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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2008-06-07

iPod Dual:未来型コンピューティングの提案 10:15

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先日の海外ブロガー向けプレゼン、そしてIVS2008でも話題になったiPod Dualのビデオを公開します。

iPod Dualは、もちろんAppleの新製品ではありません。

これは僕が数年間考え続けてきた、ケータイとコンピュータの未来の姿を表現した、「考える手帳」です。

先日の日経トレンディのインタビューでも、「未来のケータイは手帳になる」と言いましたが、それを自分なりに表現したのがこれです。

中身はiPod touchである必要はないのですが、iPod touchは現在人類が持っているもののなかでもっとも手帳型コンピュータに近い機能を持っているので、便宜上これを使うことにしました。

iPodがひとつのケースに収まっている。ただそれだけではありません。

我々はiPod touchで動作する専用のソフトを開発し、これを利用すると、二台のiPod touchは無線通信で協調動作します。

まず手始めに手帳アプリケーションを作りました。

これは二大のiPodの画面をあたかもひとつの紙であるかのように扱うソフトで、もちろん技術的にはたいしたことは何もしていません。

実は一ヶ月ほど手書き認識を作っていたのですが、本家が搭載しそうな勢いだったので、急遽その機能を外したのです。


ジョークとして受けとられると思いますが、僕は未来のコンピュータがこうした手帳型をベースとしたものと、壁や机と一体化した「見えない」コンピュータになると信じています。

電脳コイル」ではコンピュータはメガネ型になることで「見えなく」なっていました。ただ、フォースフィードバックのない環境では、操作性に難があると思うので、完全に目に見えないコンピュータを指の動きだけで検知するバーチャルキーボードで操作するというのはどうもしっくり来ないんですよね。

フィードバックとして、せめて板は必要だと思うわけです。

もちろんもっと時代が進めば、最終的に板が不要になるかもしれませんが、それはもう少し先の世代になると思います。

人が持ち歩く板状のものとして、財布、手帳、ケータイ電話があります。

ある程度の広さを持って、全ての知的作業をそこで行うとすれば、ケータイの大きさでは不十分です。

つまりケータイを知的情報端末として進化させるためには、もっと大きくする必要があります。

そのサイズの最終形は、大きくても手帳サイズ。上着の胸ポケットに入る程度のポケット手帳サイズなのではないかと思うのです。ただし、最適解は人のライフスタイルや生活スタイルによって違います。より大きいバイブルサイズの手帳を好む人も入れば、ケータイはヘッドセット型で十分という人もいるでしょう。

僕はMOLESKINEを持ち歩くようになってから、電子メールとWebブラウズ、プログラミング以外の全ての知的作業をこの小さな手帳ひとつでできるようになりました。

週刊アスキーで一年間続いた、ギートステイトのコンピレーション連載の中でも、僕は何度か「手帳型」というキーワードを出しています。

ギートステイトの世界の中では、PSP*1端末が、さまざまな形態で存在することになっています。

そこで知的作業をするとしたら、手帳型以外にあり得ない、と僕は言ったワケです。

iPod touch、そしてiPhoneはまだ僕の思い描く理想型にはほど遠い存在です。

まず、スティーブ・ジョブズが否定してみせたスタイラスを復活させる必要があります。手帳に人は文字や絵を描くものです。

指だけで処理できるのは、せいぜい文字入力(タッチキーボード)止まりで、図を描くのは絶望的。

しかし、社外品として発売されているiPhone用のスタイラスは、図を描くのに適しているとはお世辞にも言えません。

これはiPhoneのマルチタッチの実現方式そのものに制約があるのだと思いますが、WACOMのタブレット技術と組み合わせるなどして、ペンと指の両対応をなんとか実現して欲しいものです。

これ自体も、別に特殊な話ではなく、ThinkPad X41Tabletなんかは、タッチパネルとタブレットを両方搭載していますし、OQOくらいのサイズでもタブレットが搭載できることは解っています。

その上で、マルチタッチの世界ではどんなアプリケーションが有り得るか、考える必要があります。まず誰もが使うのがメモ帳アプリであることは間違いないでしょう。だからこれを最初に作りました。

手帳型コンピューティングにおいて、二つの画面を協調動作させる方法も、より最適なタスクスイッチの方法も、iPhoneが標準的に提供している環境では実現が難しいでしょう。これは完成形ではないのです。

僕はマルチスクリーン・マルチタッチというのが、次世代のキーになると考えています。

もうお気づきかと思いますが、iPongは、こうした研究の途上でうまれた実験なのです。

*1:公共サービスプラットフォーム