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2013-09-18 日本では本当は自殺は増えていないというウソ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

昨日1997年消費税増税以降自殺者が増えた、と書いたところ、「年齢構造をOECDにならって標準化すれば自殺率は増えていない」というご指摘を受けました。

具体的には図表1、2のようになっています。

日本の自殺者数は1997年を境に増えたが、標準化自殺率では以前に戻っただけに見える
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日本の自殺者数推移(図1)と年齢構造を標準化した自殺率(図2)
出所:社会実情データ図録
同じ図は、富高辰一郎氏著の「うつ病の常識はほんとうか」(2011、日本評論社p29)にも記載がある。

この図はある意味で興味深い考察ですね。ただ、1996年までバブル景気だったかどうかには異論がありそうですが。

図表3は内閣府が発表している原因別自殺者数です。

1997年以降各原因での自殺者が増えた
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図表3 原因別自殺者数推移
出所:内閣府警察庁資料を元に作成した資料から筆者作成。
縦線は1997年

原因別自殺者数推移を見れば、1991年頃のバブル崩壊自殺者が増えた、というよりもやはり1997年の出来事、消費税増税が原因となっている可能性が高いと考えられます。

増加が著しい経済生活問題は因果関係が分かりやすいですし、家庭問題・勤務問題も同様でしょう。
「健康問題」とされている部分にしても、警察庁の「平成 21年中における自殺の概要」によれば、健康問題とする自殺者の4割以上にはうつ病があったことから、健康問題として自殺した人たちの背景にも経済問題があったことが推定されます。(うつ病は1999年ころから急増)


ではなぜ、標準化自殺率では、単に元に戻っただけのように見えるのでしょうか。

これは推測になりますが、日本では少子高齢化と世帯当たり人員数減少が続いています。
そうなると、世帯の家計や企業業績の責任を担う人の比率は、子どもがたくさんいた高度成長期の日本や、現在のインドなどに比べて現代の方が当然高いでしょう。 こうした、責任ある世代層が増えた、という人口構成自身が日本での1997年以降の自殺多発の背景となっているのに、これを「標準化」してしまえば、当然自殺率は圧縮されてしまって、自殺多発の現実(図表1,3)は覆い隠されてしまいます。

色々なデータで水平比較する場合に標準化は多用される手法ですので、それ自身は否定すべきものではありませんが、だからといって、1997年以降の日本で自殺は大きな社会問題ではない、と考えるのは間違いでしょう。

【追記2013.09.20】
意外に、消費税自殺増加が無関係という方がいらっしゃるようなので、もう一段詳細な分析をしました。
図表4は図表3で用いた自殺率の年変化率のグラフです。

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図表4 バブル崩壊後の原因別自殺率の変化率
出所:図表3データより筆者作成

素直に見れば、橋本増税後の消費税の最初の支払が必要になった年(1998年)に自殺が急増しているのが分かるでしょう。

1998年に経済問題による自殺で前年比7割増もの人の命が奪われました。また、勤務問題、家庭問題、学校問題、更には健康問題での自殺も、1998年に大幅に増加しました。
経済問題以外の自殺も、少し考えれば1998年から急に発生した経済問題につながっていると思いますがいかがでしょうか。

qwerty86qwerty86 2013/09/19 02:45 後半の論旨がよく分からない。
自殺率標準化の根拠は「年齢によってそもそも自殺率は違うので、年齢構造の変化を差っ引こう」ってことでしょう。
例えば、責任ある年齢層ってのがあり、その年齢だと自殺率が高いとして、そういう年齢の人が増加したので自殺率が増えたとしたら、その効果を打ち消すために標準化してるんです。
自殺率の増加っていうのは、例えばその「責任ある世代層」について、同じ年齢なのにそう責任が増した、経済悪化で負担が増した、だから自殺率が「同年齢で」増えた、という話でしょう。それはないというのが標準化自殺率を見た上での結論になる。

qwerty86qwerty86 2013/09/19 03:03 あと、「バブル崩壊は自殺増の主要な原因ではない」もちょっと気になります。
バブル崩壊による自殺増って、例えば借金の問題なわけで、次の年から増えなかったから要因ではない、ってのは違うと思う。
例えば債権回収で追い込まれて社長が自殺なんて聞く話だけど
バブルの不良債権回収が活発になったのって1997以降の話でしょう。(例えば「債権管理回収業に関する特別措置法」は1998/10/12 に制定)
経済自殺って、借金回収を苦に自殺ってのが主なんじゃないですかね。家計が苦しくなったからっていきなり死ぬ人少ないでしょ。カード枠使い果たしてサラ金に手を出し、その後追い詰められ…ってパターンが主かと。
だから何を原因だとするにせよ、原因と自殺者増のタイムラグを考えないと妙な結論にたどりついてしまうのでは。

shavetail1shavetail1 2013/09/19 05:37 qwerty86 さま
端的に言えば、「標準化したら日本もインドも人口構成に差がなかった。だから日本では少子高齢化はない」といえば誰でもそれは変だと思うのでは。 元の社会実情データ図録はそうした主張だと思いますよ。 

>タイムラグ
ではqwerty86 さんは1998年以降自殺がなぜ急増したと思うのですか? 自殺には丁度7年のタイムラグがある、というということですか。

単にタイムラグというものがあるのであれば、自殺などの行動は片月で平準化して前年比はなだらかになりそうなものですが、なぜ1998年(消費税の支払が必要となった年)になって皆揃って死を選び始めるのでしょう。

tt 2013/09/19 11:38 少子高齢化は年齢構造そのものの問題なので、 国際比較にあたって年齢構造の標準化をする人 はいないと思います。する意味がないから。 自殺率については、国際比較の際に年齢構造が ノイズになるために標準化を行うのであって、 問題が根本的に違うでしょう。

qerty86さんの言ってることは、1997年の山一 や拓銀の破綻を契機に日本でもクレジットクラ ンチが起きたこともそうだし、1997年以降、大 型倒産が急増したことからある程度納得感はあ ると思います。(倒産企業の負債総額は平成8 年が訳8兆、平成9年が約14兆、平成10年が約13 .7兆) バブル崩壊直後以降は、何故か個人消費や住宅 投資も元気だったんですよね。経済統計的にも 1992年とかはさすがに落ち込みはしたものの、 わりとすぐに回復したりして。実際は、金融機 関が必死こいて損失を隠していたので表面化し なかっただけで、それが結果的にタイムラグに なり、傷を深くしたってことなんでしょう。

個人的には平成13年以降平成15年を山(史上最 悪)にして、経済生活問題を原因とする自殺だ けが急増した理由の方がどっちかというと気に なりますがね。そういや日本が初めてデフレ認 定したのは平成13年だっけ…

shavetail1shavetail1 2013/09/19 12:03 元々、時間的に垂直方向で日本国内の自殺率の増加の有無を問題にしているのに、国際比較という水平化のための標準化を持ちだしてだから日本の自殺は無問題、という主張が変と言っています。
時間的な流れでの比較が無意味と思うのならその主張は理解はしますが個人的にはそれが大して意味があるとも思いません。

tt 2013/09/19 12:31 年齢構造による標準化をすると、近年上昇した と言われる自殺率は、実は高度経済成長終了後 のレベルと相違はない。この事実を認めるなら ば、近年の自殺率が高レベルになっている要因 が、年齢構造の変化によるものであるという結 論になるかと思いますが、論旨と異なるのでは ないでしょうか?個人的には少子化の原因は非 正規の若者の増加によって結婚率が下がったこ とにあると考えているので、間接的に消費税の 影響を否定するものではありませんが。

タイムラグについては、何か反論等がおありで しょうか?消費税増税に反対するあまり、なん でもかんでも消費税に結びつけるのはよろしく ないと思います。

shavetail1shavetail1 2013/09/19 12:38 tさま
日本で、年齢構造を標準化した自殺率が長期的に低下している傾向はありますね。
その原因は今の私は把握しておりません。ただ、そうした長期的な話とは別に、1997年を境に標準化してもしなくても自殺が増加し、その理由が経済的な理由であることが問題だ、という主旨です。
仮に、1991年のバブル崩壊が原因?で1997年の死者急増があるとすれば、6年もの時間を経て、ある時から突然経済的理由で2倍も死なねばならない(図表3)、タイムラグを生じる合理的経路をお聞かせ願いたいところです。

tt 2013/09/19 13:44 最初の投稿で書いたと思います。 バブル崩壊直後こそ種々のデータは落ち込んだ ものの、1993年以降は回復し、企業倒産も安定 していたが、1997年の大型倒産(山一と拓銀) 以降のクレジットクランチが起きて悪化し、そ のせいで企業倒産も個人破産も増加した。(倒 産企業の負債総額は最初の投稿及び東京商工リ サーチ参照。個人破産については司法統計年報 参照)。その結果97年以降の自殺者が増加した ということ。 タイムラグは、金融機関の損失隠しが表面化す るまでのそれだけかかってこと。

qwerty86qwerty86 2013/09/19 15:17 shavetail1さん、まずどうも「年齢構造標準化」について理解されてないような気がするんですが。
「経済等の環境がまったく同じであっても、年齢が違うと自殺率はそもそも違うであろう」というのがまずある。これは仮説ですが大体の人が認めるところです。10才までに自殺する人間なんてそうそういない。
「ゆえに、少子高齢化社会では、環境の自殺に与える影響が変わっていなくても、自殺率が高くなっている可能性がある」これも仮説ですが、標準化によって検証可能です。
「経済的・社会的要因が自殺に与える影響を調べたいので、年齢構造変化分をないものとした自殺率をだそう」というのが標準化です。
それをやった結果、自殺率が増えていないのであれば、経済・社会の自殺に与える影響は変わらず、単に年齢構造の変化が原因であったという結論が出ます。長期トレンドでみればそういうことになってるというのが「自殺率は増えてない」という人の論拠でしょう。

そして、1997から1998あたりには標準化後も大きな変動が見えますが、その主要因はバブル後にできた債権の回収の本格化ではないかというのは妥当な考えだと思います。tさんも書かれていますが、大手銀行の破綻も1997ぐらいからでしょう。バブル崩壊が1991ごろっていうのは株価やら地価から算出した話だと思いますが、地価下がったから次の日自殺するって話でもないでしょう。経済自殺の原因は「破産」「倒産に伴う失業」がかなりの割合では?
個人的には前述の「債権管理回収業に関する特別措置法」(いわゆるサービサー法)ができてしまったおかげで、いわゆる「追い込み」が激しくなったのはかなり大きいと思っています。

まあ無論、消費増税などの財政緊縮もこのタイミングでやったおかげで景気の冷え込みにかなり貢献しちゃってますから、要因のひとつではあると思いますけど
主要因といわれると首を傾げざるを得ない。

shavetail1shavetail1 2013/09/20 16:39 お二人のために、図表4を追加しました。自殺者数の変化率です。
1997年に拓銀、山一證券が破綻したわけですが、その年にはまだ自殺急増はありません。そして消費税の支払を求められるのは翌1998年からです。お二人は1998年だけの自殺率急増をどう説明しますか?

我輩は下戸である。名前はまだない我輩は下戸である。名前はまだない 2013/09/20 16:53 shavetailさま。
下記の資料もご参考に。何かの役に立てて頂ければ。

平成24年度租税滞納状況について(出典:国税庁ホームページ)

http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/sozei_taino/index.htm

特に目に付くのが『滞納整理中のものの額の推移(消費税)』でしょうか。平成10年(98年)に急上昇している様が顕著に現れております。消費税増税で急増した滞納金の回収に追い込まれて、というストーリーの蓋然性が高い疑義が極めて濃厚ではあります。

shavetail1shavetail1 2013/09/20 16:59 タイムリーな情報、ありがとうございます。
近いうちに必ず使わせていただきます。

tt 2013/09/20 18:13 shavetail1さま お見苦しい投稿しまして申し 訳ありません。直前の投稿は削除していただき たいと思います。

1997年4月1日に村山内閣が実行した消費税の5 %への引き上げについては、企業が増税後の消 費税を納税するのは1998年の3月末ですが、そ もそも消費税は、利益に連動する法人税等と異 なり、預かり金的ものであるため、納税期に一 気に認識されるものではありません。むしろ増 税による需要減退や価格転嫁の阻害等があるた め、消費税増税の影響は個人・企業の区別無く 増税直後から発生します。

山一の廃業や拓銀の経営破綻は1997年の11月の イベントです。

shavetail1さんの引用しているデータは暦年( 1~12月)のデータですので、1997年11月の大 型倒産を引き金にクレジットクランチが深刻化 して、倒産・破産が増えた結果平成10年(1998 年1~12月)の自殺者数が増えたというのは どこもおかしくないと思いますが。

むしろ1997年4月に消費税増税が起きているの に、平成9年(1997年1~12月)の自殺者数がそ こまで増えていないことは、消費税が自殺者数 増加の直接的な主要因ではないことの証拠にな っているのでは?

我が輩(以下略)さんの提示したグラフは年度 なので、増税後の納税は平成9年度から始まっ ています。消費税増税の影響が直に滞納額の増 加につながるのならば、平成9年度の滞納額が 増加していない理由が不明です。

また、会計検査院の平成10年度決算検査報告に よれば、滞納企業は資金繰りに問題が生じてい た企業が大半であり、消費税を使い込んで運転 資金にあてていたとの報告がなされています。 クレジットクランチによって金融機関からの資 金調達が困難になった結果であると言えると思 いますが。

(参考:http://report.jbaudit.go.jp/org/h10/199 8-h10-0087-0.htm)

サービサー法については私が回答するのもおか しい気がしますが、あれは1998年10月成立で19 99年2月施行の法律なので、クレジットクラン チによって起きた商工ローン問題を深刻化させ て自殺者の高止まりさせた可能性はありますが 、急増の原因ではないと思っています。

shavetail1shavetail1 2013/09/20 19:59 tさま
確かに、会計上いつ消費税を認識するかといえば、イベント発生時点かと思いますが、現実の納税は、基本的にはその会計年が終わってからかと。(特例で3ヶ月または1ヶ月に短縮することもできるようですが)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6137.htm

また、消費税を使い込むというのは国税庁などの言い分ですが、「消費税のカラクリ」(斉藤貴男著)などを読むと、中小零細企業はバイイングパワーに優る顧客に消費税分の値切りをされて、預かってもいない消費税を払わされることで首が回らなくなるといった話が出ています。また例えば駄菓子屋があって、これまで税込30円(本体価格29円)で売っていたチョコがあったとして 消費税が8%に上がっても、子どもから31円取るといった転嫁ができず、1円(売上の約3%)は持ち出しになるという話もあります。 国税庁に言わせれば、こうした場合「取らないほうが悪い」と言ってはばかりませんが。

abu1500abu1500 2013/09/21 18:41 ”職業別の自殺者数を見ると、もっとも多いのは、失業者と高齢退職者を含む「無職者」であり、「被雇用者」、「自営者」がこれに続いている。”


http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2740-2.html