2009-10-29
■iPhoneとAndroid以外の携帯電話が店頭販売されなくなる日
最近よくいろんな人から「Androidってどうなってるの?」「iPhoneってどうなの?」と聞かれるようになりました。
一年前には「なんだかよくわからないMacおたくの電話」と思われていたiPhoneも、いまやソフトバンクの店頭販売のうち、かなりの割合を占めているのだとか。とくに3GSが発表されて以降、急速に売れて来ているのだそうです。
そしてiPhoneに乗り換えた人たちが口々にいうことは、「なんで今までiPhoneを買うことを躊躇していたんだろう」ということで、孫さんがおっしゃるように「iPhoneを使うとPCを使う時間が1/10くらい」になってしまうのです。
実際のところ、iPhoneを買ってからの僕というのは、PCを殆ど触らなくなってしまいましたし、ノートPCすら持ち歩くのが億劫になってしまいました。
一方Androidはまだ日本国内では苦戦していますが、次々とバージョンアップがされています。
最近Android 1.6へのバージョンアップが終わったばかりですけど、海外では一足先にAndroid 2.0のSDKが発表されたようです。
Android 2.0 ”Eclair” 詳細発表、対応SDKリリース -- Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2009/10/27/android-2-0-sdk/
Android 2.0用ナビアプリ「Google Maps Navigation」発表 -INTERNET Watch
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091029_325068.html
さらにAndroid 2.0用にGoogleが発表した新しいGoogleMapは、ストリートビューと組み合わせた画期的なナビゲーション機能を持っています。
Android2.0では電話帳も劇的に改善され、使い勝手は明らかに向上しているようです。
Appleという会社が独善的にコントロールする「専制君主制」のiPhoneに対し、共和制とも言えるAndroidは当初はその組織的な動きの鈍さから遅れをとっているように見えます。
僕は最終的にはAndroidが勝利する可能性が高いと考えています。
ただしiPhoneも負けることはないでしょう。両者は共存し、ちょうどWindowsとMacOSのような関係になっていくのではないかと思います。
Androidの解放している自由に拡張可能な仕様は大きな魅力です。
端末の基本的なUIすらも端末メーカーやアプリメーカーが置き換えることができるうえに非常に高度なアプリケーション間の連携機能を搭載しているので、最終的にはいろいろなアプリが思いも寄らなかったような組み合わせで非常に高い効果を発揮するような「アプリケーションの組み合わせ」による活用が産まれて行くでしょう。
Android OSのアーキテクチャは、いわば最先端の発想で創造されたOSです。
その内部ではLinuxが動いていますが、Android OSはその上層にあるDalvikVMとGoogleの用意したAPIフレームワークをOS層とみなすべきだと思います。そうしたとき、Androidは実に画期的な仕掛けをいくつも持っています。
安定はしているものの、ややクラシカルな設計のiPhoneOS(MacOS)に比べると、AndroidOSはデスクトップOSにも転用したほうがいいのではないかと思えるくらい、柔軟かつ斬新な発想で設計されていると言えます。
ただ、問題なのは「先進的な設計」イコール「成功への鍵」ではないことです。
ではなにが成功の鍵となるのか、僕はそれは「手軽さ」「気安さ」だと思っています。
その点において、Androidは、少なくとも端末メーカーやキャリアにとっては理想的なOSです。
そして、仮に日本のキャリアのいくつかが、Android端末へゆるやかにシフトしていくとして、最初はその柔軟性が一見すると「昔となにも変わらない」端末のようにみえる端末として機能するでしょう。
しかし、iPhoneがこれだけシェアを伸ばしている時にはたしていつまでも「昔となにも変わらない」ように見える端末だけを作り続けていていいとは僕には思えません。
もし本当にそれが答えなら、日本市場はiPhoneなどまるごと無視できたはずです。
しかしそうはならなかった。今はiPhone市場は、世界ではなく国内のマーケットでも存在感を急速に増しています。
ではAndroid陣営はどうするのか、昔からのコンテンツの良さや使い勝手の良さを引き継ぎながらも、全く新しい見せ方をしていくことになるでしょう。否、それが求められているのではないでしょうか。
10年前、携帯電話とは電話をするための道具でした。
それがメールを送受信するための道具になり、若者のアイコンになり、全ての世代にとってなくてはならないものになっていった。
10年を振り返ると、ケータイとは、そもそも新しいものであるのと同時に、「見捨てられたもの」「忘れられたもの」「侮られていたもの」でした。
2002年頃、ログインのライターから編集長まで勤め上げた高橋ピョン太さんとお会いした時、ピョン太さんは「僕はケータイや着メロが世間からバカにされているからこそその世界に身を投じてみたい」と仰っていて、僕はピョン太さんと入れ替わりにドワンゴを退職したので、なんと奇特な人だろうと思ったのをいまでも覚えています。
その後、ピョン太さんの活躍もあってドワンゴの着メロサイトは大ヒットとなり、ドワンゴは「侮られる会社」から、「羨ましがられる会社」になりました。
10年前はゲーム会社でケータイの担当にまわされると「左遷された」と思う人が多かったそうです。でも今は、当時ケータイに「左遷」されてきた人たちがむしろゲーム会社の重役になっています。
そんな体験から、僕は全く新しいテクノロジーによる大きな変化、イノベーションが起きる時というのは、「見捨てられていたもの」にこそ鍵が眠っているのではないか、という想いをぬぐえずに居ます。
いまの時代、ケータイコンテンツは花形の成長産業と言って良いと思います。鈍化しているとはいえ、業界の規模は年々大きくなっていっています。
けれども業界の内部にいる人たちはケータイコンテンツ業界の先行きに暗雲が立ちこめていることも知っています。そのなかでどうやって生き残って行こうか、どんな手をいまから打っておくべきか、必死で考えているのです。
この暗雲というのも、確かに大きな嵐かもしれませんが、それを乗り越えれば新天地が開けていることもまたみんな信じています。
次の時代を開くひとつの希望がiPhoneでした。少なくとも僕にはそう思えます。これが答えではないにせよ、ひとつ大きなヒントでした。iPhoneのような発想と、それが存在し得たことに、世界中の人々が驚き、そして大きな期待を寄せていることは間違いないと思います。
しかしiPhoneは所詮はApple社の一製品に過ぎず、Apple社は外から見ると今後どうやってこの業界を盛り上げて行こうとしているのか、いまいち不透明に思えます。
それに比べると、Androidの世界は魅力的です。今は粗削りで、とてもお父さんやお母さんには勧められるシロモノでは有りませんが、そもそも99年のiモードだってちょっとハイブローな人たちがよってたかって遊んでいたわけです。
iモードは最初の半年ほどで100万台を売り、それから破竹の勢いでユーザを獲得していきました。しかし、その勢いは多少強引だった部分は否めません。ユーザの多くは、iモードではなく携帯電話を求めていたからです。iモード対応端末は増えれど、ユーザがその機能を使うかどうかは別問題でした。
そして我々はもう「もっとマシな世界がある」ことをiPhoneによって知ってしまったのです。
端末の反応の遅さにイライラすることなく、モバイル専用のページだけに縛られることもなく、自由に情報にアクセスできる端末がそこにあるならば、どうして旧態依然とした携帯電話に拘る必要があるのでしょうか。
それでも携帯電話のユーザはいまやとてつもなく幅が広がっていますから、いますぐそれが停滞することはないでしょう。
けれども少しずつそれは置き換わって行き、最終的には世の中にはAndroidとiPhoneの二種類だけになるのではないか、そんな日がこれからほんの2,3年のあいだにやってくるのではないかという予感が、僕のあたまの後ろのほうで、ガンガンに警鐘を鳴らしているのです。「いまこそ帆を揚げ、前へ進むべきときだ」、とね。
特にこの1,2週間というのは僕にとって非常に有意義な時間でした。
この1,2週間で全ての疑念が確信に代わり、あらゆるパズルのピースがピッタリとはまるような感覚がありました。
実は春の北米出張は、これを見極めるための情報収集が目的でした。
Googleや、Appleの幹部との会談、それにバルセロナで開かれたMobile World Congressの状況などから、いま時代は確実に大きな動きをし始めていると肌で感じました。
もちろん、ただAndroidにとってかわるのではなく、なにか画期的なインターフェースなりパラダイムなりを各社が打ち出してくることでしょう。
全く手探りの状態で、誰が本当の答え、次なる時代への「鍵」を手にするかは解っていません。
それはとてつもないものかもしれないし、とるに足りないものかもしれない。けれども間違いなく、その鍵はどこかにあるはずで、その扉はいまどこかで開きかかっているのです。
それはARと関連するかもしれないし、SNSと関連するかもしれません、それか、もっと全く別の、たとえばKindleのようなデバイスだったり、もっと大きな、たとえばデジタルサイネージかもしれません。とにかく、それが何であるのかは解っていないのです。
これから大きく変わって行く業界で自分がなにをして行くべきか、その果たすべき役割はなにか、これをチャンスと捉えてさらに会社を飛躍させる方法はないか。
そういうことを考えていると夜も眠れなくなります。
と同時に、実にこれはウキウキ、ワクワクする体験でもあるわけです。
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