4/17 歌舞伎座 夜の部

4/17(日)に歌舞伎座夜の部を観ました。


歌舞伎座で杉坂墓所が出たのはかなり久しぶりとのこと。
私は大阪で仁左衛門が通しで出したときに見て以来でした。
やはりここがあると、毛谷村の話がわかりやすくて良いと思います。
お幸の入り込みもあるので、省略された毛谷村の場合のような唐突に現れて誰だかわからないということもありません。
仁左衛門の六助はおおらかで優しそうなところが非常に良いと思いました。
歌六の微塵弾正が悪役らしく、鋭い味を出していました。


次が新作の幻想神空海ツイッターなんかで、賛否両論の感想があって、しかも原作を読んでなかったので大丈夫かなあと心配でしたが、面白かったです。
舞台の雰囲気や空海橘逸勢のコンビが主人公というより狂言回し的な雰囲気なのが陰陽師に似てました。
もちろん、新作ならではのセリフの多さによる冗長感や、長い原作をまとめたためのもの足りない感じはありましたが、各役者の見せ場があったのと、陰陽師と違って、雀右衛門歌六又五郎幸四郎などベテランがしっかりと場を締めていたのがよかったと思います。


最初に出てくる雀右衛門楊貴妃の踊りが幻想的で最初から引き込まれました。
染五郎と松也は仲のいいコンビの雰囲気がよかったです。セリフの中で、松也が週刊誌に騒がれたことをネタに、お前も苦労したからなあみたいなセリフがあって場内爆笑してました。
米吉がすっきりときれいで、中国風のメイクのせいか、最初だれだか分りませんでした。あまり女形をやらない種之助と、物語の発端となる宗之助も最初誰だろうと思いました。
化け猫を演じた児太郎が妖しい雰囲気を出していて好演。


途中、丹翁と楊貴妃の過去を竹本で語る部分で、芝のぶ、京蔵、京紫が目立つ活躍していたのが嬉しかったです。


そして、何といっても、実質的な主役ともいえる歌六がとてもよかった。老人の声と、朗々とした張る声を使い分けて、丹翁の悲恋をイキイキと描いていました。
最後に出てくる皇帝役の幸四郎も重厚感がありました。



一、彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち
杉坂墓所
毛谷村


毛谷村六助 片岡仁左衛門
お園    片岡孝太郎
杣斧右衛門 坂東彌十郎
微塵弾正実は京極内匠 中村歌六
お幸    中村東蔵



高野山開創一二〇〇年記念
夢枕 獏 原作
戸部和久 脚本
齋藤雅文 演出
新作歌舞伎
二、幻想神空海(げんそうしんくうかい)
沙門空海唐の国にて鬼と宴す


空海    市川染五郎
橘逸勢   尾上松也
白龍    中村又五郎
黄鶴    坂東彌十郎
楽天   中村歌昇
廷臣馬之幕 大谷廣太郎
牡丹    中村種之助
玉蓮    中村米吉
春琴    中村児太郎
劉雲樵   澤村宗之助
楊貴妃   中村雀右衛門
丹翁    中村歌六
憲宗皇帝  松本幸四郎



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