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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2007-10-05 会社なんだから金儲けを考えるのは当たり前。だけど・・・

GREE問題について、永井さんがいい記事を書いてる 08:56

荒れるケータイコミュニティ--GREEアバターをめぐる騒動 - CNET Japan

この問題は実験サービスとして始まった無料コミュニティがマネタイズを意識していく中で必ず通る道でもあり、改めてその問題の難しさを感じる出来事だった。

世の中のたいていのWebサービスは当初無料サービスとしてスタートする。

うまくいくと、そこからマネタイズの方法を模索していく。

すぐに思いつくのは広告だが、実際に広告で収益をあげようと思ったら、とんでもなく大変だ。

たとえば日本最大のコミュニティサイトmixiで、公式に発表されている資料ではモバイル広告1ページビューにつき0.03円の売り上げしかない。

これは、僅か100万円を稼ぐのに3000万ページビューが必要ということ。

仮にケータイの公式サイトだったら、月額100円の会員が1万人いれば易々到達する領域に達するまでに、相当な高負荷分散サーバを構築したり、それなりにユーザー様に対してケアをしていかなければなりません。

mixiの会員の1/10のサイトでも、月額100円のサイトなら、100万人x100円で月に1億円。300円のサイトなら3億円、mixiの株式公開時の売上高は20億円ですから、もしこれが月額300円の有料サイトならmixi事業だけで少なくとも36億円。会員数が今の1/4だったとしても90億円の売り上げがあることになります。

これが無料サイトと有料サイトのビジネス構造上の根本的な違いで、モバイルが中心になった時点でエンドユーザから直接課金しようというのは誰でも持つ発想です。

しかしそれが「おしつけられている」と感じると利用者としては急速に冷めてしまいます。

これもまた非常に難しい話で、記事を見る限り、アバターが強制表示されているというよりも、アバターに関連した機能(クリノッペ)を使うとアバターしか表示されない、という話のように見えます。

アバター機能をあとから追加するには相当なコストがかかっていると思いますが、そのなかで既存の顔写真とアバターを両立させるようなサービスはむしろ難しいと考えるべきでしょう。

ペットなのだから、画面の中に分身が必要だ、というのはゲーム屋から見れば非常にまっとうな発想です。

それ自体に何の問題もないと思いますが、とにかく出し方とタイミングがどうもあわなかった、ということなのだと思います。

特にデフォルトが「ダサめのスカート」だっていうのは気持ちは解りますがちょっとまずいかなと。

Yahooアバターも同じくらい唐突に入ったわけですが、特に誰も怒らなかったのはそこまでひどくはなかったから。

全員白いTシャツにジーンズという、吉田栄作スタイルになっちゃうし見れば明らかにみすぼらしいけど、それでもそれは「ダサめのジーンズ」というアイテム名ではなかった。

会社なんだから利益をあげないといけないですし、無料サービスでスタートしたんだからマネタイズできるような商品を次々投入していく必要があるのは当然です。

しかし最も難しく、最も重要なのは、お客様にいかに気持ちよくお金を払ってもらうか、ということです。


話は少し変わりますが、昨日凄くひさしぶりに西麻布のワインバーに行きました。とっておきの店です。

三日泊まり込みで仕事をしていた部下をねぎらう気持ちも含めて、僕自身も海外出張でご無沙汰だったその店にふらりと行った訳です。

その店では特に注文することはありません。

 「今日はどうされますか?」

と聞かれて、「ちょっと軽い食事とワインを」と言うだけ。

あとは僕らの服装や話し振りをみて、マスターが勝手に考えて料理やワインを出してくれます。

昨夜のメニューは蒸した牡蠣、鴨肉のソテー、フォアグラのリゾット、ワインは1990年もののシャンパンから始まり、ボルドー、シャトー、そしてデザートに貴腐ワインという構成でした。

まあボルドーとかシャトーとか言われても僕にはよくわからないんですがね。

そのよくわからない僕に対して根気よくその解説を加えてくださる訳です。

ワインの楽しみ方、味わい方、料理との取り合わせ、そうした全てが融合しあい、ふくらみ、僕もひさしぶりにとても豊かな時間を過ごすことができました。

食事が終わって会計のとき、初めてそれまでの料理の値段を目にする訳です。

これはまあいつもちょっとした衝撃の瞬間なのです。普通の食事の何倍もするわけですが、確かにその価値はあった、と思わせる。そしてできればまたお金を貯めてここに来たい、それまでどうか店が続いてほしいという思いから、やっぱり気持ちよくそのお金が払えるのです。

マスターは僕のことなんか全く知らないはずなのに、サンダルにジーンズひとつでやってきた客に対して注文も採らずにこれだけ高価な料理とワインを黙って出してくれる。ここにはある種の信頼関係がないと出せません。

会計の時間というのはマスターの信頼に答える時間でもあるわけです。

ここではもちろんアバターどころじゃないお金が一瞬にしてなくなるわけですが、払った後には充実感でいっぱいになります。「またいつかここで飲もう」という活力が湧いてくる。

それはマスターに信頼されている、という気持ちと、それに答えた、という満足感、もちろん素晴らしい時間を過ごした、という満足感が、客である僕にとても気持ちよくお金を支払わせるのです。

お金を払ってもらう、ということ、サービスによってお金を払ってもらう、ということは、ひらたくいえばどれだけ気持ちよくお金を払ってもらうか、ということに尽きます。

ケータイコミックにも僕はもう毎週1000円以上使っていますし、iTunes Storeにも毎月1000〜3000円使います。

これはもちろんそうしたものにそれだけの価値があると感じているからで、喜んで払うわけです。

ネットに限らずサービス業の大切なところは「どうやって喜んでお金を払っていただくか」ということに尽きます。

GREEの場合は不幸なボタンの掛け違いで問題ばかり注目されていますが、記事の最後にもある通り、結局GREE内におけるアバターの利用者数はのびているわけで、これも細かなことにヒステリックに反応した一部のユーザによる拒絶反応ととれなくもないけれども、もちろんできるだけそういう誤解は解いておいた方が、みんなが気持ちよくお金を払えるでしょうね。