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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2015-05-05

やっぱりかな入力は速い 11:09

 たまに驚かれるんだけど、僕はかな入力なのね。

 で、なんでかな入力なのかというと、そのほうが速いから。


 というのは後付で、僕がコンピュータを触り始めた頃はそもそもかな漢字変換そのものが存在しなくて、日本語(ひらがなカタカナ漢字)を入力したかったら、まずパソコンについてくる「JIS漢字表」を調べて、そこから自分の入力したい文字を探しだして、その16進数コードを入力するしか方法がなかったのよね。


 信じられないかもしれないけどほんとなのよ。


 だから日本語入力そのものが面倒なのでしばしば半角カタカナで代用してたの。

 その後、かな漢字変換が出来た。

 それに先に慣れちゃったもんだから、あとからローマ字漢字変換が出てきて「なんだありゃ」と思ったわけ。

 たぶん最初にローマ字漢字変換ができるようになったのはATOKじゃないかと思うんだけど、あれが爆発的にヒットしたのは、当時突然オフィスにパソコンが現れて、「キーボードなんか怖くて触れない」という、「キーボードアレルギー」というバカみたいな言葉ができるくらい、老人たちが怯えていて、それで頭の悪い老人たちに対して


 「ローマ字入力なら、たった26文字のキー配置を覚えるだけですぐにパソコンを使いこなせますよ」


 という、詐欺みたいな方便のため、瞬く間に広がったのだ。


 でも、よく考えればわかるけど、ローマ字だからといって「」みたいな記号を入力しないわけでもないし、リターンキーやスペースキーを押さないというわけでもない。


 いわゆる日本語キーボードには全部で109のキーがあるわけだけど、そのうち26個のキーしか押さなくて生きていけるわけがない。


 最低でも、それにくわえて0から9までの数字10個と、リターン、スペース、エスケープ、デリート、シフトの5個、それと、画面を暗くしたり音を切ったりするファンクションキーを12個覚えることになり、合計して26+10+5+12=53個のキー配置を覚えなくてはならない。他にもカッコとかの記号とか覚えるとほぼ過半数になるわけですよ。


 その世代っつうのは僕のオヤジくらいの世代であって、要するにもう現役の世代には一人も残ってないはずなのに、未だにキーボードアレルギーの老人の習慣を引きずって、日本ではローマ字変換が当たり前のように使われている。


 ただ、今普通にパソコンを使ってる人たちがキーボードを覚えるのに苦労した経験ってあんまりないはずなんだよね。


 こんなもの、最悪見て打てば覚えられるんだから。


 ところが未だに子供ですらローマ字入力を強いられてる。

 なんでかっていうと、親が使うパソコンが最初からローマ字入力に設定されているから。


 もうね、これは教育の荒廃ですよ。

 自分がかな入力に適応出来ないからって子供にそれを押し付けるなよ。


 あと、昔のパソコン少年は子供の頃から自分専用のPCを買い与えられて、キーボードをデタラメに打っても怒られることはなかったけど、今は家族で一台のパソコンを共有しているからダメっぽいよね。


 で、実際かな入力とローマ字入力でどのくらいの差になるのか、意図せずして確かめてしまった。


 というのも、僕がウン十万の巨費を投じて購入したVAIO Zがお亡くなりになり、かわりにSpectre x360を緊急のメインマシンにして機内で原稿を書いていたからだ。


 機内では創作的な活動をしたほうが時間が速く進むので、できるだけ原稿を書くようにしているんだけど、すると面白いことがわかった。


 だいたい僕はよどみなくキーボードを打って原稿を書くと、時速1万字くらい書くことができることがわかっている。


 実際、行きの飛行機の中でも、かな入力のVAIO Zで4時間で4万字超の原稿が書き上がった。


 ところが帰りの飛行機に乗り込み、原稿の続きを書いているとどうも進みが遅い気がする。

 どのくらい遅いのかと思って測ってみたら、なんと一時間に7000字しか書けていなかった。三時間ほど繰り返し計測しても、ペースが上がらない。どんなに速く書いても7000字が限界だった。


 途中で考え事をして思考がとまったりしていたわけではないので、これは純粋に入力の問題だ。


 「データの見えざる手」によれば、人間が一日に打てるキーの数は決まっているという。


 ということは、僕が一日に書ける文字量は、キーボードがかな入力かローマ字入力かによって決まってしまうということだ。


 つまり僕の生産性は入力メソッドによって大きな制約を受けていたのである。


 しかし生産性に30%もの差が出るというのは大問題だ。

 

 簡単に言えば、一週間のうち2日損しているのと同じだ。


 仮にローマ字入力で仕事をする人と、かな入力で仕事をする人がどちらも同じ企画職やライターだったとしよう。


 僕の場合、印税から逆算すると一文字あたりの収入は15円〜30円である。

 ネットの原稿の場合、かなり下がるがそれでも2円くらいにはなる。


 とはいえ皆がこの印税率ではないだろうから、計算しやすくするために1文字で1円ということにしよう。


 さて、フェアに比較するために22歳で就職し、32歳まで10年間働いたとする。

 一日8時間の労働時間のうち4時間かけて文章を書くとしてかな入力の人は4万字、ローマ字入力の人は2万8千字を書けることになる。


 これを一年間、200日繰り返すとかな入力の人は800万字、ローマ字入力の人は560万字とする。


 1文字1円だから、これだけで年収に240万円もの差が出ることになる。


 これを10年繰り返すと、かな入力の人は8000万円を稼ぐことができ、ローマ字入力の人は5600万円を稼ぐことになる。


 その差は2400万円だ。


 22歳から60歳まで38年間働くとして、生涯収入を見ると、かな入力は3億400万円であるのに対し、ローマ字入力の人は2億1千280万円になる。その差は9120万円。


 ただ文字を打つだけで、これだけ差が出るのだ。



 21世紀、仕事の大半はなんらかの文書を作成することである。

 キーボードが使えない人間はそもそもホワイトカラーとしては生き残れない。


 しかしキーボードの入力方式が違うだけで生産性が140%も向上するのであればかな入力を覚えることになんの躊躇があるだろうか。


 あとから覚えようとすると非常に苦労するらしいが、少なくとも子供にはかな入力を教えてあげたほうがいいと思う。



 ローマ字入力は人間の脳に余計な負担がかかる。

 「コンピュータ」を「Computer」ではなく「konnpyu-ta」と一度変換して、再度変換しないと入力できない。これは控えめに言っても馬鹿げたことだ。


 僕の好きなゆうきゆう先生もローマ字入力からかな入力に転向した一人だ。


 ダイエットと同じで、少なくとも半年間、我慢するつもりでかな入力をやってみれば、なぜ今までかな入力をしなかったのか不思議になると思うな。