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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2017-01-22

HoloLens凄い。井口尊仁は絶対買え 08:55

HoloLens凄い

装着した姿は・・・まあ、アレだが

凄いことには間違いない。

https://i.gyazo.com/9853006c46623315fe341667fdda40ad.png

個人的には30万円だした価値はあったと思う。

なんせ、新しい機械でワクワクする未来を見せてもらえるというのは久しぶりなことだし

こんな買い物はここ何年も経験してなかった。


個人的にHoloLensに匹敵する買い物は・・・PC-9801F2(最初のパソコン)

PC-9821 Canbe(Windows95用マシン) VooDoo2(超高速ビデオカード) ドコモP501i(最初に買ったiモード端末) ドコモF503i(最初のiアプリ端末) PowerBook G3(17インチ/30万円くらいした) iPhone(初代/アメリカでしか売ってないので15万円かかった) に並ぶくらいの買い物。


実のところ、勢いでポチッちゃってから後悔して、キャンセルボタンを探したのだが、なんとキャンセルボタンがないという・・・


そして届いてしまったのでもう楽しむしかないっしょ。


そしたら予想以上に凄い。


えーと、「どうせGoogle Glassみたいなもんでしょ」という誤解を受けるかもしれないのでひとこと

「全然違います」


まず、Google Glassはスタンドアロンで使えない。擁するにホストとなるAndroid携帯が必要になるわけです。

ところがHoloLensはそれが内蔵されている。


「Oculusみたいなもんでしょ」というのも、ぜんぜん違う。

Oculusもホストコンピュータは別だし、htc Viveも同様


htc Viveはあれだけ大掛かりなことをしてルームスペースVRを実現しているのに対し、HoloLensは全ての計算資源を内蔵して、なおかつルームどころかフルスケールで使えるシロモノなのです。


たとえばHoloLensを装着したまま町を歩くことが出来ます(通報されそうだけど)。


しかも凄いのは、外でいろいろやってから、家に返ってくると、WiFiの情報その他から部屋のどこにいるのか認識して、家での作業状態を復元してくれるところ。


さらに、半透明なので、キーボードとかをBluetoothで接続して使うこともできる。

想像以上に凄いですよこいつは


さらに自分の見た映像を記録してシェアすることもできる。

未来

https://i.gyazo.com/04b08850cd9ea2bedd8a1c7d133d1e94.png

未来きてる。


ジェスチャーがちょっとパアでんねんみたいなダサい感じではあるが、こんなもんが普通に動いてるとか未来としか言いようがない。


バッテリーも5.5時間と重量バランスと性能を考えたら拍手喝采の出来

つうか5時間も連続で装着してたらクビが凝るわ。さすがに


https://i.gyazo.com/46d4eb92fbf7427cd14e051c60a64d25.png


なにもないところでジャスチャーすると、空間を認識してますよーという感じでワイヤーフレームになってすげーカッコいい


サイバー者にはマストバイアイテムだし、VRとかARとか言ってる人はこれ持ってないとモグリだと思うし、なにより誰より井口尊仁は絶対に買うべき


https://www.microsoft.com/microsoft-hololens/ja-jp

2017-01-20

役場の仕事の行きしなにいまさらコミック版「海賊と呼ばれた男」を読む 22:53

 去年から内閣府の「新たな情報財検討委員会」の委員になっています。


 この委員会は内閣総理大臣以下全大臣をメンバーとする「知的財産戦略本部」の直下に設置され、ここでまとめられた報告書をもとに我が国の知的財産国家戦略が決定され、その後、関係各省庁に政府の基本方針として落とし込まれます。


 極めて重要な会議体なので、できるだけ出席するようにしているのですが、これまで「AIにより創出される新しい情報財」に焦点が当てられていたのでわりと積極的に発言していたのですが、今回からは「データの利活用」というテーマに変化し、事前に受けたレクも「なんて退屈な話なんだ」と愕然としました。


 それで、今日はあんまり気乗りしなかったのですが、国家の一大事が決まる場所ではあるので、委員としてちゃんと参加しようと自分を奮い立たせ、内閣府に向かいました。


 道中、Kindleで買ったこんなマンガを読みました。



 一巻がタダだったのでとりあえず読んでみようかな、くらいの軽い気持ちだったのですが、あっという間に引き込まれ、もう夢中になってしまいました。


 実は活字版を買ってあったのですが、なんとなく読むヒマがなくていわゆる積ん読になっていました。改めて読んでみるとなんと血湧き肉躍る内容なんでしょう。


 このマンガの主人公、国岡鐵造は60歳。

 60歳が主人公のマンガなんです。


 そして全編を通して描かれるこの人物の圧倒的高潔さ。

 官との癒着を否定し、孤高の存在でありながら、誰よりも尊敬される大人物。



 そしてこの主人公は、出光興産の創始者、出光佐三をモデルとしています。

 本当にこんな人物が実在したのか、本当に出光佐三はこのような高潔な人物だったのか


 その真相は僕にはわかりません。


 しかしたとえ架空の物語の人物だったとしても、国岡鐵造は実に魅力的な人物に思えます。



 物語は敗戦直後から始まり、1000人の店員を抱える国岡商店は稼業の石油業をすべて接収され、操業不能な状態にまで追い込まれました。


 しかしそのような状況で国岡鐵造は、あえて「一人たりとも馘首(クビ)にはしない」と宣言します。

 そして会社を存続させるため、漁業や農業、ラジオの修理といったそれまで経験のない事業に乗り出します。


 変わった人たちの会社なので、政府さえも敵に回りますが、捨てる神あれば拾う神ありで、GHQが彼らに味方して、日本の石油行政は大きく自由市場へと前身します。



 実はみんなよく理解していないことの一つだと思うのが、国家戦略、そしてそこからうまれる国家政策が人々の生活に与える影響です。



 僕の実体験として語れば、たとえば、「プログラミング教育の義務教育化」は、2013年末に修正された内閣基本方針である「世界最先端IT国家宣言」に一文が追加されただけで、その一年後、二年後には文科省、総務省経産省が連合で国家のプログラミング教育事業を共同で推進することが決まり、実際に現場の混乱をさておいても、是が非でもプログラミング教育を義務教育で導入するのだということが決まりました。


 これまで僕はこの手の有識者会議は、官僚が欲しい意見を僕らに言わせて、適当なエヴィデンスを得る場所として考えていたのですが、今回の「新たな情報財検討委員会」ではAIの進歩があまりにも早すぎるため、どうも官僚側に最初から結論めいたものが存在しておらず、各委員もかなり自由に発言しているので、これまでの役所の会合にはない熱気を感じて、毎回とても刺激的な体験をさせていただいています。


 でも今回は「データの利活用」がテーマだったので、まあいつものように僕が喋ることはあんまりないだろうと思っていたのですが、よく考えると中小企業、ベンチャー企業の人間はその委員会のなかで僕一人でした。


 川上さんも委員なのですが、川上さんはドワンゴの会長としてではなくカドカワの社長として参加しており、やはりこの枠からは外れてしまいます。


 そしてプライベートデータストレージを活用してデータの相互利用を促進しよう、みたいなことを経産省や内閣官房、総務省が推進しようとしていることはわかったのですが、そもそもプライベートデータストレージにデータを公開するというモチベーションが、ふつうに考えて大企業にはないわけです。


 どうせあとで議事録が公開されるので読んでいいただきたいのですが、何人かの委員は「法規制とか新たな権利付与とかは不必要であり、民間にまかせてほしい」と口を揃えて言っていました。


 そのとき僕は、「あ、僕みたいなのが来てよかったな」と思ったんです。

 こんなのは詭弁だからです。


 この委員会に来てるのは大会社の主に知財担当の重役がメインです。

 大企業にしてみれば、余計な規制や、新しい権利が生まれたら面倒事が増えるし、データは囲い込みたい。データの水平利活用なんて酔狂なことは、面倒だからできれば関わりたくないわけです。


 たとえばカルテのデータを情報銀行に預けると、お薬手帳を持ち歩かなくても、どこの薬局でも自分に必要なお薬や、薬歴がわかっていてすぐに買えるとか、そのデータがレストランに共有されていれば、アレルギー食材を避けたメニューを提案してくれるとか、いろいろなことができるのですが、そもそもなんで医者がカルテのデータを情報銀行に預けなければならないのか、そのモチベーションがないわけです。


 医者としてはカルテで囲い込めば固定客を得ることが出来て仕事を守れます。


 大企業、特にメーカーが工場などでセンシングした情報はどちらかというと営業秘密であり、こんなものを公開するメリットはゼロです。むしろ囲い込みたいし、そもそもどんな情報をセンシングしているかということすら知られたくないはずです。



 もし本当に、情報銀行によって個人情報が適切に還流して、煩わしいことから解放される、そんな素敵な世界を作りたいと思ったら、立法によって国がデータの提供を強要するしかないんです。


 マイナンバーがいい例で、国家戦略、国家政策というのは、決まってしまえばどんなに非効率的な方法でも国民に強制する強制力があります。


 みなさん、マイナンバー、よくわかんないけど書いてるでしょ?

 面倒くさいなあと思うでしょ。


 これだって、政策によって決められているからこそ、いま我々が強制されていることなわけです。

 そしてマイナンバーの真の目的は脱税を防ぐことです。税収が上がるからあれほどのモチベーションを持って導入されているわけです。


 私企業の自助努力でなんでもかんでもうまくいくなら、政府はいらないわけです。

 そして、データ流通による素敵な世界というのは、過去何度も、いろんな私企業が挑んで、そして失敗してきた分野です。これに成功している国家は世界中探してもありません。


 データ流通をさせたければ、立法化してデータを収集した業者はなんらかの方法で情報銀行に情報を預託するとか、情報蓄積に関する日本銀行に相当する組織を作って全ての情報を政府がコントロールできるようにするべきです。


 こうしたことは、これまでさまざまな企業が挑戦して独力でできた企業はひとつもないので、もう国家がかなり積極的にやるしかないんです。


 これが仮に実現するとすると、日本は世界最先端の情報活用国家になります。

 今はブロックチェーンのような改ざんや不公正を防ぐ技術もあるので、うまく設計すれば政府がコントロールしながらも各々のプライバシーの保護は国民一人ひとりが自由に制御できるような世界が作れるのではないかと思います。


 たとえば、「引越し前の病院のカルテを、引っ越し後の病院に引き継ぐ」ことに同意すれば、カルテが自動的に移管されるような仕組みです。


 個人的な話になりますが、僕は先天性両眼緑内障でした。


 失明した状態で生まれてきたのです。


 生後3ヶ月で異変に気づいた両親が、大学病院で開発されたばかりの新手術法を試すことに同意し、僕の目は40年経った今でもしっかりと見えています。


 ただし前例のない手術だったため、僕は18歳になるまでほぼ毎月、電車で一時間かかる新潟大学病院に通って定期検査を受けていました。本当は成人したあとも年に一回くらいは来て欲しいと言われていたのですが、さすがに上京したりアメリカに住んだりしてしまったのでそれから一度も行っていません。


 でもこれも本当は、もっと簡単にカルテの移行ができたり、僕が自分の健康診断の結果を、新潟大学にフィードバックするパーミッションを与えたりできたら、先天性両眼緑内障という不治の病と言われた病気に対する手術の有効性も確認できたはずですし、これは国家、人類全体にとって貢献できる情報になるはずです。


 他にも僕は世界で30例程度しか確認されていない遺伝子異常であるBHD症候群に該当しており、手術によって取り出した僕の細胞は東大病院から順天堂大学病院に共有されているのですが、本当はそうして得られたデータはもっと共有されるような仕組みがあったほうが研究は進むはずです。


 でも、今の仕組み、私企業が自分の権益のために各自発展を模索するという方向性を追認するだけでは、こうした意義のある医療情報の共有は永久に成されません。


 僕は東大から順天堂に僕の検体細胞が移る時にパーミッションをとられましたが、それ以降パーミッションの連絡がこないので順天堂大学病院でとまってるのだと思います。でも本当はこういうデータは興味のある人、たとえばBHD症候群を研究したい人にはいつでもアクセスできるべきだと僕は考えています。


 本来は、BHD症候群の情報が健康診断センターや健康保険にも共有され、健康診断の内容自体もそれにあわせて変化するべきです。今のところは、僕が自分で調べて、自分に最適な予防措置や検査を設計しなければならないのですが、こんなことからは人々は解放されるべきではないかと思います*1


 要するに、たとえば医療データの相互運用性が高まると、我々は死にづらくなるのです。


 ところが医療データの相互運用性を高めるモチベーションを私企業は持っていません。

 だから国家が推進する必要があるのです。


 積極的に癌に掛かって死にたい、という人はあまりいないでしょうから、これは利用者にとっては大きなモチベーションになります。



 国家、政府の役割というのは、こういう問題を解決することです。

 そういうことが大企業の論理でいつもなあなあで流されて決められてしまうかもしれない場に、一人くらい、僕みたいな雑魚が混ざっていたことも意味はあったかもしれない、と思いました。


 帰り道、再び「海賊と呼ばれた男」の続きを読んで、出光がいかに政府や既得権益を持つ大企業と戦っていったかということが描かれていました。


 僕なんか、出光佐三に比べればぜんぜん、甘やかされているし、大企業の人たちには普段は感謝しかないんですが、なんだか、背筋をのばしてシャンとしよう、という気分になりました。


 企業を経営するとはどういうことか

 それを知る資料として、非常に面白い本だと思いました。

 オススメです。


 一巻は無料なのでぜひ一巻だけでも

*1:ちなみにご心配をかけてはいけないので読者の皆様に蛇足ながら説明すると、BHD症候群とは、DNAの中で「細胞分裂のブレーキをかける」遺伝子が欠落する現象です。つまりどんな細胞も分裂しすぎるのです。その結果、肺胞が過剰に分裂しすぎて破れやすくなったり、上半身に腫れ物ができたり、直腸がんにかかりやすくなったりします。僕の家系はBHD症候群を持っている家系のなかでも珍しく、本来はできるはずの上半身の腫れ物がだれも出ていません。また、家系の中でBHD症候群に該当すると思われる父、叔父、祖母(90歳)は未だ健在で、BHD症候群に該当しない祖父、祖母、祖父はもう鬼籍に入っています。つまり、BHD症候群であることは、僕の寿命を縮める原因にはなりません

2017-01-17

税込19万円で深層学習を勉強できるアカデミック版ハイエンドPCを作ってみた 07:28

 先日、某大学の先生と話をしていたら、「大学の予算って20万円を超えると申請がいろいろとややこしいのよね」という話を聞いた。


 まあ世の中にはどこもややこしい予算の話を抱えている人が大勢いる。

 で、どうやら某大学では20万円を超えるとややこしい話になるらしい。


 しかし、そもそも深層学習に使えるPCおよびGPUは、たとえばTITANX単体でも12万円くらいするので、マシンが20万円を切るというのは恐ろしく難しい。


 難しいがしかし・・・せっかく深層学習をやろうとしているのに予算の問題でマシンすら購入できないというのはなんというか、非常に勿体無いではないか。


 深層学習はどの分野にも適用できるが、マシンが高価なのでなかなか誰もがやってみるということにならない。


 でも、本当は誰もがやってみるべきである。


 そこでサードウェーブデジノスさんに拝み倒して、アカデミック用途限定で、税込20万円を切るラインナップを用意することにした。


https://deepstation.jp/img/slim.png

https://deepstation.jp

 

 しかもボディは非常にコンパクト。

 このへんは長年ゲームミングPCを作り続けてきたサードウェーブデジノスさんの本領が発揮されているところだ。


 さらに、Pascal版TITANXのBTOにも対応した。

 従来は980Tiだったので、34%の高速化が成されたことになる。


 なお、アカデミック版を購入していただいた方には先着50名まで、拙書「はじめての深層学習プログラミング」を謹呈させていただきます。



 これで買ってすぐに深層学習を始められるというワケ。

 すでにオーダーが殺到してきて40日待ちなので、ご注文はお早めにどうぞ

2017-01-15

1兆円企業の正社員を辞め、ベンチャーを起業してみたら・・・オウム真理教信者にやられたでござる 08:37

 なんとなくFacebookのタイムラインに本の紹介が流れてきて、「ふーん」と思っていたのだが、僕は経営失敗の本を読むのが経営者の教養だと思っているので、せっかく書かれた本なので読んでみようと思って買ってみた。


 タイトルは「再起動 リブート」前向きなタイトルだけど、逆にいかにも失敗したという印象がある。

 著者であり主人公である斉藤徹さんは、日本IBMのエンジニアの地位を捨ててフレックス・ファームという会社を立ち上げた。


 帯によれば、「僕は4回死に、そのたびに復活した」のだという。



 最初はダイヤルQ2バブルの話。まあこの時代は土地バブルの残響があって簡単に儲けることが出来た。アダルト番組に手を出して大儲けしたが同時に筋の悪い客も掴んで、ダイヤルQ2が社会問題になったときに大変なピンチを迎える。


 ここまではわりとよくある話。板倉雄一郎の「社長失格」もだいたい同じような感じだ。


 ところがさらに追い打ちをかけるようなことがフレックス・ファームに起きる。


福田さん、会社のなかで悪いことをしている人がいます」


「え?どういうこと?」


福田は、タケの意図がわからずに尋ね返した。


「仕事をしないで、会社の資産を横流ししているようです」


「それはホントか?」


「はい。それで昨日、彼らのパソコンの利用履歴を見たら、オウムネットというところにアクセスしていることがわかりました」


驚くべき告発だった。

彼らがアクセスしていた先はオウム真理教のウェブサイトだったのだ。当時、オウム真理教は坂本弁護士一家殺害事件などの関与を一部で疑われていたものの、まだ犯罪組織とまでは認定されず、疑惑の新興宗教と見られていた


 普通、特定の宗教団体のことは書かない。書けないというか。

 こんなに赤裸々に書かれているだけでも著者の覚悟が伺える。

 解散したとはいえ、一時期はたいへんな隆盛を誇った宗教団体であり、逆らって命を落とした人もいるというのに。


 実際、フレックス・ファームで内部調査をすると状況はもっと悲惨だったらしい


タケからの情報をもとに福田が調査すると、さまざまな事実が発覚した。一五名ほどいた技術系社員のうち、四名がオウム真理教の熱心な信者だったのだ。彼らは社員紹介ということで次々と入社し、中核的な立場でシステム開発をこなす傍ら、社内で布教を進めていた。致命的だったのは、彼らが会社の資産である音声応答システムをオウム真理教に横流ししていたことだった。購買や在庫管理を担当する社員まで信者となっており、一台数百万円で販売しているシステムが数台横流しされたことが判明した。資金流出が早まった原因は、実はここにもあったのだ。


 さらに信者を一人解雇すると、6人が辞め、合計10人が信者だったことが発覚する。

 怖いよこれは。


 さすがに僕の人生で宗教団体がらみで会社がトラブルに陥ったことはないけど、時代性を考えるとそういう状況になるのも納得できなくはない。


 他にも両親と一緒に住んでいる自宅を抵当に入れたり、企業再生ゴロに高級マンションや高級車を買わされたり、「あーあ」という展開になっていくのだが、それでも斎藤さんはめげずに再起動する。


 板倉雄一郎さんの本の場合、読んでいて「この人はもしかして自分がなににしくじったのか分かってないのではないだろうか」と不安になったのだが、本書の場合、斎藤さんは極めて素直に自分の決断のミスを反省しているので大変勉強になる。


 起業というのはいいことばかりじゃない。

 スティーブ・ジョブズだって何度もしくじってる。

 大成功が最初にあったから最終的にはなんとかなったが、普通は大成功が最初にあるということは稀だ。


 僕は経営のスキルは実際に経営をすることによってしか磨かれないと思っている。

 だからこそ、Microsoftはベンチャー起業家だったサティア・ナデラをCEOに迎えたし、Googleエリック・シュミットを外部から招聘してCEOにした。


 新規事業の立ち上げと既存事業の拡大では根本的にやることが違う。

 僕は思えば、ビジネスのキャリアとして、最初からずっと、いろいろな形で新規事業の立ち上げをやってきた。


 最初にちゃんと働いたのは売上7兆円のベンチャー企業だったMicrosoftで、ゲーム機向け汎用OSという、世界の誰も売ったことがない製品を売るという戦略の最前線だった。


 ベンチャー的であるかどうかということは、規模とは関係ない。

 当時のMicrosoftは明らかに急拡大中のベンチャーであり、社員の誰もが攻めの姿勢を崩さなかった。目的のために手段を選ばず、態度ではなく結果のみによって評価される社風で僕はいろんなことを学ぶことが出来た。幸運だったと言っていいだろう。


 その後も、イベントや製品、サービス、そして事業の立ち上げをドワンゴで経験し、そのあと自分の会社を作ってからは、まさしく事業を作り出すということ、立ち上げるということを専門に15年ほどやっている。今もまさに新規事業の立ち上げをしている。これまで立ち上げた事業は数える気にもならないが、自分の手を離れて未だに継続している事業も多い。立ち上げることには興味があるが、継続するフェーズになったらそれが得意な人に任せてしまう。すると事業は長続きする。そういうものかもしれない。


 実際のところ、僕は事業を立ち上げることはどちらかといえば得意だと思っている。

 事業の立ち上げは本の企画と同じだ。「こういう本はまだ世の中にはない」かつ「こういう本を読みたい人は大勢いるはず」という仮説から、売れる本を作り出す。


 まあただ、僕の場合、あんまりマス向けのことはできない。そこそこ売れる本をコンスタントに書くことはできているつもりだが、何百万部と売れる本を書いた経験は残念ながらない。そのあたり、ケイクスの加藤さんあたりに秘訣を聞きたいところだ。



 けど、自分のやりたいことをやって生きるなら、そこそこ売れる本、そこそこ回る事業があれば十分だという考え方ももちろんある。


 斎藤さんは最終的にそういうところに落ち着き、幾度もの危機を乗り越え、いまもなお起業家として活躍する真摯な姿勢に胸を打たれるし、会社を経営する人はもちろん、経営幹部を目指す人、これから就職する学生にもぜひ読んで欲しい。有名企業の成功譚だけを読んでも、経営の真実はわからない。むしろこういう本こそが、今の日本にもっと必要なのである。


2017-01-11

【祝】「よくわかる人工知能」さらに増刷が決定! 人工知能の新連載も決定! 08:25

 多方面で絶賛していただいている「よくわかる人工知能」ですが、新年早々最初の部決会議で増刷が決定したとの第一報を受けたのでお知らせいたします。それもこれも、読んでいただいた、広めていただいた皆さんのおかげです。


 電子版のほうが売れ行きがいいにもかかわらず、紙も増刷という、まあ著者としては嬉しいことずくしの年明けです。


 本の内容について、いまさら僕が書くのもどうかと思いますので、せっかくですから、世の中にあるあまたのレビューの中から、著者として「我が意を得たり」と思った嬉しいレビューをご紹介させていただきたいと思います。


ナポリノロクさん


2017年01月10日

これは興奮した。過去の研究の分かりやすいサーベイかと思わせるタイトルだけどそうではなくて、最先端ではどれだけもの凄い事が現実になりつつあるかということのガイド。個人的にはAIを鍛える事と子供の教育はなんら変わりがないと言うような趣旨のトピックが面白かった


https://elk.bookmeter.com/reviews/61560143


 そう、教育なんですよ。結局。

 だから毎日うちの会社には近所の子どもたちがきてプログラミングを学んで帰っていくのですが、この現場に立ち会うことが、実のところ本物のAIの実現に繋がっているというわけです。


 そこを分かっていただけて本当に嬉しいです。



買って、一瞬後悔も、引き込まれました(清角克由さん)


買ってすぐ後悔してしまいました。いわゆるインタビュー集で、内容のほとんどが対談形式だったためです。

対談形式の本は、僕は通常買いません。いわゆる地の文がないせいか、はたまた対談した内容(話し言葉)を書き起こすためか分かりませんが、文字数に対して内容が薄い事が多いためです。(ま、あくまで僕自身の偏見ですが。)

とは言え、この本はそういった過去の経験とは大きく異なり非常に読み応えがあり、引き込まれる内容でした


(中略)


現段階で、人工知能について素人が読める最高の書籍の一つでは?


人工知能について、超初心者向けの入門書であったり、現実性が疑わしい夢のような未来か、悲惨なディストピアを語るような本しか見当たらないように思います。そうでなければ、ある程度理論やプログラミングに精通した人向けの専門書か。


この本はその中間か、中間より少し初心者向けの方に軸がよった立場で書かれています。


今の僕にちょうどいい本でした


ただ、びっくりするくらい、この本の賞味期限は短いかもしれないと感じました


人工知能界隈は、恐ろしいスピードで環境変化が起きており、投下される資本規模が年々拡大しているように感じます

できること、出来ないことが明確になるスピードも、実用化するスピードも上がり始めています。かつて、インターネットの世界は、ドックイヤーと言われ、やがてさらにスピードは上がってマウスイヤーと言われてきました。


人工知能界隈は、さらにスピードが上がっているように思います。ハードウエアの成長スピード、ムーアの法則さえ、超えそうな勢いです

これほどのスピードを現すことばがそのうち現れるかもしれません。モスキートイヤーとか。


http://blog.kansolink.com/02reviews/book-review/you-can-understand-artificial-intelligence/


 すごく力の入ったレビューで、このレビューを知ったときはとても嬉しかったです。

 読んでない人にはもちろん、読んだ人にも訴えかけるような内容で、非常に元気づけられました。


 「買って後悔」させちゃってごめんなさい。でも、やっぱり今の人工知能は範囲と可能性が広すぎて、一人の人間が全ての知識や考察を網羅するのは不可能に近いんです。最終的には楽しんでいただけたようで良かったです。


おかもんさん


(※以下抜粋)


対談の中身は専門用語オンパレードの単なる技術的な話ではありません。もっと概念的で思考訓練として非常に面白い読み物でした。


一番面白かった対談は、慶応義塾大学・前野先生との「受動意識仮説」。


http://okamon-u.hateblo.jp/entry/2017/01/10/213508



 受動意識説は本当に衝撃ですよね。

 でも、AIに意識を実装できるとしたら、これが鍵になるはずです。


kawaakamiさんのレビュー 2016年12月29日


対談形式ってやっぱ読みやすいし特に先端の技術とかでまだ理論じゃなくって思いが重要みたいなところではすごく使い勝手のよい形式ですねえ。PEZY Computingの人とかすげえ。Rockだ。カーツワイルレベルやんないと仕方ないでしょうって!最初の松尾さんのところで、ああ、知性ってときに高次の次元があるってのがすごく重要で、人間の場合多分その認識レベルが目というデバイスに適したFWまでしかないのでそれより高次にはなかなか行きづらいということを感じました。それで、ディープラーニングというか機械学習全般で、この目というデバイスに付随するFWに頼っていた知性というものが、次元の制約を超えるってのがでかいんだろうね。これがビッグデータとか言われるものの本質なんだろう。あとドワンゴのLISやばい。慶応の満倉さんのホルモンが必要ってのもなかなか示唆に富む。ネットワークのモードをいろいろと変化させてってのは絶対あるよね。まあ睡眠とかねえ。


http://booklog.jp/users/kawaakami/archives/1/4048922335


 僕がインタビューを通して「面白いなあ」と思ったところを的確に楽しんでいただけたようで大変うれしかったです。

 どうもありがとうございました。


penguinlondonさんのレビュー 2016年11月5日


パソコン黎明期からインターネット時代までを駆け抜けた天才プログラマーによる抱腹絶倒の一代記、「プログラミングバカ一代」の清水亮氏による人工知能本。現在の人工知能ブームの立役者の一人である松尾豊東大准教授ほか、ドワンゴの人、ヤフージャパンの人、トヨタの人、NVIDIAの人などなど、豪華ゲスト陣との対談で、2016年現在の人工知能を巡る状況について理解できるというなかなか素晴らしい本だ。とにかく動きの速い分野なので、松尾准教授の『人工知能は人間を超えるか』を読まれた方は、その後1年くらいの日進月歩ぶりを確認するのにちょうどいい具合だ。しかし清水さん、いつの間にか人工知能の専門家になっていたとは!


中でも白眉は、人工知能に特化したスーパーコンピューターを作っているベンチャー企業、PEZY Computingの齊藤元章氏との対談だ。人間の脳に迫るディープラーニングを実現するために必要なハードが存在しないことから、それを作ってしまおうという志がまず凄い。そして、2025年ころまでには前特異点を創出しようとのロードマップに沿って、今のところ着実に進んでいるところがまた凄い。さらに、特異点、つまり「シンギュラリティ」が実現された場合に何が起こるのか、これだけ具体的なイメージを持っている人も他にいないのではないか(詳細はぜひ本書を読んでいただきたい)。この対談だけでも本書を読む価値がある。


http://booklog.jp/users/penguinlondon/archives/1/4048922335


 他の本の宣伝もしてくださってどうもありがとうございます。励みになります。


村上(フリック)さん


(※以下抜粋)


どれも対談だから、非常に読みやすくて分かりやすいですし、何より、話を聞いてるのがシロウトでなくて清水さんなので、深い所にズバっと話が切り込んでいって、さらに僕らシロウトにも分かりやすくひも解かれています。


というわけでお勧めです。


で、ちょっと本題と違う話なのですが、人工知能と関係ないところで、僕にとって興味深いところがいくつかありました。


ひとつはトヨタの岡島さんのところで、自動運転についての話が出てきます。自動運転では画像解析とか判断のところでディープラーニングが非常に役立ちそうなのですが岡島さんが『とはいえ難しい部分もあります。絶対にセンターラインをはみ出さないようにするとか、あるいは制限速度を守ってさえいれば必ずしも安全に直結するかっていうと、ケースバイケースなわけです』っておっしゃっていいること。


僕が自動運転において非常に懐疑的というか疑問に思っていたけど、上手く表現できないと思っていた部分をずばりと言い当ててらっしゃって、『ああ、さすが車メーカーの人は分かってる。この点を理解して下さっているなら自動運転にも可能性があるかも!』って思った部分なのです。


つまり、混合交通の中で僕も含めてかならずしも遵法運転というワケではない。そこで自動運転車だけが正論で、運転されちゃたまらない……と思っていたら、そこがちゃんと討論の俎上に上がっているということで安心したワケです。


http://blog.sideriver.com/flick/bookreview/

<< 


 いつもありがとうございます。

 確かに、この部分は杓子定規にはできないという従来型、積み上げ型のAIの限界と、だからといって法律を犯すことを前提の商品を作るわけにはいかないという建前とのジレンマがありますね。


 Amazonにもたくさんのレビューを頂いていますが、ひとつだけご紹介させていただきます。


これは面白い 5つ星のうち 5.0 (ぶにゃぞうさん)


投稿日 2016/12/6

形式: 単行本 Amazonで購入


語り手(騙り手?)として一流の著者の、ブログでのけれんみたっぷりの語り口を抑えめに発揮した読みやすくて示唆に富む本。

現役の研究者たちへのインタビューを主軸に置いているのが成功の原因だと思います。

最近手軽に自分たちの使ってるデータをそのまま読み込んで使えるライブラリないの?とか聞かれて、それはそのままはないんだけど、、っていうやり取りにも疲れてきたところなんだけどそれも遠くない出来事だな、って思いました。

人工知能の中核の担い手にはなれなかったけど、今後の適用範囲拡大の中でどうかかわっていけるのか、って考えると楽しみです。


https://www.amazon.co.jp/review/R28OI8OKOVAVT3/

 

 ありがとうございます。

 そうですね、そんな「汎用」ライブラリもそのうち出てくるかもしれませんね。


 さて、そんな大好評の本書の売れ行きに僕も担当のイトー君も大変驚いています。


 そして皆さんが再三ご指摘なされているように、賞味期限が非常に短い本なのかもしれません。

 そこで今月から、人工知能の最先端の話題を対談形式で追いかける不定期連載が週アスPLUSで始まります。


 ぜひお楽しみに


 まだ読んでない人は、急いで読もう!