シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

放射線量と臨床症状

原発事故の報道では放射線による人体への影響の尺度としてシーベルト(Sv)という単位がでてきます。ただ、Svという単位が大きすぎるため、ミリシーベルト(mSv)やμシーベルト(μSv)という単位が使われたり、1時間当たりの放射線量を示すmSv/h(時)やμSv/h(時)といった単位が出てきて私たちは混乱します。
そこで、どの単位なら、どの数値を目安に安全と考えるべきか、というリミットを表にしてみました。


報道では「北茨城市で5μシーベルトを観測!」などと言っていますが、正確には5μSv/時という一時間当たりの放射線量であることが多いです。 この表をご覧いただくと、放射線業務従事者や世界で放射能の高い地域(インド・中国・ブラジル)に暮らす人々が日常的に浴びる放射線量がほぼ5μSv/時です。ですから、北茨城市での最大放射線量がここまで上がったから、といって人体に影響は全くないと考えられます。 臨床的に急性症状が出始める放射線量は、その約5倍の量を1年間浴びた場合です。 亡くなる人が出始める放射線量は、更にこの10倍。 
 このまま事態が沈静化に向かうとすれば、福島原発事故での死者は0となることが期待できます。

1999年、東海村JCOで作業員が放射性物質をじかに扱い、多量の放射能で被曝した事故がありました。このJCO臨界事故で亡くなった作業員が浴びた放射能は6から17Sv(=6000〜17,000mSv)という恐ろしい量でした。これは極端な事例でしたが、その場にとどまれるかどうかの基準は先ほどの5μSv/時、あるいは50mSv/年前後だと思います。

関連記事: 
放射線量と臨床症状(2)
放射線量と臨床症状(3)

今週のお題東北地方太平洋沖地震

東京電力の被災

東京電力福島第一原発事故は現在進行中でまだ終わっていません。ただ、自衛隊など関係者の努力で終息に向かっていると思われます。 この影響を受け首都圏では現在計画停電を余儀なくされています。今の季節のピーク時電力需要4100万キロワットに対し、本来の供給能力が5200万キロワット、それが今は近隣電力会社の支援をうけても3400万キロワット程度とか。そこで東京電力の震災前と震災後、更には復興後の原子力発電供給量を調べてみました。

*:日本=日本原子力発電
ある方によれば、東京電力の発電設備は水力 898万kW 火力 3768万kW  原子力 1730万kW とのことです。
これらを単純合計すれば、6500万kWもあります。 4100万キロワットなど余裕でクリアしそうです。 ところが水力は、雨が常にふり続けているわけではありませんし、火力・原子力も定期点検などが必要ですから、全てを常時フル稼働するなどは不可能です。私の試算ですが、どうやら発電設備能力の60%程度が実際の供給最大量となっているようです。その上今回の被災で東電管内の原子力発電施設の能力の約半分が失われています。被災し廃炉となった福島第一1〜4号炉は言うに及ばず、近く建設予定であった原子力施設もこれほど原子力アレルギーがある日本で計画より前倒しで発電開始となる可能性は余りないでしょう。
今年の夏以降、毎夏首都圏は慢性的電力不足に陥ることは避けられません。 迅速に京阪神や中京地区に官庁・本社機能を移すなど必要な手を打たなければ日本全体が悲惨な状況となるでしょう。

今週のお題東北地方太平洋沖地震