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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2013-01-31

今月号のBestGearにenchantMOONの1P特集が掲載 23:17

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 9leapにもメディアスポンサーとして協賛してくれたガジェット情報誌「BestGear」にenchantMOONのスクープ記事が掲載されているぞ。

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 紙媒体でenchantMOONが紹介されるのはこれが初めて。

 実はenchantMOONの宣材写真はBestGearのブツ撮りをやっているカメラマンさんにお願いしたのだ。


 BestGearのガジェット写真は毎回斬新なアングルやフェティッシュな構図が特徴なんだけど、enchantMOONに関してもカメラマンさんが全力で撮ってくれた。ハンドルがあることで構図に動きがうまれ、躍動感のある写真になったそうだ。

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 ちなみに撮影に使ったのはシグマのSD1。僕も安倍さんもシグマの大ファンだから、これは個人的にはちょっと嬉しかったね。


 シグマだけあって映像はキレキレ。

 非常にシャープな仕上がりになった。


 ぜひ書店で見かけたら立ち読みしてみてね(良かったから買ってね)

セピア 12:57

 とにかくマジックが好きだった。

 毎週毎週、狂ったようにマジックを見た。

 ときには酔っぱらって自分でもマジックをやってみることもある。下手だが。


 デイビッド・カッパーフィールドも二回見た。

 ついでにクリス・エンジェルも見た。


 ラスベガスを始めとするアメリカの観光地には、マジックショップがある。

 マジックショップという名前だけで、わくわくする。まるでソーサリアンのようではないか。


 マジックショップでマジックを買うのだ。タネと、道具が売っている。

 実のところ僕はマジックの道具をこれまで買ったことは殆どなかった。


 なんとなく、道具を使ったマジックはなにか違うような気がして、興味が持てなかった。

 しかしふらりと立ち寄ったディズニーランドのマジックショップで、ディズニーの「夢と魔法」にあてられた僕は、ふらふらとマジックトランプを買ってしまった。


 これでマジックをやってみると、驚くほど簡単に手品が出来る。

 テクニックが要らないので、ものすごく簡単だ。


 しかし同時に、なにかマジックへの興味がガラガラと轟音を立てて消えて行ってしまった。なにか新鮮なキラキラと輝く神秘めいたものだったマジックが、急速にセピア色になっていった。


 専用の道具を使うだけでこれだけ見事なマジックができるなら、マジシャンとはなんなのかと。


 それでイクヨのことを思い出した。

 手品バーのウェイトレスで、いつも下手な手品をしている。

 タネがバレバレの手品だ。そこが微笑ましい。


 けど、よく考えれば正しい道具を使えば普通に人が驚くような手品ができるのだ。テクニックだっていらないのである。


 マジシャンばかり集まるあの店で、それを知らないわけがない。すぐに見事な手品ができる。


 にもかかわらず、イクヨはバレバレのタネの下手な手品をやっている。

 それが凄いことなのだと、はたと気がついた。


 敢えてウェイトレスが道化師を演じることで、プロのマジシャンがより引き立つ演出なのだ。

 そういう道具立てに、僕はまんまと乗せられていただけだったのだ。つまりイクヨの存在そのものがマジックの小道具だったわけだ。


 とにかく、専用のカードを使ったカード当てはあまりにも簡単だった。

 試しに数人に試してみたら、あまりにもあっさりとカードが解るのだった。

 ただ、あまりにもあっさりと解るので、僕は人に手品をしてみせることが急激に面倒くさくなった。それは単なる作業であって、相手は驚く暇もないまま「はいこのカードでしょ」とカードを示すのだった。


 そしてマジシャンが本当に凄いのは、あまりにもあっさりとカードがわかる「にもかかわらず」何か神秘めいたことをしてカードを探し当てる演技をすることなのだ。


 そういう前提に立つと、マジシャンとは非情に洗練された役者であり、また同時に演技を考えだす殺陣師でもあるのだ。


 マジシャンへの尊敬の念が強まる同時に、僕は誰かに手品を披露してみせることはずっと減った。

 すぐに飽きてしまうのだ。あまりにも簡単だから。


 根気よくやるためにはじっくりとした道具立てと、解ってるのに解ってないふりをする演技力が不可欠で、そんなものに僕はあまり興味がないのだった。


 僕はマジックを愛してはいるが、いざマジックの真実を知ってしまうと、愛情とはまた別の感情が湧いて来たのだった。


 そういうのが、大人になっていくということなのかもしれない。

 セピア色のマジックを僕はこれからも愛して行くだろう。


 だけど少し寂しさもある。

 何かを知ることで何かを喪うことがあるのだとまた改めて思い知るのだった。

2013-01-29

全てのエンジニアが読むべき「新しいコンピュータ」を作ろうとした男の軌跡 06:50

漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち

漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち

 Kindle版が出ていたので夢中になって読んでしまった。

 これはあの「プレイステーション」を作った男、技術者、久夛良木健の物語である。


 プレイステーション。それが登場したときの衝撃は僕もハッキリ覚えている。

 当時僕は高校三年生で、月刊アスキーに遠藤諭による久夛良木健のロングインタビューが掲載されていた。しかも前後編という異例の長さで。


 それがとにかく衝撃だった。


 300万円するワークステーションの性能を3万円のゲーム機にする!

 ソニーのワークステーションNEWSに載っているCPU、R3000をゲーム機に載せる。

 この奇想天外なアイデアがどのようにして産まれたのか。


 そのプロセスの詳細に迫ったのが本書である。

 読めば読むほど久夛良木健という人物が、並大抵の人間ではないということが伝わって来る。


 その大胆な発想、行動力、かつてのソニーには、こんな人物が居たのかと改めて驚愕する。

 驚いたのは新入社員の頃のエピソードで、久夛良木健はオーディオのデジタルピークメーターを発明したらしい。


 デジタルピークメーターというのは、今ではどのオーディオでも当たり前に実装されている機能だけど、つまりは音量の表示が、かつてはアナログの針が振れるものばかりだったときにデジタルな動きをさせた。しかも、デジタルにしただけでなく、最大音量で一瞬止まるようにした。あれである。


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 これこれ。

 これ見たことあるでしょ?

 この発明は瞬く間に世界を席巻し、世界のあらゆるメーカーが久夛良木健のピークメーターを模したものになった。


 久夛良木健はこういう発想ができる技術者だったわけだ。

 それから、プレイステーションだ。


 しかも放送局にしか卸していなかったソニーのシステムGをまるごとLSIにして3万円で売ろうという狂気としか言いようがない発想。


 ソニーの大会長、大賀典夫から「Do it! やれるもんならやってみろ!」と言われてソニー本社を飛び出して子会社のそのまた子会社を作ってスタートしたソニー・コンピュータ・エンターテインメント。


 アクロバットのようなプレイステーションの開発と成功劇。

 プレイステーション2、そしてプレイステーション3の苦戦と挫折。


 一見ビジネス書に見える本書を通底するテーマは、実は「技術者、久夛良木健」がひたすらにロマンを追い求め続ける話である。


 久夛良木のロマンに時代が呼応し、間違いなくゲーム、いや、コンピュータエンターテインメントは次の次元へと進化したのだ。


 本書はそうした、ワクワク、ドキドキするような技術者の冒険潭である。

 以前にも読んだが、ハードウェア事業をやろうとしている目線でもう一度読むと、やはり久夛良木氏の発想と行動力は凄まじいと舌を巻く他はないと感じた。


 エンジニアである人、そしてエンジニアを志す全ての人に必ず読んでほしい一冊だ

2013-01-28

電気オヤジのグルーヴ 10:13

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 去る週末、全世界1万人以上のゲーム開発者たちが集まり、48時間でゲームを作る、いわばデスマーチをエンターテインメントにしたイベント、「グローバルゲームジャム(GGJ)」が開催された。我々のenchant.jsも、ブロンズスポンサーとして協賛している。


 今年は全世界400チャプターで行われたが、関東圏だけでも6チャプターも存在するなど細分化しつつ盛り上がったようだ。


 竹芝にある国立情報学研究所(NII)チャプターでは、今回、「プログラマーは来なくて良いです」と断った上で、「ARGを作る専門チャプター」という、世界的にみても珍しい企画を敢行。


 その結果、男女比3:1という、グローバルゲームジャム全体的に見てもかなり異常な数値となった。週末を潰してまでゲーム作りたがる女性って少ないんだよね。


 NIIの場合、毎日10時には帰るという健康的な設定だったのも良かったのかもしれない。

 

 さて、GGJの話はともかく、そんなNII会場に遊びに応援に来ていたいにしえのゲームオヤジの話を少し。月曜の朝から。

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 砂塚さん。

 砂塚さんといえば、泣く子も黙るセガAM2研出身で、(株)元気の創業メンバーの一人。クルマと電気とマシン語に滅法詳しい。CEDEC立ち上げメンバーの一人でもある。


 最近はゲームとか作ってない感じの砂塚さんがなにか暇つぶしに書類みたいなのを見ていたので覗き込むと・・・

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 なんだこりゃ。

 電子回路?


 「これは趣味だよ」


 「これはなんですか?」


 「DC-DCコンバーターの仕様書。で、それがあってるのか検算してるの」


 それからバーッと、電子回路について。ああだめだ。アナログ回路は完璧に解らない。

 清々しいほど、僕はアナログ回路が解らない。



 「そもそもコイルって個体差が大きいから、使える領域を狭めないと安定して使えないんだよね。××が○○気味になるから△△がさ、結局クーロン量が×××で・・・」



 ダメだ。ついていけない。クーロンと言われても、90年代に倒産したクーロン株式会社しか知らない。

 ダメだね僕も。


 そこに国立情報学研究所の長久勝特任研究員が参戦


 「俺なんかデジタル回路がやっとやで」


 「僕もデジタル回路までだったらなんとか・・・しかしTTLだけで組まれたデジタル回路の端っこにあるコンデンサの意味は正直よく解らないです」


 僕にとってアナログ回路はまるで黒魔術だ。

 石とか水晶を削って、特性を測って、精製して、個体差を吸収して、動作温度や時には湿度によってさえ絶えず変化する部品の特性を把握して、バラバラの部品を騙し騙しなだめながら目的の動作を引き出す。


 トランジスタのね、ベースとエミッタとコレクタ。それをいい感じに繋ぐと音声が増幅される。

 それだけでも奇跡みたいなことが起きてるんだよね。


 それを微細化して、集積して、LSIを作る。それでスマートフォンもPCも全ての電子回路が動いてる。

 それって本当に凄いことだ。


 プログラミングは、どれだけ元を辿って行っても、全ては人間の脳が創りだした世界だ。

 そういう意味では数学に近い。


 だから絶対に解らないものというのは原則的にはあり得ない。全ては人間が考えたものだからだ。

 コードはコードで、個体差はない。デジタルだ。


 けど、電子回路、つまりコンピュータの根幹の根幹を支える本質的な部分は、慎重かつ周到に準備された一種の黒魔術で支えられている。


 なぜそうなのか、よくわからない部分があったとしても、工業的に精製可能な部品にバラツキ(公差)はあったとしても、なんとか観測された事実を積み重ねて問題を解決する。凄いよな。真似できない。


 もちろん砂塚さんはアナログ回路は専門じゃないから、本当に趣味なんだと思うけど、昔はコンピュータを専門に扱う情報工学情報科学というのは大学に科目として存在しなかった。それは電子工学のいち領域

に過ぎなかった。


 砂塚さんと僕の年齢差は15歳くらいだろうから、わずか15年で大学の専門学科まで変わってしまうことになる。


 これから主流になるような新しい分野はまだ大学の学科にすらなっていないのだろう。


 そして電子回路の重要性が情報科学の基礎を支えているのと同様、情報科学はまた別の何か新しい学問分野の基礎を支えることになるのだろう。

2013-01-26

MITのミッチェル・レズニック教授が来日! そして小学生ハッカーに会った 18:24

 ミッチェル・レズニック教授は、MITメディアラボの重鎮で、子供用のプログラミング言語Scratchを開発したり、LEGOマインドストームを開発したりと、僕の好きなアイテムを常に作ってる人だ。シーモア・パパート氏の直弟子でもある。


 そのレズニック先生が、日本の子供達に楽しく優しく、Scratch 2.0を教えにやって来た。

 ということで、ちびっ子はもちろん、コンピュータ好きの人々まで三鷹の小学校に大集合。

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 Scratch2.0では、スプライトを増殖させる「クローン」タイルや、ビデオカメラからの入力を認識して反応させるタイルが導入されたり、自分自身のカスタマイズタイルを作れるようになっていた。


 いやー、しかし、こりゃーなかなか凄いぞ。

 驚いたのは子供達で、「こんなことができるようになったよ」と言うと「エーーッ!スゴイ!早くやりたい!」と素直に反応する。


 彼らはScratchを一年くらいはやっていて、一通りのことはできるらしい。そこで新機能を見る度に「すごーい!僕もやりたい」となるわけだ。これは凄いね。素直に。


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 そして「さあ、みんなもやってみよう!」と阿部さんが言うと、パーーッとそれぞれのPCに駆け寄って、夢中になってプログラミングしてる。凄いなあこの光景。なんかウルっとくるもの感じちゃうよ。


 しかしScratchが2.0になるまでクローン機能がなかったというのは意外だった。

 それってどういうことなんだろう?なにしろScratchの歴史は古い。そんな基本的な機能を入れてなかったということは、それなりの理由があるはずだ。


 阿部さんに聞いてみると、それは「キープシンプル」という考え方がScratchの根底にあったからだという。


 なるべく複雑なことはさせない。

 そのためにはインスタンスを動的に増やすような仕掛けは不要、というわけなのだ。

 凄く潔い割り切りだけど、これだとシューティングゲームとか作れないじゃん、と僕は思った。


 ところが


 「いやー、実はできる子はオセロとかシューティングゲームとか作ったりしてるんですよ」



 と阿部さんはニヤリ。

 えー!?配列も一次元配列しかないのにどうやってオセロを?

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 すると驚愕。なんと8×8、計64個のスプライトを配置して、マスごとに別のプログラムを書いてる。

 やろうと思ったらどんな方法でもやっちまうのがイマドキの少年らしい。

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 同じ感じで、シューティングを作ったというので見せてもらうと、なんとタイトルが「ゼビウス」!!!タイトル画面見てよ。すごい完成度だから。


 すげー。なんていうか。21世紀の小学生がゼビウス作ってるというのが衝撃的。

 画面を見ると

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 背景がスクロールしたりはしないが、ちゃんと空中物と地上物の撃ち分けができていた。

 ちなみにこれも、弾を連射するぶんだけスプライトを予め作ってあって、それを使い回しているのだと言う。


 これは本当に「教育用」として適してるのか?もっと効果的なプログラミング手法を学べるようにした方が良いのではないか?


 と訝ると、実は上級者の子はenchant.jsに挑戦しているのだという。


 「でも難しいらしいです。カッコが」


 なるほどなあ。やはりキータイピングがネックになるのか。

 確かに僕もBASICからCに行ったときにカッコの対応を確認するのをしばしば忘れていた。


 現在enchant.jsに挑戦中のmasaishiくんは、実はScratchの隠し機能を見つけてしまったのだと言う。


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 「Scratchのロゴの、rの穴の部分をシフトキーを押しながらクリックするとSmalltalkモードに行くんですよ」


 なんじゃそりゃ。裏技すぎるだろ。

 それだけじゃない。masaishiくんは誰の助けも借りず、勝手にSmalltalkでScratchの内部構造を把握し、どんどんハックして「Masa Scratch」という別バージョンを作り上げていた!ハッカー過ぎる。

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 Masa Scratchには、例えばメッシュという、通信ゲームを作るための機能が追加されていたり、「ジャンプ」という、もともとは入っていないビヘイビアタイルが追加されていたり、Webページへジャンプできたりする。


 特にこの「ジャンプ」タイルは、放物線運動まで再現したもので、Scratchを学ぶちびっ子たちの羨望の的らしいのだ。


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 Smalltalkの凄いところは、どんなプログラムも稼働中に内部を覗き、その場で変更することが出来るようになっているということだ。ちょっとJavaScriptに似てる。

 ただし、ソースのないコードは逆コンパイルされているので、変数名などは消えてしまって、t1、t2などのように意味のない連番が割り当てられる。


 ところが逆コンパイルでSmalltalkを知ったmasaishiくんは、この命名法こそがネイティブなのだ。

 だから彼は、変数名を平気でt1、t2のようにしてしまう。Smalltalkではひとつひとつのメソッドは短めに書かれていることが多いのでt1、t2でも充分意味を読み取れるようだ。


 それでもう、どんどん、Scratchという環境そのものを改造していく。Smalltalkの可能性は計り知れない。

 このさまをアラン・ケイが見たら、腰を抜かすのではないか。


 少なくとも「ニヤリ」くらいはするんじゃないかと思う。

 阿部さんのことだからとっくに報告済みなのだと思うけれども。

 僕がアラン・ケイに会えたのも、もともとは阿部さんが彼にenchantMOONを紹介してくださったからだ。

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 会場の都合などで月に一回程度の開催らしいけど、こういうイベントこそゲンロンカフェ(http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20130126/1359149837)でもやっていけたらいいな。親子で学ぶプログラミング講座、とか、そんな感じの。


 今日はちょっとカルチャーショックを受けた感じだった。

 毎月やっているらしいのでまた行きたい

酒を飲んで賢くなる!? 哲学とITの融合を目指したイベント型居酒屋「ゲンロンカフェ」がそろそろオープン! 06:37

 来る2月1日。

 酒を飲みながら勉強できるという、全く新しい業態の飲食店「ゲンロンカフェ」が五反田にオープンする!

 その内覧会が昨日行われた。

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 こんな感じ。

 内覧会には100名以上の著名人・関係者・オトモダチが押し寄せ、大盛況で終わった。

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 東さんがこのカフェのバイト募集がらみでTwitterで炎上*1していて、むしろこのカフェが何をやろうとしているのかイマイチ伝わってないと思うので僕が書くことにする。



 このカフェは、「哲学とITの融合」「文系ミーツ理系」というコンセプトで組み立てられた。

 文系的なお勉強と、理系的なお勉強。勉強会とハッカソンと二次会を全部一カ所でできることを目指して作られたのだ。

 会場に入って入り口からずらっと本棚が続く。ちなみにこの本棚にはまだ本があまり入っていないが、正式オープン時には本で一杯になる予定。

 ここに置かれる本は、もちろんお客さんが自由に読むことが出来る。

 そして本棚の反対側には「ガジェットスペース」がある。

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 ここには様々なお宝ガジェットが並ぶ。

 展示内容は随時変わる予定だ。常に最先端のガジェットと、歴史的な名ガジェットを同時に並べようとおもっている。

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 UEIは情報技術(IT)を扱う会社でゲンロンは哲学や思想、つまりやっぱり情報を扱う会社。情報を扱う会社が実店舗でリアルな肉体を得て、直接お客さんにサーブする空間を作る。


 ふつうに考えたら、勝算はない。

 ふつうの店をやるんだったら、そうだ。


 飲食店というのは、まず土地代がかかり、人件費がかかり、飲み物やらなにやらという原価がかかる。競争も激しい。


 ゲンロンカフェでは、それに付加価値を付けることで対応する。つまりイベントだ。

 ゲンロンスクール、またはハッカーズカフェというイベントが交互に開催され、来ると頭に刺激が受けられるカフェ、来ればちょっと楽しい知識が増えるカフェという業態を実験する。実験だからいつまでやるかはわからない。うまくいけばずっとやるけど、うまくいかなかったら撤退は早いだろう。もともと企画への負担が少なくない業態だからね。


 また、開催されるセミナーやイベントは、全国各地に散らばった提携カフェで中継される。いまのところ、札幌、名古屋、京都、大阪、福岡、新潟での中継が決定している(詳しくはWebページ参照のこと。http://genron-cafe.jp)。つまり、東京まで直接こなくても、生中継されるイベントを全国各地で愉しむことが出来るわけだ。提携カフェはまだまだ募集しているので、地方で飲食店を経営していて興味のある方はぜひお問い合わせいただきたい。


 食事、とりわけ夕食というのは一日の締めくくりであり、人生で最も重要な食事の時間はたいていが夕食である。



 にも関わらず、夕食は無為に過ぎ去って行く。

 コンビ二で弁当を買って家に帰り、テレビを付けて寝間着に着替えながらネットでもダラダラみながら過ぎて行く。


 仲間と飲める日があればそれはそれで楽しいが、仲間と飲むにしても、話すネタがなくなってしまう。

 そんな無為な夜のいくつかを、自分の知見を広めることに使えるとしたら、それは大きな付加価値を産む可能性がある。


 飲食店の正否は、通常はひたすら立地に求められる。

 立地さえ良ければ、内装が多少残念でもそこそこは利益が出せる。

 そのかわり、良い場所は値段が高い。


 ゲンロンカフェはその逆だ。立地は悪い。そのぶん家賃を下げる。しかしお客さんが来る目的は、「来やすい」からではなく、「そこにしかない知的刺激」だ。



 東さんからゲンロンカフェのアイデアを聞いたとき、それは面白い、と思った。

 東京中、いや、世界中を探しても、酒を飲んで賢くなる店というのはない。

 だったらちょっとやってみよう。


 それがゲンロンカフェで僕たちが挑戦したいことだ。

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 そしてカフェと言えば酒。

 何を出すか、というなかでITらしい酒を出したいと思った。

 で、無理を言って用意してもらったワインがある。


 シリコンバレーの北に位置する場所で、ワインの最高峰であるドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティで修行したあと、2年もの歳月を費やし、人工衛星まで駆使してロマネ・コンティの畑に良く似た場所を探し、そこから30年の時を費やしてひたすらロマネ・コンティの味を追い求めて作られたワインがある。ロマネ・コンティ飲んだことないけど


 それがこの「カレラ」だ。

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 ゲンロンカフェ、と名付けられた空間、「哲学とITの融合」というコンセプトの空間。

 そういう空間で飲むのに、これほど相応しいワインはない。

 ただし、値段は安く出せるが数が希少なので、いつも飲めるとは限らない。限定メニューになるかもしれない。


 昨日開催された内覧会にはたくさんの人が来てくれた。

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 QuickJapanの北尾編集長

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 鈴木健

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 楠政憲(id:mkusunok)

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 ドワンゴに出向中の経産官僚、境真良

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 Togetterの吉俊さんとカオスラウンジの梅沢くん

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 そして津田大介などなど。


 津田さんはなんだかしらないけど千葉麗子の反原発ヌードを持って来ていて、それを開封する儀式をやっていたのだけど、僕はなぜか酔っぱらって家にもって帰って来てしまったらしい

 よっぱらいグデグデトークショウも開催

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 しかし毎回凄いと思うのは東さんは酒飲んで人前で喋れること。

 まあ正確にいうと酒飲んで人前で取り乱しても気にしない人だってこと。

 僕は無理。酒飲むと眠くなっちゃうし酒癖も良くは無いので早々に退散(脱出)することにした。



 というわけで、哲学とITの融合した、「脳を刺激する店」ゲンロンカフェ。

 2月1日オープンです。


 まあいつまでやるのか解らないから、ある意味でレアな場所になると思う。

 ネタが切れたら畳むんじゃないかな。

 イベントスペースとして貸し出しもやっているのでぜひ活用してね

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ゲンロンカフェ – 株式会社ゲンロンが運営するイベントスペース

2013-01-25

オプティマイズとトレードオフ。または仕事に刺激を与える法 08:25

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 考えてみれば安倍吉俊さんとの付き合いも長くなった。

 もうかれこれ5,6年といったところだろうか。


 いろいろな場面場面で、つるんだり、仕事したりしていた。

 そういや一緒にロンドンを写真撮りに旅したこともあったな。


 enchantMOONの筐体デザインをどうするか、とまず考えた時、まあ絶対にやってくれるだろうと思って最初に思いついたのは安倍さんだった。だから真っ先に電話した。


 安倍さんと僕はとても趣味が近い。

 カメラ、ガジェット、ライフログ。もちろん重ならない部分もある。でも重なる部分もあって、そういうどこか共通した価値観を持てるところがあると、いい友達になれる。


 逆に近すぎて、彼の偉大さが僕にはわからないこともある。

 もちろん絵は上手い。まあでもそれはプロだから上手いのは当たり前。


 僕にプログラミングができるくらい、それは当たり前すぎることで、しかし僕の周りの人たちは安倍さんの大ファンという人が多くて、僕は「ふーん、そんなものか」と思ったりする。それくらいの距離感が僕にとってはつきあいやすい。


 きっと安倍さんも、僕がどのくらいプログラミングできるか(また、できないか)は、解らないだろうし、解ってもらう必要も特にない。


 僕はまあすごく大雑把なコンセプトだけ伝えて、あとは安倍さんからアイデアが出てくるのを待った。

 でも安倍さん自体も、かなりのガジェット好きであるという以外は、実際に動作するガジェットをデザインしたことはなかったわけで、けっこう冒険だったのだと思う。


 僕はどんなものが出てくるのか、わくわくしながら待った。

 注文したのは、「でかくて、重くて、邪魔臭い。ペンがついてる」というだけ。


 薄くて軽くてかさばらないもの、は世界のメーカー全てが目指している方向性。だから僕らはその逆を行くしかない。どれもiPadもどきに見える。ひどいのはiPad miniさえも、iPadもどきに見えてしまうという末期症状だ。Appleはドイツ哲学的な美意識の根強い会社だから、むこう10年はデザインに劇的な変更が加わることはないだろう。より洗練されることはあっても、方向性は決してぶれない。MacBookがPowerBookG3の頃から一貫して同じコンセプトに沿っているように。


 従ってこの路線を行くというのは、Appleに10年のビハインドで挑むということだ。しかも、卵子にむらがる精子のごとく、その頂点を目指す競争相手は世界に何万と居る。そんなところで勝負するなんて馬鹿げている。


 1999年にiモードが初めて登場した時、「ケータイは軽薄短小が売れ筋なのにあんな必要もない大きな液晶つけるなんてバカか」というのが普通の反応だった。


 みんなのトレンドが軽薄短小に行ってるなら、俺たちは重厚長大に行く。それでやってみようと思った。


 軽いとか薄いとかかさばらないという制約をとっぱらい、安倍さんが出して来たデザインにはなんとハンドルが付いていた。

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 ハンドル!!!!

 信じられない。


 もし僕が、これをメーカーやキャリアや、その他大勢の、クライアント企業さんに提案するとしたら、このハンドルは真っ先に取ってしまっただろう。工数は掛かるし、掛かったコスト分のメリットがわかりにくく、「なぜハンドルが必要なのか」ということについて、たっぷり1ダース以上の利点と利便性について説明しなくてはならない。


 しかしこれは「僕たちの」プロジェクトだ。

 どのみち何百万台と出荷するものではない。解る人に、欲しい人に確実にリーチすればいい商品だから、冒険ができる。


 それになんといっても、僕は彼の描いたハンドル付きタブレット端末のイラストに魅せられてしまった。

 なるほど、さすが安倍吉俊、と思ったのだ。


 こんな過激なデザインは、ともすれば保守的になりがちな僕たちの業界からは決して出てこなかっただろう。


 実際、海外の展示会でも評価されたのはこのハンドルだった。

 ちなみにこのハンドルはUEIが知的財産権を押さえている。ハンドルのおかげで、誰かがタブレットにこういうハンドルを付ければそれがすぐenchantMOONを真似したものだと解る。


 経営面で見れば、新しいものを作るときに他所が真似できないように知的財産権を押さえるというのは非常に重要なのだ。


 で、これを実際にCADのデータに起こすところでいくつか問題が発生した。

 線が曖昧なんだよね。

 イラストとしての絵、そのイマジネーションの部分と、現物(モノ)としての造形、そのギャップを埋める必要があった。


 これも、実はかなり高度な仕事で、「このイラストから出来上がった者はコレです」とポンと出されて、それが造形的に美しいかどうか決めるには高度な審美眼が必要だ。


 それを提供してくれたのが、樋口監督だ。


 たとえば「巨神兵、東京にあらわる」のメイキングを見た人は知っていると思うけど、あの映画では、まず巨神兵のデザインを前田真宏さんがイラストに描いて、それを造形する。そして造形したときに「これはイメージと違う」とあれこれダメだしをして、最終的にはデザインスケッチと異なる造形になったとしても、全体としてのイメージを保ったまま現実の形状に落とし込める。それが樋口監督の持つ希有な才能なのだ。


 実際、実物はイラストとはやや違う。イラストを見た時の印象には、錯視や脳内で補完される部分も少なく無い。実物に落とし込んだ時にきちんとしたものに見える。それはとても大事なことなのだ。

 

 デザインが決まってから先の仕上げは樋口さんと僕たちとで詰めて行った。安倍さんはまあ奥さんの出産とか、連載とかでてんてこ舞いで、なかなか時間をとれなかった。


 それで久しぶりに完成に近づいたenchantMOONを見せて、実際に触ってもらった。

 するとやはり面白いことに、いろいろな人があれだけ褒めて下さったenchantMOONの書き味に関して、さらにもう一段階、ブラッシュアップできる部分があることを指摘された。


 アルゴリズム的にはかなり難易度が高い。

 が、試しに不完全なものだけれども、その場でプログラマーに指示してある程度は安倍さんの要望に沿ったチューニングを加えると、確かに説得力のある絵が出て来る。


 「そうそう。こういう濃さで描きたかった」


 さすがあらゆるタブレットを収拾し、日常的にデジタイザーペンで素晴らしいアートワークを生み出しているプロのイラストレーターである。「書き味」の感覚については当然のことながら極めて鋭い感性を持っているのだ。

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 たとえばenchantMOONには黒板のように黒バックに白いペンで描くモードと、紙のように白バックに黒いペンで描くモードの二種類が用意されているが、ペンの色の濃さは同じだった。

 それは間違っているのだと。そういう指摘だった。

 黒バックに白いペンで描く場合、白い線のシャープさは際立つ。筆圧感知して柔らかく描くと、繊細な線の表現ができる。これは問題ないと。

 ところが白バックに黒い線で描く。この書き味を、サインペンのようにするか鉛筆のようにするか、ボールペンのようにするか、それは悩むべきところなのだと安倍さんは言う。


 現在発売されている複数のタブレット端末の書き味は、どれもサインペンかボールペンのようなものなのだと。いかに筆圧が感知され、高度なアプリケーションで補完されたとしても、ペンの書き味そのものは摩擦抵抗関係無しに、鉛筆のようであってほしいと。イラストのラフスケッチをサインペンでは描かないのだと。鉛筆のように描きたいのだ、そのためには・・・


 という要望が出て来る。

 

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 瞬時にそういうことが解る、言えるというのは安倍さん独特の研ぎすまされた感性ゆえだ。

 これまたこれがクライアントワークだったら、「いやいやそうはいってもスケジュールがあるからさ。工数も追加でかかっちゃうし・・・」となりそうなところを、プログラマーは食い下がって問題を解決する方法をいくつか考えだす。


 テクニカルには結構難問で、安倍さんの言う「鉛筆の質感」を出すには高度な半透明合成処理をしなければならない。そしてこの半透明処理というのは、根本的にコンピュータがニガテとしている処理なのである。それを実装することそのものは難しくないが、その処理が重いということは、せっかく全てに優先して確保している応答性が犠牲になってしまう。応答性を保ったまま半透明処理をする。


 翌日、会社に行くと、プログラマーがいくつか方法を試していた。

 描線アルゴリズムを根底から見直し、矛盾無く、かつアンチエイリアシングをしたまま半透明の直線を非力なハードウェアで高速に描く方法だ。


 さらさらっと触ると、「あれ、けっこういいじゃない?」と思った。

 思ったほど速度が落ちてないし、これでも依然、他の端末よりは明らかに速い。


 すると「いや、前のと比べると解りますがスピードは一段オチてます。今、もっと速くする方法を考えてます」とプログラマー。


 ここは難しいトレードオフだ。応答性、つまりペンの走りに対するツキの良さと、描かれた描線の美しさ、そして実際のイラストの描きやすさ。そのどれを最優先とするか。もしくはその全てを同時に解決する新しいアルゴリズムと最適化を考え出すか。


 応答性のオプティマイズ(最適化)と、仕上がりのオプティマイズ。

 けど、超一流のイラストレーターである安倍吉俊の期待になんとか応えたい。プログラマーとしてのレスポンスを高めたい。彼らにそういう気持ちが芽生えているのが、僕には解った。

 安倍さんがenchantMOONでさらさらっと描いたイラストが、プログラマーを刺激し、奮起させる。


 「おれたちの作ってるキカイは、ここまで描けるんだ」


 その証明がまさに目の前にある。

 ならばもっと、その先まで。



 

2013-01-24

少年時代 13:48

 チャイムが鳴る。

 心が躍る。

 僕は真新しいランドセルを片手で掴んだまま、一気に廊下を駆ける。

 何人かに後ろから声を掛けられたけど、彼女の声は耳に入らない。

 「あとで家に行くよ」と聞こえたか聞こえなかったか。どちらにせよ僕には関係ない。

 僕は一目散にアスファルトを蹴り、家に帰った。

 扉を開けると、二階からピアノの音がする。


 階段を駆け下り、ピアノの音がするのとは別の扉をあける。

 ママは仕事中。あっちはレッスン室で、僕はそっちには用事がない。今日一日、ずっとこの瞬間を待っていた。

 バッとリビングに滑り込むと、そいつが僕を出迎える。

 クリーム色のボディにやや緑がかった漆黒の画面。ブラウンのラインがシュッと入っていてカッコいい。昨日届いたばかり。ほやほやのコンピュータ。僕は迷わず電源を入れる。

 ピポッ

 電子音が高らかに鳴り、グリーンのLEDが灯る。

 CRTの奥に明かりが灯り、僕は高鳴る胸の鼓動を抑えられない。


 これだ。これがコンピュータなんだ。

 小躍りしながらキーボードを眺める。僕はマウスなんてものは存在すら知らない。

 パソコン用のローマ字入力はまだ開発されてない。後にベストセラーとなるNECのPC-9801F2。

 第二水準漢字ROMと限界の640KBまで増設されたメインメモリ。ビル・ゲイツが「640KB、ほとんど無限大だ」と語ったことを僕はまだ知らなかった。とにかく日本で一番パワフルでクールなパーソナルコンピュータ。そいつが僕のロストバージンの相手だった。


 しばらくすると画面になにやら英語で表示される。

 How many files?

 幼い僕には意味がわからない。読めない。

 ?マークの隣に白い四角が点滅する。わけがわからない。でも興奮する。


 キーを打つ。文字が出る。それだけで大興奮だ。


 すごい!僕は今、このコンピュータを「使って」いる!!!


 美しく傾斜したステップスカルプチャーキーボード。

 スプリングが効いていて、打つことそのものに興奮がある。


 ママが来て、「アユミちゃんが会いに来てるわよ」と言った。

 「いま忙しいんだ」


 僕はママの顔も見ずに言う。どうせレッスンのついでに来ただけだ。

 それに会ってどうする?何をして遊ぶ?なにもない。縄跳び、ママゴト、鬼ごっこ・・・そんなもの、くだらない。


 しばらくデタラメにキーを打つ。

 キーを打つと画面になにか出る。ただそれだけで異常な興奮。


 パッとなにかを押すと、画面に入力していないものがなにか出た。すごい!

 ずらずらっとなにかでたあとで、また適当になにかキーを押す。

 そうか。わかってきたぞ。この四角い大きめのキーを押すと、どうも左に白い点滅するやつが移動するらしい。

 すると画面になにか出た。

 Ok

 オーケー。オーケーだ!

 これくらいは6歳の僕にも読める。

 このコンピュータはいま、なにか僕のやったデタラメなことに対して、オーケーって言ったんだ。すごい。僕はいま、このコンピュータと、なにか会話めいたことをしている!

 まったく、意味はわからないけど。


 上のほうにいくつかついている、横に長いキーを押すと画面になにか呪文のような文字が出た。

 いくつかのキーを押すと、ピーッと音が鳴って、また「Ok」と出る。


 ピーッ、ピーッ、ピーッ!

 鳴らすだけで楽しい。なにが起きてるのかはわからない。だけど今、僕はなにかをしている!


 矢印のついたキーを押すと、白い四角い点滅が動き、キーを押すと、その点滅したところに打った文字が表示される。

 そうか!これならちょっとした絵が描けるぞ!

 それから文字を組み合わせて絵を描いてみる。


 ロケットの絵を描いた。大好きだったんだ。



 するとパパが帰って来た。


 「おお、さっそく遊んでるのか」


 パパは僕をみて、それから画面を見た。


 「ロケットを描いたのか。よし、今度はこうしてみろ」


 パパはパッと画面を消してしまって、それからこう打ち込んだ。

10 PRINT "RYO"

 「これがプログラムだ」


 それからまた画面をパッと消した。右側の隅についている色の濃いキーを押すと画面が消えるようだった。

 「そして、こうするとランだ」

run

 「ランって・・・?」


 「プログラムを走らせるのさ」


 パパがリターンキーを押すと、画面が変わった

run

RYO

 RYO、僕の名前だ。

 コンピュータが僕の名前を呼んでる!

 凄い!パパ凄い!


 「この本を読んでみろ。ベーシックのことがわかる」


 パパはそう言って少し分厚い本を渡した。

 それが僕とBASICとの出会いだ。


 それから中学に上がってC言語に触れるまで、ずっとBASICだった。

 寝ても覚めても、BASICのことばかり考えていた。


 幼稚園の頃から通っていた英会話の塾は、BASICの役に立たないのでやめてしまった。

 どんな遊びも、BASICよりつまらなく思えた。


 もっと知りたい、もっと使いたい。

 図書館に入り浸ってBASICの本ばかり読んだ。


 それから30年経った。

 BASICはもうとっくに色褪せ、セピア色の思い出に変わっていた。


 今振り返ると、ひどい代物だった。でもあの時代のBASICは間違いなく眩く輝いていた。

BASICとJavaScriptに関するつぶやき。あとFlexに飛び蹴り - Togetter

http://togetter.com/li/444266


 ママのことをお袋と呼ぶようになり、パパのことを親父と呼ぶようになって、ときどきは親父にコンピュータの話をしてやるようになった。


 「そうそう。アユミちゃん、覚えてる?」


 ある日、お袋がそう言った。

 不思議なことに覚えている。


 もう30年も前のことなのに。


 「アユミちゃんとこのお子さん、今、うちの教室に通ってるのよ」


 それからしばらくして、Facebookでアユミから友達申請が来た。

 30年間、ほとんど連絡らしい連絡をとりあってない。お袋に話を聞いてFacebookで僕を探してみたのだろう。


 彼女のことを覚えているというのが自分でも意外だった。僕は人の顔や名前を覚えるのがとても苦手だ。でもアユミの顔はいまでもかなりハッキリと思い出せる。たぶん、きっと彼女のことが好きだったんだろう。


 そのあとも色んな女の子と出会ったし、何度も恋に落ちた。

 ノイローゼになるくらい悩むこともあったけど、誰とも最後は上手くいかなくなった。

 その理由は、いろいろあるとは思うけど、結局のところ、僕はコンピュータが常に一番好きなのだ。僕にとって、コンピュータへの愛情がほかの全てに優先する。


 そして女の子とはいつも上手くいかない。デートもしないで家でプログラムを書く。寝る直前も家でプログラムを書いていて、仕事をするようになってからは、家に帰ることそれ自体を殆どやめてしまった。


 そういうのを30年ずっと続けているのかと思うと、少し可笑しくなった。


 それからFacebookでアユミと話をした。30年ぶりだ。

 乾いた挨拶をかわし、近況を聞き、そして会話は途切れたまま終わる。 

 

 彼女は僕のことをなんとも思っていなかっただろうし、同じだけの時を生きて、恋をして子供を産んで、そして幸せに暮らしている。


 羨ましい人生だ。

 僕はといえば、いつも殺伐とした人生を歩んでいる。


 経営は非情で、孤独だ。

 夢のあることをやるためには、足下の現実を引き締めなければならない。

 ノーテンキな未来を語りながら、一方では生き抜くための決断を重ねて行かなければならない。


 僕はプログラミングが好きで、コンピュータが好きで経営者になった。

 自ら経営者にならなければ、ハード、OSを含めた新しいコンピュータを作るなんていう無謀な挑戦をすることはできなかっただろう。そのために長い時間をかけて人材を選び出し、教育し、引き抜いて、チームを作った。


 そのかわり、心が休まるときというのは一瞬たりともない。

 だから人相も悪くなる。


 これが自分で望んだ人生だから、後悔はひとつもない。


 でもときどき、ふと思う。

 もっと穏やかで平穏な人生もあったのではないかと。

 ささやかな幸せを毎日しみじみと噛み締める人生だ。



 でもそんな想いが浮かんでも、すぐにかぶりをふる。

 それは僕には向いてない。そんな生き方は、僕にはできないのだ。


 コンピュータに囲まれて育ち、コンピュータとともに死ぬ。

 それが僕らしいと思う。

2013-01-22

天下一カウボーイ大会の二次会チケットが発売開始 14:56

イケてるしヤバいカフェ、ゲンロンカフェに電脳空間カウボーイズが殴り込み!?

2/1にオープンしたばかりのゲンロンカフェで天下一カウボーイ大会の二次会をやります!

東浩紀さんや清水亮に直接文句を言えるチャンス!(ブログが長いなど)


チケット少ないのでお早めにどうぞ

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天下一カウボーイ大会二次会 | Peatix

http://peatix.com/event/9640/view

朝のガスパール・・・じゃなくて朝のスタバ 12:47

帰国早々、朝から出先で打ち合わせが会って、「ああ、いつもの日常に戻って来たな」と感じる。


 アメリカを旅しながらenchantMOONを売り込んでるのも、なかなか楽しい体験なんだけど、どこか心がここにないというか、いや、心はあるんだけどありすぎて心の奥底までさらけだしてしまいそうな感覚というのに陥る。


 だいたい、アラン・ケイさんに自分の会社の製品を見せに行くなんて、ほぼ死亡フラグみたいな感じで、このまま僕が事故かなんかで死んじゃったとすると、その時点でenchantMOONはなにか伝説めいたデバイスになりそうな気がして、むしろ発売するより俺が死んだ方がマシなんじゃないかと思えたりするくらい、まあ危険なことですよ。


 最終的には、「まあボロクソに言われてもいいや」というくらいの気持ちで行ったので、意外と好印象でなにか救われるようなものはあったのだけど、まだ完成もしてなければ売っても居ないっていうね。


 売ってもないのに既に買い取り業者が現れたりとか、え、マジ?じゃあ全部買ってよ、と思わなくもない。


 で、出先の打ち合わせ前にちょっと早く着いちゃったから、手近なスタバで、Coffee of a dayのTallを頼んでMacBook Airを広げてiPhone5でテザリング。


 え?ナニコレ?ノマド?NOMAD? νομάδες?

 ノマドっすかいま僕は


 と、周囲を見渡すと、なにか鋭い眼光で、僕がこの場面をビデオにするなら、迷わず目のところにピキーンと光るエフェクト入れちゃう的な。狙われた学園の峰岸徹みたいなダディと、なんかガイジン。


 あと、ノートPC広げて電話してる黒いスーツのノマド??OL的な?存在が数名。

 やばい。おれこの光景に溶け込んじゃってるよ。このデブが。ノマドというよりもメタボといったほうがぴったりくるこのぽっちゃり系がですよ。いや、実際は浮きまくってるのかもしれないけど。


 で、となりのテーブルではリア充を絵に描いて十倍濃縮還元したようなパーマ、ニット帽、ヒゲ、色眼鏡の三点セットが揃った昔ヤンチャしてましたけど今はキギョー家やってますみたいな人たちがなんか椅子とか動かして、五人くらいでつるんで「秒速っすよ。秒速。秒速アフィリでフリーエージェントでぼろ儲けだぜ。ウヒャヒャヒャ」みたいなことをのたまっていて、やばい。ネオヒルズ族だ。と、緊張する。



 東京は激しすぎる。

 アメリカなんか砂漠と牛くらいしかいないし。


 たまにある変わった出来事といっても、コンビ二で買ったビーフジャーキーが意外と美味かったとかその程度で、原則的に変わったことをしたけりゃ自分で積極的に出て行かなきゃなんない。


 ちょっと美味い店で飯を食おうとおもったら当日でもなんでも予約しなきゃなんない。

 この予約文化に、僕も最初アメリカにいったときは面食らったものだ。


 一方、汐留のスターバックスでは、「大豚ヤサイマシマシニンニクチョモランマ」みたいな謎の呪文を次々とOLやらリーマンやらキギョー家やらがわらわら頼んでいて、次から次へとリエンフォースメントがやってくる。これに比べると僕みたいな小心者は「今日のコーヒー、ふつうサイズで」なんていうナメた注文しかできない。間違ってもチョコレート ホイップ チョコレート チップ バニラ クリーム フラペチーノ(R)とか注文できない。これ登録商標なんだよね。すごいよね。長くすれば一般名称でも登録商標にできるとは。


 だいたいフラッペチーノって何語?イタリア語?

 なんかいつのまにか僕の愛したスターバックスが、なにか不気味な呪文が飛び交う、殺伐とした吉野家みたいな空間になってる。


 シアトルにちょっとだけ住んでいた頃、毎朝通っていたあの素敵で小さく気さくだったコーヒーショップが、なにか東京でガンマ線かなんかを浴びて緑色に(いや、それはもともとか)。そして怒りに任せて超人ハルクみたいな突然変異体になってる! シアトルのスターバックスは「Regular」と言っても「Tall」と呼び直されたりしなかったのに!

 

 なんだろう。この言い直されるちょっとイラッとした感じ。

 イラッとさせたくて言ってるわけでないとすれば、すごいホスピタリティであると言えよう。

 ここでは「並」ではなく「Tall」、「大盛り」ではなく「Grande」と呼ぶのが流儀なのだ。それができない人はぶぶ漬け食って帰らされる運命なのである。


 僕は心底gkbrしながら、小飼弾HyperCardについて語ったという文章を読んでいた。

しかし一番決定的だったのは、コードとデータについて閉じていたことだ。HyperCardの「ファイル」に相当する「スタック」は、Webサイトであれば「サイト」全体に相当する。一つのスタックの中にコードもデータも全て含まれているのだ。だからその中のデータを一バイトでも変更したら、スタック全体が変更されたことになる。私はかつてPDS-Finderという、Nifty-Serve中のMac用ソフトの検索ソフトをスタックとしてリリースしていたが、スタック全体をアップロードしなければならないことをずっと面倒だと感じていた。

404 Blog Not Found:HyperCard was not killed. It just died as it should

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51754838.html

 さすが元祖ヒルズ族のスーパーアフィリエイター、小飼弾である。慧眼としか言いようがない。正鵠を射る、とはまさにこのこと。まあポッと出のネオヒルズ族とやらが秒速1億円だとしたら、おそらくミリ秒速1億バイトくらいのコードを書いてる男は言うことが違う。いや、茶化しちゃったけど、マジでこの視点はHyperCardがHyparCard以外のものになれなかった点を正確に言い当てていると思う。


 うむうむ、あー、enchantMOONの共有の仕組みも、まあまだあんまり深く考えてないんだけど、こういう視点も大事だなあとかなんか思いながら、ずずずっとコーヒーを啜る。あー、また仕事の話しちゃったよ。


 とかなんとか頭を抱えていると、ネオヒルズ族の一団がギャハハと笑いながら、まあたぶん10分くらい居たから、秒速1億円として、600億円くらい稼いだはずなので、新しいベントレーとガルフストリームとかクラタスでサッカーチームつくるために11台ぶんとか買いに行ったんだと思いますが、去って行った。おい、椅子を使うのはいいけど勝手にずらした椅子は戻そうよ。


 スターバックスはいつから安らぎの場でなくなってしまったのか。

 まあたまたまやってきたスターバックスがたまたまそんな禍々しいオーラを放っていたというだけで、実際にはそうでもないのかもしれないけどね。



 その昔、僕は師匠のaltyに連れられてアメリカをあちこちいったとき、altyはデニーズだとかセブンイレブンだとか、そういうチェーンのスーパーマーケットを異様に怖れていて、僕を脅かしたいのか自分が脅かされたいのかわからないくらい、とにかく「あれは危険だ」と警戒心を崩さなかった。


 カメラを片手に歩いていれば「腕をもがれるぞ!」と言い、クルマに荷物を置きっぱなしにすれば「ガラス割られるぞ」と言ってとにかく危険なものから僕を遠ざけようとした。



 いま考えると、僕のような人間にそういうアドバイスは完璧であった。

 あらゆるものは危険である、と考えるのがアメリカ的ハッピーライフであって、危険に囲まれた中で安全を見つける、というのがルールだ。


 日本のように、あらゆる場所が安全であるという前提で油断しきった状態で生活していると、どこか目に見えぬ危険を察知する能力がなくなってしまう。



 それは国土の大半は砂漠と荒野から出来ているアメリカ合衆国というダイナミックな王国統治ゆえに自然に芽生えた防衛本能なのかもしれない。



 そして危険が前提のアメリカ滞在から帰って来た僕の目には、いつも安全そのものに見えていたスターバックスでさえ、なにか恐るべき陰謀が蠢く危険な場所に思えてしまう。いや、別に僕に害はないんだけどさ。


 この喧噪と、毎日飽きることなく垂れ流されるテレビ、ニュース、マンガ、そして毎日あちこちで浴びるように酒を飲んでいる平和なヨッパライたちに囲まれたこの街が、たとえ目に見えぬ危険と隣り合わせであったとしても、僕は大好きなのだと思うのだった。

スターツアーズ2を見て来て思った、絵空事づくりの難しさ 08:26

 まあ最近カタい話題というか、仕事のネタばかり続いたので息抜きに少しユルい話を。

 ま、ちょっと小癪なアメリカ小話って感じですかね。


 ロスでちょっと時間があいたのでこの機会にロスでなきゃできないことをいろいろとやってみようと思っていろいろやってみた。


 そのうちの一つが、日本でまだ未公開のスターツアーズ2を見に行くということ

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 で、思ったことというのは、「絵空事」を作るのはやっぱり難しいよね、ということ。


 おれはね、原則的には余計なお世話になんだろうけど、スターツアーズの長い行列に並んでいたときに思っちゃった。なんかここ、イマイチだなと。あくまで行列ね。スターツアーズ2そのものはめちゃくちゃ面白いので、日本に上陸したら人がいない平日に10回くらいは行きたいと思うんだけど、行列の作り込みがやっぱりなんかパチモン臭いなと思ってしまった。


 スターウォーズは、「遠い遠い、昔、はるか銀河系の彼方で(A long time ago in a galaxy far, far away....)」繰り広げられる話だ。

 つまり言って見れば超古代文明ものなのである。

 それがアラビア数字なんか使う訳がない。


 シェルドンならそう言うだろう。

 アルファベットはうまく誤摩化しているが、アラビア数字を残しちゃいかんだろう。


 で、スターウォーズ本編でも、実はうっかりアルファベットや数字がでてるシーンがあった。

 それは特別編かなんかで修正されていたような気がしたんだけど、ちょっと失念した。



 「絵空事」を作り込むというのはこのように非常に大変なのだ。



 たとえば似た話でいうと、「オネアミスの翼」のニキシー管らしきもの

http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/001/792/31/N000/000/000/131910718734513208144.JPG

 これなんかは非常に巧妙で、ニキシー管はもちろん本来アラビア数字であるんだけど、架空の世界の架空の話だから、架空の数字になっている。


 こういう作り込みは昔から日本のクリエイターのほうが上手かった。

 この手の話で忘れては行けないのが、20代の若き天才、遠藤雅伸が作ったゼビウスの「ゼビ語」である。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/4/44/Xevi_figures.png

 これなんかは、なんと16進法を使っているという懲りようで、5セグメントで全てのアルファベットを表現できるという絶妙なものだった。


 また、劇場版マクロスにもゼントラーディ語が設定されていて、劇中でゼントラーディ語と日本語の翻訳機ができるまではずっとゼントラーディ語を喋るという凝りようだった。


 マクロスのゼントラーディ語はドイツ語に似せたもので、発音に重低音が多く含まれることで巨人族の巨大さを表現していた。


 彼らの言葉がゲルマン語由来であるというのは、ゼントラーディ人と地球人が同じ起源(プロトカルチャー)であるという設定とも符合し、非常に見事な作り込みだと思ったのを覚えている。



 あ、忘れてた。スタートレックにはクリンゴン語がある。

 アメリカのオタク野郎と会話するときは、クリンゴン語でやるのがコツだ。おれは喋れないけれども。

 そのスタートレックにしても、フェーザー砲の原理だとか、光子魚雷のメカニズムだとかは本編ではあきらかにされない。明らかにスタートレックの主題はメカではなく、異星人や異世界との交流にあって、人間ドラマが中心だ。


 みんなそういうことに興味がないのか、またはそれに関してあれこれ議論を巡らすのが好きなのか。

 ドラマ「ビッグ・バン・セオリー」をみてると、スーパーマンがバスケットボールで汗をかいたら、それは破壊不能なクリプトン星の物質だから地球上ではクリーニングできない、とか、SFコミックや映画に関するツッコミで会話を成立させている場面が頻繁に登場する。まあきっとオタクはそういうものなんだろう。ちなみに劇中にはクリンゴン語でやるゲーム、なんてのも登場する



 あ、思ったけどこの時点の河森正治監督もまだ20代になったばかり。オネアミスも主要スタッフは20代前半。"邪神"遠藤も新入社員、ということで、こういう作り込みというのは20代前半の天才的クリエイターに共通するある種の「神懸かり的な」作り込み、要するに厨二病みたいなものなのかもしれない。



 日本の作品は、マンガにしろアニメにしろ、もちろんゲームにしろ、けっこう真面目に背景の設定を作り込む。一番新しいネタで作り込み芸といえばやはりエヴァか。映像にこめられた情報量が半端ない。


 欧米の作品は、とりわけスターウォーズもマトリックスもそうだけれども、どこかユルい。想像の余地を残している。


 僕はまあ作り手と受け手をいったりきたりしているので、やっぱり作り手に興味があって、スターウォーズについてかなり詳細な資料を買ったり読んだりしているんだけど、あれだけの作品なのに背景世界がほとんど設定されていないことに驚く。あくまでもストーリーのためのたたき台としての設定であって、設定のための設定はないのだ。設定がないから、跡づけで設定を作ったりしてファンを愉しませたりしている。


 それに比べると、日本のアニメの設定資料集の緻密さは異常そのものだ。

 スタジオぬえがその端緒なのかもしれないけど、とにかくもう動力から操作方法からコクピットの詳細に至るまで、徹底的に設定されている。


 スターウォーズのX-Wingがなぜ飛ぶのか、どんな動力で動いているのか誰も言及しないが、エヴァが電力で起動し、マジンガーZが光子力エネルギーで動くことは誰でも知ってる。


 スターウォーズのX-Wingを始めとする小型機は、なんの問題もなくワープ航法(ハイパードライブ)が使えるが、マクロスでは大掛かりなフォールド航法を要求される。


 怪獣映画が日本にしかないというのも、なにかその、作り込みの緻密さというのが関係しているような気がする。


 怪獣映画とARG(代替現実感ゲーム)は、どこか似てる。

 どちらもシミュラークルである、ということはもちろんなんだけど、単なるシミュラークルではなくてそこになにか別の力を働かせることでエンターテインメントに昇華している。


 その意味では手品も似ていると言える。


 僕の好きなものは全部似てるのかもしれない。


 つまりそれは巧妙なニセモノで、現実の認識を変容させてしまうようなものであるということだ

アラン・ケイさん、enchantMOONをすこし語る 07:27

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このネタ引っ張り過ぎ?

いや、テープ起こしがやっとこあがってきたんだけど、英語としても膨大なのでみんなが気になっているであろう、enchantMOONへの直接的な感想の部分だけ原文で紹介しておきます。

Ryo:

  What do you think about an enchantMOON?

Alan:

 I think what you want to do with it is fantastic, and I think and I like the use cases. I think you need more use cases. And I like that you are doing some of the testing on this thing, but I would even try doing tethered…where you don’t have to optimize this to get performance….it’s a different thing. Optimization is different from design. So I think you get into this position where…you know first if you can do it all what you want to do. And then…and again like I said, in the end the end users…if they are going to do something that involves programming or creativity, in the end most of them are willing to work. So if you are doing creativity, that’s nice thing. Once they have decided to do it, these are children and adult who is not satisfied with simple kits. They are not satisfied with cooking hotdogs in the kitchen. So you can say “Ok so this is the personality” that I am making this thing for, and then the thing is that they might not be experts. But it’s personality and not experts, what should I do? And if it were musical instrument, No1 thing you don’t do is to, for instance you don’t put frets on violins just because that makes thing easier in the beginning. It can kill you later on. They have tested that. And putting kids on synthesizer can have some benefits for the kids but synthesizers are not for expressive, and music is about expression, right? So what’s brilliant about HyperCard is that Bill Ackenson and people who did HyperCard they had perfect theory of their end users, which was a person who wanted to use the fact that computer had a screen and these are people who wanted to create media. Some of them were doing for talks, some of them were for professors, teacher, and students making things…so what they did was just make a programmable media. And I don’t think it’s been done better. Their improvements you can make in HyperCard graphics you can do lot better. And Bill had weak conception of graphics, but it didn’t matter cause Apple gave it away for free and few years later they looked to see who would scripted application and they found 4 million separate users. Even today they own couple of million programmers in whole countries. But here you had in a period of couple of years, you had widest varieties of children and adults programming in the history. So Apple never understood it, they had problem of their own, so blew the HyperCard opportunity.

読める人は自力でどうぞ

ただ、テープ起こしした人が専門家ではないので原文の文意があってるかどうか確かめるのにけっこう時間がかかってます。

この他にもかなり面白いことを聞けました。

翻訳をお待ちください

2013-01-21

ハッカーズカフェ開講! だが売り切れ 12:02

実は「ハッカーズカフェ」という商標を5年以上前に取得していたんだよね。

というのは、やっぱり凄腕のハッカー(プログラマー)が集まる場っていうのはひとつの理想なので。


だからいつかそういう店がやりたいと思っていた。

それがたまたま、去年、東浩紀さんと話をしていたら、東さんは哲学がテーマの喫茶店をやりたいと言っていたので、じゃあ一緒にやろうよ、という話になった。それでうまれたのが「ゲンロンカフェ」


で、長らく寝かせておいた「ハッカーズカフェ」の商標がめでたくここで花開く、と。


http://peatix.com.new.s3.amazonaws.com/event/9703/shimizu.jpg

[ハッカーズカフェ]清水亮「ノンプログラマー・プログラミング講座  教養のためのプログラミング入門」 | Peatix

http://peatix.com/event/9703

相変わらずなんか人相悪いよね。僕。

今回のテーマは「プログラマーじゃない人に向けたプログラミング講座」ということで、知らないうちにチケットが販売されていて、そしてなんと知らないうちに売り切れていたという展開。

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https://twitter.com/hazuma/status/292839761398358016

まあ定期的に開催すると思うので次からは告知しますね

2013-01-18

enchantMOONをシリコンバレーでデモしてきた! 00:33

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 サンフランシスコなう

 というわけで、延長戦最終日、シリコンバレーでenchantMOONをプレゼンしてきたぞ。

 まずは外村さんの紹介で世界中のコンピュータの歴史が詰まったシリコンバレーの象徴的な建物、「コンピュータ歴史博物館(Computer History Museum http://www.computerhistory.org)」の館長、ジョン・ホラーさんに見せに行ったぞ

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 コンピュータ歴史博物館は、様々なIT起業家の寄付で設立された博物館で、観覧はなんと無料

 エニアックやPDP-7、そしてXEROX ALTOやDynabookペーバープロトタイプまであるという充実ぶり。シリコンバレーに来たら絶対に訪れたいスポットだ。

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 「実にユニークですね。発売されたら一台、博物館にぜひ寄贈してくださいよ」


 マジですか。

 いいんですかこんなユルいデバイスで。


 「それに、オルダス・ハックスリーを引用したというのも実に素晴らしい。あれは誰のアイデアなんです?」


 「それは東浩紀・・・CPOという肩書きの人が居てですね・・・」


 かくかくしかじか。


 「実に興味深い。私はあのビデオが凄く好きですよ」


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 せっかくなのでXEROX ALTOと記念撮影。

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 そしてアラン・ケイさんが自ら作ったDynabookのペーパークラフトコンセプトとも一緒に。

 ちなみにアラン・ケイさんはこの博物館のフェローでもあります。さすが

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 ところでXEROX ALTOは有名なのですが、XEROX Notetakerという幻のマシンも展示されていました。

 これは持ち運べるALTOということでよりDynabookのコンセプトに近いものを目指して作られたもので、マウスとキーボード、そしてなんと、タッチスクリーンが搭載されています。1976年の機械です。


 夕方はEvernote社を会場に、JTPAというNPO団体さんの主催でGEEK Nightとして「enchantMOONの会」が開催されました。

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 企画から開催までわずか三日という強行軍でありながら90名もの方々が参加していただいて、みなさんに感謝してもし足りないくらいの気持ちです。


 なんとプレゼンと質疑応答の時間が2時間も確保されていたので、「THE SECRET OF enchantMOON」と題して、開発の敬意やPV撮影の裏話を実機によるデモを交えて公開しました。


 質問も活発に寄せられ、ディスカッションという趣きで盛り上がりました。

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 講演後のタッチ&トライでは多くの人が参加していただき、ペンの書き味を確かめたり、活発な意見交換などが交わされました。


 参加していただいた皆様、そして準備していただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。

 そして外村さん、何から何まで本当にありがとうございました。


 僕たちは日本へ帰り、そしてenchantMOONを製品としてブラッシュアップしてまた戻って来ます。

2013-01-17

enchantMOONを持ってEvernote社に行って来た! 23:47

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 僕も毎日なんだかんだと文句をいいつつ使い続けているEvernote。

 昨日、そのご本尊にenchantMOONを持って行って来たぞ!

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 Evernoteといえば、伊藤園の「おーいお茶」をシリコンバレーに流行らせた会社としてあまりにも有名。

 当然、冷蔵庫には「おーいお茶」がこれでもかと用意されていた。濃い味もある。

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 そしてEvernote社の水曜日は「寿司ランチ」だそうで、近隣の一流寿司職人さんがわざわざ出向いて来てその場で握ってくれるのだと言う。社員は無料。なんて贅沢な!

 ちなみに日本でフリーランチをやると税法上は給与の一部と看做されるのでフリーランチをやってる会社が少ないのです。


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 なんと味噌汁まである!

 ちょいホームシック気味だった僕も元気を取り戻すことが出来たぞ!


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 そして実際の現地のエンジニアにタッチ&トライ!


 「ああ、これは手書きのHypercardだね」


 と、解りが早い。

 実はEvernote社には元AppleでNewtonの開発をしていた手書き認識エンジンの専門家など、手書きにうるさいエンジニア達が揃っているのだ。


 もちろんプロトタイプなので書く部分以外(ページ遷移とか)はまだまだぜんぜん遅いんだけど、書く部分に関しては好感触を貰うことができたぞ。


 Evernoteとの連携に関していくつか質問が浴びせられた。

 「絶対に買いますよ」といってくださる人もいて、これまた多いに勇気づけられた。


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 真ん中の緑のフリースの人がEvernoteの外村会長。

 シリコンバレーのベンチャー起業家の顔役的存在だ。


 そして夕方は、なんと外村さんのご招待でサンフランシスコ日本領事館の新年会へ

 ただし、総領事館のパーティに行くには、ジーパンはともかくジャケットは必要と言われてしまったのでスタンフォードショッピングセンターでジャケットを買う。


 もともとヨレヨレだったスウェードの革ジャンと、ホリスターのポロシャツというユルい格好だったので、一気に総領事館にあわせてドレスアップだ!


 ガイジンサイズのジャケットなので少し仕立て直して、いざ領事館へ。

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 なんだここは。

 別世界だぞ。

 まず、カリフォルニア州なのにスーツを来てる人がこんなに居る!!

 どこにスーツを仕舞っているのか!

 って驚くのはそこじゃないか。

 美男美女揃いのSPや外交官に囲まれてガラにもなく緊張してしまった。

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 そしてすごい分量のおせち料理!

 餅つきもある。


 そして日本総領事の猪俣さんにもenchantMOONを触っていただいた。

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 書かれた文字は「日本再生」

 新年に相応しい「書初め」をenchantMOONでしてもらったぞ。


 ついでに記念撮影。

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 しかし・・・!!

 なんだかロサンゼルスから6時間かけて不眠不休でクルマを運転してきた疲れがいきなり出たのかひどい頭痛。泣く泣く領事館を後にする。


 そして今日はいよいよ外村さんが急遽集めてくれた、サンフランシスコ在住の日本人技術者を集めた大プレゼンイベントが開始される!


 もう外村さんに足を向けて眠れないぞ、僕は!

2013-01-16

日本とは全く違うアメリカのBBQ料理とは? 01:07

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 バーベキュー。

 それってキャンプとかで串で焼いた食い物でしょ? 

 タレはエバラでしょ?


 そう思っていた時期が僕にもありました。


 ぜんぜん違います。

 ここ、バーベキューの本場アメリカ*1では、BBQとは、なんか知らないけど肉を焼いた全ての料理を指すのです。


 「それステーキじゃねえか」と思うかもしれません。

 ステーキとは違います。その違いはBBQソースです。

 BBQソースさえあればそれはバーベキューです。


 つまりエバラではなくBBQソースなのです!

 ワイルドなワルが喰らう、ワイルドウエスタン料理。そう、それがBBQです。

 

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 もう店構えからしてワル。

 僕が初めてBBQ料理を食べたのは、テキサス州メイソンという人口2000人の田舎町でしたが、それからBBQにハマり始め、いまではBBQなしでは生きていられない身体になってしまいました。太るのも道理です。


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 トイレの入り口もワル。

 店の外ではカントリー音楽の生演奏。


 ロスからサンフランシスコまでクルマを飛ばしてやってきて、途中のサンノゼで休憩がてらBBQ料理を食べました。


 BBQ料理の定番といえば、ビーフリブ、ベイビーバックリブ、ビーフブリスケット、そしてプルドポークです。

 どれもBBQソースを掛けるとあら不思議。同じ味になります。

 プラス、それぞれの肉の味。


 まあBBQは豪快そのもの、といった趣きです。

 豪快で美味い。決して高級料理というわけではないけど、いや、なればこそ、味がしっかりしているわけですね。


 これからGDC出張などを控えた皆さん、いつもカニばかり食べている場合ではありませんぞ。

 ぜひ極上のBBQレストランに行きましょう。

アラン・ケイ氏にenchantMOONを見せて来た 16:01

前回までのあらすじ

 そしてぼーっとブースで過ごしていると、なんかすごいtweetが来た。

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https://twitter.com/abee2/status/289381758670102528

 要するにAKさんが「おもしろそうじゃん。一台欲しいな」と仰ったのだと言う。

 AKさん?カラシニコフ?・・・と思ったらAlan Kayさんだった。

 なんですと!?え、マジで? Dynabookの? は?


 なんかメールやりとりしてたらとんとん拍子でランチとりながらKay先生にenchantMOONをプレゼンすることに。


 さらにEvernoteの外村会長がプロトタイプもってサンフランシスコまで来てよ、とおっしゃる。


 やべー。

 なんだこの展開。

http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20130111/1357915582

 というわけで、ですよ。


 「本当にアラン・ケイ氏に会えるのだろうか」


 と、最後の最後まで疑うことをやめない僕は、多少の不安を感じつつも指定された場所へクルマを走らせた。

 すると・・・


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 やばい・・・ナニコレ

 組織名でも会社名でもなく、いきなり人名。


 そして・・・

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 OMG!

 ご本人登場

 enchantMOONを一通り触ると、それから三時間ほどぶっ通しでDynabookと、ペンコンピューティング、そしてヴィジュアルプログラミングについて語っていただきました。情報量が多すぎて死ぬかと思った。


 「そもそもマウスより先にペンがあったのだよ!」


D

 これは1963年のJOSSというインタラクティブプログラミングシステム

 これ見るとわかるけど、スゲー

 全て手書きでプログラム書いてる。


 この会談は、あまりにも情報量が多かったのでテープおこししたあと、どこかで掲載したいと思います。

 とにかく良かった。感動した。


 ああ、でもenchantMOONをせっかくみていただいたんだから、感想は聞かなかったのかって?

 もちろん聞いた。けど、あまりに恐れ多いので、それはまた機会を改めて紹介したいと思う。

 とにかく我々が多いに勇気づけられるコメントだった。

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 その感動さめらやぬまま、僕はサンフランシスコへ。

*1:本場アメリカって懐かしい響き

2013-01-15

CESはまだまだ広いッ! @ITに寄稿しました 18:14

LEGOのロボットから全方位ビデオカメラまで CESで見付けたオモシロガジェット:UXClip(17) - @IT

http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1301/15/news060.html


 CESは広いッ!広いのじゃ! 

 ・・・ということで、@ITにshi3z的CESレポートを寄稿しました

 広すぎて全部回れないし、ここに書ききれなかったデバイスも多かった。というかほとんど見れないんだよねー

2013-01-14

やっぱりニセモノが好き 03:54

 ホンモノとニセモノというのがある。

 残念なことに、ニセモノはホンモノではない。

 けれどもニセモノにはニセモノにしかない魅力があり、ニセモノがいつしかホンモノに成り代わって行く。


 CESで働き詰めだったので、土日(太平洋標準時)は仕事を離れることにした。

 ただ本来僕は休日が苦手だから、結局ホテルでゴロゴロしてる、なんていうわけにもいかず、せっかくロスにいるのだからディズニーランドに行くことにした。ロスには何十回と来ているが、ディズニーランドに来たことはない。人生初のロスのディズニーランド。


 来たことがないくせに僕はディズニーランドが好きだ。

 気楽なサラリーマン時代は平日の東京ディズニーランドにでかけていってぶらぶらしながらゲームのアイデアを考えたり、そのへんのベンチでプログラムを書いたりしたものだ。


 いま、ロスのディズニーランドには、スターツアーズの新作が設置されている。

 これは見る価値があった。


 エピソード3と4の間の時代設定で、ダースベイダーやヨーダが登場する。

 本来スターツアーズはそうあるべきだったのに、なにかよくわからない都合で初代スターツアーズは消化不良な感じだった。


 しかも、話がランダムになっていて、54パターンの話が愉しめるらしい。

 たぶん3x3x3x2である。


 僕が見た回はいきなりダースベイダーがでてきて、フォースの暗黒面をたっぷりと味あうことになった。

 素晴らしい。日本にも5月に上陸する予定である。

 3Dなのもいい。


 ディズニーランドが良いのは、独特のニセモノ感である。

 ウォルト・ディズニーについて調べると、彼が意外にも恵まれない少年時代を過ごしていたことが垣間みれる。


 破天荒で次々と事業を変える父親について、子供の頃から労働させられていた。

 ウォルトが唯一好きだった仕事は列車のなかの新聞配達で、ディズニーランドは従って列車を中心に構築された。なんと園内に三本もの路線が走っていたらしい。


 いわば実物大鉄道模型だ。

 つまりニセモノである。


 ニセモノのなかでも、一流のニセモノというものがある。

 ディズニーランドは、まさにそれだ。


 「街」を遊園地に再現する。

 なぜそんなことをしなければならないのか。

 ロスのダウンタウンにいけば街はある。しかしその街は、危険で、不潔で、不愉快なものかもしれない。実際、ロスのダウンタウンはそういう時代が長く続いたことがあった。


 安全で愉快で、まるで映画の中のような街、それがディズニーランドという「ニセモノの街」なのだ。

 ニセモノは、ホンモノに常に劣るというわけではない。


 ホンモノからなにかを感じ取った人物が、ホンモノの感動をなにかの衝動でアウトプットしたニセモノ。それは常にホンモノからニセモノを創りだす、イミテイターとでも言うべき人物によっと成し遂げられる。クリエイターよりもよっぽど誠実ではないか。無から有が産まれることは物理学的にあり得ない。


 ロサンゼルスのディズニーランドはウォルトが直接手がけた最初のディズニーランドであり、彼の最高傑作のひとつでもある。


 僕はウォルトをアニメーションによってではなくディズニーランドの設立によって評価している。

 もちろんディズニーランドを成立させるためにはアニメーションが必要だったことは間違いないが、ウォルトが真に偉大なのはディズニーランドという、時代にあわせて進化し続ける組織を作ったことだ。


 アニメの方はすっかりピクサー頼りになってしまった。

 そのピクサーの誇る天才、ジョン・ラセターの才能もウォルトの投資によって産まれたものではあるけれども。

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 ラスベガスのベネチアンホテルも、一流のニセモノだ。

 なぜ砂漠の真ん中に水の都を再現するのか。


 そこに深い意味はないのよ。なにも。

 ただ、ともすればそれは単なるイミテーション以上の価値を持つことがある。


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 ラスベガスのパリスホテルもそう。

 そういう意味ではラスベガスはニセモノだらけだ。

 シーザーズパレスの神殿、ニューヨークニューヨークの摩天楼。エクスカリバーの聖剣。

 全てがニセモノによって出来ている街。


 しかしだからこそ僕は心惹かれるのだろうな。


 ニューヨークももちろん好きだし、ローマもそれほど嫌いじゃない。パリは毎年行きたいくらいに好きな街だ。


 しかし人々の記憶や印象のなかで美化され、強化され、グロテスクなまでにデフォルメされたニセモノ達もまた独特の迫力や魅力を持っている。


 パリのエッフェル塔よりもラスベガスのパリスホテルの方がいいと思う人はいないだろうが、実際のパリの街にはない魅力が、やっぱりパリスホテルにはある。


 それは安全さだったり陽気さだったり、清潔さだったりするけれども、そういうものは人工的に誰かが創りださない限り到底実現できないものだ。少なくともいまのところは。


 ロスのリトルトーキョーもまたニセモノの東京である。

 正確には浅草かなあ。


 ここにジャパンタウンではなく「リトルトーキョー」という名前を与えた人のセンスには脱帽する。

 まさにリトルトーキョーであるべきで、ジャパンタウンであるべきではないのだ。


 アメリカには、そういう意味ではニセモノが多い。

 アメリカという国が発祥した東海岸のある地域は、ニューイングランドと呼ばれている。


 ニューイングランド。つまり、新しいイングランドだ。

 日本文化を勘違いしたガイジンが創りだす奇妙なニンジャやサムライにえも言われぬ魅力を感じてしまうのは、それが良質なニセモノだからだ。


 ニンジャスレイヤーのあざとい日本文化の勘違いぶりや、ニューロマンサーの鋭さ。

 キルビルで表現される東京など、ニセモノはやはりセクシーだ。


 もちろんダメなニセモノもある。

 というかそっちのほうが多い


 ロスで適当に入った寿司屋は最悪だった。

 寿司に対する冒涜であるだけならまだしも、食べ物としてマズい。これはいただけない。


 あくまでも一流のニセモノとは、それ単体でニセモノとして完成していなければならない。

 完成していないニセモノは、単なるジャンクだ。


 ニセモノを見てニセモノを作り、さらに新しいニセモノになっていく。

 ニセモノがこれだけ氾濫している世の中では、ホンモノとは単にニセモノのスーパークラスを意味するに過ぎず、ホンモノと呼ばれるモノもある観点ではニセモノであり、ニセモノはさらにまた他のニセモノへと変化しつつコピーされていく。


 デジタルコピーと違うのは、ホンモノ(スーパークラス)からニセモノ(サブクラス)を作るときに、イミテーターの解釈と表現の限界を通過することである。


 これがときたま質的な変化を生み出し、ニセモノを超ニセモノ(スーパーコピー)へと進化させることがある。


 僕が特撮のセットや映画のセットになにか凄く心惹かれるのも、もしかしたら生来のニセモノ好きというのが影響しているのかもしれない。


 映画だってニセモノの映像だ。物語だって誰かの人生をイミテーターがコピーしたものだ。たまにつぎはぎとかしてるかもしれない。


 おもしろおかしく脚色して、徹底的に愛を混めて行った結果、それはコピーされるネタモト、すなわち新しいホンモノになる。


 ホンモノに限りなく近いニセモノを見たければ、やっぱりホンモノをたどって行かなくてはいけない。


 海外の大学で講義するときに、僕はよくこういう台詞を言う。


 「Don't behave as a creator, just be genius copycat」


 たいていの「これが本家」と思われるものにはそのネタモトがある。

 違うのはラベルだけだ。


 ラベルはいくらでも変えられるが、中身は変えられない。

 それでたまにホンモノを見に行けばいい。

 ホンモノっていうのは、たとえば空とか海とか、要するに神がつくったこの世の全てだ。

 人間だって神様のニセモノだしね

コンピュータグラフィックスの父、アイヴァン・サザーランド 01:42

 Facebookでいい感じの動画がシェアされてきたのでブログを少し

D


 この動画の最初に表示されるのはアイヴァン・サザーランドの「スケッチパッド(Sketchpad)」

 世界で最初のインタラクティブなコンピュータグラフィックス環境であり、近代コンピュータの歴史の半分はここから始まったと言って良いだろう。


 サザーランドの研究室は若き日のジム・クラーク(後にシリコングラフィックス社(SGI)、Netscape社を設立)、ジョン・ワーノック(後にAdobeを設立)、エド・キャットムル(後にPixarを設立)、アラン・ケイ(SmalltalkDynabook構想を開発。パーソナルコンピュータの父と言われる)といったキラ星の如き才能を生み出した。


 面白いのは、「最初のパーソナルコンピュータ」の源流が、キーではなくペンにあったということ


 高精度なペンの実装が難しかったので、代替手段として開発されたのがマウスで、当初はこのマウスでさえも、使い方を一目見て解るという人は居なかったようである。


 ペンとタッチをダイレクトオペレーションとすれば、マウスとキーボードはインダイレクトオペレーションということになる。


 どちらも一長一短があり、どちらかが常に優位ということはない。

 逆に言えば、いつ反転してもおかしくない対の存在なのである。


 iPhoneiPadの登場によって、インダイレクトオペレーションの一つであったマウスはタッチに一部とってかわられた。

 スケッチパッドの時点で、ペンは今でいうタッチの代替だった。

 専門用語で「ポインティングデバイス」という。点の入力装置だ。

 この時代はアルファベットような記号そのものの入力、というものはまだ想定されていなかった。

 コンピュータキーボードの発明によって、アルファベットの入力が実現し、信号処理ではなく記号処理が行えるようになった。


 でもこれは半世紀近く前のアイデアだ。

 そろそろ次のことを真面目に検討するのも悪くない時期じゃないか

2013-01-13

太陽のサーカス 06:26

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 ラスベガスといえばシルク・ド・ソレイユ

 今回は頑張って三本の公演を見た。

 それ以上は体力の限界だった。


 シルク・ド・ソレイユ。フランス語で太陽のサーカス

 カナダ生まれのミュージカルとサーカスを合体させたような不思議なエンターテインメントは、いまやラスベガスの顔と言っても過言ではない。


 あらゆるカジノホテルにシルク・ド・ソレイユの専用劇場が建築され、演目にあわせて劇場そのものがワンオフで作り込まれる。


 そして演者の多くは元オリンピック選手やプロスポーツ選手。極限まで身体を鍛えたアスリート達。

 人間の身体はどこまで凄いことが出来るのか。それぞれの能力や個性を活かした演目作り。

 そうでなければできない、スーパーエンターテインメント。

 

 今回見たのは、劇場の半分が自由に稼働するプールでできてる「O(オー)」と、最近シルク・ド・ソレイユがプロデュースしたマジックショー「クリス・エンジェル」そして、世にも珍しい18禁サーカス「Zumanity(ズーマニティ)」の三本だ。


 どれも超一流のエンターテインメントだが、僕はZumanityが一番好きだな、と改めて思った。

 Zumanity、Zoo(動物園)とHumanity(人間性)をかけあわせた造語から解るように、Zumanityは人間の獣性をむき出しにした作品だ。


 全編下ネタのオンパレード。でも不思議といやらしくない。

 シルク・ド・ソレイユによる超一流の下ネタ。それがZumanity。


 しかも凄いのは、演目は同じなのにどんどんバージョンアップしてる。

 違うネタがちゃんと入ってる。


 前に見たのは三年前だったか。そこからもきちんと進化してる。それが凄い。

 こんな公演を一日二回ほぼ毎日やってる。ひたすらにすごい。


 シルク・ド・ソレイユの作品は基本的には言葉を使わないものが多い。

 どの国の人でも愉しめるよう、極力英語を使わない。それはシルク・ド・ソレイユ自体が世界中から集められた団員によって成り立っていることからも重要なことなのかもしれない。


 徹底的に無国籍を貫くのだ。

 でもたまーーーに英語が出て来る。


 ところがZumanityは、全編英語英語、英語だ。下ネタは英語で補完しないと伝わらないことがある。

 直接的な表現を使わず婉曲表現を使うには言葉という記号はすこぶる便利だ。


 でも決して英語がわからないと愉しめないわけじゃない。


 Zumanityでは司会を勤めるドラァグ・クイーンの美声と、明らかに男性的な肉体なのに女性的な匂いを醸し出す雰囲気が妖しい世界観を一層盛り上げて行く。


 特に始まる時と終わる時のシャウト「Zumanity!」は他の全てのシルク・ド・ソレイユ作品はもちろん、あらゆるミュージカルの仲でも珍しいほど気持ちいいシャウトで、このシャウトとともに音楽が始まり、時が動き出す。


 サーカスとしての派手さは他の作品に譲るとしても、純粋なエンターテインメントとしてZumanityは頭一つ抜けている。


 僕がラスベガスに住んでいたら、週に一回は通ってしまうのではないか。

 それくらい強烈な魅力がある。


 また、ショウのスタート直前に、「レズビアンズ、ホモセクシャルズ、バイセクシャルズ、エン、レディス・エンド・ジェントルマン」と呼びかけるのも好きだった。今回はその部分はオミットされていて少し寂しい。


 性的マイノリティそれぞれに呼びかけ、観客がそれに呼応する。

 ここは人間動物園。人間性を解放し、獣性を剥き出しにするのだ、というエンターテインメントの究極のかたちのひとつがある。


 こういうショウを日本でやろうとするとどうしても品がなくなる。

 ロボットレストランはギリギリの線だが、やっぱり今一歩、踏み出せない。シルク・ド・ソレイユならばこその上品なお下劣を愉しむショウと言える。


 今回、身体がクタクタになりながら、時に爆睡しながらも、連日浴びるようにシルク・ド・ソレイユを見た結果、やっぱり僕はZumanityが一番好きなのだ、と思った。決して人気のあるショウではないし、一緒に見る人を選ぶけれども、大人に最高の体験を提供してくれるのはこれなのだ。



 という話をラスベガスでシルク・ド・ソレイユ見たことない人たちにしたんだけど、「はいはい清水はお下劣が好きなのね」としか理解されなくて寂しかった。


 まあ好きなんだけどさ。


 というわけで、CESもおわり、延長戦の前、一足先にロスに移動してつかの間の休息。

 ところがロスにもシルク・ド・ソレイユあるらしいんだよなー

 行こうかなあ

2013-01-12

CES四日目(最終日)終了 まさかの最新HMDのプロトタイプがやってきた! そして延長戦へ 11:03

 いやー、疲れました。

 疲れたという日本語の意味に新たな意味を見いだしてしまう。

 それくらい疲れました。充実してた。

 最終日は朝イチから知人恩人がぞろぞろとベネチアンくんだりまでやってきてくださって、ありがたいやら嬉しいやら。

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 知る人ぞ知る、世界を代表するケータイコレクターにしてケータイ評論家の山根さん。

 山根さんは僕が初めて香港に行ったときからの付き合いで、香港にいくときは必ず会っている。

 深圳を案内してくれたのも山根さん。

 ケータイを愛するもの同志、魂の深いところでつながってる。そんな気がする山根さん。

 enchantMOONを一目で気に入ってくれた。

 なんかこんな話ばかりでごめんよ。

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https://twitter.com/hkyamane/status/289864973797183488

 山根さんが本気で言ってるのは、彼のGalaxy Note2を僕に見せてくれて解った。

 彼のGalaxy Note2にはびっしりと手書きメモが。


 「結局手書きしか使わないのよ」


 そうだよね。Galaxy Note2よりはenchantMOONの方が書き味はいいしね。


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 そして天下一カウボーイ大会では御馴染み、オリンパスのHMD開発チームの方々。

 なんと開発中の試作機をもってきてくださってその場で試させてくれた(!!!)。

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 このサイズでBluetoothとバッテリーを搭載してる。

 それでGalaxySと接続されて地図とかTwitterとか出る。マジで!これ未来。いますぐ量産してほしい!

 形状もすげえ洗練されてて未来が間近というより未来そのものみたいになっとる。

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 カッコいいよね。マジで

 しかもしっかり現実空間に浮かんで見える。

 欲しいわあ。10万円でも欲しい。


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 開発者の龍田さん。あまりにも自然。これが21世紀の人類だぜ。


 あっというまにひとだかり。まあ僕としてはブースに人が寄ってくるのはいいことだ。


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 遊びにきてくれたQueryEyeの水野さん。実はバリバリのマシン語プログラマーだ。


 他にもたくさんの人が遊びに来てくれた。

 特にありがたいと思ったのは、名前は出せないけど某キャリアの偉い人。


 「値段思い切り高くしても買う人は絶対買うんじゃない?思い切って値段高くしていいよ。絶対完売すると思うから」


 と力強いアドバイスをくださった。

 有難すぎて泣ける。


 取材に来て下さった方々もかなり熱心にお話を聞いていただいた。


 今回思ったのは、僕はこれを英語で説明することがぜんぜんできないということ。

 新しい概念すぎて説明できない。


 理解する人には瞬時に理解してもらえるようなフレーバーを広告クリエイティブのそこかしこに入れたつもりだけど、逆にいうと解る人にしかわかんないようになってた(まあ最初からそういうねらいではあったのだけど)。


 「知ってる人は知っている」って奴。


 次の広告クリエイティブの課題は、解んない人にもそれがなんであるか瞬時に解るようなものを作らないといけないということかな。


 というわけでひとまずCESでの戦いが終わった。

 今週はこれでおしまい。来週はアラン・ケイさんのViewpoints Research Instituteに行くことが決まっているので、それまでにプレゼン資料とか諸々用意したりしよう。


 それと、そのあとはEvernote社に行くことになっている。戦いは延長戦に突入したのだ。

 ファイトー!

 だがひとまず、おつかれさまでした

2013-01-11

CES三日目 enchantMOONの秘密 そして驚きの展開に 23:46

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 いよいよ大詰めの三日目。

 今日はたくさんのお客さんが来てくれました。

 まあ取材はほとんど日本のメディアでしたけどね。海外メディアにプレゼンスを出して行くのはまだまだ難しい!

 なにしろイロハもわからないですからね。


 いい出会いもありました。

 ウルフラム・アルファのプログラマーさんがやってきて「これどこで売ってるんだ?すぐ買いたい!欲しい!え?まだ?じゃあ絶対メールしてくれ。絶対買うから」と言ってくれたり、北米の有名家電量販店さんが来て「うちで売らない?」と言ってくれたり(まあそういう出会いが目的で出展しているわけですからあって当然とはいうものの、嬉しいものです)。


 でもねえ、やっぱnobiさんや石川さんかな。

 nobiさん、つまり林信行さんはもう盟友みたいな感じに勝手に思ってるんだけど、彼は仲が良すぎるから、敢えてあんまり具体的なenchantMOONの話を振らないようにしてた。

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 それで本当に予備知識なしでやってきて、「なにこれ・・・オレちょっと感動してるんだけど」と言ってくれた。


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https://twitter.com/nobi/status/289437158824099840


 「昔からこういうの作りたがってたよね」


 これは嬉しかったな。

 

 enchantMOONは、解る人には解ってもらえるデバイスだと信じて作っていた。

 けど、親しい人に見せれば、逆に「もっとこうしなよ」と言われちゃうんじゃないかと思って怖かった。

 でも、「これでいい。これがいい」と言ってもらえる。もちろんソフトはもっと改良しろよというのは暗黙の前提としてあるとして、こういうふうに解ってもらえる、というのはやはり嬉しい。


 それと石川温さん。石川さんとはまあ面識あってたまにこういうイベントですれ違ったり飯食ったりする程度の仲で、石川さんは「あいつなにして暮らしてんだろうか」という感じで僕を見ていた、と思う。


 まあね、ただでさえ裏方の仕事っていうのは目に見えないから。

 そういう石川さんがわざわざ僻地のベネチアンまでやってきてくれて、「マジ?これいいじゃん」と言ってくれた。

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 お互い、仕事のことはよく知らない人だから、そういう「解ってもらえる」感じはすごく嬉しい。

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https://twitter.com/iskw226/status/289479985171927040


 ついでにベネチアンがあまりにも遠くてみなさんに申し訳なかったので、来年のブースをなんとかメインホールに確保しようとCEAオフィスへ

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 ああ憧れのセントラルホール。

 ま、セントラルホールとかはSAMSUNGさんとかPanasonicさんとか、とにかくぜんぜんムリな場所なのでその周辺のノースかサウス。できれば電話やCPUメーカーが多いサウスホールの二階になんとしても陣取りたい・・・と決意してやって参りました。


 CESは恐るべきカースト制度になっていて、大メーカーが最優先で場所をとってしまい、新参者の僕らは820番目という悲しい熱帯魚。めぼしいブースが目の前でガンガンとられていき、僕の目の前も真っ暗。またベネチアンは勘弁してくれー。まあお得意様優先なのは仕方ないにしてもこりゃあ恐るべき激戦区ですな。


 粘るに粘ること二時間。

 そして・・・


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 やった!取れた!サウスホール。QualcommとかSandiskとかあるサウスホールですよ!奥さん!もちろん二階。

 さすがに800番台だと小さなケース屋さんとかが多く、でかいブースは売れ残る傾向だった模様。

 今年の10倍の面積になっちゃったけど、来年にはここでガツンと海外にアピールしていくぜ、という決意を固める。金も払う。うちみたいな会社からしたらバカみたいに高いけど、それでも東京のショウより安い。


 帰るついでに勝ち取ったブースを見に行く。


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 今年は3Mが展示していた。通路脇の絶好のポジション。やったるぜー。

 そのためにはちゃんとencantMOONつくって、ちゃんと売らないとなー。


 enchantMOONが目指すものはまあハッキリしてたりぼんやりしてたりするが、とにかく徹底的に拘ったのは手書きの質感。これだけで開発期間の1/3を費やしている。おかげで他の部分がまだぜんぜん最適化されてない。一点豪華主義。


 enchantMOONの手書きの質感は最新のIGZOパネルのデジタイザにも負けてない。と、あるメーカーの人が言ってくれた。他にも「わけがわからない。こんな速度でレスポンスできるわけがない」と海外のエンジニア。残念ながら海外メディアにはあまり注目されなかったが、日米問わずあちこちのメーカーの技術者が噂を聞きつけてやってきて、「どうしてこんなにスムーズに書けるのか」と質問をたくさん貰った。

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 秘密は簡単。OSをカーネルレベルでチューニングしているのだ。ただしこれをやるとGoogleAndroid CTSにひっかかる可能性がある。だから大手メーカーはできない。Androidを捨てるか、手書きをとるか。大手メーカーさんは今の状況でAndroidを捨てられない。なんのしがらみもない独立系企業だからできるヤケクソチューンだ。


 CPUはシングルコアでも、手書きを最大限のスピードで実現する、ただそれだけのために作られたワンオフのデバイスドライバー。全てのOSの処理をバイパスし、手書きのレスポンスだけを最大限までチューンした。もちろんもっと速いCPUに載せかえればそれなりに速くはなるだろう。ただ、CPUがこれ以上速くなっても人間には知覚できるかギリギリのところだ。これ以上速くするには液晶の動作クロックを上げる必要があって、もちろん高周波数のIGZO向けにチューンすればそれなりに速くはできるだろう。


 デバイスドライバーレベルでアプリケーションに近いコードが走っている。デバイスドライバーが完全にenchantMOONのUI、MOON Phaseのためだけに作り込まれている。VRAMが書き変わるのはペンの周囲わずか9ドットのみ。データは全てベクトルで保持し、非同期にアプリへ通達されるがそれよりも速く画面が描きかわる。


 そもそも最初の手書きPDA、Newtonからもう20年経っている。Newtonですら手書きそのものはスラスラ描けたのに、ひと呼吸もふた呼吸もラグがある今のOSはなにかがおかしい。最新の端末ですら20年前の機種に負ける。処理能力は数百倍、いや数千倍はアップしてるだろう。解像度の高精細化を補ってあまりあるほど進化しているのに、アプリケーションがどれだけ頑張ってもNewtonにすら追いつけない。


 処理速度をあげるのに本来必要なのはコアのクロック周波数。しかし1GHzだ。もう充分だろう。NewtonのARM6は160MHz。enchantMOONは1GHz。6倍も速い。しかもGPUもある。本来は速くて当然なのだ。なのになぜ遅いのか。


 結局、OSのレイヤーを「清く、正しく、美しく」重ねて行くうちに、システムとしての清さや正しさといったものが、どこかユーザーの都合を置いてけぼりにして作られるようになった。


 これはAndroidだけでなく、iOSにもWindowsにも言えることだ。


 チップ屋さんは新しいチップを売りたいし、OS屋さんは新しいOSを売りたい。だからOSはどんどん重くなっていって、チップはどんどん速くなって行った。古いハードで新しいOSを動かすと堪え難く遅いから新しいハードを買う。新しいハードを最大限に活用するには新しいOSが必要になる。さらに新しいOSを買うと、また新しいハードが欲しくなる。この二人三脚サイクルでコンピュータ市場はどんどん大きくなった。


 だから新しいOSが重いのはむしろ業界には歓迎されることだった。

 それは新しいマシンが売れるチャンスが来たということだ。


 CPUは巨大なミミズのようなものだ。頭から命令を食い、お尻から結果を出力する。これをパイプライン構造と言う。


 たとえばユーザーがペンを走らせる。走った座標がCPUに割り込みを掛ける。ふつうのOSは、掛かった割り込みを一旦どこかのメモリに書き込んで、それからどこかそれを欲しがってるアプリなりモジュールなりに通知をメッセージングする。それから、一定時間が経過してタスクスイッチする。タスクスイッチすると、CPUはそれまでの自分の経験を一旦忘れる。パイプラインをリフレッシュする。リフレッシュするってのは、途中まで飲み込んだ命令を一旦吐き捨てるということ。このぶんだけ処理に無駄が出る。だからCPUにとって分岐は敵。いつまでも徹底的に敵だ。


 タスクスイッチすると、今度はアプリの気持ちになって、さっきまでの記憶のない自分が未来の自分に向かって送ったメッセージを受け取る。それを今度はGPUにメッセージングする。何層にも何層にもわたってメッセージをやりとりする。これでレスポンスが出せる訳がない。


 なぜそんな構造になっているのか。

 設計として美しいからだ。

 マイクロカーネル、バーチャルマシン・・・いろんな美辞麗句がこうした複雑で"美しい"システム設計を裏打ちした。



 みんなAndroidやiOSをOSだと思っているが、AndroidもiOSもUnix系システムの上に乗っている「ガワ」に過ぎない。本当のOSの部分はUnixだ。さらにいえば、それを構成するカーネルとデバイスドライバだ。


 今の最新のOSは、初代ファミコンにすらレスポンスで劣る可能性がある。理論上は高速だ。しかしやろうとすることが多すぎる。ファミコンは絶対にフレーム落ちしない。フレーム落ちするくらいなら、画面の描画をサボるような設計になっているのだ。フレームバッファを持たず、レスポンスを最大限にして描画品質を容赦なく落とす。


 昔、ゲームは全ての処理を1/60秒以内で終えることで快適な動作を実現していた。今のスマートフォンは20fpsでも平気な顔をしている。重要なのは、高いfpsがでることじゃない。fpsが安定していることなのだ。



 今のOSのUIの大半はベストエフォートだが画質優先だ。画面が乱れることを良しとしない。それが正しいと思ってる。enchantMOONはたとえ画面が乱れようともペンへのレスポンスを最優先する。どっちが正しいというわけじゃない。ただ、そういうキカイを目指している。


 速く走るためのクルマの正しい設計がGTRのようなFR-4WDだとしたら、enchantMOONはポルシェのようなRR-4WDかもしれない。本当の正解はない。感覚が違う。パワーが落ちようといい音のするマフラーを選ぶ・・・それがおまえの竜になるのか・・・ごめんちょっと行列にならんでるときに湾岸ミッドナイト読みすぎた。


 レスポンス速度に波があると、機械として最後の最後で信用できない、人間の知覚や認知とのズレにつながる。これは愉快じゃない。ボタンを押す、1/60秒後キッカリに反応が返って来る。これがユーザーインターフェースを考える上で一番重要なことだ。見た目がどうのとか形がどうのというのは二の次だ。


 とはいえ、これを実現するためにはマシン語レベルの最適化が必要だし、最低でもC言語で書く必要がある。だが全ての機能モジュールをマシン語やC言語で作るのは非現実的だ。何年あっても完成しないだろう。

 PNGやJPEGの展開ひとつとっても面倒くさいものとつきあわなきゃならない。

 そこで期間も予算も限られているenchantMOONでは、手書きに関するレスポンスだけを最大化することに割り切った。全てそのためにチューニングされている。


 重要な部分を除く大半のモジュールはJavaで書かれている。Javaは複雑なプログラムを書きやすく、そこそこ効率的である。ただそれだけの理由でDalvikVMを使っている。


 ただし、enchant.jsを動作させるためのバーチャルマシン、EagleVMは別だ。これはC言語で書かれている。Google V8は奇麗なコードが好きなGoogleが作ったとは思えないほど過激な仮想マシンだ。中間コードを使わずいきなりJavaScriptをターゲットマシンのマシン語にコンパイルして実行する。ただし、標準のオープンソース版Androidが用意するWebViewは驚くほど非力で、V8を搭載しようが恐ろしく鈍い。


 ソースの可読性と汎用性を優先して、CPUに最適化されてないしGPUもうまく活用されてない。enchant.jsで200スプライトくらいが動くサンプルをARMシングルコアで動かすとわずか1fpsしか出ない。これでは実用に耐えない。EagleVMを使うとこれが10倍以上高速になる。GPUやCPUの処理の流れ、そういったものを丁寧に最適化していく。フォントの描画とか、あきらかにややこしい部分だけはJavaのモジュールを使い、インタラクティブな処理はできるだけマシン語レベルで動作させる。


 開発者はC++言語のオーバーヘッドすら嫌い、C言語でベタ実装してる。もちろんこれはenchant.jsにからくりがある。EagleVMはenchant.jsの処理に特化しているため、通常のWebViewがケアすべき面倒なあれこれ(レイアウトとかz-indexとかCSSとか諸々)をまるごと無視できる。そのぶん速度に跳ね返ってくる訳だ。



 あまりメディアの人は気づかなかったが、地味に作り込んだポイントとして画面に手をついても描けるようになっている。これは絵を描いたり長い文章を書いたりするときに絶対に必要な機能だ。これができないから感圧式ではだめなのだ。


 ペンのオペレーションと指のオペレーションが完全に分離されている。

 ペンは徹底的に描くだけ、指は徹底的に操作するだけ、だ。


 実際のところ少量生産のデジタイザーパネルを調達するだけで、相当なコストになった。これがもっと安くできればenchantMOONの値段はいくらでも下げられる。ただし10万台単位のオーダーが必要。最初からそんなに売れるわけないから、数を絞って初期投資を抑えなくてはならない。


 いまのうちの会社の体力や資金力で、これ以上いいハードを用意することはできない。

 だから最後はソフトウェアの力で頑張る。


 それであの手書きが実現している。

 プロトタイプではまだまだ遅い様々な処理も、製品化までには最適化して高速化していく。


 ソフトウェアでできるところまでやる。僕らは徹底的にソフトウェア屋なのだ。



 そしてぼーっとブースで過ごしていると、なんかすごいtweetが来た。

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https://twitter.com/abee2/status/289381758670102528

 要するにAKさんが「おもしろそうじゃん。一台欲しいな」と仰ったのだと言う。

 AKさん?カラシニコフ?・・・と思ったらAlan Kayさんだった。

 なんですと!?え、マジで? Dynabookの? は?


 なんかメールやりとりしてたらとんとん拍子でランチとりながらKay先生にenchantMOONをプレゼンすることに。


 さらにEvernoteの外村会長がプロトタイプもってサンフランシスコまで来てよ、とおっしゃる。


 やべー。

 なんだこの展開。


P.S.

 enchantMOONのハンズオンレポートが早速あがっています

 ケータイWatch http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ces2013/20130111_581493.html

 週アス http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/123/123670/

2013-01-10

CES二日目終了 UIと脳のビミョーな関係 23:30

 いやー疲れた。

 でも一日目ほどじゃない。

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 今日は来年の場所取りをするためにメインホールの方に行った。

 知ってはいたが、メインホールに行くのも一苦労。


 100人以上並んでいるシャトルバスの行列に並び、シャトルバスで20〜30分かけてメイン会場であるラスベガスコンベンションセンター(LVCC)に到着。


 そこからサウスホールに向かう。

 来年はなんとかいい場所を取りたいので、来年ぶんのブースを早速申し込むのだがまあ事務局までなかなかたどり着けない。


 足がポッキーみたいになりながらも、ようやくたどり着くと「明日来て」と言われる。言われるまで1時間くらいすったもんだする。大丈夫か。


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 メインホールの脇にあるLVH(ラスベガスヒルトン)会場に陣取るCEREVOの岩佐和尚のところを陣中見舞い。冷やかしに行っただけ。元気そうだった。今回はイカすスマート電源タップで勝負に出る。


 おそろしくオシャレで、なおかつスマートフォンから操作可能な電源タップだ。

 相変わらず和尚はいい線ついてる。


 ニーズとニーズの隙間を的確に突いて来るのは凄い。

 ハードはシンプルに、ソフトで勝負する、というのがもの凄く徹底してる。


 ついでに某メディアから頼まれた取材とかも淡々とこなす。

 しかし会場が広すぎて取材とかぜんぜん行き届かない。サウスホールを適当にザッと回っただけで疲労困憊。


 サウスホールのさらに先のLVHのさらに奥地に、なんと噂のLEAP Motionを発見!

 ただしブースではなく会議室で、関係者しか入れないみたいだった。


 そのうえ、中をちらっと除くとお菓子とコーヒーがあるだけっぽかった。

 内覧会みたいなのをやっていたのだろうか。


 クタクタになりながらシャトルの長蛇の列に並び、自分のブースに戻ると、結構メーカーの人たちが見に来ていた。メーカーの人たちの興味はそそったらしい。別に隠すほどのことはないので質問に答える。


 取材の人もちらほら。圧倒的に日本人が多い。やっぱりみんなわざわざベネチアンまで来てくれたらしい。ベネチアンからメインホールを往復した今ならなおさら実感するけど、これは本当に申し訳ない。次回は絶対メインホールでやりたいから、疲れるけど明日また事務局まで行って場所取りしようと決意する。取材はしてもらっていて、せっかく届いたアクリルケースにenchantMOONを仕舞うヒマもないくらいブースはブースで忙しいっぽいのだが、まだ記事になっていないのは残念。紙媒体の取材もいくつかあったので紙媒体には掲載されることを祈る。


 CESで展示するのは初めてだったんだけど、文字通り肉体労働だと痛感する。足みたら一日でマメできて潰れてた。なんだか腰も痛い。年だなあ。なにしろ座れない。歩きっぱなし。人ごみもすげえ。


 最近、年取って衰えてから気づいたんだけど、コンピュータの処理性能に人間の処理性能が追いついてない場合というのはけっこうある。


 それはどういうことかというと、たとえばenchantMOONの開発中に、ふたつの描画アルゴリズムのどっちが速いかテストしたことがある。


 複数の人間にブラインドテストすると、明らかに遅いはずの端末で遅いアルゴリズムを動かした方が全ての人が「速い」と感じたのだ。


 なにが原因だったかというと、画面の明るさだった。

 新しい方の端末は頻繁に使うのでバッテリーを持たせようとして画面をわざと暗くしていた。

 古い方の端末はあまり使わないのでデフォルトの最大の明るさのままだった。

 ただそれだけで、人間は速さを錯覚する。


 これは、人間の脳の処理が暗い画面だと暗い画面から記号を読み取る為に余計なタスクが走り、そのぶん遅くなるのに対し、明るい画面だと最初からコントラストがハッキリしているので情報が高速に読み取れる。その結果「速い」という印象を与えることがわかった。


 ちょっと前のAndroid端末が遅く感じるのは実は画面が暗めの設定だったからなのかもしれない。

 ノートPCでも画面を明るくするだけでものすごくコンピュータの性能が上がったように錯覚することはよくある。


 MacBookAirの、ほんの1目盛りぶんだけ明るくしても、コンピュータの性能が上がったように感じるのだ。実際に上がったのは自分の脳の処理性能である。


 すると人ごみや雑踏が疲れるのは、たとえば前からやってくる人を避けたり、無数の雑音の中から自分にとって重要な情報を聞き取ったりすることに脳の余計な処理能力が食われてしまうからだ、と言えなくもない。


 enchantMOONを基本モノクロにすると決めたのも樋口さんなら、基本黒バックにすると決めたのも樋口さんなんだけど、その理由は、「色があると脳の処理が余計なことに取られて集中できないから」なのだそうだ。


 改めて今考えると深いと思う。


 樋口さんは「巨神兵東京に現る」を敢えてモノラルにしたそうだ。

 もちろん劇場そのものも作り込めるのだからステレオだろうが7.2chだろうがやり放題だったのに敢えてなぜモノラルにしたかというと、ステレオだと音がとっちらかってしまうけれども、モノラルだと使える音域に制約があるので却って画面に集中できる、という考え方から来てるそうだ。


 また、3D映画を見るとストーリーを記憶しづらい、という性質にも気づいたのだと言う。樋口さんは職業柄、どんな映画でも一回みれば筋書きが全部頭に入るらしい。ところが3D映画だけはなかなか覚えられないのだと言う。



 「もしかすると・・・・」



 樋口さんは言う



 「3Dの立体視の処理に脳の余計な能力を使っていて、記憶を阻害しているのかもしれない」



 そういえば指名手配は写真よりも似顔絵がいい、なんていう話もある。

 UIから脳への負担を極限まで減らすことで高速に動作してる「ように見せる」というのはなんとも脳科学オカルトっぽい話になってしまうんだけど、実際にそこらへんはかなり重要なんじゃないかと思う。


 iPhoneを最も暗いモードで使うとものすごくイライラする。で、iPhoneというかiOSは全体的に画面が明るめに設定されているのだ。


 逆にナイトクラブとかレストランとかが暗めになっているのは判断力を鈍らせ、酒や会話に集中させるための工夫とも言える。明るい飲み屋というのはあまりない。まあゴールデン街の図書室くらいだ。


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 クタクタになったのでべガス通の知人、ミサトさんオススメのステーキハウスに行ってカレラのジェンセンを開ける。

 裏メニューが美味しいよ、と言われて全部裏メニューにする。メニューの意味は?

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 裏メニューのトマホークステーキ。アホだ。本当にトマホークのように骨が突き出てる。

 美味いです。ラスベガスに来て初めて「ここじゃないと食べれない美味いもの」にあたりました。

 ミサトさんありがとう!


 そうこうするうちに西田宗千佳さんのenchantMOON詳細インタビュー記事がKindleで配信

 AV Watchには掲載できなかった濃い内容になっているそうですよ。僕、樋口さんだけでなく開発者本人へのインタビューも敢行。西田さんには全体的に非常に丁寧な取材をしていただきました。僕はもう足を向けて眠れないレベル。

 ページが見つかりません

 http://www.amazon.co.jp/dp/B00AZ9ZW40/

 そう高くないのでぜひ買って読んでみて下さい。


 あ、あとIT戦士の必聴Podcastであるところの電脳空間カウボーイズに前ちゃんがゲストででてるらしいぜ

 電脳空間カウボーイズ 第三百四十三回-ミニ四空間カウボーイズ

2013-01-09

CES一日目終了 00:13

 というわけで、1月8日からCESがいよいよ始まりました。

 今回はいつもと違って現地での準備の大半をenchant.js Inc.の現地法人に頼んでいたので僕は準備らしい準備をほとんどしなくても良かったはずが、なぜか某誌の取材原稿を引き受けてしまい、見たものを書きたくても書けないという変な状況になってしまった。


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 これが今回の会場で配ってるフライヤー。

 多少は説明が書いてある。


 ただ、こういうのって本来は使い方で説明すべきだと思うんですよ。なにしろなにも語ってないわけで。

 開発が膨大な手間になっていて今回は使い方まで踏み込めて説明できてないですね。次回までの課題です。


 解る人にはなにができるのかだいたいなんとなく想像できるけど、わかんない人にはなにがなんだかサッパリかもしれません。まだまだ。ただ、メディアの方やバイヤーの方が来たときには実機をお見せしたり触ったりしていただいています。CPUは超非力だけど書き味だけはいい、というのが解っていただけるかと


 ニュースでは6日くらいから始まってる風だけど、あれはCESに先立って行われるプレスカンファレンスで、大企業しか参加できないので僕らは当然、蚊帳の外。


 で、ご存じない方も多いようなので説明するとCESの会場規模はラスベガスという町の1/4くらいに匹敵する巨大さがあり、特にメイン会場となるLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)は秋葉原のラジオデパート並みの密度でそれが幕張メッセ10個分に広がっていると考えていただいて構わない。

http://www.cesweb.org/cesweb/files/d9/d97a1c25-f243-4a6e-b955-cd716a803b75.jpg

 これがCESのメインホールの全体図だが、実はここにはVenetianは入っていない。どんだけ広いんだよ。

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 これがベネチアンホテル。

 ラスベガスを代表する高級ホテルだ。

 ここをモデルにして、お台場のヴィーナスフォートができたらしい。



 日本のCEATECあたりとは規模も密度も段違いなのだ。

 とにかく周れない。なにしろ僕にしてからが、取材しないといけないのに全くメインホールに行けてない


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 どのくらい密度が高いかというと、あの天下のASUSのブースがたったこれっぽっち。


 LEGO MINDSTORMだろうがASUSだろうが、とにかくほとんどのメーカーはこの10x10フィートサイズのブースで、SUMSANGとかSONYとかごく一部の大メーカーだけがバカみたいに巨大なブースを構えている。これはこれでバカみたいに巨大なのでSONYの展示を一通り見て回るだけで半日潰してしまうという巨大さなのだ。


 enchantMOONに日本の皆さんが期待してくれるのは嬉しいんだけど、我々のブースはそのメインホールから遠く離れたVenetian Hotelという会場。去年まではプレスカンファレンスがここで開かれたのでいい会場だったらしいんだけど、今年は僕らが申し込んだ時点で空いてるのはここしかなかった。いわば僻地。僻地・オブ・僻地。新参者はここでもしょうがないのです。


 取材にせよ面談にせよ、そもそもCESの会場を端から端まで歩くことは一日では到底不可能な規模なので初日から人が来るとは殆ど想定していなかったんだけど、意外にも「ニュースで見ました」と言ってわざわざいの一番にやってきてくださる方が多くて大変驚いた。ありがたいことです。


 あとは海外のメディアやバイヤーの方とも少し話しをしたけど、意外と好意的に受け止めてくれる人が多くて驚いた。記事にはなってないみたいだけど。


https://sphotos-a.xx.fbcdn.net/hphotos-ash4/421007_10152079047025752_2113937840_n.jpg


 まあこれだけモノの数があるわけだから、立ち止まってもらえるだけでも有難いというもの。

 CESというイベントのコマあたりの期待値がどのくらい低いかというと、これだけの規模のイベントなのに出展料は一コマたったの60万円というところからも解ると思います。ちなみに東京ゲームショウとかだと100万円


 僕が怖れていたのは「これAndroid入れればいいじゃん」とか「デュアルコアにすればいいじゃん」というバイヤーのコメントだったのだけど、そういうのは一切なしで、「まあいまこれだけなんでもできるタブレットがあるんだから、逆に何も出来ないってのも面白いじゃん」と素直に言ってもらえたのは収穫でした。


 また、日本からけっこう、企業のリサーチの方が「これを見てこいと言われたので一番に来ました」という方が結構いらして感涙。本当にそれくらい遠いんですよベネチアンは。


 逆に言うと一番に来るくらいの気合いがないとベネチアンなんか来ない。

 ちなみにベネチアンホールの目玉は、I'm watchという、世界初のスマートウォッチと、LEGO MINDSTORM EV3でした。特にLEGOはenchantMOONとブロックプログラミングなど近いところにあるのでいろいろ話が聞けて楽しかった。

https://sphotos-b.xx.fbcdn.net/hphotos-prn1/537941_10152079044075752_1456342968_n.jpg


 先日のenchantMOONの密着取材記事を書いて下さった西田宗千佳さんも夕方頃に来て下さって、それも大変嬉しかった。彼らのようなジャーナリストにとってはCESの初日というのは目が回るくらい忙しいものだからね。


 で、これから二日目。頑張ります。

2013-01-08

ベガスに恋して 07:59

Sister Mary Robert: Its beautiful!

Sister Mary Patrick: And what a lovely name, Reno!

Reverend Mother: ...and Gomorrah!


f:id:shi3z:20130108073759p:image


ラスベガス

ここは世界一ハッピーでアッパーな町


カジノの町というイメージが強いが、実際にはカジノだけでなくありとあらゆるタイプのエンターテインメントが集結した町。

そしてこの世の悦楽の限りを尽くした俗欲の町。


食事はビュッフェが基本。基本的に食いきれない

http://25.media.tumblr.com/341ab5d73b2e0f88ade7530d43e06361/tumblr_mga0v1ohTI1qz4gtko2_1280.png

そのビュッフェさえもこんなにオシャレ。

単なる食い放題じゃない。


カジノの人気はルーレット、ブラックジャック、クラップス。

特に僕はクラップスっていう奴に一度は挑戦してみたかった。


しかしどうもルールがよくわからなくて困っていたのだけど、丁度いい解説ページを発見。

ラスベガス大全 カジノ徹底解説

http://www.lvtaizen.com/casino/craps/index.html

なるほどそうなのね、ということでクラップスのルールもだいたい解ったのでトライ。

ギャンブルにハマらないコツは、予算を決めて、その予算の範囲で遊ぶことだ。

そして勝ったらさっさとやめる。負けてもさっさとやめる。この去り際を間違えるとズブズブと泥沼にハマることになる。


目安としては、一時間で100ドルくらい。どんなに安いギャンブルでも、一時間に100ドルくらいは使う必要がある。勝つこともあるし、負けることもある。勝っても深追いしない。勝ったというのは単に運がよかったということで、長期的にやれば負ける確率の方が高いのだから勝ったら逃げる。その繰り返し。


100ドルで一時間過ごすということは、シルクドソレイユやマジックショーを一番いい席で見たのとだいたい同じなので、それと比較すると、たいていの人はシルクドソレイユを見に行った方がいいということになる。


もちろん100ドルが一時間後には300ドルになってることもある。

けどその流れのまま300ドルが900ドルになることはまずない。


クラップスが人気である理由のひとつは、ディーラーの采配が全く及ばないかららしい。イカサマもできなければディーラーの腕とも関係ない。ブラックジャックはディーラーとの勝負だが、クラップスは純粋に運との勝負。それと、賭け方によっては50:50まで勝率を持って行ける。


確かに、ブラックジャックではあっという間になくなってしまった100ドルで、クラップスでは1時間くらいは遊べたから勝率はそれほど悪くないかもしれない。


ルーレットと違い、クラップスは客がサイコロを振る。だからディーラーの関わる要素は全くない。

全ての客がたいていの場合利害を一致させている。だからみんなで盛り上がる。なるほどね、と思った。


先の解説書に従い、僕はずっとパスラインにしか賭けなかった。それとオッズ賭け。

7を中心に6と8に来た場合だけ、オッズに賭ける。最も初歩的な賭け方だが、一回目は勝ち、二回目は負けた。

一回目は10ドル賭けて一時期70ドルまで行き、そこでやめればよかったんだけどやめられずに30ドルで終わり。ビギナーズラックということか。

二回目は100ドル賭けて0になった。さもありなん。


一番勝率が悪いのはスロットで、しかし人気があるのもスロットだ。何も考えなくていいからだろう。

しかしクラップスもパスラインにしか賭けないんだったらなにも考えてないのと同じだ。


ギャンブルを始めるのは簡単だがやめるのは少し難しい。

やめるときには自分の時給で考えるといい。


ギャンブルに費やす時間と、それ以外のこと、たとえば仕事や勉強やブログなんかだが、そういうことをするのに費やす時間、そこから得られるであろう収入。


すると自動的にギャンブルで「稼ごうとする」のは時間の無駄だという結論が出て来る。

ギャンブルで愉しもうと思えば、一時間100ドル、と予算を決めて愉しめばいい。


僕としては、クラップスでちょっと変わった黒人と、一緒に興奮できたから、それだけで充分。なるほど、これは楽しい遊びだと思った。


クラップスはトニースタークがアイアンマンIの中で遊んでる。

サイコロを振る役(シューター)が回って来るとそれだけでもけっこう楽しい。


それとシルクドソレイユ。ついでにデビッドカッパーフィールド。ラスベガスにはなんでもある。


でも僕がラスベガスに一番足りないと思うのは、ヨドバシカメラだ。

それさえあれば、住んでもいいのだがなあ

2013-01-06

Tumblr。それでも恋するGIFアニメ 10:35

 Tumblrに写真をアップしていたら、さすがに写真のネタも尽きて来たので次はどうするかなあと思ったんだけど、そういえばTumblrは今時珍しくGIFアニメのコミュニティがまだ盛り上がってる。

http://25.media.tumblr.com/9ed24cb1ab588624e58a17501aa723ac/tumblr_mg2qgbadTU1r3d8abo1_500.gif

http://tumblr.com/tagged/gif

 そこで僕もトライしてみたのだが、意外と制約があった。

 まず、あまりにでかいGIFアニメはJPEGに変換されてしまう。

 だいたい1MB前後が目安のようだ。

 1MBに限定するとかなり作るのが難しい。

 しかしだから燃えるともいえる。

 OSX用にもいろいろツールがでていていくつか試したが、ムービーからの切り出しならGIF Animatorというズバリのアプリが使いやすかった

https://itunes.apple.com/au/app/gif-animator/id512165265?mt=12

 もとになるムービーは、とりあえずenchantMOONのプロモーションムービーから。

http://25.media.tumblr.com/11e30d4d4bb85e8c76eef710a819f8be/tumblr_mg6jqxKFMj1qz4gtko5_500.gif

 GIFアニメで組写真をつくるのも面白い

http://shi3z.tumblr.com/post/39792370306/im-claiming-to-the-right-to-be-unhappy

 昔からGIFアニメをみるのは好きだったけどあまり作ったことはなかった。

 けど、これはこれでまた写真の可能性を広げるんだろうな

 コツとしては、もとの素材をFinalCut Proで切り取って、そこから美味しいシーンだけを切り出して、さらに4倍速とか8倍速とかで早送りした状態で一度レンダリングして、そこからGIF Animatorにもってきてウェイトを調節するという感じ

 容量を小さく保つにはそうするしかない


 また、つなぎ目のない連続したアニメーションを作ろうと思ったら、4倍速再生→4倍速逆再生とシーンを繋ぐのが一番簡単。


 しかしenchantMOONの素材は、下手に手間がかかっている為に、フリッカー表現(光源のチカチカ)や、普通なら三脚で止めカットにするところをレールをわざわざ引いてドーリーでゆっくり移動させるなど、凝った映像になってしまっているので意外とGIFアニメ向きではなかった。


 次は素材からGIFアニメ作り込みたいなー

 と思いつつ、これからenchantMOONのプロモーションでラスベガスに出発しなければならないので普段のように長いブログを書いてる場合じゃない。


 ま、飛行機の中で長いのは書くよ

 ではまた

2013-01-03

リブログよりも楽しいTumblrの楽しみ方 13:43

 まあ今更説明するのも野暮ってもんだけど、Tumblrというサービスがある。

f:id:shi3z:20130103130453p:image

http://www.tumblr.com

 Twitterとは異なる思想のマイクロブログサービス。

 「リブログ」と呼ばれる、他人のポストの再ポストを繰り返すことで情報が有機的に拡散していく。

 Tumblrでなにがはやっているのか知りたかったら、「たんぶらうざ」を見るといい。

http://mao.s151.xrea.com/tumbrowser/

 Twitterとほぼ同時期に登場し、日本での認知度はTwitterに比べるとまだまだだが、海外ではかなりの人気を誇っているらしい。

 基本的に流れて来るポストにLikeをつけたりReblogしたりするだけで自分だけのTumblrページができる。

f:id:shi3z:20130103130454p:image

http://shi3z.tumblr.com

 もちろん自分でポストを書き下ろすことも出来るが、基本はQuote、つまり引用と呼ばれる形式だ。

 つまりTumblrはその世界の中でなにかコンテンツを創りだすということを一旦捨て、外部コンテンツのQuoteと、リブログに徹して情報の流れだけを創りだすというサービスなのである。


 僕もヒマさえあればTumblrを漁る日々を繰り返していたのだけど、どうも最近、たんぶらうざで自分に絡んだQuoteを何回か見つけてしまって微妙な気分になった。


 いや、それは或る意味で名誉なことだし、或る意味で興味深いことなのだけれども、自分の文章の一部を他人が切り取って共有するというのは、どことなく気恥ずかしいような感じがしたのだ。いや、どんどんリブログしてくれて構わないんだけどね。ただ自分で自分のリブログに出会うと複雑な気分になるってこと。


 つまりデートの途中で別れた昔の彼女に道ばたでばったり出会うみたいな。気まずい感じ。


 そういう自分リブログ濃度が濃くなるとしばらくTumblrから離れて、また薄くなった頃に見に行く、というのを繰り返している。


 まあ僕もたまに自分で自分のブログをリブログしたりするしね(どんだけ自分好きなんだ)。他の人に切り抜かれるくらいなら自分でやっちゃおうかなと。そうすることで自分リブログへの耐性もできるんじゃないかと思ってる。


 さて、リブログばかりしていたのだけど、よく考えたらTumblrにはアップロードする機能もある。


 よし、正月はひとつこれを使い倒してやろう、と思った。

 アップロードする写真は全て自分で撮影した写真に限定した。

 SSDの中を総ざらえして、自分がいいと思った写真をバンバン上げて行った。


 Tumblrには組写真を作る機能があって、何枚かの写真をアップロードすると美しく配置してくれる。写真単体では弱い作品も、組写真にすると急に意味がでてきて立体感を持って来る。

f:id:shi3z:20130103130455p:image

http://shi3z.tumblr.com/post/39172482909/maeda-block-is-a-visual-programming-language-for

 これなんかはプログラムも組み合わさってるし

f:id:shi3z:20130103130456p:image

http://shi3z.tumblr.com/post/39168772921/k-super-computer-japans-fastest-super-computer

 これなんかは一枚の写真ではなかなか凄さを伝えるのが難しい京スーパーコンピュータの凄さを組写真で表現できる。


 組み写真を表現できるプラットフォームはなかなかなかった。

 しかも大きさも変えられるし限定的だがレイアウトのパターンを選べるので、どの写真を強調したいかといったことまで指定できる。


 こういう組写真を作ったリだとか、または自分が過去に撮った「これは奇麗な景色だ」という写真や「これはいいだろ?」という写真を順次アップして行く。

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http://shi3z.tumblr.com/post/39516681453/sunset-of-paris

 たとえばこれはパリの夕暮れに撮った町並み。EOS5D MarkIIとCarlZeissの50mmで撮った。自分で撮った写真のなかでも気に入っているものの一つだけど、たまに見ては「カールツァイスはいいなあ」とため息をつくしか楽しみ方がなかった。


 ところがこれをTumblrに投稿すると見知らぬ外国人がリブログしてくれる。

 それが一人でも二人でもいい。写真を通じて見知らぬ人と美意識を共有できる。それが嬉しい。


 「俺がいいとおもったモノを解ってくれるヒトが居た」


 ただそれだけでずいぶん楽しい。


 僕にとって、それまでのTumblrの使い方は、ネット上の面白いものをリブログしたり、他の人がリブログしたものをさらにリブログしたりといったものだけだった。いわば受け身の使い方とでも言おか。


 カウチポテト的にインターネットを使っていたと言ってもいい。


 しかしTumblrに自分の写真、大げさにいえば自分の作品をアップするということ。

 それは世界に美意識を共有していくということだ。


 ぜんぜんリブログされないものもあれば、思いがけずたくさんのリブログをもらうものもある。

 そうか、ここがツボなのか、と思ったり、感じ方はいろいろあるが、とにかく黙々とアップロードする。Tumblrのファーストポストに拘り、もちろんリブログもしながら、Tumblrのアップロード限界を超えるまで、ただひたすら、アップロードを続ける。


 僕のように写真を撮るのが好きな人は、Tumblrにお気に入りの写真をアップロードするといいかもしれない。


 あらかたアップロードしてしまうと、今度はアップする写真が欲しくて、カメラをもって出かけようかな、という気分が湧いて来る。

 Tumblrへの写真は、たとえばFlickrとかFacebookとかと違って、作品として吟味されてなくてはならない。

 そうしないとフォロワーの人たちが似たような写真ばかりで飽きてしまうし、それはなんとも残念なことだ。

 ということはひとつのシチュエーションで何枚撮ろうと、アップできる、アップすべきなのはほんの数枚で、そのためには写真を吟味する必要があるのだ。


 するとリアルな世界をカメラという装置を使って僕はリブログしているのだ、と気づく。

 iPhone版のTumblrクライアントでカメラと連動しているものもあった気がするけど、ああいうのと似てるけどちょっと違う感じ。


 あくまでも写真表現として現実世界をカメラで切り取り、切り取った映像に自分の心情をプラスして現像し、Tumblrにポストするのだ。


 この場合の現像プロセスは非常に重要で、だからもう思い切ってTumblrにポストする写真は全てRAWで撮影するのがいいかもしれない。


 それをじっくり現像して、吟味して、それからTumblrへポストする。

 それが誰かの琴線に触れ、いくつかの幸運な出会いがあれば、リブログされるかもしれない。LIKEされるかもしれない。されないかもしれない。でも別にいい。


 そうすると、灰色で退屈だった僕の休日の過ごし方も多少はマシに過ごせるような気がして来たのだった。

2013-01-02

正月の珍事: 南相馬にカジノホテルを作るべき理由 13:50

 東さんとこの新年会に呼ばれて行ったら


 「清水さーん、産経でちゃってるよ。正月早々」


 とニヤニヤした顔で言われ、なんのことかと思ったら、確かに産経に出てた。

https://fbcdn-sphotos-h-a.akamaihd.net/hphotos-ak-prn1/s480x480/25042_10152066096455752_1292634595_n.jpg

no title

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130101/trd13010100190001-n1.htm

 ちょっ・・・誰だよこれ渡したの。

 これは僕があくまでイメージをみるために適当に作った合成写真であって・・・もっとちゃんと作ったのもあったのによりによってこの適当な方が載るとは・・・いや、そういう問題でもないよな。


 僕がワルノリしたように見えると残念なので一応補足しておくと、「福島第一原発を中心とした観光地を作る」という企画を正面から捉えた結果、観光地を作るからには経済的な復興とセットでなければダメだろうと。そうしないと現地の人たちが観光地を作るモチベーションがなくて、単に「悲劇」を記録として残したいという外野の気持ちだけが先走ったものになるだろうと思った。

 そもそも相馬近辺は親戚も住んでいたので僕は以前から何度も言ったことがあったし、そこでの仕事は発電所関係を中心にしたサービス業がメインだった。実は一次産業、二次産業は想像してるほど多くないのだ。


 ではそこを観光地化するとはどういうことか。

 たくさんの人がここにやってきたい理由を動機付けしなくてはならない。


 また、通販会社に勤める知人が、震災後、日本中から「福島産の商品はキャンセルして」と電話がかかってきてパニックになったという話を聞いた。まああのとき冷静になれというのも無理な話だろう。


 たまに心ない人間が意味なく福島の悪口を言ってることもある。

 マイナスの感情しかない場所で敢えてプラスをやるには、経済特区を作るしかない。

 また、心情的に子供を育てるのが難しい土地ならば、大人が集まるようにするしかない。

 とすれば、出現するのは一大歓楽街のはずだ。

 だったらギャンブルだ。カジノだ。エンターテインメントだ、ということで日本にラスベガスを作ればいいと思った。これなら法改正だけで勝手に欲の皮の突っ張った民間人、たとえば僕とかだが、そういうのがワッと押し寄せて次々にカジノホテルを作るだろう。もちろん現地の人の雇用を優先するような条件を付ける。

 同じ福島にあるハワイアンズが繁盛しているのだから、南相馬にラスベガスがあったっていいはずだ。


 そこに訪れる人たちは世界中から金を落として行くだろう。

 わざわざ韓国のウォーカーヒルや、マカオに出かけて行くのをやめて。もっと近くて便利な南相馬に日本中の金持ちが集まることになる。東京にちょっと立ち寄った世界中の富裕層もターゲットにできるだろう。


 なぜカジノが違法なのか。

 いくつかの原因のひとつは、労働意欲がなくなるからだ。


 射幸心だけが煽られ、まともに働くことをやめてしまう。だから世界中の大都市ではカジノは禁止なのだ。ラスベガスやマカオでカジノが合法なのは、そこに何も観光資源がないからだ。


 韓国のソウルにあるウォーカーヒルは例外中の例外だが、なんと韓国人は立ち入り禁止だ。

 つまり外国人だけをターゲットにしたカジノなのである。


 フランスとイタリアの国境にあるモナコ王国もF1とカジノしか観光資源がない。

 モナコのカジノは、僕も何度か行ったことがあるが、ラスベガスに比べれば実に爽やかなものだ。


 ではラスベガスはどうか。

 ネバダ州は砂漠しかない。観光資源といえば、デスバレーと呼ばれる直径400キロメートルのなにもない荒野だけだ。あとはエリア51という米軍の秘密基地がある。よくUFOものにでてくるので有名な場所だ。


 ネバダ州のカジノシティはラスベガスとリノが有名だが、やはり圧倒的にラスベガスだ。

 なぜラスベガスが栄えたのか。


 それは全米で最も人口が多いロサンゼルスからクルマで数時間で来れるからだ。

 リッチな週末をラスベガスで過ごす、というライフスタイルがロサンゼルスでは確立しているからだ。


 それは夏の猛暑を長野県の軽井沢で過ごす、というライフスタイルが一時期この東京にもあったように、ロス在住のアメリカ人にとって、週末をラスベガスで過ごすというのは、年に一度くらいはやってもいいイベントなのだ。


 ロサンゼルスを中心とした場所の人口は3000万人。まさに関東圏と同規模の人口だ。

 ここから南相馬までクルマで4〜5時間。常磐自動車道が復活すればもっと速くなるだろう。

 東北新幹線を太平洋側に引いてもいい。


 東京を中心とした関東圏の人間が、年に一度くらいは南相馬のカジノホテルで数日の滞在を楽しむ。

 そういうライフスタイルが出現する可能性は決して低くはない。


 しかしそれもこれも経済特区になればこそだ。

 そしてタックスヘイブン。全てのタックスを無料化する必要はない。

 タックスヘイブンとカジノ合法化は世界の観光資源のない国や地域が使う最終兵器だ。

 ちなみにラスベガスのあるネバダ州はタックスヘイブンでもある。まさにモデルとしているのはそれだ。


 福島第一原発を観光地化する、という非常に難しい命題に対して、真面目に経済がまわるように考えると、このくらいの発想のジャンプはいったんは必要になる。そういう発想は、社会学者からは出てこないだろう。世俗にまみれた企業家として僕の役割はこういう大胆な提案を行うことだろうと思って敢えて無謀なことを書いた。

 実際のプレゼンには、IT企業に限定したタックスヘイブンにして、AppleやAmazonやMicrosoftが本社を南相馬に移転するとか、スタンフォード大学南相馬校ができるとか無茶苦茶なことも書いた。ただ、25年という時間を考えると、このくらいのスケールがないと敢えて今やる意味もないのではないかと思うのだ。


 放っておけば、誰かが記念碑を立てて、廃炉作業は淡々と進んで、まあ誰かが見に来る。

 それだけだ。

 一度沈んだ産業はもとにもどらず、南相馬からは人がどんどん出て行って、必要最低限の人口も集まらないだろう。


 ある小学校は人数の下限を割って、他の小学校と統合されることになったそうだ。

 小学校が減ると、先生の仕事もなくなってしまう。


 町がゆっくりと経済的に死につつあるのだ。経済的な死に瀕した町を救うには、経済を盛り上げるしかない。しかし南相馬で作った作物は、現実的に売ることが出来ないのだ。南相馬市議である但野氏も、農作物をブランド化して売って行こうと準備していた矢先、あの震災が起きて全てがパーになってしまったのだという。だから但野氏は福島ゲームジャムを始めとする東北ITコンセプトに非常に協力的なのだ。プログラムが放射能汚染されることは決してないのだから。


 南相馬市が「なにかをつくりだす」ことで復興しようと思ったら、ITしか道はない。

 しかしITと一口にいっても、実際にはそう簡単ではない。

 そこで、有力IT企業の誘致やITに強い大学の分校の誘致が必要になるのである。


 ITタックスヘイブンが実現すれば、そこに魅力を感じる国内企業は多いだろう。

 米国デラウェア州やネバダ州、英領バージニア州のようなタックスヘイブンに本社機能を置く企業も多いが、東京にほど近い南相馬市でタックスヘイブンが実現するなら魅力を感じる企業もあるだろう。


 本社機能だけは移してもいいと考える会社もでてくるかもしれない。

 ただ、それだけでは現地は盛り上がらない。

 タックスヘイブンだけでは最低限の本社機能だけを置くのがせいぜいだろう。それでは産まれる雇用は限定的だ。

 だから街全体がハッピーな幸福感に包まれている必要がある。過剰なほどのエンターテインメント。恭悦。そういうもので満たさなければならない。だからカジノなのだ。

 ラスベガスのカジノホテルは、単なる現金が出て来るパチンコ屋ではない。

 超一流のサーカス、マジックショー、オペラ、ミュージカル。ありとあらゆるエンターテインメントがカジノホテルにはある。


 誰もが一度は行ってみたくなるミラクルエンチャンターシティ。それがラスベガスなのだ。


 そういうわけで、決してふざけて考えたわけではなく、現地の経済的復興を中心に真面目に考えたのが、ITタックスヘイブンと、カジノ合法化なのです。


 五人も居たら一人くらいはこういう視点を導入しないと、議論ももりあがらないじゃないですか。ね。

Kindle Paperwhite 3Gが容量いっぱいになったときに考えたこと 09:25

 Kindle Paperwhite 3Gは凄い。

 まず買い切り。

 常にネットにつながる(3G)なのに接続料は全てAmazonが負担!!

 こんなビジネスモデルが構築できるのは世界広しといえどAmazonだけだ。

 調子に乗って漫画をガンガンダウンロードしていたら一杯になってしまった。

 ちなみにダウンロードした漫画は

 と、自分で書いてて恥ずかしくなるほど厨二丸出しのものだが、湾岸ミッドナイトの8巻をダウンロードしようとしたところで満杯になってしまいどれか消せ、と言われてしまった。

 いや、消してもいいんだけどさー。どうせクラウドに残ってるし。

 ただ、消すとまたダウンロードするわけで、ダウンロードするとまたAmazonはダウンロード料金をドコモに払うわけじゃないですか。これ、漫画とか4,5回ダウンロードしたらすぐ赤字になりそうなんだけど大丈夫なんですかね、と余計なことが心配になってしまう。

 アメリカでは日本ほどマンガそのものがメジャーじゃないからこういうケースはあまりないのかもしれないけど、日本だと普通の大人も普通にマンガを読むので回線使用量爆発してどうかなってしまうんじゃないか、と余計な心配とわかりつつも心配してしまう。


 それと、いちいち消すとなるとなんかイマイチ嬉しさが減る。

 最初ダウンロードしまくってたときは、積ん読ならぬ積み落としみたいな感じでガンガンAmazonに金払うぜーとむしろ僕の銀行口座がそっくりAmazon様に寄付されるくらいの恐怖感というのがあったのだけど、容量がいっぱいになってしまうと急激にここでブレーキ感がでてくる。


 クラウドがあるからいいだろっていう人は根本的に何も解ってない。

 おれは読みたい時はノータイムで読みたい。できれば付箋挟んどいて、名台詞・名場面はなんども引用したい。

 著作権的に微妙だが私的複製の範囲ってことでいえばiPhoneKindleで読んだ名場面はスクリーンキャプチャとってる。でもここからKindleのページに戻れないからすごく嫌だ。


 それがいちいちクラウドからとってくるとか待ってられるか。いまどき3Gだぞ。

 ついでにいうと、まあ百歩譲ってくラウドからとってくりゃいいだろを受け入れたとしても、クラウドからとってくるためにはローカルでなにか消さなきゃ行けない。「手動で」僕は今後数週間読まないであろう本を選んでわざわざ消さなきゃなんない。こんなモタモタした電子ペーパーのUIで。これが最高に馬鹿げている。本を読むという目的でいえば電子ペーパーはかなりいい。けど、UIという意味では遅い。できるだけUIを使いたくない。なのにこのもっさりモタモタUIを使って消さないとなんない。なぜだ


 僕はあらゆるマンガを持ち歩きたい。できれば1000冊くらいのマンガをまるごとKindleで持ち歩きたいんだけど、少なくともPaperwhiteさんではそれは無理みたいだ。

 Paperwhiteの大容量版とかないし。実際のところ、いったい何ギガのメモリーが載ってるのかよくわからない。

 iPod以前にもシリコン音楽プレイヤーというのはあったんだけど、あっちはスマートメディアというダサダサの記録媒体で32MB〜64MBという信じられないような低容量しか持ち歩けなくて、CDアルバムが1枚入るのがやっとで、これじゃあなんだかな、どれだけヘビーローテーションで聞くんだよ、という感じだった。

 iPodが凄いのはやっぱ「やばい、自分の持ってるCD全部入るんじゃないの?」感であり、大多数のユーザーは実際のところお気に入りのCD数十枚くらいはiPodにスポッと入った。

 僕がKindleに期待していたのは「やばい。僕の本棚全部入るんじゃないの?」感であり、それが買ってからわずか二週間でギブアップとはなかなか悲しいのである。


 iPadにひたすら自炊した本を突っ込んでた時代もあった。

 特に分厚くて持ち歩けない系の本をiPadやiPhoneに突っ込んでおくと非常に良かった。


 でもKindleはそういう分厚い系の本よりはまずはコミックが充実しているのでコミックを読むことになる。が、コミックはわずか四シリーズの途中でギブアップだ。僕はゴルゴ13こち亀も全巻持ち歩きたい。そうするともうずっとマンガ読んで過ごせる。究極のダメ人間端末だ。

 自分の部屋からありとあらゆるマンガを抹殺して、すっきりすっからかんにしたい。

 DVDを棄てたい、と思って大量にDVDを棄てた。それができたのはAppleTVとHuluがあるからだ。よほどみたいお気に入りのDVDだけをとっておいて、たまに見ればいいや程度のやつはiTunesで買えばいい。


 iPod,iPhoneはそうした欲望を叶えてくれる。Kindleもいずれ大容量版が出て、僕はそれを待ってましたとばかりに買うだろう。4シリーズが40シリーズ、容量はたった10倍でいい。そもそも白黒なんだから。もとの情報が少なくとも1/3くらいなんだから(というほど単純ではないが)

 Kindle Paperwhiteの8時間というバッテリー寿命は少ないかと思ったけど意外といけた・・・とおもったら8週間か。しかしとてもそんなに電池が持っているとは思えん。少なくとも買って二週間しか経ってないけど二回は充電してる。3Gのせい?


 それよりも問題は容量だ。

 しかも容量を増やせば増やすほどAmazonは得をする筈である。通信費が減るんだから。サーバーの負担も減るし、ドコモへの回線使用料も減る。

 容量が10倍のKindle Paperwhite 3Gなら、5万円払ってもいい。

 

 Kindleはやっぱり快適だ。

 それは買い物体験が恐ろしく洗練されているからだ。


 Kindleを買うなら、断然Paperwhite3Gがオススメだ。

 3Gとそうでないやつの価格差は5000円くらいだが、体験はiPhoneとiPod touchくらい違う。

 マンガの一巻を読み終わる。

 続きを読むか聞かれて、続きを読むと押せばそのままダウンロードが始まる。


 Kindleが素晴らしいのはそれだけではない。

 たとえばFacebookTwitterである本が話題になる。

 リンクをふむとAmazonのページに行く。

 そこで「Kindleで買う」みたいなボタンが出ていて、それを押すと、僕のKindleに自動的にダウンロードされてる。


 Kindleで買うボタンがない本は、欠かさず「Kindle化をリクエストする」ボタンを押す。

 これが何の役にたつのかわからないが、Kindle化されてほしい、と心から思う。


 Kindleで買えないときだけ、仕方なく実物の本を買う。

 あの段ボールを棄てるというイメージが頭に浮かんで、少しうんざりしながら。


 しかしそのKindleも容量が一杯になってしまった。

 ここまで完璧なユーザー体験を構築していたのに、容量がいっぱいになったあとのKindleはみじめだ。


 むしろ「最近この本読んでないよね?捨てていい?」


 と勝手に積ん読をビニールロープで括って廃品回収に出してしまうおせっかいな彼女の如く、「この本は読んでないので棄てますよ?いいですか?」と聞いて来てほしい。


 このへんのデータの管理関係は、実はソーシャルゲームで恐ろしく磨かれている。

 このブログの読者の大半はソーシャルゲームをやってないか、もしくは作り手の方だと思うので感覚としてわかりにくいかもしれないが、今主流となっているカードバトルソーシャルゲームは、実はデッキ編集に特化した携帯用CMSと言っても差し支えないような機能が満載されている。

 最初はおっかなびっくり搭載されたデッキ編集機能だったが、今やデッキ編集はソーシャルゲームになくてはならないものになった。


 その結果、あらゆるメッセージ処理は定型化され、最適化され、ユーザー体験の重要な一翼を担うことになった。

 

 ソーシャルゲームのカードバトルに必要な機能は、要するにカードの管理である。

 カードを合成したり、売却したり、進化させたりするという一連の機能がある。

 効率的に売却するために売却のためのUIが洗練されていく。

 効率的な合成を実現するために、「合成におすすめ」のUIが洗練されていく。

 挙げ句、最近のトレンドは自動合成だ。

 同じカードが複数でてきたら、勝手に合成する。合成の手間をユーザに掛けさせない。

 また、入手したカードにテキスト入力なしで自由に検索できるよう様々なソート、属性やレアリティによるソートで全てのカードにアクセスできるようにするという工夫がある。


 もっとも、これはいまのソーシャルゲームのカードの枚数が、せいぜい数百枚のオーダーだから成立する話であって、Kindleのように数十万冊の書籍を扱うという前提にはない。

 ただ、それでもソーシャルゲームのカード管理はかなり洗練されたユーザー体験を提供してくれる。


 Kindleでいえば、カードは書籍にあたる。

 ソーシャルゲームで常に数百枚のカードを把握し、管理している経験からいえば、Kindleの書籍管理はまだまだ詰める余地がある。


 ただ、それ以前に端末に入る書籍の数が少なすぎる。

 

 すっかりネガティブな話題しか聞かなくなった楽天koboが付け入る隙があるとすればここではないかと思うのだけど、相変わらず大変なことになってるらしい。

月刊楽天koboちゃん2013年01月号 -三度約束は破られる- - A Successful Failure

http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/3658643.html

 Koboは3Gがないという点をのぞけばKindleに比べてハードウェア的にもソフトウェア的にも決して劣っているわけではない。

 Wikipediaやギター譜を引いても書籍数も多いような気がするし、コンパクトで持ち運びやすい。おまけでついてくるお絵描き機能もなかなか楽しい。Kindleにはない。


 なのに、にもかかわらず、会社の姿勢ひとつでここまで残念な感じになってしまうというのは、僕も社長の端くれとして多いに反省しなければならない。


 koboで電子書籍を買うと、いつの日か読めなくなる可能性が非常に高いのではないか、と思ってしまう。ここには潜在的な恐怖感がある。wikiepdiaや青空文庫にまでDRMをかける会社だ。ある日、全く唐突に「koboやーめた」と言わないとも限らない。実際、そのような感じで楽天が運営してた電子書籍ストアがひとつ消滅してる。


 だとすると電子書籍ストアにもとめられるのは、端末よりもなによりも安定感だ。

 AmazonはKindleを米国で慎重に導入し、そして慎重に普及させている。3Gの通信料金をかわりに払うという、ヤケクソとしか考えられないようなことをしながらも着実に会社を成長させている安定感がある。


 そしてなにより、Amazon自体はオンライン書店として決してなくならないであろう安心感もある。

 仮に端末としてのKindleが死んでも、いつでもiPadやiPhoneでAmazon KindleStoreで買った本を読むことが出来る。これは安心だ。安定感がある。端末の書籍を消しても、半永久的にAmazonから再ダウンロードできるんじゃないか、少なくともむこう10年は大丈夫じゃないか。そういう安定感がある。


 ただし会社の誠実さ以外の部分で安定感を出す方法もある。

 それは大容量化と、DRM解除だ。


 大容量化すれば再ダウンロードしなくていい。向こう10年分の本をダウンロードしておけば、もうkobo Storeが消滅しても構わないとすれば、これは安定感がある。

 DRM解除は、さらに安定感がある。

 その瞬間、その書籍はいくらでもバックアップできるようになるのだ。


 DRM解除すると違法コピーされる、という恐怖心が未だに強い人も少なくない。

 確かにその面はあるだろうが、それ以上にユーザーに与える安心感は大きい。まあDRM解除を実現するにはまず日本で一番頭の固い組織である出版社のお偉方を説得するところから始めなきゃならない。それが一番面倒といえば面倒だ。Kindleでさえ嫌だという人もいるのだろうし。


 僕は個人的にはDRM解除したほうが電子書籍のユーザーは増えると思う。

 それによって具体的な体験が損なわれることがなければなんの問題もなく人々は電子書籍を正規の手段で買うだろう。


 たとえば電子書籍のビューアは今は各社が端末と一緒に作り込んでいるが、本来はもっといろんな可能性があっていい。青空文庫のビューアが洗練されているのは、フォーマットが公開されているから誰でも自由にビューアを作ることが出来るためだ。


 DRM解除しても、もとの著作者にちゃんと印税が行くようになっていればなんの問題もない。

 DRMを解除することと著作権を手放すことはまるきり別だ。個人のバックアップ目的ならDRMの解除を法的に認めてもいいと思う。そうじゃないと怖くて電子書籍端末を持ち歩けなくなってしまう。


 koboはKindleの10倍の容量を搭載すればそれだけでキャズムを超えるのではないかと思うんだけどなぜしないんだろう。下手にフロントライト付きの新型機を出してる場合じゃない。やっぱり安かろう悪かろう戦略がそうさせているのだろうか。僕だったら面倒だからSSD載せちゃうけどな。アホみたいに高くなってしまうけど大容量化によって間違いなく体験は質的に変化がする。


 データベースの容量ではなくて体験で差別化する、という感覚的にごくあたりまえのことが、まだ肌感覚として日本の経営層に伝わってないのかもしれない。


 データベースの絶対量が重要なら、みんなが国立国会図書館に行くはずだ。

 無料だし、全ての書籍が蔵書されているからだ。


 ただ、国会図書館は他の図書館に比べて使うのがちょっと面倒だ。そこにしかない情報もあるが、たいていの場合は近所の図書館で事足りる。データベースの絶対量よりも、近場にあって便利という体験が勝っている。


 コンビニもそう。

 コンビニの商品は全てスーパーマーケットよりも割高に設定されている。

 そのかわり、町のあちこちにあって、24時間やっていて便利。だからコンビニで買う習慣ができる。


 Kindle Paperwhite3Gは書籍におけるコンビニになりうる。WiFiに繋ぐのはちょっと面倒だ。3Gはそれだけでキラー機能と言える。値段も異常に安い。

 誰でもKindleに飽きなければ遠からず容量に不満を抱くだろう。

 だとしたら次の電子書籍端末、電子書籍にiPodのような革命をおこすのは100GB以上の容量を持った電子書籍端末。それを誰が最初につくるかだ。


 僕としてはAmazonに先鞭をつけてほしい。が、koboはわからないけどLideoならまだ充分Kindleに対抗できるかもしれない。LideoがKindle Paperwhite3Gのような3G回線契約を飲めるかどうかは別問題だが。


 いっそSoftbankなら、日本中のあらゆる場所に設置したWiFiスポットがあるから独自の電子書籍端末を作って快適なユーザー体験を売ることも不可能ではない。


 当然、出版社まで持っているソフトバンクグループなんだから、その領域を検討していないわけはないと思うし、いつまでもAppleの代理店みたいな商売をしているわけにもいかなくなるだろう。


 2013年は面白い年になりそうだ。

2013-01-01

ドイツ人と除夜の鐘を撞きに行く 12:06

https://fbcdn-sphotos-d-a.akamaihd.net/hphotos-ak-ash3/574999_10152063060055752_1445636242_n.jpg

 ドイツの名門、ミュンヘン工科大学からのインターンで、UEI最高頭脳決定戦優勝者、ケビン・クラッツァーが1末で一度大学院卒業のためドイツに戻ってしまうので、せっかく初めて来た日本で年越しするのだから、日本流の年の越し方を体験してもらおう、と思って年越しそばを食べに行こうと誘った。


 会社に寄ると、越年サーバー監視で待機してるプログラマー達が何人かいて、連中と連れ立って年越しそばを食べに行くことにする。


 ところが神田の名店、やぶは長蛇の列で1時間半待ち。その近所のまつやも長蛇の列。

 あまり時間を食うと肝心の越年サーバー監視ができなくなってしまう。


 そこで仕方なく、ラーメンを年越しそば代わりに食べることに。

 UEIの越年サーバー監視隊は例年、電気の神様を祭る神田明神でバグ退散のお札を買うことになっているのだが、原くんが「せっかくだからケビンを除夜の鐘撞きに連れて行ってやったらいいんじゃないですか」と言うのでタクシーで善福寺に向かう。


 「年末なにしてた?」


 と聞くと


 「ずっと寝てました」


 と言う


 「寝てるとき以外は?」


 と聞くと


 「実は朝五時までプログラム書いてました。それでずっと寝てた。寝てる意外はプログラミング」


 と返って来た。

 そうだよな。おまえはそういう奴だよ。


 一度始めたら止められない。本当に好きでプログラムを書いてる連中は、そうなのだ。

 ケビンは今の仕事が気に入ったらしく、修士論文のテーマもこれにするのだという。


 確かに興味深いコードだ。

 ふつうにやったときの数倍から数百倍の速度に高速化するエンジン。

 ソフトウェアエンジンの開発は、神になるのに等しい行為だ。

 エンジニアは全てのルールを支配し、その小さな宇宙の神になる。


 「これが完成すれば、君は神になれるかもしれない」


 僕が言うとケビンは首を傾げる


 「ドイツでは神はひとつだけ。実家、エヴァンジェリカル。神にはなれない」


 僕は首を振った。


 「日本には八百万の神。何でも神。だれでも神だ。神は、クリエイターだ。2chに降りれば、神降臨。神は、そう呼ばれるものが神だ」


 「日本の神の道。少し複雑。神社とお寺の違いも、よくわからない」


 「神社は神を、お寺は仏陀を祭ってる。除夜の鐘は寺。108の煩悩を払うため、108の鐘を撞き」


 「煩悩?・・・ごめんワカラナイ」


 僕は手元のiPhoneでさっと「煩悩 ドイツ語」で検索する。

 するとページができた。

煩悩 ドイツ語

翻訳と定義 "煩悩", 辞書 日本語-ドイツ語 オンライン

翻訳を追加する発音を録音する "煩悩"

ドイツ語への翻訳:


  • Leiden
  • Leidenschaft
  • Sinngenuss
  • irdische Wünsche
  • sinnliche Begierde
  • weltliche Sorgen

http://ja.glosbe.com/ja/de/煩悩


 「これ・・・全然ワカラナイ。Leiden・・・罪、weltliche Sorgen・・・愛に関すること。ぜんぜん違う。なぜひとつの言葉なのか」


 「つまり、理性・・・ドイツ語ではVernunft? 論理・・・・英語ではLogic、そういうもの以外の人間の気持ち全部・・・それは我々プログラマーには要らないもの」


 「ああ、つまり英語でいうpassion?みたいな?」


 「passion, emotion・・・ま、そんなとこかな」


 「それが108パターンあって、毎年、この鐘でイレースする?」


 「そういうことになるね」


 passion・・・たしかに煩悩を英語辞書で引くと「worldly passions」と出て来る。あながちへんなものでもないだろう。「worldly」は世俗的な、という意味をもっている。つまり世俗的な情熱、なるほど煩悩とも言えるかな。

 

 子供の頃、毎年除夜の鐘をつきにいって、煩悩を払おうと頑張った。煩悩ってなんだろう、ということさえよくわからないうちに。

 好きな子のこと、クラスの嫌な奴のこと、やりたくない宿題のこと、そういうものに対する、非論理的な感情を全部棄ててしまおうと集中して鐘を撞いた。それでも翌日の初詣の時には、ちゃっかり「あの子と上手く行きますように」なんて祈ったりしてたんだから煩悩というのはなかなか払おうとして払えないものなのだ。

 


 しかし煩悩というのが、もしも本当に世俗的な欲望や非理性的な感情なのだとしたら、確かに除夜の鐘を撞きに来る行為には意味があるのかもしれない。


 「神になりたい、というのは要するに煩悩だな、まさに」と呟いて僕は自嘲気味に笑った。ケビンにはその意味がわからない。不思議そうな顔をしている。


 大人になった僕は、ロジックや理性だけでは人を感動させるようなものを創りだせないことを知っている。より正確にいえば、ロジックや理性、そして本質的な愛、情欲とは無縁の本質的な愛を冷静に扱えてこそ、大人なのだと思う。だがその愛をうまく表現する英単語がない。英語の背景にあるキリスト教圏では愛は神によって与えられるものであり、それは絶対視されているものだからだ。情愛と純粋な愛を分ける言葉は、たとえばエロスとストルゲー、そしてアガペーといった宗教用語で分離できるが、仏教の本質にある「悟り」そして人類愛、みたいなものを直接的に意味する単語は僕の英語力では表現できない。仮に表現したとしても、それをドイツ人がわかる英語にブレークダウンできる自信がない。


 愛の本質に迫るためには、むしろ情欲を知らなければその入り口に立つのは難しいと思う。

 たとえばX先輩のような生き方は、ある種のモラルには外れた行為だろう。しかしX先輩から溢れているように感じるのは全ての人たちへの深い愛情なのだ。たくさんの元奥さん達と、たくさんの子供達とも今も連絡をとりあっていて、20年来連れ添った愛人と先日入籍を果たしたのだという。僕には到底、想像もつかない世界だが、それはX先輩を中心としたある種の宗教的価値観がそこに存在しているということなのかもしれない。


 X先輩は僕よりもずっと愛の深さを知っているのではないか。ときどきそう思うことがある。

 

 ガウタマ・シッダールタも、大金持ちの息子としてありとあらゆる贅沢を享受したあと出家し、修行中に悟りを開き、仏陀となった。


 Wikipediaによれば、シッダールタが出家したのは29歳。悟りを開いたのは35歳だ。以外と歳が近くて驚く。


 シッダールタは29歳で出家するまでは非常に裕福でなに不自由ない暮らしをしていたらしい。出家後は荒行を繰り返し、絶食などの修行を行ったが、結果的に心身が消耗するのみで人生の苦の根本的な解決にならないと悟って苦行をやめ、独自のやりかたで仏教を開いたという。


 スティーブ・ジョブズは仏教徒だったと言われる。

 彼が師事した乙川弘文は曹洞宗の僧侶で、NeXT社のSpiritual Advisor(宗教指導者)を勤めたこともある。


 なるほど菜食主義、そして報酬1ドルといった滅私奉公なスタイルはそういうところにも影響を受けたのかもしれない。


 ゴーン、ゴーンという鐘の音が響く。

 除夜の鐘撞きが始まったようだ。


 重く低い音は、間近で聞くとよりいっそう迫力を増して聞こえる。

 目を閉じれば本当に煩悩の108つ全部とはいかずとも、なにか心の奥底に溜まっていた澱のようなものが浄化されていくような錯覚さえ感じる。


 年に一度、自分の煩悩と向き合い、自分はどこまでもただの人間であるということを自覚するのも悪くない習慣だ。


 今年は思いがけずそれを思い出すことが出来た。


 というわけでみなさん、あけましておめでとうございます。

 今年もよろしくおねがいします。