる。いわゆる「バーチャル・マネー(仮想通貨)」が最初にでき、硬貨はずいぶんあとにつくられた。さらに長い間、貨幣は一般的には使われず、信用取引代替することはなかった。物々交換は、貨幣の一時的な副産物だったのだ。

 では、なぜ経済学において、この神話が保持されてきたのか。グレーバーは、その理由は、物々交換の神話経済学の言説全体にとって中心的だったからだと指摘する。 経済学には、物々交換のシステムが「経済」の基礎にあることが重要だった。個人と国家にとって何より大切なのは、物を交換することである。その視点から排除されてきたのが、国家の政策の役割だった。グレーバーは、貨幣をめぐるふたつの理論を参照しながら、国家と貨幣の関わりを考察する。

貨幣の信用理論と国家理論
 貨幣の信用理論といわれる立場がある。この理論では、貨幣は商品ではなく、勘定のための道具だとされた。つまり、貨幣は物ではない。貨幣単位は、たんに計算の抽象的な単位にすぎない。では、物差しとしての貨幣は何を測っているのか。
 その答えが負債である。信用理論家たちは、銀行券は1オンスの金と同じ価値の何かが支払われるという約束だと論じた。その意味では、貨幣が銀であろうと、金のようにみえる鋼ニッケル合金であろうと、銀行のコンピューター上のデジタルの点滅であろうと、関係ない。それらは「借用書」にすぎないのだから。

 もうひとつの立場が、ドイツ歴史学派として知られる歴史家によって唱えられた貨幣の国家理論である。貨幣が計量単位だからこそ、皇帝や国王にとっての関心事となる。彼らはつねに国内で度量衡を統一することを目指していた。じつさいの通貨の循環は重要ではない。それが何であれ、国家が税の支払いなどで認めさえすれば、通貨となる。つまり通貨政府への債務の印として取引されてきた。

 近代の銀行券も同じだ。最初に成功した世代的な中央銀行であるイングランド銀行設立されたとき、イギリスの銀行家連合は、王に30万ポンドのローンを提供した。その代りに、彼らは銀行券の発行についての王室の独占権を受けとった。今日に至るまで、このローンは返済されていない。最初のローンが返済されてしまえば、イギリス全体の貨幣システムが存在しなくなるからだ。

 この観点から、国家がなぜ貨幣を用いて課税をするのかがあきらかになる。スミスが想定したように、政府から完全に独立した市場の自然な作用によって金や銀が貨幣になったわけではない。グレーバーは、むしろ貨幣と市場は国家によってつくられたと強調する。国家と市場が対立するというスミスに由来するリベラルの考え方は誤りで、歴史的な記録にもとづけば、国家なき社会には市場も存在しないのだ。マダガスカルでは1901年フランスの占領によって、人頭税が課された。この税は、あらたに発行されたマダガスカル・フランでのみ支払いが可能だった。納税は収穫直後に行われ、農民は収穫した米を中国人かインド人の商人に売って紙幣を手に入れた。収穫期はもっとも米の価格が低い時期だった。
 多くの米を売らざるをえなかった世帯は、家族を養えなくなると価格が高い時期に、同じ商人からツケで米を買い戻すことを強いられた。借金から抜け出すには、換金作物をつくるか、子どもを都市やフランス人植民者の農園に働きに出すしかなかった。それはまさに安い労働力農民から搾り取るための仕組みだった。農民の手元に残ったお金は、中国人の店に並ぶ傘や口紅といった商品の消費に使われた。この消費者の需要は、植民者がいなくなったあともマダガスカルフランスに永遠に結びつけた。1990年に革命政府によって人頭税が廃止されたとき、市場の論理はすでに浸透していた。

同じことがヨーロッパ軍隊によって征服された世界各地で起きた。 それまでなかった「市場」が、まさに主流派経済学が否定した「国家」によってつくりだされたのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

いかがでしょう。 現代経済学人類学調査の結果が否定する物々交換という神話を手放さないのは、経済学者にとっては現在の仕事の基礎を失うため、政治家にとっては、政府は小さいほうがいいという自分たちの主張の誤りを覆い隠してくれるから、というのは言い過ぎでしょうか。

シェイブテイルとしては、世界を変えるようなノーベル経済学賞経済学者の世界からではなく、ちょっと会計をかじった人類学者から出るのではと半分冗談ながら思っています。

Debt - Updated and Expanded: The First 5,000 Years

Debt - Updated and Expanded: The First 5,000 Years


*1:生まれはニューヨーク

*2現代思想 2012 vol.40-2 pp218「負債モラリティ

asdasd 2016/06/26 15:18 市場原理主義者の方々は「とにかく市場に任せろ、国家を切り離せ」と言うけれど、そもそも市場とは貨幣(国家管理された道具)で成り立ってるものだってことわかってんのかいな
…という不満をずっと持ってましたが、この本が広まってくれれば私の溜飲も下がりそうですね

asdasd 2016/06/26 15:28 ネットで序盤を翻訳してくれてる方がいたので今読んでますが、異様に面白いですね。人類学者なのに、そこらの経済学者連中より圧倒的に信用を理解している(笑)
惜しむらくは日本語訳が出版されてないことですが、早速現代思想を取り寄せてみました。

shavetail1shavetail1 2016/06/26 15:43 asdさま
コメントありがとうございます。全くおっしゃる通りで、これほど面白い本がなぜ邦訳されないのか不思議なほどです。

2016-06-03 やはり、大昔物々交換などなかった このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

経済学の教科書のはじめの方に登場する物々交換ですが、フェリックス・マーティン著「21世紀の貨幣論」には物々交換が人類学などから疑問を呈されているという話を以前書きました。

大昔、物々交換などなかった - シェイブテイル日記 大昔、物々交換などなかった - シェイブテイル日記

今年4月に出版されたカビールセガール著「貨幣の新世界史」でも、少し違う切り口から大昔には物々交換などなく、貨幣の起源は債務にある、という説を紹介しています。

以下は貨幣の新世界史から引用します。*1

(引用開始)
-----------------------
お金のもうひとつの起源

経済入門のクラスでは、お金の歴史をつぎのように教えるケースがほとんどだろう。

昔々、世界の果ての地で、人びとは物々交換を行なっていました。しかし、常に満足できる形で成立するわけではなく、やがてお金が発明されました。

アリストテレスの思想はこの考え方の延長線上にあるし、さらに時代を下れば、アダム・スミスなど古典派経済学者にも行き着く。アダム・スミスによれば、分業によって道の専門化が進んだが、そのおかげで取引は複雑さを増した。それをスムーズに運ぶため、お金の役割がクローズアップされるようになった。彼は『国富論』で以下のように書いている。

たとえば肉屋が、自分が必要とする以上の肉を店に持っており、酒屋とパン屋がその一部を手に入れたがっているとする。肉屋もパン屋もそれぞれの仕事で生産したものしか持っておらず……このような状態から生まれる不便を避けるために、分業が確立した後、どの時代にも賢明な人はみな……他人が各自の生産物と交換するのを断わらないと思える商品をある程度持っておく方法をとったはずである。
〔「国富論 上」(2007年 山岡洋一訳)より引用〕

さらにスミスは、スコットランド高地では釘などの商品が交換手段として使われ、初期貨幣の役目を果たしていたと述べている。やがてこれらの商品に代わり、貴金属の小片が使われるようになった。
すでに本書ではお金の起源に進化生物学的な立場から取り組んできたが、食べものや手斧といった商品の物々交換がお金の誕生につながったという発想は、進化生物学的に見ても説得力がある。相互依存的な物々交換が貨幣による交換の先駆けだったという考え方は、ロマンチックであるし、わかりやすい。スミスには銀貨三枚を褒美としてあげて、この間題は解決ということにしたい。

ところがそう簡単にはいかない。あるイギリス人経済学者が一九二二年、「バンキングロー・ジャーナル」のなかでこの理論に疑問を寄せた。その経済学者、アルフレッドミッチェル・イネスは、スミスの説には歴史的な証拠がないどころか、実際のところ間違っていると主張した。さらに釘が交換手段として使われたという箇所は、ほかの人物からも誤りを指摘される。「ザ・ウエルス・オブ・ネーションズ」の編集者だったウイリアム・プレイフェアは、当時の釘職人が貧困層に属していたことを挙げ、釘の原材料を関連業者から提供してもらうしかなかったと説明している。おまけに業者は原材料だけでなく、作業中の職人がパンやチーズを買えるように融資までしていたという。つまり釘職人は債務を抱えていたのだ。作業が終了すると、職人は完成品の釘を業者に提供して債務を返済したのである。ミッチェル・イネスはこう書いている。「アダム・スミスは実体のある貨幣を発見したと信じたが、実際には信用取引の仕組みを発見しただけにすぎない」。

ミッチェル・イネスの論文はまずまずの注目を集め、特にジョン・メイナード・ケインズからは絶賛される。しかし一世紀近くのあいだ忘れられたままで、二一世紀になって再び脚光を浴びた。L・ランダル・レイなど著名な経済学者やデイヴイッド・グレーバーなど著名な人類学者が、この説の長所に注目したのだ。たとえばレイは、貨幣債務はまったく同じものだと主張して、貨幣債務の一手段にすぎないと指摘した。 一方、グレーバーは著書『Debt: The First 5,000 Years (債務‥最初の五〇〇〇年)のなかで、物々交換について研究した数人の人類学者の成果を紹介している。そのひとり、ケンブリッジ大学のキャロライン・ハンフリーは、つぎのような意見だ。
「純粋でシンプルな形の物々交換経済の事例はどこにもないし、まして、そこから貨幣が誕生したなどとは考えられない。入手できる記録文書の内容から判断するかぎり、そんなものが存在していたとは想像できない。」
著書のなかでグレーバーはいくつもの点を結びつけたうえで、これほど証拠が不足しているのであれば、貨幣の起源に関する従来の説の正しさは疑うべきだと語っている。そしてさらに、貨幣の発達に関する基本理論は神話にすぎなかったとまで推測している。

そもそもミッチェル・イネスと同じくグレーバーも、貨幣が誕生する以前から債務は存在していたと考えている。利子つきの融資は古代メソポタミアで最初に登場したが、それはリディア王国で硬貨が発明されるより何千年も古い。メソポタミアでは、神殿や宮殿や有力者の家で働く人たちは、銀や大麦などの商品価格に基づいて融資金額を計算した。ちなみにビールのつけ払いも古い習慣で、古代メソポタミアではすでに普及していたという。 最終的にグレーバーは、債務貨幣よりも先行していたか、少なくとも同時に発達したという結論に達している。このように債務は歴史的に重要な意味を持っているのだから、様々な角度から理解を試みるべきだろう。
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(引用終わり)

貨幣の起源はアダム・スミスらの想像上の産物、物々交換などではなく「債務」であったという話に加え、アダム・スミスが物々交換の好例と考えた釘職人の釘さえ、債務の一形態だったというのは面白い話ですね。

ほぼ百年前にミッチェル・イネスが唱え、ケインズに絶賛されたという、上に引用した論拠をを踏まえ、書き換えられた経済学の教科書があるのなら、是非それを読んでみたいものですが、21世紀になった今もまだ国富論の間違いはそのまま堂々と事実であるかのように教科書に載り、その間違いを基礎に現在の経済学が組み立てられているのは、学問とは誤りを正していくのが本質と信じている私にはかなりの違和感があります。

 話は飛ぶようですが、安倍首相は最近の記者会見で、アベノミクスとともに財政再建の旗を降ろさず、プライマリーバランス均衡達成を目指すとしていますが、もし安倍さんが、政府債務というものは貨幣経済を毀損するどころか、その一部をなしていることを知ったとすると、それでもやはり財政再建を急ぐということになるのでしょうか。

f:id:shavetail1:20160603204537j:image:w150
18世紀スコットランドの釘もまた、流動性を持つ債務としてのおカネだった?


*1:p109

JancloJanclo 2016/06/04 17:31 貨幣の起源は、物々交換か債務か、という議論を見ると、天動説と地動説の議論を見ている感じがしますね。
アダム・スミスやマルクスは、貨幣を物々交換の発展形として捉えたわけですが、彼らから批判された前時代の重商主義者達の中には、フランス中央銀行の創設に携わったジョン・ローなど、マネーの本質に気づいていた人間もいるわけですが、経済学の主要にはなれていないわけです。

キリスト教世界おいては、地動説は反キリスト教的として長く無視されてましたが、経済学の世界でも、債務マネー論が数世紀も無視されたことに、不思議な関連をかんじますね。

DYODYO 2016/06/05 21:14 信用がマネーを生むかマネーが信用を生むのかとういう話ですよね
量的緩和に効果はないと決定づけられる気がしますが

shavetail1shavetail1 2016/06/05 21:30 Jancloさま、DYOさま
お二人ともよくご理解いただいているようで、ありがとうございます。
天動説も大勢の人々が生業とするとなると、簡単には誤りを認められなくなるものなのかもしれません。

ただ、思うのは信用、債務が貨幣を生むという原理に基づいた経済学、部分的にはかなりケインズの経済学に近いものかも知れませんが、そう遠くない将来、新しい経済学を誰かが創り上げるのではないか、そんな気がします。

まっつんまっつん 2016/06/18 01:06 MMTの理論構成の入口になるような話ですね。

shavetail1shavetail1 2016/06/18 20:10 まっつんさま
コメントありがとうございます。
スタグフレーションをきっかけに隆盛を極めた主流派経済学でしたが、リーマン・ショックも見通せず、昨今では先進国がどこもかしこも低インフレに悩む時代に対応できずにいます。

そう遠くない将来、MMTあるいはポストケインジアンがベースになるような信用貨幣を中心とする経済学体系を世界の経済学者のうち、どなたかが確立して大きく時代が変わるのでは、と思っております。