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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2008-05-04 クリエイティブ

再生機を買う人と、作成機を買う人 11:09

先日の電脳空間カウボーイズ(アキバ系!電脳空間カウボーイズZ)で、こんな会話がありました。



 シン石丸「ところでリックはいつカメラ買うの?」

 リック九十九「え、買いませんよ」

 シン石丸「買ったほうがいいよ」

 リック九十九「いや、だってお金ないし」

 

 ケイス淀橋「金ないって、社長だろ。カメラひとつ買えないってどうなのよ。そもそも会社として」

 リック九十九「いやー、投資信託とか買っててですね」

 シン石丸「そんなもの買ってどうする。周囲でこれだけブームになっていて、なおカメラを買わないってのは絶好の投資チャンスを逃してるってことだよ」

 ケイス淀橋「カメラは投資チャンスだったのか!」

 シン石丸「いや、だってそうでしょう。カメラを買ってクリエティブな視点を持つことで、想像力の幅が広がる訳じゃない。これは投資だし、まわりが盛り上がっているっていうのは投資チャンスだよ」

まあ会話の詳細はうろ覚えですが、たしかこんな内容でした。


世の中には再生機にお金をかける人と、作成機にお金をかける人が居ます。

両方にお金を掛けるのがベストかもしれませんが、お金が有限である以上、これは必然的に偏ります。

再生機とは、ビデオ/DVD/CD/BDデッキ、ハードディスクレコーダー、テレビ、ヘッドホン、スピーカー、アンプ、ゲーム機、ゲーム/音楽/映像ソフト、チューナー、パラボラアンテナなどです。

作成機とは、カメラ、カンバス、絵の具、楽器、録音機、ノート、スケッチブック、ビデオキャプチャーカード、ビデオ編集ソフト、旅費、カンファレンスなどです。


僕はどちらかというと圧倒的に後者の人間です。

自慢にはなりませんが、僕は今まで一度も衛星放送を受信したことがありません。

衛星放送用のコンテンツは作ったことがあります。そういう意味では関西ローカルの深夜番組を作ったこともあります。もちろん本放送は見てません。

映画もよく見ますが、純粋に内容を楽しむというよりも、どうしてもカメラの画角やシャッター速度、カット割りのテンポやストーリーの進行具合を時計をチラ見して確認しながら見てしまいます。言うまでもなく、ストーリー作りや絵作り、演出の参考にするためです。


全く逆に、再生機にがっちりお金を掛ける人も居ます。

僕はそっちの業界に全く明るくないのでよくわかりませんが、1メートル何十万という高価な電線を買ったり、スピーカーの置く位置を工夫したりと大変そうです。

けど、僕はそういう再生環境を見ると、どうしても「その環境ではどんなコンテンツが生きるか」を考えてしまいます。



これはもう人の習性としか言いようが無く、再生側というのは、作り手からすれば「あちら側」としか表現できないのかもしれません。

ある意味で、僕が梅田望夫氏の「Web進化論」にいまいち同調できないのは、もしかすると、梅田望夫さん自身が情報の使い手の側、すなわち受信側・再生側であり、情報の発信源・集積もとを「ネットのあちら側にある情報発電所」と称しているからなのかもしれません。

僕らからすれば、サーバと寝食をともにしているわけで、「それはこちら側だろ」と反射的に思ってしまうのです。

Googleの人たちにとっては「こちら側の検索エンジンを、あちら側の日本人が使ってる」という状態に過ぎないのではないでしょうか。感覚的に。



乱暴にまとめてしまうと、再生機に作成機よりお金をかけるというのは、いわば投資信託を買うのに似ています。

自分自身が作り出すコンテンツよりも、他の誰かが作るコンテンツの方に価値があるという暗黙の前提がそこにはあります。

投資信託は、金融知識のない、時間がないサラリーマンや主婦が資産を運用するには適していると思いますが、手持ちの資産を最大限に活用しなければならないベンチャー企業、それも零細企業が手を出すのはなにか違う気がします*1

ちなみに後日聞いたところ、リック氏が買った投資信託は購入時より20%目減りしていたそうです。


作成機にお金をかけるのは、投資と考えれば安い物です。

百聞は一見にしかず、かもしれませんが、体験は百見に勝ると思います。

見るだけではなくて参加して、頭をひねって、それで初めて理解ができると思うのです。

その体験料金だと思えば、数十万円の投資なんて安いものではないですか。

会社が潰れてしまったら、お金は残りません。でも、体験は残ります。それがお金では買えない大切な価値なのです。


とはいえ、最近は買いすぎたので、新しいカメラやレンズが欲しいなあと思うたびに「待て、今この新しいプログラムを完成させてから考えよう」とか、「この原稿が描き上がったら買うかどうか考えよう」と思うようにしています。作成機ばかり集めても、それを使って作品を作る暇もないくらいに買い込んだら意味がありませんからね。

*1:お金が余ってしょうがなくて、使い切れないというならば銀行よりも有利な投資信託として確保しておく、というのなら可能性はあります。しかし、なにか投資すべき物があったとき、すぐに使えないのでは、そのお金は死んでいるのと同じです