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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2016-02-15

できればぜんぜん、火星には行きたくない 映画「オデッセイ」 07:39

 怖い映画は嫌いだ。

 だからホラーも見ないし、エイリアンも見ない。


 けれどもカントクが「リドリー・スコットの映画にしては暗さが全く無いし面白いよ」というのでオデッセイを見に行ってきた。


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 なるほど、たしかに絶望的な状況を描いた映画のはずなのに底抜けに明るい。悲壮感がほとんどない。


 しかし、それでも、ぜんぜん、火星に行きたくならない。

 なんだろう、それは。


 栗城さんの冒険譚を読んでもぜんぜんエベレストに登りたくならない、というのと同じ心境だろうか。

 

 火星探検はある意味で究極のアルピニストだ。

 アストロノーツは、アストロノーツである前にアルピニストであるはずだ。


 限られた資源と体力。そして文明の叡智の限りを尽くして前人未踏の冒険を成し遂げる。


 妙に船長がいいオンナだなあと思ったらゼロ・ダーク・サーティの人なのね。


D


 ゼロ・ダーク・サーティでもいい演技してたけど、今回もいい演技してる。


 でもね。

 でもなんだろう。


 面白い映画であることは間違いないんだけど。

 なんか僕の中ではいまひとつ。


 宇宙遭難モノの傑作といえばアポロ13がある


 最近でも、ゼロ・グラビティインターステラーがある。


D



 ゼロ・グラビティはジェットコースターのような映画だったし、インターステラーはなにかと考えさせられる映画だった。父と娘の映画であり、個人的には今公開してる映画スティーブ・ジョブズと同ジャンルだ。



 アポロ13が一応は史実をもとにした映画であるのに対し、「オデッセイ」は完全なる絵空事である。

 映画の大半は絵空事なので、絵空事なのが問題なのではない。絵空事であるせいではないと思うが、やはりどうも悲壮感というか緊張感が足りない気がする。


 怖い映画は嫌だ、と言ってる割にはゼータクな話だが、最低限の緊張感は欲しい。


 それがあんまりないのだ。

 まあマット・デイモンがそこ抜けに明るいアホっぽい感じを出し過ぎなのかもしれないけど。


 なんていうか、キムタクが主人公でも成立しちゃいそうな感じというか。

 宇宙戦艦の艦橋で黒木メイサと思わず手を繋いじゃう感じというか。わかりますか?


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 でもマット・デイモンじゃなかったら・・・たとえばトム・ハンクスだったら・・・ああやばい、それだけで涙出てきちゃう。トム・ハンクスは顔がずるい。泣かせる顔。


 じゃあウィル・スミスだったら・・・だめだ。もっと緊張感がない。

 いっそ女性を主人公にしてアンジェリーナ・ジョリーだったら・・・ダメだ。なんか生き抜けそう。あとセリフが少なそう。


 どうだろう。クロエ・モレッツにするというのは。

 ダメだ・・・せっかくの美人なのに宇宙服着せたら台無しになっちゃう


 よし、もう麻生久美子にしよう。宇宙兄弟も出てたし。

 麻生久美子・・・いいね、立ってるだけでなぜか悲壮感が漂う。設定は42歳バツイチ。JAXA所属。元旦那のもとに一人娘がいる。


 すげー邦画っぽくなった。

 

 そしてヒットする予感がぜんぜんしないのがヤバイ。


 やっぱマット・デイモンしかないな。ここは。

 

 でもこの映画が面白いと思って、アポロ13を見てない人は、アポロ13がお薦めです。マジで


 アポロ13のなにが良いかっていうと、まず音楽。


 アポロ13の音楽ほど胸を揺さぶる映画音楽はちょっとない。

 

 いや、そりゃジョン・ウィリアムズはスゴいよ。スターウォーズインディ・ジョーンズハリー・ポッター、名作映画の影にジョン・ウィリアムズの曲あり。


 でもね、強いて言えば音楽が良すぎるんだ。勝ちすぎてしまうんだジョン・ウィリアムズはいつも。


 音楽を聞くと映画のワンシーンが蘇ってしまうのだ。

 だから純粋に音楽として見た場合、BGMとして見た場合、心おだやかではいられなくなるのだ。



 ところがアポロ13の音楽は実に控え目。重要な場面にしか掛からない。

 そこがいい。


 曲そのものというよりも、使い方がいい。



 それに、やっぱりなんといっても史実だというのがいい。

 この映画の公開当時まだ大学生だった僕は、バイト先の先輩に「なんで結末のわかってる映画なんか見に行くんだ」と言われたけど、結末が解っているからこそ得られる感動というのも確かにある。それがアポロ13にはある。


 宇宙での遭難、喪われる酸素と温度、そして電力。しにゆく宇宙船に三人のクルー。圧倒的に絶望的な状況の中で、人類で最も賢い人々が知恵と勇気を振り絞って困難に挑み、打ち勝つ。


 この物語が誰よりもNASAの人々にとって重要だというのは、実際、ヒューストンのジョンソン宇宙センターのあちこちにこの映画の名台詞であり、実際に当時、航空管制官のジーン・クランツが言ったという言葉。「Failure is not an option(失敗は選択肢ではない)」のステッカーが貼りだされていることからも解る。


 これは原作小説のタイトルになるくらい大事なセリフなのだが、映画の邦訳ではこのセリフのインパクトが削られていて残念。


 オデッセイより感動すると思う。

 のでオススメ。

アポロ13 (吹替版)

アポロ13 (吹替版)