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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2012-06-05

本当にあったKA(こいつらアホか)な話 09:13

あんまり投資家の人の悪口とか言いたくないのですが、本庄さんのエントリに刺激された。

しっかりしろ起業家たちよ日本の間違いだらけスタートアップ・ファイナンス|インキュベーションの虚と実|ダイヤモンド・オンライン

http://diamond.jp/articles/-/19466

ここに書いてあることはまったくその通りだと思うし、こういう胡散臭いVCやら自称エンジェルやら、そういうのに騙されて二進も三進もいかなくなってるのにそれに気づかないMA(マジでアホ)起業家とか*1


そういうのは少なくともちょっと眺めただけでも1ダース以上いるので、わざわざ口に出さないのが大人、と思っていたけど、まあそろそろ言うべきことは言っておくべきかなと。


けど、これは一方的な見方なのであまり具体的な組織や個人の名前を出してしまうと色々と僕もおちおち眠れなくなるかも知れない。そこでまあ僕が親しい友人から聞いた昔話、をすることにしよう。



その会社、A社はKくんによって設立されたまだ設立1年目(当時)の会社だ。

きちんとしたオフィスもまだなく、Kくんの個人的な知り合いでA社の設立にお金を出してくれた、いわば株主の持つ敷地内にタダで机をひとつ間借りしてるだけだった。


設立1年目はどこも苦労するものだが、サラリーマン時代にちょっとした成功経験をもっていたKくんは、普通ならちょっと有り得ないような有利な取引を色々な会社と出来るようになっていた。


そしてちょうど一年が経つ頃、Kくんの会社は某キャリア向け公式サイトの運営で、毎月150万円程度のささやかな売上げを得られるようになっていた。


しかも、この公式サイト、普通の公式サイトとちがって運営の手間がほとんど掛からない。

Kくんの構築した「仕掛け」によって、利用者はずっと使いたくなり、使い続けてくれる。そんなサービスだった。


そんな折、Kくんのもとに連絡をとってきたベンチャーキャピタリストが居た。

彼はダルマみたいな顔をしていたから、ダルマ氏と呼ぶことにしよう。


ダルマ氏は、最初のメールでいきなりカマして来た。

初めまして。ダルマともうします(http://google.co.jp/?q=ダルマ)。

貴社で展開中のサービスについて、M&Aなどの展開は考えておられるでしょうか。

私はベンチャーキャピタリストとしてX社の上場に関わり、他にもいくつかY社や

Z社といったベンチャーにも関わっています。

主にアーリーステージやシードマネーの調達をメインに活動しております。

是非一度おめにかかりたく


まずいきなりメールにGoogleへの検索クエリーURL付きだったのは恐れ入った。

エゴサーチなんて生温い。自己紹介サーチである。


Kくんはこのメールがいきなり胡散臭いと直感したが、X社といえば業界ではかなり有名な会社だ。

その分野ではトップで、ベンチャー企業としては成功した部類に入るだろう。


だがY社、Z社は・・・正直微妙な会社だった。


ダルマ氏の検索結果をみると、1000件ほどのページがヒットした。本人としては「どうだ、オレは顔役だぜ」とでも言いたかったのだろうか。

Kくんもサラリーマン時代にけっこう活躍していたので、試しに自分の名前でググったら、3万件ほど出て来た。

そこでKくんはこう返事を書いた。

初めまして。Kです(http://google.co.jp/?q=K)。

まだ会社を初めたばかりでなにもわからないのですが、

ぜひ一度お会いして勉強させていただきたいと思います。


かくしてダルマ氏と相見える日がやってきた。

ダルマ氏は間借りしているとはいえ、都心の一等地にあったKくんの事務所(机ひとつだけだが)を見てにこやかに笑った。


Kくんは「この人ダルマに似てるなあ」と心の中で思ったが口には出さなかった。


型通りの挨拶と自己紹介。

ダルマ氏は自分がいかに勇敢なで善良なエンジェル投資家であり、自分の投資先はX社を始めとして有望な会社ばかりで、Y社Z社もそろそろ上場が近い、など聞いてもない情報をとくとくと語った。


Kくんはうっかり眠りそうになりながら、サラリーマン時代に培った目を開けたまま寝る(ときどき頷くオプション付き)という特技を駆使してその時間を乗り切った。ビデオなら早送り。テレビ番組ならカットされてるような退屈な自己紹介だった。


さて本題、となったときにダルマ氏はとんでもない条件を出して来た。


 「さてKさん。メールでもお話ししたように私としてはあなたの会社とこの事業に非常に興味を持っているんですよ。そこでこういうご提案をお持ちしました。X社と提携してX社は御社の顧客拡大。御社はX社という販売チャネルの獲得を実現するプランです」


そこでダルマ氏が持ち出したのは、こんなプロポーザルが書かれた資料だった。


・概要

 A社の携帯公式サイトとX社のサービスを連携させ、Win-Win*2関係を構築する

・契約金

 300万円

・ロイヤリティ(案)  / X社からA社に支払われる売上げの料率

 A社サイトの会員数 1000人未満の時 90%

 A社サイトの会員数 1000人以上3000人未満の時 80%

 A社サイトの会員数 3000人以上6000人未満の時 70%

 A社サイトの会員数 6000人以上10000人未満の時 60%

 A社サイトの会員数 10000人以上30000人未満の時 50%

 A社サイトの会員数 30000人以上の時 0% 

Kくんは目が点になった。


会員数が増えれば増えるほど

会員を獲得すればするほどなぜかA社が損をしていき、3万人を超えた時点で開発や運営に専従するA社の取り分がゼロになるという契約案だったのだ。


デメリットだけでメリットがひとつもない。

さすがに若いKくんも、こんな馬鹿げた契約書は見たことがなかった。


 「あのう、これうちになんのメリットがあるんですか?」


 「X社のブランドをもってすれば会員数倍増間違いなしですよ!ワッハッハ」


 「いや・・・そうじゃなくて、これ会員数が増えれば増えるほどうちの取り分が少なくなるんですけど」


 「それは、まあX社が宣伝するぶんを引かせて頂いているわけですよ」


 「でも最終的にロイヤリティが0%になってますよね。これ、僕が努力して会員数が増えたときにサーバーを増強したりサービスを充実させたり」


 「まあそこはそれ・・・あくまでも一案ですからこれは・・・」


いやいや、一案っていうレベルじゃない。

この人、とんでもないバカか、そうでなければ自分がバカにされてるのだ、ということをKくんは直感したという。


 「そうするとうちにメリットが全くないですからねえ」


 「いや、しかしX社はもちろん・・・・まあこんなことを言うと不遜に聞こえるかもしれませんが、私もこの界隈ではかなりの人脈を持っていますしね。いろいろと便宜を図れると思うんですよ」


 「はあ・・・」


 「では、サイトごと御社を買収させていただくというのはいかがでしょうか」


 「いくらぐらいですか?」


 「ここは思い切って300万円出しましょう!」


 「え!だって月に150万円の売上げがあって、現金も500万円くらいあるのに300万で売るんですか?」


するとダルマ氏は一瞬たじろいだ。


 「・・・あ、そんなにカネあるんだ」


Kくんは呆れてものも言えなかったそうな。

確かに、彼のオフィスは間借りだし、社員も一人もいないような状態ではあるけれども、これはいくらなんでも会社や起業家というのをバカにしすぎである。


いやー、恐いですねえ。

ほんと。恐いわ。


まあいろいろぼかしてありますが、殆どの部分は実話であって、ダルマ氏の出した契約案も本当(金額はぼかしてあるけど最後に0になるところはガチ)。契約案に関してはあまりに酷い話なので信じられないとKくんに言ったら、署名入りのメールを見せてくれた。


そして一番恐いのは、ダルマ氏はX社の実績(もう10年以上前なのに)「だけ」を糧に、未だ大手を振って「エンジェル投資家」を名乗ってるってこと。


それどころか、今も複数の案件に関わっていて、億単位のファンドを集め、色んな会社に投資してるんだよねー。


僕もたまにその「ダルマ氏」とは大きな会合とかパーティとかで会うんだけど、投資の話だけは絶対にしない。


そうそう。それと、ダルマ氏が関わった投資案件は、なぜか会社が上場すると創業者が追い出されて会社が乗っ取られることでも知られている。まあこれはだいぶ後になって解ったことだけれども。


実際、ダルマ氏に追い出された創業社長と僕は話をしたことがあって、彼によるとダルマ氏の人物評は「愛くるしい大物詐欺師」なのだそうだ。Kくんの勘は正しかったのだと思う。


こんなビジネスの基本も怪しいような自称エンジェル投資家やベンチャーキャピタリストが大手を振って歩いてるのが今の日本なんだよねー。恐いよねえ。


だいたい、自分でエンジェルって名乗るなんてまともじゃない。アンジェラ・アキじゃあるまいし。

脂っこいおっさんが「エンジェル」だよ。


僕が会社を作ろうとしてる人にまず勧めているのは借金をすること。

銀行でも親でもいいから、とにかくカネを借りて、事業を回す。カネを溶かしたら終わりだから必死になる。そのくらいの緊張感がないとダメだと思う。ただしサラ金からは絶対借りてはいけない。


成功した人は事業を起こす時にだいたい親から借金をしてる。

エニックスの福嶋さんは奥さんの実家からお金を借りて最初の会社を作った。

スティーブ・ジョブズはアップルを作るために愛車のフォルクスワーゲンを売った。


最初のお金くらいは自分でなんとかしないとどうにもならない。


サラリーマンで300万円程度貯金できるようになってから会社を作ってもぜんぜん遅くない。

少し景気のいい会社なら、ボーナスが年100万円(25万円x4)、贅沢しなければ三年もあれば貯められる。


貯金もせず借金もせず、カネだけは欲しいという甘い考えを持っているMA人間をVCは食い物にする。


基本的に、リスクを負わない人は利益も得ることが出来ない。これが世の中の鉄則だ。


なにも武器がないところにVCがやってきたら、それはまず疑ってかからないといけない。

Kくんの場合は、既に武器があるところにやってきて、頓珍漢なことを言うので気がつくことができたが、ダルマ氏が現れたのが事業が立ち上がる6ヶ月前なら乗ってしまったかも知れない。


幸い、Kくんの会社は今も順調に成長を続けていて、Kくんの収入は当時の10倍以上になった。

あのときダルマ氏に騙されていたら、Kくんの収入の増加分はほとんど全部をダルマ氏に吸い上げられていたことになる。


ちなみにダルマ氏の投資していたY社は倒産し、Z社は倒産してはいないものの、発展もせず今となっては時間が経ちすぎて新たな資金調達も難しい状況に陥っているようだ。


他にも大手銀行系VCが持って来た怪しい話や、彼らが投資した社長の若さしかウリがないKA会社は山ほどある。今に至るまでその後の展開を聞かないので、どうしたのかなーと思ってググったら、やっぱり事業を畳んでた。



うちが投資したらコンサルするよ、とか営業手伝うよ、と言ってなにもしないわりに毎月のコンサル料はしっかり請求してくるちゃっかりVCも少なくない。


その意味ではJAFCOは思ったよりちゃんとコンサルしてくれるし営業支援もしてくれるのでビックリした(ヨイショしておこうという意図はあまりない)。


起業家にとってどんなVCを選ぶかは死活問題になるので、簡単にカネをだしてくれるから、という理由で選ぶと手痛いしっぺ返しをくらう。

みなさんもVCにはご用心。




※追記

ああそうだ。もうひとつ、KAすぎる話を思い出した。

これは僕の実体験。ああだけどあまりにディテールを書くと特定されてしまって可哀想だから肝心なところは敢えてウソを書きます。


数年前、僕は社長ブログでちょっとしたPVを集めていて、社長に憧れる人とか、VCを名乗る詐欺師みたいな人たちとかから良くメールを貰っていたことがあった(それが鬱陶しくなったので社長ブログはやめた)。


そんな折り、「清水さんの大ファンなんです」という暑苦しいメールを貰った。

社長は20歳。しかもバックに大手銀行系ファンドがついている。


いったいなんでこんなに若い社長の会社にそんなお金を投資しようと思ったのか。

それに興味がでて会ってみることにした。


すると現れたのは、二十歳どころか高校生に見えるくらいの紅顔の少年起業家。

彼は左右に立派なスーツを来た銀行系ファンドの社員を二人、助さん角さんのように従えて颯爽と登場した。


 「僕たち清水さんの大ファンなんです」


いきなり出会い頭にそう言われて、悪い気がする人もそういるまい。


しかし若い。

そしてこんなまだ年端もいかない少年に大金を預けてしまう大手銀行ファンドはなにを考えているのか。

よほど凄い才能でもあるのだろうか。


それから自己紹介が止まらない。高校時代苦労した話、大学に行くよりも起業したいと思って高校卒業後から起業に向けて準備した話。


うんうん・・・・それで?


この人たちは今日は一体何しに来たんだろう。


 「ええと、今日の本題はなんでしたっけ?」


 「ああ、すみません。つい喋りすぎてしまって・・・実は清水さんと一緒にやらせていただきたいプロジェクトがあるんです」


 「ほほう。それはどんなものですか?」


 「実は僕、趣味がゴルフでして・・・」


そこからまたえんえんとゴルフの話。ゴルフがいかに面白いとか、奥深いスポーツだとか、そういうことをひたすら語る。いや、もういいよチタンの話は。


 「ええと・・・・なるほど、相当やり込んでたんですね」


 「ええ。やはり社長になるにはまず体力、それに接待でゴルフって必要でしょ?」


左右の助さん角さんはニコニコしながらうんうんと頷いてる。

おい・・・この子供は仕方ないとしても・・・君たちそれでいいのか。君らの投資したカネでゴルフ三昧してていいのか?なあ、おい、と思ったが口には出さなかった。


 「まあ僕はゴルフやったことないけどね」


とりあえず興味のないそぶりを見せた。


 「ええっ! ならやりましょうよ。是非。素晴らしいスポーツですよ」


 「まあそれはまた今度。それで、本題っていうのは・・・」


 「ああ、それなんですけど、僕、ゴルフとTwitterを組み合わせたら面白いと思ったんですよ!」


ポカン

という音がしただろう。

いや、しなかったとしても断じて僕は聞こえた。

この人は何を言ってるんだ?


 「ええと、ゴルフとTwitter?」


 「ええ。ゴルフ場でTwitterをやるんです。それでスコアとか呟いたりするんですよ。"バンカーなう"とか。そうすると、GPSと連動していて"ここでバンカーに打っちゃう人が多いんだな"って攻略情報がわかるわけですよ。スゴくないですか!?」


 「ああ、まあゴルフやらないからちょっとスゴいかどうか・・・」


 「それに出会いとかもあると思うんですよねー。"12番ホールでどうしても池ポチャしてしまう人集まれ"みたいなスレ立ててですね」


 「なるほどね。まあ面白いのかもしれないね。なにか企画書とかあるんですか?」


当時なにかとTwitterを足す、という発想は死ぬほど世の中に出ていて、見分けがつかないほどだった。

今では想像もつかないようなどうでもいいものと組み合わせたサービスが跳梁跋扈していた時代。ゴルフとTwitter・・・それは盲点だったな、とおもうわけもなかった。


 「あります!あります!」


彼は嬉々としてパワーポイントで印刷された紙を取り出した。

A4一枚の紙に、ゴルフ場のコース図と、吹き出しがいくつか書いてあってゴルファーが呑気に「池ポチャなう」とか呟いてる。


 「えっと・・・・」


紙を裏返しても、顔を近づけてみても、「池ぽちゃなう」以上の情報はなく、あぶり出しでもすればなにかでてくるのかと思い、ライターを探そうか、と思うほどだった。


 「これってもしかして、あぶりだし?レモン汁で重要な情報が書いてあるとか?」


 「いやだなあ。違いますよ。企画書ですよー」


いや、僕は職業柄、さまざまな企画書を見たり書いたりしてきた。会社で企画書を書けるよう指導も重ねて来た。しかし断じてこれは企画書ではない。こんな企画書は有り得ない。情報が「池ぽちゃなう」だけなんて。


 「・・・で、これを僕にどうしろと?」


 「清水さんのお知恵をお借りして、ビジネスプランを仕上げたいんですよ」


 「は?」


 「アイデアは出しました。幸い、ゴルフクラブの大手メーカーとこちらの銀行さんが懇意にしているので会談の場をセッティングしてもらえそうなんです。先方も清水さんとお仕事できると言うとスゴく乗り気で・・・」


 「え、ちょっと待って。なんで僕の名前を出してるの?僕はこの仕事、いま初めて聞いたよ。正直、これが仕事と呼べるものなのかどうかもよくわからないし」


 「僕が顔繋ぎますから、清水さんは存分にビジネスモデルを考えて下さい! 僕のアイデア料やコンサル料、その他もろもろの取り分は売上げの半分でいいですから」


さすがにいい加減にしろと思った。


 「ちょっと待ってくれ。僕は引受けないよ」


 「え、どうしてですか。これはチャンスですよ。先方も乗り気なんです」


 「いや、そういう問題じゃなくて・・・そもそも、ビジネスプラン、ないじゃん。どうして向こうが乗り気だって思うの?」


 「先方もいま、ネットメディアを使ってゴルフクラブを売る方法を模索してるんです。そこに今話題のTwitterとゴルフの組み合わせ。さらにブレーンとしてブロガーとして有名な清水さんが噛んでくれるとなれば鬼に金棒だと、とりあえず見積もりが欲しいと言われていてですね」


 「それ、ぜんぜん乗り気かどうかわからないじゃん。というかあなた方はなにをするの?」


 「だからアイデアと顔つなぎですね。あ、もちろんもっとアイデアは出しますよ」


 「いや、なにそれ・・・」


頭が変になりそうだった。

彼らに悪意の欠片も見いだすことは出来ず、ただなにをしていいのか悪いのかが解っていないだけだとも言える。

というか、これをこの少年が一人で持ち込むならまだ未熟ということで許せる。

しかし彼を焚き付けて資金を出しているこの後ろのファンド連中は一体なんなんだ。

良いとしこいて、上等なスーツを来て、ビジネスの基本すらも教えずに他人の会社に押し掛けるなんて。


 「ちょっと○○銀行さん、あなたたちどういう審査基準でファンド運営してるんですか」


 「いや、実は私たちも清水社長のファンでして」


 「関係ないだろそれは」


 「いやあ清水社長なら必ずや目の覚めるようなビジネスプランを考えて下さると信じてですね」


 「信じられても困ります。それにこれ、ビジネスと呼べないでしょうが。ビジネスプランを丸投げして売上げを半分持ってくなんて非常識すぎて怒りすら通り越して呆れますよ」


 「・・・やはりダメですか?」


 「当たり前でしょう」


 「折半というのは確かに欲張りすぎました。我々の取り分は25%で結構です」


 「いやいやそういう問題じゃないでしょう。もういいからお引き取りください」


このやりとりから数年が経過した。

今、この会社どうなってるのかなーと思ったら、やっぱりなくなっていた。


VCは会社作りたいといえばいくらでも誰にでもカネを出す。そういう時代もありましたねえ。

ただ、VCで実際にファンドを運営する担当者までもがKAというパターンも少なくありません。


VCのなかでも一番タチが悪いのは、自分が悪いことをしている自覚が全くないというタイプ。

さっきのダルマ氏なんかもそうですね。


でも僕も長年経営者やってるからすごく理解できるんだけど、お金出してくれるなら欲しくなるんだよね。

やっぱ事業拡大したいし、それには元手が要るしさ。


手元にあと一億あればライバルを出し抜けるかもしれないのに・・・って思ったらつい手を出してしまう。

僕もそういう誘惑とずっと戦って来た。経験がなく未熟な時ならなおさらそういう誘惑に負けてしまっただろうなと思うし。


逆に一億未満のお金なんか絶対にVCから調達すべきじゃないと思う。

どうしても資金がなくて借金できなくても、せめて事業会社。


事業会社なら万が一キャッシュフローがショートしても、連結対象になっていたらなんとか事業を潰さないように仕事やお金を融通してくれたりするしね。


まずクライアントに株を売って、それから仕事を融通してもらうっていうのはよくやるパターン。

資本業務提携というやつですね。


アーリーステージとかスタートアップとか、インキュベーションとかね。格好のいいことを言ってるけど、要はベンチャー企業の青田買い、先物取引だから、安く買いたたこうという意図がなけりゃやるわけない。


初期にあまりにVCに株を渡しちゃうと上場した時に一気に手放してものすごく株価下がっちゃうしね。

そのうえ発行できる株そのものが少なくなって、せっかく上場したのに調達した資金が手元の単月利益未満、なんてことも起きる。


そういう、スタータス優先で「意味無し上場」してる会社も日本には少なくない。それはVCが原因になってることが多い。VCとしてみれば意味があろうがなかろうが上場してくれなきゃ困るしね


就活生はそこまで調べられないだろうけどね。


就活生は上場企業への就職を考えるなら、その会社のIR情報、特に上場前後のIR情報を調べることをオススメする。それも一回じゃなくて、最低五年くらいのやつ。そうするとその会社の利益構造がわかる。


儲けの源泉はなんなのか、とか、将来性があるのかないのか、とかね。

そういう情報まで調べて面接にいけば、「うちの会社のこと良く知ってるな」って思われるし、ヤバい上場企業に間違って就職しちゃう心配もなくなるしねえ。


まあこのへんの話に関しては明日は我が身ではあるけれども

*1:起業家は誰でもなれるので名乗るのは自由

*2:もはやお笑いワード