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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2014-09-11

iPhone6とApple Watchを見て思ったこと 09:24


 まあ時事ネタでもあるし無視するわけにはいかないので昨日の発表について思ったことを書いておく。


 まずiPhone6。どんどん画面が縦に伸びて行く傾向はもはや避けられないしそれがあるべき進化なのかもしれない。

 が、しかし、こう縦に伸びて行くといつが限界になるんだろうという気がする。そのうち折りたたみ式になるんじゃないか。そのほうが電話そのものはしやすいし


 一番重要なのはNFCの搭載だ。

 ただしNFC搭載=Felica搭載ではないので、日本でそのままお財布ケータイとして使えるというわけでもないらしい。


 ただ、これでNFCが形はどうあれすべてのスマートフォンに乗る流れが確定することになる。これは大きい。

 というのも、NFCのような近距離通信はユビキタス世界を実現する上でキーになる"last one inch"になりうる可能性を秘めているからだ。


 ただし最初の段階でNFCに関するAPIがどこまで解放されるかは謎のままであり、最悪のケースでは、Apple PayのためにしかNFCが使われない可能性もある。しかしいずれ遠からぬ未来に、NFCに関するアクセスは解禁されるだろう。AppleがNFCを搭載するという選択をした、それは大きな前進だと思う。


 カメラに関しては、現段階でも性能が上がりすぎているのに光学手振れ補正までサポートすることでもはや瀕死の状態のデジカメ産業はトドメを刺されてしまうだろう。普及価格帯のコンパクトデジカメならばなおのこと。


 実は以前、EOS 5D MarkIIとCarlZeissの組み合わせで撮影した動画に、足りないカットをダメモトでiPhone5Sで撮影したものをつなげたのだけど、カラーコレクションさえしなくてもほとんど違和感がなくって愕然とした。問題があるとすればiPhoneの本体に起因する手ぶれくらいで、これとて演出と考えればほとんど問題に感じなかった。あと足りないのは光学ズームくらいだ。でも今って、光学ズームの必要性を感じてる人がどのくらいいるのかはかなり疑問だ。


 被写界深度を浅くとらない、パンフォーカスのカメラなら既に必要にして充分という気がする。


 Apple Watchに関しては、噂通り出ちゃったね、という感じ。

 UIに関してはAndroid Gearより洗練されているというよりも、Appleらしい仕上がりになってるところを評価したい。


 ただ、欲しいか?と問われると今の段階では何も言えない。

 似たような機能を持つ機械としてPebbleを持っているけど、やっぱり腕に装着してiPhoneと連動させるデバイスには何か根本的な問題があるような気がする。


 ただ、注目すべき点は最初からさまざまなデザインのバリエーションが用意されていることで、これはApple製品としてはとても珍しいことだ。

 これまでのApple製品は、まず新製品は単色で登場し、市場の反応を見てからカラーバリエーションを増やして行くというやり方だった。


 初代iMacからiPodからiPhoneまで、ずっと伝統的に続いて来たやり方だ。


 ところが今回に限っては最初からカラーバリエーションやバンドとのコンビネーションを意識した商品展開になっている。


 これはどういうことかというと、「ウェアラブルとは機能ではなくファッションである」というAppleなりの「ウェアラブルコンピューティング」に対する回答であると受け取りたい。


 ただ、これをAppleファンが待ち望んでいたのかどうか、ということに関してはとても難しい。Appleに期待していたのはこんな真四角なデバイスじゃない、という人もいるだろうし、デザインにも機能にも冒険が感じられない、保守的なデザインに見える、という人もいるだろう。


 しかし、既に何億という人々がApple製品を使う今日では、もはやAppleはファンのための商品を開発する会社ではなくなってきている、ということなのかもしれない。


 そもそもこの状況、すなわち一企業の販売する単一の製品を世界中の人間が買う、ということ自体が相当異常な状況であることから認識しなくてはならない。


 過去の歴史を紐解いてみても、ハイテク製品がこの勢いで売れたことはない。


 たとえば近いのはMicrosoftや任天堂だけれども、彼らとて毎年のように新製品をリリースしたりはしなかった。数年おきがやっとだ。おそるべきハイペースで新製品を投入し続け、そして勝ち続けているのがAppleなのだ。



 そうすると今度は別の問題がうまれてくる。


 既に忘れかけているが、もはやAppleは「Think Different」な会社ではなくなっているのだ。

 もちろんこのキャンペーンは、17年も昔のものだ。従って今のAppleがThink Differentでないことを問題にする人間はいないのかもしれない。


 しかし今のAppleがあるのは、Think Differentの賜物である、と言ってもバチは当たらないだろう。

 Think Differentは復活後のスティーブ・ジョブズの精神そのものなのだ。

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 この頃、Macを使うのは特別な人たちだった。

 負け組とさえ思われていた。


 ジョブズはそうして瀕死の状態になったAppleの全社員と、全世界のユーザーに向けて、「君たちは負け組じゃない、変わった考えを持つ人であるだけなのだ」と訴えたのだ。


 しかし今はどうか。

 むしろApple製品を使わないこと、つまりiPhone以外を選択することが、どちらかといえばThink Differentになって来ている。


 iPhoneの新型が出ればこぞってそれを買い、または買うか買わないかを判断し、少なくとも一度は話題に上る。


 日本はさらに特殊で、新たに売られるスマートフォンの75%がiPhoneだという話もある。


 今やむしろApple製品以外を選択することがとても勇気のいることになってきているのが現状だ。


 するとApple製品は自分の個性を主張するためのものではなく、いつのまにかApple自身がビッグブラザーになろうとしている。

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 いや、既にビッグブラザーになっているのかもしれない。


 Apple Payも、Appleのビッグブラザー化のひとつの形と言えるだろう。


 これまではそれでも良かった。誰もそこに疑問を持たず、みんなが仲良くやってきた。

 それはAppleが売っていたのが、単なる家電製品であり、コンピュータであったからだ。

 

 しかしウェアラブルとなると話は違って来る。

 これはコンピュータというよりもファッションアイテムだ。


 少なくともAppleはそう考えたに違いない。

 だから新製品としては過剰なまでのバリエーションを許している。

http://i.gyazo.com/0134980714e196392ed405d5e4c157d0.png

 これは製造戦略としてはとても不利だ。

 そもそもiPod以降のApple製品の強みは、全世界単一商品で供給できること、だった。

 言語は画面に表示されるわけだから、ハードウェアキーを極力排除し、全ての世界にひとつの機械を供給することにより原価を圧縮することができたのだ。


 バリエーションがあると、需給予測を正確にしておかないと在庫がだぶつくリスクが急激に高まる。


 もちろん物流の神様であるティム・クックはそんなことは百も承知だろうから、在庫リスクをゼロどころかマイナスにするような巧みな物流戦略が裏にあってのことだろう。


 仮にそうだとしても今回はいきなりバリエーションが多過ぎるような気がする。

 サイズ違いと、6つの異なるカラーのボディ、そして6種類のバンドの素材の組み合わせで、発売時には18モデルになるという。


 これは時計業界としても珍しく強気な商品展開なのではないだろうか。



 正直、時計にそれほど興味もこだわりもない僕としては、いざ買おうと思ってもこれだけ種類があると選べない。


 こういうオジサン向けに、「プレミアムエディション」みたいな、「とにかく高くて自慢にはならないまでも決して恥はかかない」というわかりやすい選択肢を提供してくれないのはAppleとしては初めてのことかもしれない。18種類もあったらセンスを問われてしまうではないか。センスが悪いヤツが際立ってしまう。もはやそれでいいのかApple?泥臭い奴らのスーパースターだったAppleはどこにいってしまったんだ。


 Apple Watchを個人的に欲しいと思うか?というよりも(僕はそもそも腕時計をしないので腕時計型でバイス全般に興味がない)、これだけのバリエーションでいきなり展開してAppleがこのビジネスをどう成長させていくのか、ということに末端の経営者としてとても興味がある。


 という感じかな。

 しかし本当に、いったいどれを選べばいいのだ。Apple Watch