相対性理論/TOWN AGE(2013)


相対性理論というポップアイコン。あるいはかつてそうだったもの。
でも2013年においては相対性理論はまだポップアイコンで居続けていると言えるのだろうか?
相対性理論が放っていた光はどこかボケている。端的に言えばキレがない。どこか散漫でインパクトに欠ける。相変わらずやくしまるえつこの独特の言葉のセンスにはいくらか安心するのだけれど、でも聴こえる曲を掬ったそばから、それは手からはするりと零れ落ちていってしまう。


タウンページ(TOWN PAGE)から抜け落ちた"P"は一体なんだったのだろう。
"Pop"の"P"? あるいは?
安定感はあるし、メロディもやはり相対性理論節と言えるものだ。でも何かが足りない。そう、"Piece"が抜け落ちている。みんなが期待する相対性理論のその枠からはみ出しているようには思えないのだ。
決して聴いて失望したりするわけではないのだけれど、でも無表情な声で、滑らかなようでどこかざらついた言葉でいつの間にか抉られるような、あの面白さはここにはない。真新しさもない。テンポ良くやくしまるえつこは歌うけれど、聴く僕はふわふわとしたままだ。


このアルバムはどこかさみしいアルバムだとおもう。噛み続けているのに味がしないガムを噛んでいるようなそんな感覚なのかもしれない。
それでも期待してしまうのだ。だからこそさみしいという感覚が起こることを知っている。さみしいけれど、またいつとも知れない次のアルバムをどこかふわふわとしたままで僕は待っている。


Rating: ★★★☆☆