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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2013-03-03

このマンガが面白すぎる 19:50

 歴史物マンガっていうのは独特の迫力があって凄く面白いんだけど、スペインに居たのでスペインに関係するマンガを読みたいなーと思っていたら、ちょうどよくアド・アストラというマンガがあった。

 これが面白すぎる。

 KIndleで読めるのでiPadとKindleとiPhoneでかわるがわる読んだんだけど、とにかく面白すぎる。


 なにが面白いのかというと、戦略論とか戦略史とかを学ぶと必ず登場する、カルタゴの名将ハンニバルと、そのライバルであるローマの天才戦略家スピキオの話が軸になっているんだけど、とにかくハンニバルがカッコ良い。


 人間の意識の裏をかき、欲望を支配し、奇想天外なやり方で大帝国であるローマを追いつめて行く。

 それがゾクゾクするような演出で描き出されていてぐいぐい引き込まれる。


 昔、「海運ジェネレーション」という、中世の海上貿易をテーマにしたゲームを作るときに地中海の歴史について少し勉強したんだけど、古代ローマ帝国とカルタゴとの戦いは地中海の歴史のなかでもかなり重要な部分を占める。


 ローマ帝国を滅亡寸前まで追いつめながらも、最後は逆襲され、一族郎党が皆殺しになってそこに農作物も作れないよう敢えて塩を蒔くというところまで徹底的に根絶やしにされる。これが紀元前200年〜140年の話。


 スペインは地中海の歴史的に面白い場所にあって、ジブラルタル海峡を渡って、カルタゴや、その後はイスラム教徒を中心とするサラセンの侵攻を幾度となく受ける。


 欧米社会ではハンニバルは優れた戦略家の代名詞であり、日本でも人気のある特攻野郎Aチームを率いるジョン・スミス大佐が通称「ハンニバル」であるのもカルタゴの名将からとられた名前だ(リメイク版ではハンニバル・スミスという名前になる)。

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 ちなみに「ハンニバル」という名前は、雷神バールからの恵み、という意味があるらしい。すごい名前だよね。でもとにかくこのマンガにでてくるハンニバルはめちゃくちゃカッコいい。


 どこまで史実に即しているかはわからないけど、カッコいいから許す。


 僕はもちろんハンニバルも好きだが、映画にもなってるエル・シドというスペインの英雄も好きだ。彼はカリスマ的指導力でキリスト教国家とイスラム教世界に和平を与えた。


エル・シド [Blu-ray]

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 これは中世ヨーロッパの戦闘が非常に丁寧に描かれているのでファンタジーもののゲームを作ってる人は絶対見た方が良い。長い映画だけどその価値はある。


 それであまり関係ないんだけど、ダウンロードしっぱなしでみてなかった「ジョン・カーター」を見ると、エル・シドと話が似たところが有る。



 ジョン・カーターは、エドガー・ライス・バロウズの歴史的傑作スペースオペラを原作とした映画だ。

 こんな古い原作をもってきたことも驚きなんだけど、逆にこれをそのまま映像化すると、スターウォーズやアバターやらで何度も引用されたシーンの元ネタなんだ、と思うような場面が多く出て来てそれはそれで面白いけどちょっと悔しい。映画全体としては面白いけどね。やっぱりスターウォーズの方が面白いからなあ。内容的にはスターウォーズ エピソード6とだいたい同じ。


 ジョン・カーターよりエル・シドの方が前なので、こういう「原住民と仲良くなって帝国勢力と戦う」というプロットは、何度も繰り返される普遍的なモチーフかもしれない。ついでにいうと、ハンニバルもその戦略を使っている。


 この「一見弱い人たちが力強い指導者を得て逆襲する」というアングルは何か心を奮い立たせるものがあるんだろうねえ