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2016-05-29 貨幣と財政からみた経済学派分類 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

安倍首相は昨晩(5月28日)、現在はリーマン・ショック級の経済危機という認識から、10%への消費税増税2019年10月まで2年半先送りする方針麻生副総理らに伝えたとのことです。 会合後の報道ではその方針に異論も出たとのことで最終的な落とし所はまだわかりません。

ただ、コンセンサスが得られてきたことは、どうやら金融政策中心のアベノミクスでは限界があり、デフレ脱却・景気好転のためには財政出動も必要だろうということです。

このブログを読んでいただいている方々からみれば、なるべくしてなった結果ということかも知れません。

それにしても、デフレ脱却・景気好転を願う目的は同じでもこれほどのアプローチに対する選好がことなるのでしょう。 今日はこの点を改めて考えてみたいと思います。

下の図は、貨幣(細かく言えば民間を巡るマネーストック)の生まれ方に対する認識(横軸)と財政政策の役割に対する認識(縦軸)の二軸で、マクロ経済に対する認識をグルーピングしたものです。*1


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現代の主流派とよばれる経済学派は、全て貨幣外生説側、つまり図の左側にグルーピングされます。 左側のグループには新古典派系の経済学、ヒックス以後の新古典派総合、あるいはアメリカンケインジアンとよばれる新古典派の土台にケインズのトッピングを載せたような経済学もこちらに入るでしょう。

中央銀行マネタリーベースを増やせば、民間のインフレ期待が高まり、民間を巡るおカネ、マネーストックも増えるという考え方は、中央銀行がコントロールするおカネマネタリーベースにより民間のおカネマネーストックが操作可能と考えていることになりますから、これまでの金融政策中心のアベノミクスを理論的に支えた岩田規久男日銀総裁らのいわゆるリフレ派もこのグループになります。

ただこれらの主流派に属する経済観でも財政政策の重要性についてはかなりの幅があるようです。
財政破綻不可避であり、増税をすべきで財政出動はあり得ないという左下のグループ(財政破綻派としましょう)も現在の日本の学者では相当数いるでしょう。

一方、20年ほど前のアメリカンケインジアン金融政策が主体であるべき(それに倣ったのが現在のリフレ派本体)ですが、クルーグマンなど現代のアメリカンケインジアンは、財金併用に大きく居場所を変えています。*2

さて、今後の安倍政権経済政策と関わりが深いのは図の右側です。
こちらは主流派ではないので、画一的なグループ名は思いつかないのですが、仮に「貨幣非中立系」としましょう。

民間を巡る貨幣(≒マネーストック)は、民間銀行で負債と同時に生成し、中央銀行が生み出すマネタリーベースではコントロールはできないという貨幣観が共通しています。

ここには、例えば、旧日銀派例えば白川前総裁以前の日銀)、あるいはポストケインジアン系、現代金融理論(MMT: Modern Monetary Theorists)、そして日銀の実務を知った上で昭和初期にデフレ脱却を果たした高橋是清など、幅広い考え方がありますが、全て「貨幣非中立系」グループに一緒くたに属しています。

とはいえ、財政政策に対する選好性は大差があり、旧日銀派は財政政策にはネガティブもしくは無関心であり、今も欧州にいる現代のポストケインジアン貨幣の内生性には関心が強そうですが、財政政策について統一的な見解は私が知る限りはありません。

さて、ケインズ経済学に名を残しているケインズですが、著書は難解で比較的早世したこともあり、位置づけが明確ではありません。
ただ、ケインズ経済学をモデル化したとされるヒックスは、新古典派の考え方をベースにモデル化したため、ケインズ自身の考えとはかなり距離がある「ヒックス経済学」とでもよぶべきものになっており、貨幣に対する考え方はいわゆる主流派のそれと考えて良さそうです。

ケインズ自身は貨幣の内生性にも気がついていたようですが、それをモデル化するには至らずこの世を去りました。ということでケインズ財政政策重視の、左右にまたがる広い帯で示しました。

前フリ?が非常に長かったのですが、シェイブテイルとしましては、デフレ脱却を目指し財政政策を打ち出そうという安倍政権が最も参考にすべきなのは右上に赤い◯で示した高橋是清経済政策ではないだろうかと考えています。

以前も示しましたように、高橋是清は財金併用、特に単年で財政規模を急増させて、わずか1年以内にデフレ脱却を果たし、その翌年には早くも財政規模の縮小に舵を切っています。

アベノミクスと高橋財政を比較してみた - シェイブテイル日記 アベノミクスと高橋財政を比較してみた - シェイブテイル日記

高橋是清がいち早くデフレを脱却できたのも、是清が貨幣とは流動性をもった負債だということを実務経験から知っていたからでは、とシェイブテイルは思っています。 そういう私は、自称高橋是清派ということですね。

*1:もちろん経済学派の分類がこの二軸に限るなどということは全くなく、便宜的な分類です。

*2経済学が専門ではない筆者は、主流派経済学には殆ど関心がないので記載が間違っている部分があるかもしれません。 その点はご指摘いただければありがたいです。

2016-05-26 G7で安倍首相がピエロにならないためには このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

今日から明日までの日程でG7 伊勢志摩サミットが開催されています。

安倍首相はその地ならしとして、G7諸国が一致して財政出動するように求め、各国を回りましたが、調整としては不調に終わったようです。

それも当然で、カナダのようにすでに積極財政に転じて成果が出始めている国もあれば、英国ドイツのように緊縮財政政権の国々もあり、一致して積極財政、となるはずもありません。

安倍首相自身、第2次安倍内閣をスタートし、「3本の矢」を発表した2013年こそ多少の財政出動をしたものの、2014年には消費税増税、昨年も緊縮と、金融政策頼みの経済運営が目立ちました。

その後、家計消費がマイナスなど経済減速がはっきりした昨年9月に、「新3本の矢」を打ち出し、2020年に名目GDP600兆円を打ち出したところは目を引きましたが、後は小粒な目標だけで、肝心の達成手段は何も公表されませんでした。

では、2020年、つまりあと3,4年で名目GDP600兆円を達成するにはどうすれば良いのでしょうか。

現在の名目GDPはちょうど500兆円ですから、今年以降、毎年4%成長を達成する必要があります。
一見非現実的な目標のようですが、そうとも言えません。

図は、安倍政権発足後の3年間での、先進国での政府支出の伸び率と名目GDPの伸び率の相関図です。
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図 政府支出-名目GDP伸び率
出所 IMF 期間2013−2015年 データから筆者作図

図の左側、政府支出の伸びを抑制している国々は財政破綻が現実視されているギリシャキプロスなど欧州諸国です。  図の右側は財政破綻したものの、借金棒引きを叶えられたアイスランドなどで、世界一海外にカネを貸している日本は、財政破綻が現実のギリシャキプロスに近い緊縮を実施し、名目GDPの伸びも低い、という形になっています。

この相関関係はなかなか堅固で、幾通りかの国々、期間を選択しても同様の関係があります。
ですから、現在開催中のサミットで、安倍首相が年率4%程度の拡張財政を宣言すれば、おそらく予定通りに2020年頃には名目GDPが600兆円で世界も羨む状況となっているでしょう。

ただ、「アベノミクスを成功させる会」会長の山本幸三議員が最近首相に進言したように、わずかな財政出動とともに2%消費税増税をすれば、これが恒久的な負の財政出動ですから2020年に500兆円のGDP維持さえ困難で、はっきりとしたデフレに逆戻りしていることでしょう。

安倍首相が拡張財政を訴えて回ったことは大変結構なことでした。 ただ財政政策は各国の政府債務が裏付けで実施可能なものですから、日本は日本独自の大型財政政策、もしくは消費税大幅減税・廃止を打ち出せばいい話です。

もしも、折角招聘したスティグリッツクルーグマン両氏らの示唆も無視して、山本幸三の進言通りにすれば、世界から失笑を買うだけでなく、日本はさらなる失われた数十年を強いられることになるのではないでしょうか。

2016-05-24 少子化対策は国債で このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

昨日厚生労働省から発表された2015年人口動態統計によれば、昨年の出生率は1.46と、1994年の1.50並のレベルになっています。(図1)

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図1 日本の出生率推移
出所: 厚生労働省 特殊出生率(H27)

とはいうものの、若い女性の絶対数が減り続けていることもあって、出生数自身は過去二番目の低さに留まっており、少子化にはまったく歯止めはかかっていません。

今朝の日経新聞社説では少子化対策について次のように論じています。

 大事なのは、若い世代の将来への不安を和らげることだ。政府が先週まとめた「ニッポン一億総活躍プラン」は、非正規で働く人たちの待遇改善を柱に据えた。安定した雇用と収入は、若い世代が結婚や出産の希望をかなえるのを後押しする。「同一労働同一賃金」の議論を進めるとともに、個人が自らの力を伸ばせるよう支援することが必要だ。

 男女ともに働きながら子育てができるよう環境を整えることも欠かせない。硬直的な長時間労働を見直すことや、保育サービスの拡充が柱になる。今は保育所の待機児童問題にばかり目が向きがちだが、小学校に入ってからの学童保育など、充実すべき点は多い。


確かに、若い世代の将来への不安を和らげることは必要でしょう。 消費税がどんどん上がるようでは子供を増やすという「贅沢」はその後の人生で大きなリスクを伴いかねません。

ただ、「ニッポン一億総活躍プラン」のような小粒な施策で、政府が目指す特殊出生率1.8や、人口減が止まる2以上などの目標に届くものなのでしょうか。


シェイブテイル個人としては、恒常的に若い人たちの生活が明らかに楽になる施策を取る必要性があると思っています。 
つまりは、子育て支援だろうが、婚活支援だろうが、いずれの施策を考えるにしても結局おカネの問題に帰着するのではないでしょうか。

例を上げれば、消費税撤廃、定額のベーシックインカムでも良いですが、恒常的に生活が楽になると分れば、恋愛・結婚・子育てすべて増えるでしょう。

財源は国債です。

消費税など税金の場合、民間からおカネを吸い上げて、同額財政出動してチャラですが、どの政権も同額財政出動するなど決してせず、法人税減税など福祉とは無関係な「浪費」が多すぎました。

世界一海外におカネを貸すほど金持ちの日本で財源を国債にしたからといって何の問題もありませんが、アレな格付け会社は日本国債の格付けをどんどん下げるかもしれません。 A+がA-に…、という具合に下がっていくかも知れません。しまいにはジャンク債レベルになるかも知れません。

でも、そここそ目指すところです。 ジャンク債になった日本国債はもう下げる余地もありませんから、誰も緊縮しようとは思わないでしょう。

格付けが下がるとカネが借りられなくなる? 今は銀行にも企業にもカネはあふれていますよ。 

ないのは若い人たちなど家計だけです。
だから国債でカネを若い人に撒けば全て解決するんですよね。

JancloJanclo 2016/05/24 09:45 Shavetail1さん

お久し振りです。

Shavetail1さんは少子化対策に、家計支援を提言されていますが、生活が比較的楽だったはずの80年代から、少子化がはじまっていることについては、どう思われますか?

>法人税減税など福祉とは無関係な「浪費」
これは、ちょっと違いますね。
大企業は、労働者の健康保険や退職者の厚生年金を自主運用しているので、法人税減税による利益剰余金の増加は、福祉の拡充に繋がります。

だからこそ、財政政策により、資産の利回りを上げないと行けないのですが、政府が投資減税の縮小など財政再建と自己責任を掲げ続ける限りは、企業は存続するため、投資を控えて利益剰余金を積み上げないといけなくなるんですよね。

ポルシェ万次郎ポルシェ万次郎 2016/05/25 15:40 日本のすべての問題は、「お金がない」と誤解している点にありますよね。

アイドル新党なでしこ! 第019話 ピンチはチャンス!
http://ameblo.jp/p-manjiro/entry-12151886174.html

少子化対策について、少し前に漫画で提言させていただいております。ご一読いただけますと幸いです。

shavetail1shavetail1 2016/05/26 12:51 Jancloさま
お久しぶりです。
 原因としては貧困時代のような子供を労働力と捉える家庭が激減し、女性の社会進出や、晩婚化も効いているのではないでしょうか。

ただ少子化・晩婚化自身は世界的な傾向で出生率が2に下がるまでは大きな問題ではなかったかと思います。

日本は出生率が2を切る頃ちょうどバブルの頂点で、以降は一貫して労働者の賃金が右肩下がりに下がりました。 そうなると低賃金層から子供どころか結婚も困難という層が広がったのでは。

後半ご指摘の保険年金自主運用の件、意識していなかったので、ご指摘ありがとうございます。

ただ、私が若い労働者の立場なら、消費税を上げながら年金に回るお金が潤沢になるという選択肢よりも、直接自分にお金が回る選択肢の方がありがたいし、福利にも繋がると思いますがいかがでしょうか。

ポルシェ万次郎さま
お久しぶりです。
早速読ませていただきます。 ありがとうございます。

janclojanclo 2016/05/28 16:22 shavetail1さま

>低賃金層から子供どころか結婚も困難という層

こちらも原因としては大きいでしょうが、

>子供を労働力と捉える家庭が激減し、女性の社会進出や、晩婚化

こちらの方が私は原因として大きいと思います。
実際、出生率の高い沖縄・九州や山陰地方なんかは、賃金は低いですが、出生率は高いです。
一方で、都心部は賃金は高いが、出生率は低い。
また、これらは、大学進学率と負の相関にあります。

私が思うに、少子化を解決するなら、教育や福祉より公共事業にお金を回す方が効果が高いと思うのですが、あまりこういった意見は聞かれませんね。
また、子ども手当といった給付政策より、世界でもトップレベルである資産課税(相続税、固定資産税等)の減免の方が、質の高い少子化対策(富裕層の多産化)になるような気がするのですが。

>私が若い労働者の立場なら、消費税を上げながら年金に回るお金が潤沢になるという選択肢よりも、直接自分にお金が回る選択肢の方がありがたいし、福利にも繋がると思いますがいかがでしょうか。

若い労働者の立場としても、産休・育休や社員教育といった「間接費」に企業は対応しないといけません(最近になってようやく社会保険料の労働者・事業主負担が免除)から、やはり潤沢な方が福利に繋がります。

後、私の立場を言うと、法人税率の引き下げには反対で、投資・開発減税の拡大には賛成、消費税と法人税に関係はない、です。
そもそもタックスシールド効果を考えれば、投資・開発減税を縮小すれば企業は現金を持っておく方が有利になる。
なぜならば、上記のように、将来の労働者の福利も担わされているわけですから。

来年度税制改正で政策減税「ゼロベースで見直す」 麻生財務相が各閣僚に要請
http://www.sankei.com/economy/news/150724/ecn1507240020-n1.html

現政権は法人税において「も」デフレ政策を推進しているわけで、消費税と法人税の分配がデフレに繋がってるわけではないでしょう。
しかし、リフレ派にしても現政権にしても会計に弱いな、という印象を私は持ちますね。

janclojanclo 2016/05/28 16:28 追記
×社会保険料の労働者・事業主負担が免除
○産休育休中の社会保険料の労働者・事業主負担が免除

2016-04-23 実業界はなぜマイナス金利政策に否定的なのか このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

4月のロイター企業調査によると、日銀が導入したマイナス金利の拡大に8割近い企業が反対しており、導入自体が失敗との見方も目立つとのことです。

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前月調査では、導入後間もないことからまだ影響が見通せず、反対の声は6割程度だったが、今月調査では厳しい見方が増加。「導入は失敗だったと思われる」(運輸)、「マイナス金利で改善されたものがない」(化学)、「効果が疑問視されている」(鉄鋼)などといった声が聞かれ、幅広い業種で導入自体への評価が芳しくない。

悪影響について、具体的には「設備投資拡大など景気浮揚には結びつかず、逆に運用収益減の悪影響がある」(食品)、「かえって貧富の差が拡大する」(紙・パルプ)、「金融機関の収益悪化が他の業界に思わぬ影響を及ぼす可能性」(運輸)などの弊害が挙げられている。また「預金金利がつかないことへの心理的悪影響は大きい」(サービス)、「将来に不安」(その他製造業)、「国民感覚とズレが大き過ぎる」(サービス)といったマインド面の影響を指摘する声も多い。

ロイター企業調査:マイナス金利拡大に反対8割、投資にも寄与せず ロイター 2016年 04月 21日 09:28 JST

 日銀が鳴り物入りで始めたマイナス金利政策に対して、実業界からはほとんどポジティブな評価が得られていないのはなぜでしょうか。

シェイブテイルは、この日銀と実業界でのマイナス金利政策に対する評価の差に、企業の事業評価が関係しているのではないかと考えています。

 企業は一般的に、新規事業を開始する前に事業評価をおこなうことが多く、この事業評価にもいくつかの方法がありますが、「資本コスト」を算定して、この資本コストを使って割引キャシュフロー(DCF)法で事業採算性をみるといった方法は企業の実務者にもよく知られているところでしょう。*1 *2


 「資本コスト」と「事業価値評価法」の詳細については末尾に引用した経済産業省レポートに譲るとしまして、ここで重要なのは、企業は事業価値評価日銀が操作可能な長期金利を使っているわけではなく、それより大幅に高い「加重平均資本コスト」を使って事業価値評価をしているという点です。

日銀マイナス金利政策を導入した現在、長期金利はゼロ以下にまで低下しました。 ところが、下のコラムのふたつ目に示すように、事業価値評価に使われる加重平均資本コストは5%程度あるいは末尾の経済産業省レポートに書かれているような2-3%程度に設定している企業が一般的でしょう。 *3
日銀のマイナス金融政策は負債のコストにはわずかながら好影響を与えることができても、それと自己資本コストを加えた加重平均資本コストにはほとんど影響がない、というわけです。

銀行からの貸し出しの実際をみても、日銀の金融政策により貸し出しが増えている業種はあるものの、それは金利自身が事業支配的な影響がある不動産業界や、事業が政策上安定している医療福祉業界程度に限られ、運転資金などで本当に銀行から資金を借りたい中小零細企業については、貸し出す銀行側がリスクに慎重で、貸し出しは伸びていないという報告もあります。*4

日銀金融緩和では、人々の期待に働きかけてデフレ脱却に向かう、というシナリオだった筈です。
冒頭のアンケート結果のように、人々はマイナス金利政策を実施しても、設備投資に大いに寄与するという企業はわずかに2%しかないという中で、日銀が今後マイナス金利政策を一層強化したとして、果たして今後プラスの結果が出てくると期待できるのでしょうか。


資本コストと事業評価
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   資本コストの概念 
企業が事業をおこなう資金には負債自己資本があり、それぞれ
負債コストと自己資本コストがかかっている。
その結果企業の事業評価には両コストの加重平均資本コスト(WACC)が
かかっていると考えられる。

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   事業評価に使う割引キャシュフロー(DCF)法
投資に使われる投資CFを、営業フリーCFで回収するが、この際
将来予測される営業フリーCFは、資本コストで割り引いて考える。

経済産業省レポート リスクリターンと資本コストより

*1経済産業省レポート 事業価値評価

*2経済産業省レポート リスクリターンと資本コスト

*3:筆者は長期金利と比較して加重平均資本コストがなぜこれほど高くなるのかについて、明快に書かれた事業価値評価の解説をみたことはありません。ただ、事業価値分析は通常楽観的に分析されることが常であり、見落とされているリスクを織り込むとすれば、高い資本コストとして織り込まざるを得ないということはあるのではないでしょうか。

*4週刊エコノミスト2016年3月22日号p32「貸し出しの実態 設備投資意欲の低い中小企業 伸びるのは不動産医療ばかり」

2016-04-05 世界で2番目に財政健全性指標が改善した国とは? このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

現在の日本は財政健全性指標(政府債務÷名目GDP✕100)が約250と、世界一悪い国として知られています。 もし財政健全性指標が改善されるならどれだけ経済運営が楽になるかわかりません。

次の図1は、2011−2015年の4年間で比較可能な36カ国で財政健全性指標がどれだけ改善/悪化したのかを調べたものです。
最も財政健全性指標が改善したのは、2011年政府債務を踏み倒したアイスランドでした。日本は20位。3位、4位は均衡財政を憲法に定めたドイツスイス。では2位は一体どこなのでしょうか。

世界で2番目に財政健全性指標が改善した国とは?

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図1 財政健全性指標の改善/悪化度
IMFデータより筆者作図。数値は11−15年の4年間の平均変動率(%)。
プラスが悪化をマイナスが改善を示す。()内は比較可能な36カ国での改善度ランキング。

答えは実は日本なのです。
「え!? 日本は20位って書いてあるんじゃ?」と混乱されたことでしょう。

すみません。ちょっとインチキしてしまいました。
少し日本の条件を変えれば2位になる、ということです。

どういうことかといえば、日本の政府債務から日銀保有分を除けば、財政健全性指標の改善度は借金を踏み倒したアイスランドを含めても世界で2番めに良い、という結果になるのです。
日本の財政は事実上世界最高の改善度といえるのかもしれません。

図2は日本の財政健全性指標の推移をみたものです。グラフには単純に政府債務÷名目GDPで算出した財政健全性指標と、政府債務から日銀保有分を除いて算出した財政健全性指標の推移を示しています。

日本の財政健全性指標は日銀保有の政府債務を考慮すると大きく改善している

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図2 日本の財政健全性指標推移
IMF資料と日銀資料より筆者作成

アベノミクスでは日銀デフレ脱却手段として主に国債などを購入することでベースマネーを供給しました。
残念ながら3年以上にわたって大量のベースマネーを供給してもデフレ脱却は達成できていません。 
ところが、この過程で日本の政府債務残高の3割近くを日銀が買い入れた結果、意図した結果ではないものの、日銀以外の主体が保有する政府債務2011年をピークに減少に転じています。

日銀が保有する政府債務については、政府は事実上利払費が不要で、元本については無限に乗り換えが可能ですから、財政健全性指標の計算から外しても問題はないと考えられます。*1

これまでのアベノミクスは余りに金融政策に力点を置き過ぎて、デフレを招く緊縮財政とのセットでしたから、当初目的とした2年でのデフレ脱却は不可能でした。
しかし政府債務日銀が買い上げることで世界最高水準での財政健全化は実現できています。

このように日本は財政健全化指数、政府債務÷名目GDPの分子縮小はすでに道筋ができたのですから、今後は分母の名目GDP拡大による財政健全化を目指して、緊縮財政から拡張財政に転換し、安倍首相が提唱する2020年に名目GDP600兆円達成に注力すべきでしょう。
金融政策と強力な財政政策の組み合わせなら、デフレを脱却しないわけがありません。

「拡張財政に転換すれば、財政健全性指標が悪化するのでは」ですって?
名目GDPが伸びればデフレ日本ではその3-4倍もの比率で税収が伸び、財政健全化に寄与しますし、必要があれば日銀政府債務を買い入れればいいだけですよ。 これまでの黒田日銀のように。

*1:ただし、日銀がすべての政府債務を買い入れることができるかといえば、銀行業務には国債が良質な担保として不可欠なことなどから、民間に流通する政府債務をゼロにすることはできませんし、する必要もありません。

あかあか 2016/04/06 20:19 日本政府はどうしてこんな単純なことが出来ないのでしょう

dc42jkdc42jk 2016/04/06 22:45 財政拡大の根拠とするにはちょっとインチキすぎるんじゃないでしょうか。他国の中央銀行保有分を引いたのと比べないと意味が無いですよ。

shavetail1shavetail1 2016/04/07 05:17 あかさま
本当に不思議ですね。 新自由主義というこの40年間違いが証明され続けている経済学に取り憑かれているから均衡財政なんて目指すんでしょうね。

dc42jk さま
日本を含め、異次元緩和をしているのは日米欧位で、欧州は政府債務をもつ各国と異次元緩和を実施したECBは別主体で、各国個別の政府債務は減っていません。 スイスは自国通貨安のために金融緩和をやって今はやめていますが、元々スイスの自国債務はほとんどなくて、周辺ユーロ国がスイスに必要な政府債務供給源になっていました。

他国と同じ条件ではないことはエントリー中に書いた通りですが、このスイス以外で、ここ4年で政府債務のかなりのパーセンテージを中銀に移した国があればご教示ください。

GokaiGokai 2016/04/12 11:04 shavetail1さま

>名目GDPが伸びればデフレ日本ではその3-4倍もの比率で税収が伸び、財政健全化に寄与しますし、

そうかもしれませんが、どういう根拠で税収が3〜4倍比で伸びるのでしょうか?そこもほしいですね。

>日銀が保有する政府債務については、政府は事実上利払費が不要で、
↑これもその通りですが、
しかし、金利を上げたりの通常の金融政策時にはベースマネーを減らす必要が生じ、その回収につれて、財政健全性指標も悪化することになります。
但しその財政健全指標が妥当だとの前提上ですけども。

suikyojinsuikyojin 2016/04/19 13:03 >>名目GDPが伸びればデフレ日本ではその3-4倍もの比率で税収が伸び、財政健全化に寄与しますし、
>そうかもしれませんが、どういう根拠で税収が3〜4倍比で伸びるのでしょうか?そこもほしいですね。

失業者が職を得て所得税を払うようになったり、赤字企業が黒字になって法人税を払うようになったりするからですね。
所得税は累進課税なので所得の伸び率以上に税額が増えますし、法人税も賃金等は費用として課税の対象になっていないのでGDPの基となる企業における付加価値が増えると、税額はそれ以上の割合で増えます。
累進税率の上限に達している個人や赤字を全く心配しないでいい高い利益率を出している企業も存在しますが、それはごく少数です。

そうした結果、名目GDPと政府税収の相関は、以下のエントリの図2のようになります。デフレ下では赤線のように傾きが大きくなります。

http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20150430

GokaiGokai 2016/04/19 23:56 suikyojinさま

グッドなフォローでした。 m(_ _)m

shavetail1shavetail1 2016/04/21 21:49 suikyojinさま
Gokaiさま

諸般の事情で、最近はコメントチェックを怠っておりまして失礼しました。 m(_ _)m

ただネタが尽きているわけではなくw、時間が許せば近くユーロネタなどを書きたく思っております。

通りすがり通りすがり 2016/04/25 17:22 >そうかもしれませんが、どういう根拠で税収が3〜4倍比で伸びるのでしょうか?そこもほしいですね。

政府支出も3〜4倍で増えるということを隠しているんですよ。

>しかし、金利を上げたりの通常の金融政策時にはベースマネーを減らす必要が生じ、その回収につれて、財政健全性指標も悪化することになります。但しその財政健全指標が妥当だとの前提上ですけども。

正しい。でも絶対にこのブログ書いてる人はどんな手を使ってもごまかそうとしてきますよ。

通りすがり通りすがり 2016/04/25 17:32 >日本政府はどうしてこんな単純なことが出来ないのでしょう

シェイブテイルがすさまじい馬鹿だから。
シェイブテイルも自分が間違ってることはわかってるんだけど、馬鹿を釣る、信者を増やす商売が終わってしまうのが嫌だから無理やり続けているだけなんでしょうね。自分が正しいと本気で思っているんだったらさっさと経済学者に論戦を挑みに行けばいいだけなんだから(笑)。

suikyojinsuikyojin 2016/04/28 10:30 >>そうかもしれませんが、どういう根拠で税収が3〜4倍比で伸びるのでしょうか?そこもほしいですね。
>政府支出も3〜4倍で増えるということを隠しているんですよ。

政府支出はGDPの支出面の項目なので、通常、政府支出を増やすとそれ以上にGDPが増えるのですが?
政府支出を増やしてもGDPにおける民間の分が減少して、GDPは少ししか増えないと、主張されるのですよね……。

どういうメカニズムでそういう摩訶不思議なことが起きるというのか説明して欲しいです。そうでないと、私を含め誰も納得しないでしょう。

通りすがり通りすがり 2016/05/03 15:44 >政府支出はGDPの支出面の項目なので、通常、政府支出を増やすとそれ以上にGDPが増えるのですが?政府支出を増やしてもGDPにおける民間の分が減少して、GDPは少ししか増えないと、主張されるのですよね……。

正気ですか?普段、乗数が1以上と言っている経済学者でさえそれは短期の乗数であって長期のものではない(長期では0と認めている、ただしまともな経済学者に限る)と認めていますよ。まずGDPはストックではなくフローだと認識しましょう。フローなので今期の政府支出の増額の効果は来期か少なくとも数年後には消えてなくなります。残るのは借金(公共投資であればほとんど無意味な工事は残るかもしれませんが)だけです。

>どういうメカニズムでそういう摩訶不思議なことが起きるというのか説明して欲しいです。そうでないと、私を含め誰も納得しないでしょう。

これはそういう摩訶不思議なメカニズムを主張している人が答えるべきでしょう。これは単なる一例ですが、穴を掘って埋めるのは当然政府支出ですが穴を掘るとそれ以上にGDPが増える?それならどんどん穴を掘っていくだけでGDPが際限なく増加していくことになるのですが?それともGDPには欠陥がある(公的投資はどんなに無価値なものであっても費用を掛ければ掛けた分だけGDPとして産出される)という指摘ですか?前者のような説明が本当に起こることだと納得する人はいたらそれこそ驚きでしょう、といっても何故か大勢いるんですが…

通りすがり通りすがり 2016/05/03 15:50 このサイトはプロパガンダサイトだということを分かってない人が多すぎ。シェイブテイルの被害者が一人でも少なくなりますように…

のぞみのぞみ 2016/05/07 04:45 「このサイトはプロパガンダサイトだということを分かってない人が多すぎ。」

通りすがりさんにお尋ねいたします。
では、まともなサイトのURLをご紹介ください。

通りすがり通りすがり 2016/05/14 18:32 最近は主流派がでたらめをやっていて、反主流派のスティグニッツ的な考え方が正しいというマスコミが増えた(?)のか

高橋洋一や藤井聡を擁立して朝日放送で「正義のミカタ」っていう番組が面白いです。

こういった消費税増税反対、緊縮反対、財政再建なんて意味がないの声が拡がり

活躍する機会がマス層にも広がっていくといいなと思っています。

suikyojinsuikyojin 2016/05/21 14:48 >これは単なる一例ですが、穴を掘って埋めるのは当然政府支出ですが穴を掘るとそれ以上にGDPが増える?

GDPは普通増えますよ。乗数効果というのがあります。

「穴を掘って埋める」ためにより多く支払われた賃金で、普通、消費が増えます。消費が増えた分誰かの所得が増えます、GDPが増えます。所得が増えた誰かは、消費を増やします。このような繰り返しにより、政府支出を増やした以上にGDPが増えます。

2016-04-04 安倍政権の理想を達成したギリシャの現在 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

日本についで財政健全性指標が悪いギリシャでは、2011年から15年の政府債務伸び率が世界一になりました。 
ただし、世界一は世界一でも、世界で最も伸びが小さかったのです。
また2013年には日本が目指すプライマリーバランス均衡も達成しました。
そのギリシャの現状とはどのようなものでしょうか。

IMFデータベースで比較可能な世界36カ国で、11年-15年の4年間での政府債務伸び率をみると、驚くべきことにギリシャは「財政健全性の優等生」に変貌していました。(図1)

ギリシャでは近年政府債務伸び率が世界一小さい

f:id:shavetail1:20160404162351j:image:w480
図1 政府債務伸び率ランキング
出所: IMF WEO Oct. 2015
比較可能な世界36カ国で、2011-2015年の4年間での政府債務年平均伸び率を算出
図は主要国だけだが、国名の後の数字は伸び率の小さい国ランキングの順位を示す

ギリシャでは2009年の政権交代時に多額の財政赤字が発覚し、その後国際通貨基金IMF)、欧州連合EU)、欧州中央銀行(ECB)からの融資と引き換えの緊縮財政が開始されました。
その結果ギリシャ基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスは2009年の対GDP比-10%から2013年には+1%に改善しました。

ギリシャ安倍政権が骨太方針に掲げるプライマリーバランス均衡を既に実現しているのです。

ギリシャに多額の融資をしているドイツを上回る緊縮財政をしいて、プライマリーバランス均衡を達成したギリシャ経済状況はといえば…。

まず、プライマリーバランス均衡達成とともに、政府債務残高(ユーロベース)は増加が止まりました。(図2)

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図2 ギリシャPBバランスと政府債務ユーロ建て)の関係
出所:図1に同じ、以下同


ところが、財政健全性指標つまり政府債務残高÷名目GDPの悪化は止まっていません。(図3)

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図3 ギリシャPBバランスと財政健全性指標の関係

ということは、ご推察の通り、名目GDPは大幅に悪化しています。(図4)
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図4 ギリシャPBバランスと名目GDPの関係

また、物価は急速にデフレ化しました。(図5)
f:id:shavetail1:20160404170142j:image:w300
図5 ギリシャPBバランスと物価の関係
物価はここではGDPデフレーター

その他にも09年から15年の間にギリシャでは失業率が9%から26%に悪化し、一人あたり名目GDPは15%減少しています。

安倍政権は「骨太の方針」で2020年プライマリーバランス均衡を目指しています。
しかし、現実にプライマリーバランス均衡を達成したとすれば、ギリシャが今体験しているような経済状態を自ら実現する、ということなのです。

プライマリーバランス均衡は現在の安倍政権では国民生活よりも重要な指標であるかのように国家目標化していますが、元々は2006年骨太方針の中での竹中平蔵元大臣の発案に過ぎませんでした。 

ウィキペディアプライマリーバランス基礎的財政収支)を調べると、日本語では約2000字の記載があり、ドイツ語でも4500字ほどの詳しい記載があります。ところが、英語では600字程度の定義の記載のみ、他はアラビア語の定義のみ。
他の言語での記載は全くありません。

要するに、世界でプライマリーバランス均衡を気にしている国は竹中構造改革以後の日本と、ドイツ語圏およびドイツの銀行から多額の借金があるギリシャ位ということなのでしょう。

しかもこれを達成すれば、失業率二桁、厳しいデフレで財政健全性は悪化というような最悪な経済状態です。
安倍政権もそろそろ怪しい経済学者たちに鼻面を引き回されるのを止めにしないと、日本は世界一対外債務を持ちながら世界最悪の経済状態になりかねません。

asdasd 2016/04/05 10:31 初めまして。ここ最近から、興味深く読ませてもらってます。

マクロは拡大均衡が標準であるということを理解されてない方が多いんですよね。
だから総需要不足だろうが緊縮財政を支持する人が出てきてしまう。
まあそんなことは義務教育もマスコミも教えないもんだから仕方ないですが、困ったもんですね。

shavetail1shavetail1 2016/04/05 12:45 asdさま

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりで、金利がある以上はマクロでは拡大せざるを得ないし、拡大する際に健全な負債の担い手が政府と企業だということが為政者と大多数の経済学者に理解されていないのは情けないほどです。

長期経済データをみると、政府の債務残高は
1872年に28百万円…長期データの最初の年
1929年に66億円…濱口内閣が一人90円の借金が巨額と不況下の緊縮策を強行して昭和恐慌を引き起こした年
1982年に121兆円…鈴木善幸内閣で財政非常事態宣言をした年
そして現在1200兆円。
いつでも多かったといえば多かったが、四半世紀もすれば何で騒いだのか見当もつかないほどの少額だったともいえます。

そもそも政府がすべての債務を返すのならば、その債務を誰かが肩代わりするのか(海外?)、マネーを使わない自給自足か位しか選択肢がないことを政治家・経済学者が知っているのかどうか。

いずれにしても、サプライサイダーには貨幣や債務は理解できないのに、竹中平蔵らはひどく馬鹿げた国家目標を掲げたものです。

通りすがり通りすがり 2016/04/25 23:18 >長期経済データをみると、政府の債務残高は
1872年に28百万円…長期データの最初の年
1929年に66億円…濱口内閣が一人90円の借金が巨額と不況下の緊縮策を強行して昭和恐慌を引き起こした年
1982年に121兆円…鈴木善幸内閣で財政非常事態宣言をした年
そして現在1200兆円。
いつでも多かったといえば多かったが、四半世紀もすれば何で騒いだのか見当もつかないほどの少額だったともいえます。

馬鹿な人がいつも引っかかっている詐欺の手口ですね。インフレと名目ではなく実質成長の二言で説明できるというのに。

通りすがり通りすがり 2016/04/25 23:21 >そもそも政府がすべての債務を返すのならば、その債務を誰かが肩代わりするのか(海外?)、マネーを使わない自給自足か位しか選択肢がないことを政治家・経済学者が知っているのかどうか。

学部のころに、初歩の初歩の間違いと習うことを恥ずかしげもなく言っている人がいるのを見ると…

たくろうたくろう 2016/04/26 17:42 >馬鹿な人がいつも引っかかっている詐欺の手口ですね。インフレと名目ではなく実質成長の二言で説明できるというのに。

実質成長概念で説明出来ると口ばかり。出来るならやれば。

通りすがり通りすがり 2016/04/27 00:39 >実質成長概念で説明出来ると口ばかり。出来るならやれば。

とっくにやってること。知りたいならば調べればいいだけ。説明を省きすぎたので少し補足すれば、戦前の債務はハイパーインフレ、預金封鎖という名のデフォルトで大部分が清算された。だから実質成長で返済されたという印象を与えたのはまずかった。

結局、馬鹿が引っかかるという事実は曲げようがないけれども。

2016-04-03 家計最終消費支出には消費税の影響は出ないのか このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

先日このブログで、「消費税を上げるたびに、家計の実質的な生活水準を示す消費水準指数が下方に屈曲してきた」という主旨のことを書きました。
これに対する反論のブログがありましたので、これについて書いてみたいと思います。

まず、シェイブテイルの意見がこちらです。



これまでの消費税0%、3%、5%、8%のトレンドと同じことが起きれば、消費税10%では実質的な生活水準は毎年3%ずつ下がっていくだろう、というのが結論でした。

一方、反論のブログはこちら。


曰く、

GDP統計の家計最終消費支出は増えている。1994年から2015年までは人口は最大で2.25%しか変わっていないので、家計最終消費支出を人口で割った数字で見ても、増加傾向は変わらない。しかし、消費水準指数は低下している。一人あたりの消費が増えているのに、世帯規模を調整した家計消費は減っている事になっている。二つの指標の傾向が合致しない。

ついでに図表も引用させていただくと
f:id:shavetail1:20160403092422p:image:w420

あちらのブログの主旨を忖度すると

消費税が上がっていても、家計最終消費支出マクロでは増えているではないか。
消費水準指数がトレンドとして下がっているのはよくわからないが統計上問題があるのではないのか。
だから消費税を上げても無問題である。

といったところでしょうか。

確かに同じ家計支出をみているはずなのに名目GDP算出の基礎にもなっている家計最終消費支出は増加トレンドで同じ家計支出に対して、1世帯当たりの実質消費と似ていますが、消費支出から世帯規模(人員)、1か月の日数及び物価水準の変動の影響を取り除いて計算した消費水準指数では減少トレンド、というのは一見矛盾のようでもあります。

この、”取り除かれた影響”の中に極めて影響が大きい因子があるのだろう、とおもっていましたら、himaginary氏より早速良い情報を提供してもらえました。

mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/12/dl/02-2.pdfによれば世帯数の増加が乖離の主因との由。
https://twitter.com/himaginary_/

himaginary氏引用URLの「平成24年版 労働経済の分析」のp161「世帯数の増加が消費の押し上げ要因となってきた」によれば、日本では人口増加を上回るスピードで世帯数増加が起きていて、これがマクロでの消費を押し上げているとのことです。

確かに核家族化や、高齢者の単身化が進めば、各家庭にひとつは必要な、冷蔵庫・テレビ・車などの耐久消費財の消費を中期的に押し上げる力になってきたのでしょう。

ただ、各個人の立場からみれば、使っている耐久消費財の数が増えているわけではなく、その意味で家計の人数増減を調整し、マクロの家計最終消費支出ではわかりにくい実質的生活水準を消費水準指数としてみえやすくしているのでしょう。

とはいえ、もしも家計最終消費支出では消費税の影響がないのであればそれはそれでひとつの論点といえるでしょう。
そこで、前回の消費水準指数とともに、家計最終消費支出(名目値)を使って、消費税増税の影響を再検討してみました。

消費税増税の影響は消費水準指数以上に家計最終消費支出にあらわれている

f:id:shavetail1:20160403094817p:image:w360
図 消費税率と消費水準指数・家計最終消費支出の伸び率との関係
出所:総務省統計
消費税率0%時代(1985−1989年)、3%時代(89-93年)、
5%時代(97−01年)、そして8%時代(14−15年)について
2つの指標それぞれの年平均伸び率(%)を算出した

これによれば、消費税率アップの影響は、世帯数増加という潜在的プラス要因がある家計最終消費支出にも出ていて、出ているどころか、消費水準水準以上に大きな悪影響が見て取れます。

もしも安倍内閣消費税率10%への増税を強行した場合、グラフのトレンドから考えると個人の実質生活水準のみならず、マクロでの家計最終消費支出もまたほぼ年率3%で縮み始めるでしょう。

蛇足ながら、消費税率アップの影響が3%と8%の時は軽めに、5%の時は重めに出ているのは、初めて消費税を導入した3%増税時には並行して物品税を廃止したため、実質的には3%消費税増税とはなっていなかった、また一昨年の8%増税時にはアベノミクス異次元緩和を行った結果、円安を招き、インバウンド需要を惹起したこと、一方5%増税前後にはアジア通貨危機ロシア危機など外部環境が悪い中、消費増税以外にも橋本改革と称する強力な需要抑制策をとったことも関係しているのかもしれません。

いずれにしても、これらの情報をしった上で消費税を8%維持もしくは10%に上げるのは、リーマン・ショック級の愚挙と思われます。

SS 2016/04/04 11:59 家計支出への影響より企業投資への影響の方が額としては大きくありませんか?過去の消費税導入、5%への増税の際は消費以上に投資へのマイナス影響が大きかった。
8%二年目のの昨年は企業の投資マインドは好調だったかのように報道されていたので、果たして本当にそうなっていたか数字が出てくるのが楽しみです。