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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2010-11-10

プレゼント訓練法 11:58

先日のエントリーを受けて、いろんな人が反応をくれた。

中でも、


 「どうすれば相手のことを先回りして考えられますか?」


という質問が多かった。

こうした質問への答えというのは、古典的にはこうである。


 「上司を福山雅治だと思って接してみたらどうかな?」


つまり、どういうことかと言うと、もしそこにいるのが上司や同僚ではなく憧れの人で、自分は最大限、嫌われないようにしようと思ったら、あれこれ考えるはずだ、ということだ。

この方法は短期的には良く効くことが知られているが、残念ながら持続性は低い。

福山も三日みれば飽きる、の法則だ。


気を効かせる訓練として、プレゼントを考えるのもいい。

これは単純な賄賂というものではない。


実際にプレゼントをあげなくてもかまわない。

ただ、上司や職場で苦手な人にあげるプレゼントを考えるのだ。


プレゼントというのは、難しいし、実にクリエイティブな問題であるにも関わらず、たいていの人がきちんと頭を使わない。


SEX AND THE CITYで夫が妻へのプレゼントとして寝室にテレビを買い、妻が怒りだすというシーンがあったが、こんなものはプレゼントでもなんでもなく、「自分が欲しい」ものを口実をつけて買ったに過ぎない。


プレゼントで相手を喜ばせるというのは、ふだん想像しているよりもずっと難しい。

相手が喜ぶプレゼントを贈るには、まず相手を観察するところから始まる。


普段身につけているもの、好むもの、髪型、表情、身につける色、身につける素材、使っている財布、スリッパ、靴、カバン、音楽、映画・・・・そういったものつぶさに観察する。


Twittermixi日記があるなら、それは重要な手がかりになる。


次にそのプレゼントをいつ渡すのか、どんな口実で渡すのか、ということも重要だ。

誕生日のプレゼントがベストだが、クリスマスでもへんじゃない。出張や旅行のおみやげ、という形のプレゼントもあり得る。


僕はよく出張に行くから、なにかお土産を買おうと思うと、まあ悩む。

仕事をしている時間よりもお土産を選んでいる時間の方が長いくらいだ。


恋人同士でも無い限り、お金をそんなに掛けるべきではない。あまりに高価なプレゼントは、却って重荷だ。恋人でもない相手からそれをもらって喜ぶのは夜の蝶だけだろう。


ところが、お金をかけずに相手を喜ばせるとなると、これはさらに難しい。

基本的には「本人が買おうと思えば買えるけど、敢えて買っていないけど欲しいとは思っているもの」をあげることになる。


手編みのマフラーなどはまた別口。

さて、もし相手が女性なら、プレゼントで外しにくいもののひとつは、花束だ。

ただし、花束だけでは寂しい。


花束、プラス、その人が喜びそうなもの、というのがベストだ。

また、花束も、相手との関係性や意味によって、花の種類を変えるべきだ。

相手の好きな色をメインに持ってくるとか、季節の花を沿えるとか、そういうところに神経を使いたい。


もっと大切な相手なら、花言葉も調べよう。


品物を決めたら、ラッピング。

ヨドバシのラッピングコーナーを使うのもアリはアリだが、いまいち風情に欠ける。


渋谷や新宿のラッピングショップを使うのも手だ。

包装紙やリボンの色と柄を好きなように選ぶことができる。


ここでも、相手の好む色を取り入れた方がいいと思うが、同時に自分の色も入っているといい。



そう、プレゼントは、単なる"もの"ではないのだ。

いわば、プレゼントは送り手の分身であり、貰った側は、その分身を受け入れて生活の中に取り込むことで生活をより豊かにしていく。


贈られるプレゼントは、いかにも「その人らしい」ものであることが望ましい。


プレゼントは、いわば贈る人と貰う人、その二者の関係性を物質化したものであるとも言える。

だから、恋人でもない相手から宝石をプレゼントされたら、ふつうは断る訳だ。


宝石のプレゼントというのは、二人の関係性はキラキラしたものだ、という表現である。

ネックレスは首輪という緩い拘束、腕輪、指輪はさらに強い拘束を意味する。


宝石のプレゼントは、彼氏でなければすべきではない。

この場合、上司は福山雅治だから、彼氏ではない。


プレゼントは、自分と相手との接点でもある。

だからプレゼントのことをまともに考えるとまあ軽く一週間は悩むことになる。


そして、良いプレゼントはずっと忘れられずにとっておかれるのだ。

良くないプレゼントは相手を困惑させ、捨てるに捨てられずに困らせることになる。


ちなみに僕はたいてい、困ることが多いので誕生日にプレゼントをもらうのは苦手だ。

けど時々、すごくヒットするものを貰うと、その人への評価はものすごく上がる。


で、僕の私見だけど、女の子はプレゼントが下手だね。

僕の身の回りがそういう感じなだけかもしれないけど、プレゼントはもらうものでするものではないって思ってるのかわからないけど、女の子からプレゼントをもらって嬉しいと思ったことはものすごく少ないんだよな。

たとえば靴下やワイシャツとかね。いや、たしかに必要なんだけど、そんなの必要だと思ったら自分で買うよ、とか。だいたい靴下もらっても、プレゼントだったこととか忘れちゃうしね。


もっと困ったのは、大学時代にもらったゴーグルだったな。あの、飛行士とかがかけるやつ。

ナウシカのコスプレでもするのかって思ったからね。

靴下は実用品だし、ゴーグルだけはもうどうにもできない。

なんかそれくれたのは妹なんだけど、頭おかしいんじゃないかって思った。


手作りの食べ物、とかも嬉しいんだけど食べたら消えちゃうからね。

そこらへんはちょっと寂しい。


思うに、一般的にはオトコの方がプレゼントは上手いね。たぶん。

男同士だからかもしれないけど。


例えば、僕がまだドワンゴにいたとき、千野裕二っていういけすかないホームベースみたいな顔のオトコがいた。


いつも斜に構えていて、熱血漢の僕とは水と油。

「飯行かない?」って誘うと、わざわざ指パチンと鳴らして「それ、イイね!」とか言うの。カッコわるすぎるよね。


もうあいつが嫌いで嫌いで。

顔をあわせれば「まだ生きていやがったか、この××××!」とか罵っていた。


でも、僕がアメリカに行くとき、家族や同僚と一緒にちゃんと裕二も来てくれて。

それで、


 「おい、清水、これ餞別」


って、ぶっきらぼうに渡すわけ。なんかハコを。

で、僕はそのとき、自宅から大量の同人誌を海外に持っていこうとして(実家には置いておけないしね)、カバンが重くなりすぎて、いろんなものをその場に来た同僚にあげてたから、


 「おいおい、やっと荷物減らしたのにまた荷物増やすのかよ」


って、冗談まじりに言ったんだよね。


 「荷物にならないようにしたからあけてみろ」


って裕二が言うから、アメリカ人みたいにその場で包みをあけたわけだ。

そしたら中からでてきたのは最新型のカード型デジタルカメラ。


 「一応、みんなで金出し合って買ったんだ」


なんだよ裕二、おまえ。


けど、このデジカメは、発売されたばかりで、しかも僕はそれがすっごく欲しくて「ああ、欲しいけどいま金ないから買えないわ」ってどこで愚痴ったのか。とにかく裕二と二人で飯とか喰ってるときに、「発売されたら絶対買う」って言ってたんだよね。


いまと違って当時はAmazonなんて便利なものはないから、これ買おうと思ったら発売日に並ばないと買えないくらいの人気商品で、まあ上手く言えないけど、とにかく、欲しいと思ってたけど諦めてたものを裕二が気を効かせて買って来てくれたと。


感激したね。

だってこれ、手に入れるの大変だって、わかってたからさ。

会社で毎日憎まれ口を叩いてた、裕二がおれのこと考えて買って来てくれたと思うとね。

泣けたわ。


 「これで向こうで写真撮って、いっぱい日記書いてくださいよ」


だとさ。

ふだん、日記*1書いても「また清水節かよー」ってバカにしてた裕二がさ。


 「なんだよ、お前って奴ぁ。とっととくたばれよ」


あれからもう8年経って、裕二とも随分会ってないけど、このとき貰ったデジカメだけは、捨てずに取ってある。


本来、デジカメって消耗品だから、バッテリ内蔵の古いデジカメを捨てずに取っておいたってゴミでしかないんだけど、それでもこれだけは捨てられなくてね。

そのとき部下のダーワから貰った、「皇国の興廃この一戦にアリ」を意味するZ旗(特注品)も、まだ大事にとってあるし、ここぞというときには会社に掲げてる。


プレゼントってそういうもんかな、と思ったりする。



ちょっと鑑賞にひたっちゃったけど、こういうものプレゼントするのがいかにも裕二らしいし、それがなんていうか、贈る人と貰う人の二人の関係性を象徴するというのも、あながち間違いでもないかなと思う。


いわばデジカメは僕と裕二が遠く離れても日記(ブログ)を通じて分り合える、ひとつの絆を象徴していたわけだ。


そういや、そのとき、僕はドワンゴの社員全員に色紙を配ったんだった。

それぞれのメンツにそれぞれの相応しい言葉を考えて、あげた。


最初は誰かがサインくれっていったから書いたんだけど、そしたらみんなくれっていう話になって、まあ書いたんだけど、サインなんて書いても面白くないから、相田みつをみたいになんか適当なこと書いてね。


髪型がベッカムみたいなやつは「ベッカム」とか。

家で全裸になって猫飼ってる奴は「はだかの王国」とか。


そういう、くだらないことなんだけど、やっぱりこれも僕と彼らとの関係性の象徴、みたいなものだったんじゃないかな。


プレゼントを贈って相手を喜ばせることができるようになったら、まあたいていの人は怒ってたことなんか忘れちゃうしね。


昔から、敵を知り、己をしれば百戦して危うきことなしって言うじゃない?

もうすぐクリスマスだし、時には嫌いな上司を喜ばせるプレゼントについて考えてみるっていうのもいい訓練になるんじゃないかな。


あ、けっして僕が欲しいわけじゃないよ。

念のため、大きめの靴下買って社長室にぶらさげておくけどね

注釈

ドワンゴには千野裕司さんは居ても千野裕二さんはいません。

千野裕司さんの名前を間違えて書くのが10年続く二人の間の暗黙の了解事項となっていることをここに注記させていただきます。

*1:ブログという言葉は当時一般的では無かった