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2013-08-13 正しい推測では消費増税はいらない? このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 昨夜、民主党の金子洋一議員が消費増税が不要となる可能性について、注目すべきツイートをしていました。

消費税増税について、一年半〜二年程度引き上げを避けるべきだと言いましたが、金融緩和を続ければ、二年連続、毎年名目5%程度の経済成長はあり得る。ここで仮に税収弾性値を3(倍)とすれば毎年歳入の15%、6〜7兆円の増収が見込まれ、二年で消費税5%相当の約12兆円となり増税自体不要に。
      金子洋一・民主党参議院議員神奈川選出) ‏@Y_Kaneko 2013年8月12日

国論を二分する消費税増税論議ですが、アベノミクスによる自然増収により増税の必要がない、というならそれに越したことはありません。

税収=名目GDP✕税率✕税収弾性値

f:id:shavetail1:20130813205430j:image:w300:rightですので、名目GDP5%成長、税率一定、税収弾性値3とすれば金子議員の出した結論となります。
では、前提の妥当性はどうでしょうか。まず名目GDP成長率です。

図表1はG7諸国の名目GDP成長率の平均値です。ここからデフレ日本を除いた6カ国平均値は3.3%です。日本もデフレを脱却すれば、現在の△0.6%から3.3%程度の名目成長率は十分可能でしょう。 この名目GDP平均値と、税収弾性値として3を用いると、金子議員の名目5%成長前提ほどではないですが、それでも毎年歳入の約10%、4兆円で、二年で8兆円程度は見込めます。 

f:id:shavetail1:20130813205829j:image:w300
図表1 名目GDP成長率 (1997-2012)
出所:IMF WEO Apr 2013 縦軸:パーセント。

自然増収について考えますから税率は一定として、経済が名目1%成長した時の税収増%を示す税収弾性値の方はどうでしょうか。

政府の税収予測では、税収弾性値を1.1としています。これは財務省(平成23年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算)でも、内閣府日本経済の進路と戦略 参考試算 - 内閣府)でも全く同じです。

もし、税収弾性値1.1が正しいのであれば、たとえアベノミクスで名目成長が大きくてもあまり税収は増えず、消費税などの増税により税収の式の税率を高くすることもやらざるを得ないのかもしれません。 

かように、税収弾性値は消費税増税論議でも大変重要な位置づけの数値です。
冒頭の金子洋一議員政府が前提とする税収弾性値1.1は小さすぎ、実際には4近いのではないかと主張しています。

過去15年間の税収弾性値の平均は約4ですよ。1.1で財務省は計算してますが、本気で思い込んでいるとは思えません。
     金子洋一・民主党参議院議員神奈川選出)] @Y_Kaneko 2011年4月4日


政府でも与党議員(当時)から税収弾性値に疑念が出ていることから、税の専門家による研究報告書で検討がなされました。(平成23年10月 経済成長と財政健全化に関する研究報告書)

その結果は、政府のかねてから使っている税収弾性値1.1で大きな間違いはない、というものでした。

 内閣府経済社会構造に関する有識者会議(座長・岩田一政元日銀副総裁)は17日、インフレによる物価上昇によって名目成長率を高めて税収を増やしても財政収支は悪化する可能性が高く、財政再建はできないとする中間報告をまとめた。消費税引き上げ論議の際に民主党内などから出たインフレによる財政再建論をけん制する狙いがある。
 報告書は、名目成長率が1%高まると税収が何%増えるかを表す「税収弾性値」が2000年代以降は平均で4を超えていることについて、税制改正の特殊要因などが作用したためで、その影響を除くと実際は1強と指摘。わずかな名目成長が大きな税収増をもたらすとの考えを否定した。
     インフレ財政再建は無理=過大な税収増を否定−内閣府 (2011/10/17-19:49)時事通信(現在リンク切れ)

有識者により、税収弾性値論議は1.1の方が正しい、と軍配が上がったように見えます。
ところが。

この報告書、中身を良く読んでみると、「税収弾性値4は過大」だが、脚注14として小さく「修正して推計すると3.1」ということが書かれていたのです。測定の仕方、期間の取り方にもよりますが、現在の日本の税収弾性値は3-4、というのが実は正しく、税収弾性値1.1というのは、高度成長期まで含めないと出てこない、現在には当てはまらない数値なんですね。

結局、有識者会議で出された正しい数値3.1は無視して、財務省にしても内閣府にしても、好景気による税収増加は3分の一ほどに過小評価、そして不景気による税収減少も同じく3分の一ほどに過小評価してしまっています。  デフレ日本では好景気になれば、失業率が下がり、遊休設備も稼働して税収を上げ、逆に不景気になれば直ちに失業率が上がり、設備が遊び税収が落ちるのが実態です。おそらくは今回も消費税増税すれば、1997年同様、税率アップで税収減となってしまいます。

しかしそれでは、冒頭の金子議員の試算のように消費税増税などいらなくなってしまう、というので、税収弾性値を小さくしたい人々が増税論議の中核にいるんですね。

明後日は終戦記念日情報統制により敗戦に向かった昭和日本ですが、70年近く経った平成日本でも自分たちの都合で情報統制をする人々が日本を経済成長から遠ざけ、更なる経済敗戦に向かわせようとしてはいないか監視が必要です。

伊勢の水源伊勢の水源 2013/08/15 14:52 良い資料有難うございました。→http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/k-s-3kai/pdf/2.pdf

これによると、1981から2009の期間で税収の伸びが明確なのは81〜90、03〜07の二つの期間です.
丁度この時期というのは、株価上昇期です。ただ前者は名目GDPも伸びてはいますが、後者は名目GDPの伸びが鈍い。
従って、後者では税収弾性値の値が高くなったとも取れます。
ということは、名目GDP増加で税収を上げプライマリーバランスを目指すという計画より、株価を上げて、税収増を目指すという方が、表面上はより理屈が合いそうです。冗談で無く。

shavetail1shavetail1 2013/08/15 15:10 伊勢の水源さま

81−90はバブル期、03−07は実感なき好景気の頃ですね。
前者は完全雇用に近く、後者は非正規雇用が進んだ頃。
万人が景気回復を実感するのはバブルフェーズでしょうね。

ただ、現在は竹中氏が政権に近かった頃よりも非正規雇用がもっと進んでますので、バブル景気を目指すにしても、まずは非正規雇用が伸び、非正規雇用者賃金が伸びて税収が増えるフェーズを経ないとバブルフェーズには行かないのではないでしょうか。

どりあんどりあん 2013/08/19 20:00 http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110801/1312242746
ABZ2010さんのブログからですが、
短期と長期の税収弾性値の区別をしないとおかしな事になります。
各年度の弾性値の平均は確かに3ですが、長期の弾性値は1どころかマイナスです。

仮に弾性値が3のままだとしても、名目成長の大半が税金で手元に残ら無い事になりますから、増税と同じ事ですよね。
例えば毎年2%の名目成長を36年続けるとGDPは倍増しますが、税金はその間に8倍になる計算です。ラフに計算するとGDP1000兆円に対して税収が400兆円という北欧顔負けの重税国家になってしまいます。

shavetail1shavetail1 2013/08/19 20:10 どりあんさま

税収弾性値が3以上の高値となるのは、短期だからというよりも、デフレだからです。日本でも以前は短期でも1くらい。海外諸国でも1くらい。デフレ期の日本だけ値が大きいということです。
http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/k-s-3kai/pdf/2.pdf (p14の図表10)

これは、デフレになれば急速に赤字企業が増え、リストラも実施せざるを得ず、税収が大きく落ち込みます。 逆にデフレ下で景気が持ち直すと、黒字転換する企業が増え、正規雇用者のボーナスが増えたり、失業率が減り、非正規雇用者の所得が増えたり、しかも所得税が累進税だったりといったことの複合で急速に税収が増える様子が高い税収弾性値として観察されているのだと思います。

shavetail1shavetail1 2013/08/19 20:13 (続き)
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20130727
の図表1のグラフのように、好景気が続いた期間(1990年以前)とデフレ期(1995年以降)では名目GDPと税収との相関が一変してしまっています。 やはり短期・長期という区分では説明できない変化です。

どりあんどりあん 2013/08/19 21:44 shavetail1さん異常な数値というのはその通りだと思います。
ただ、税収弾性値を3として今後の税収を見積もるのはどうかと思いまして。
不足分とみなされてる10兆円を成長で賄うとするなら、仮に二年という制限を設けるなら高度経済成長みたいな事をする必要が有ります。

shavetail1shavetail1 2013/08/19 21:54 私の短文悪文で、お伝えしたいことが伝わっているか自信はないのですが、税額ありきというふうには思っておりませんで、デフレ脱却の過程で、大幅税収増が期待できるということです。 
今より名目GDPがちょっと少なかった1991年、税収は60兆円。
その後のデフレで、資産価値は下がり、企業収益も減り、平均給与も減って税収は2/3に。 その過程を逆回転させれば、中期的には税収60兆円超えもあり得ると思います。

伊勢の水源伊勢の水源 2013/08/19 23:35 shavetail1 さま、
<非正規雇用者賃金が伸びて税収が増えるフェーズを経ないとバブルフェーズには行かないのではないでしょうか。>

株価を上げる方法のまず第一は、企業の時価会計を簿価会計に戻すこと、それから法人所得税を42%に戻すことです。これで株価が上がり内需が拡大します。「えっ」と言われるかもしれませんね、w。

どりあんどりあん 2013/08/20 14:09 shavetail1さん、仮に今の税収が60兆円としてもリーマン前の80兆円の歳出には足りませんし、バブル期も国債を10兆円前後発行してますが、それ以上の発行は此処までの経緯を考えてもやはり過分かと。
それらを踏まえると、成長が実現したとしても現役世代の可処分所得は当面増え無いと考えた方が方が良いと思われます。勿論成長しない場合よりも負担は軽くなりますが。

どりあんどりあん 2013/08/20 14:39 伊勢の水源さん、法人税の実行税率を戻す事には賛成しますが、
簿価会計は多国籍企業も多く、IFRSの適用が何れはなされるとするなら現実性が無いかと。
バブル期に買った資産だけなら確かに見せかけの企業価値は高まりますが、逆に下がるケースも有りますし何より仮に株価上昇が起きても簿価会計では全く反映されませんよ。
包括的利益という括りで別枠にしてますし、本業の決算にはそれらを売却しないと損益を認識しません。最近だとソニーが含み益を吐き出して決算を良くしてましたね。
デフレ期は含み損が見えませんが、逆にインフレ期にも含み益が見え無くなりますからこれからインフレで景気が回復するので有れば尚更簿価会計はブレーキにしかならないかと。

伊勢の水源伊勢の水源 2013/08/20 20:05 どりあんさま、

<簿価会計は多国籍企業も多く、IFRSの適用が何れはなされるとするなら現実性が無いかと。>
<何より仮に株価上昇が起きても簿価会計では全く反映されませんよ。>

1)IFRSの適用をしなければ何か重大問題が発生するのでしょうか
?その政治的意味を知りませんのでお尋ねします。
2】株価上昇が会計に反映され、税の支払いが増えることが企業には損失ですので、企業は株価が上がって欲しくないのだと思います。この企業意識が大問題です。