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2011-08-06

日本の「物価安定」は先進的、(あるいはせめて普通)なのか

| 00:10 | 日本の「物価安定」は先進的、(あるいはせめて普通)なのかを含むブックマーク 日本の「物価安定」は先進的、(あるいはせめて普通)なのかのブックマークコメント

【要約】
・日本の物価水準は30年前と同じになりました。
・日本と日本以外の物価安定国の30年間の物価変動を比べてみました。


f:id:shavetail1:20110806213307j:image:w350:right 日本で物価が上がらなくなってもう随分経ちました。 
日本の物価指標GDPデフレータがピークだったのは、1994年のことでしたから、もう17年ほどデフレかそれに近い状態が続いています。

日本の物価  GDPデフレータ推移 日本の物価は30年前と同じに戻った












f:id:shavetail1:20110806220540j:image:w350:right物価水準が在と同じだった頃といえば、1981年。 もう30年も前のことです。この間、物価が安定していると言われている他の先進国物価はその間にどうなったのでしょうか。IMF Economic Outlook 2011April版で調べてみました。*1
この間の物価上昇率のランキングは比較可能な140カ国中、日本は下から1番目(最下位)です。以下、物価上昇率下位から順に、2位シンガポール、そしてスイスオランダドイツオーストリアベルギー米国カナダフランスの順です。フランスで、物価上昇率ランキング下から17位です。(この間に、ベリーズエクアドルバーレーンなどの非先進物価上昇率国も挟まっています)

この30年前の物価水準を100とすると、日本は勿論100に戻ったところです。
しかし、物価上昇率が日本に次いで低いシンガポールでさえ、物価は1.5倍にもなっています。
もう一度書きますが、これらの国は世界でも有数の低物価上昇率国だけでの比較です。
日本以外に、物価上昇率がこれほど極端に低い国はひとつもないですし、そもそも日本がデフレに陥っていなかった、1980年から1994年の間でさえ、物価上昇の傾きは緩やかであり、日本はこれらの国々の中でも物価上昇率最低グループだったこともわかります。

 日銀・白川総裁は自らの「金融政策の目的が物価の安定だけでなく経済の健全な発展としていることなど、日銀法の先見性を訴え、インフレ目標を採用していない日銀の政策運営は「より進化した枠組み」と述べたと報道されています*2が、今日のふたつのエントリーで過去30年のデータから見る限り、日銀の主張する「先見的な、より進化した枠組み」なるものを真似ようというような中央銀行は日本のほかにはどこにも現れていないようです。
デフレになって経済的には悪いことだらけで、良いことは何一つないのに、意図的にそれを狙う日銀*3。 

 では仮に、今短期間で日本の物価が80%騰がるほど日銀がマネーを供給したとしましょう。その意味するところはこのグラフのドイツ並の物価上昇率になるということです。
日銀から民間(非金融部門)には直接にはマネーを流せませんから、財政出動との組み合わせで実現します。*4

(財源)日銀→(??)→政府→(財政出動)→民間(非金融部門)

この図式は、(??)の部分以外は通常目にするスキームですね。
そしてこの(??)に入る手段としては次のような手段が考えられます。
1)政府紙幣数十兆円札(電子的にでも一緒)を日銀で両替してもらう
2)国債を発行して日銀に引き受けてもらう
3)一旦政府日銀→市中ルートで市中消化した国債を、買いオペ日銀に戻す
どれでも効果は似たように想像されますが、一見よくありそうな3)は国債を一旦市中に流す分、経済全体への影響が読みにくいですね。 1)か2)なら同じ政府部門内で、市場への直接的影響はなし。

 その間起こりそうなことといえば、全ての物価の上昇、景気好転、雇用の逼迫、給与は年収400万の人なら短期間に700万程度に上昇。大幅な円安、株価資産価格の上昇、下級財から上級財への需要シフト(=お昼は買い弁を止めて、レストランでランチ)。 婚姻率上昇、少子化ストップ。税収大幅増。国債残高減、年金制度安定、医療費財源安定、国民のQOL(生活の質)向上、 自殺率低下。皆が笑顔(^^) いやぁバラ色ですね!
 蛇足ですが、「物価が上がっても、自分の給料だけは騰がる気がしない。」とお思いのあなた。
そんなことはあり得ません。なぜかといえば、物の売上は、全てが誰かの所得になっている以上、全ての物品の価格が騰がる中、あなたの給料だけを選択的に上げないなんて技は誰にもできるものではありません。*5
 もひとつ蛇足で、「経済にフリーランチなし。」って詭弁の大家、池田信夫氏あたりに吹きこまれ、そうかなー、なんて思っている善良なあなた。 マイルドインフレの財源は日銀です。なぜデフレ日本では日銀のマネーがフリーランチでないかといえば、日銀が間違った指標CPI=0%を維持するため、民間から吸い上げたマネーを民間が返してもらうのだから、それは当然の話でしょう。

  
 でもひとつだけ大変困ったことがあるようです。 
それはデフレ政策を続けてきた日銀増税しか策がなかった財務省の面子が潰れてしまうこと。

【関連記事】日銀による世界史上最長のデフレ
   世界一優秀な中央銀行はどこか

*1IMF Economic Outlook 2011April版 操作は簡単。一度使ってみると面白い結果が得られるかもしれませんよ。 http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2011/01/weodata/index.aspx

*2http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=aFBNgrhjyW3A

*3:世界一中央銀行の能力が高い国はどこか? http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20110122/1296336427

*4日銀買いオペだけでもマネーを民間(金融部門)にはマネーを供給できますが、この手段はデフレ下では大して意味がありません。「量的金融緩和策」が微妙な効き方だったのはこのせいでしょう。 http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20110727/1311770903

*5:モノの値段の本質とお金の本質 http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20110724/1311462100 

shavetail1shavetail1 2011/08/08 09:02 what_a_dudeさま
> 物価上げつつ実質賃金下げ続けてる韓国はマジで凄い、と。
韓国は物価上昇率3%、若年者の実質賃金マイナス0.7%といった状態ですから、若年者でも名目賃金+2%強。韓国での給料は同じ仕事でも増えてます。  若年者が他の層より所得の増え方が緩いとしたら、それは政治的な力関係の問題かと。

shavetail1shavetail1 2011/08/08 13:52 toraba さま&chintaro3 さま >「収入が増えないせいで結婚出来ない人が増えて少子化する、とかいうような国内問題」それ全世界共通です

 そうなのかそうではないのかを次のエントリーで確かめたいと思います。

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