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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2016-07-07

みずほ銀行はどうすれば救えるのか・・・なあ 08:37

 前々から業界の都市伝説というか噂になっていたことだけど、いよいよもってみずほ銀行のシステム統合がやばいらしいのです。

みずほ(^ω^)システム統合で大型発注するお

既存ベンダー( ´_ゝ`)ふーん

富士通(´;ω;`)大型銀行案件欲しいお。お願いします。

みずほ(^ω^)ちっ、仕方ねーな。じゃあ業務毎に担当割り振るからおまえも参加しろ。

富士通(´;ω;`)ありがとう

みずほ(^ω^)日立、IBMにもシステム分けて担当させるから仲良くやれお

既存ベンダー( ´_ゝ`) ・・・。

プロジェクトが始まって数年後

既存ベンダー(#゚Д゚)おまえんとこで作った業務のシステムとデータやり取りできねぇぞゴルァ

富士通(`・ω・´)しるかコラ。設計書通りじゃい。おまえんとこのシステムもどうなってんじゃ

みずほ\(^o^)/オワタ

【悲報】みずほ銀行の次期システム、デスマプロジェクトが破綻か。完成のメドなく4000億円がパー : IT速報

http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/49014907.html


大規模案件であっても、プロジェクト序盤は、多くても100名程度の比較的少人数でスタートします。プロジェクトが増員され、一気に数百名〜数千名体制になるのは、1次請やコンサル会社が要件定義・基本設計あたりまで完成させ、いざ開発工程に入ろうかとなるところからです。

開発工程で一気に工数を積んで、大規模化するわけです。順次、2次請、3次請、4次請・・・といった会社が、順次体制を作ってピラミッド状に集まってくる。つまり、現在のSI業界の最大の課題である、多重下請構造をそのまま体現したような体制になるわけです。図にすると、こんな感じ。

大規模システム開発案件のデスマーチは、どうしてこんなにつらいのか - あいむあらいぶ

http://blog.imalive7799.com/entry/deathmarch-in-big-project



 なんというか、絵に描いたような地獄絵図とでも言うのでしょうか。

 つくづくこういう業界に手を出さなくて良かったなあ。ゲームやWebは気楽だわい、と思うわけですが。


 で、結局何百億という予算は多重下請け構造の中で中抜きに中抜を繰り返され、最終的に実際に作業する人には時給数百円しか行き渡らないため、中国や台湾、ベトナムといったところから人が駆りだされてきて、現場の中国人が台湾人と殴り合いの喧嘩を演じるとかもう収集つかないところまで来ているという話です。原発事故の石棺処理みたいな煉獄が、こんな近所に存在しているかと思うと胸が熱くなりますね。



 「なれるSE」にもこんな感じの描写がありますが、まさに現代のハノイの塔。完成するころには世界が終わるんじゃないかという気さえします。



 とはいえ、そもそもこのプロジェクトって、少なくとも10年以上前からやってるはずですよね。僕も長らく第一勧銀ユーザーとして、そしてみずほ銀行ユーザーとして、他人事ではないわけですが、むしろ凄いのは現状のつぎはぎだらけのパッチワークみたいなシステムでなんとか日々やっちゃってることです。


 ただ、これは老朽化した原子炉を搭載した格闘用ロボットみたいなもので、一歩間違えば走りながらメルトダウンしかねません。そういう、黒ひげ危機一髪みたいな状況がいつまで続くか分からないのではやいとこシステムを刷新したいと思うものの、うまくいかない。


 これはどうしてなのかというと、まあ色々な所でさんざん指摘されていますが、責任の所在がハッキリしていないからです。


 今回の場合、あくまでも外野から見ている(故に守秘義務等一切に抵触しない)範囲で言えば、ベンダーが多すぎます。


 しかも実際にプログラムを書くわけでもない上流工程のSEが多すぎて、それがまさしくウォーターフォールという形で下流工程に流れて行くわけですが、その過程で二次請け三次請けとたらいまわしを繰り返し、最終的に七次受けという嘘かホントかわからないレベルまで人材の質が下がります。


 そもそもなんでそんなことが起きるかというと、「できます」といってできない会社が多いからです。


 「○○出来ます」と威勢よく言って仕事はとってくるけど、リソースもなければ技術もない、できそうな下請けを探してくることなら「出来ます」という意味だ、的な解釈を自分の中でして、それがループして繰り返されると。すると、たとえば元請けに一人月300万円払っていたとしても、末端は月に30万円くらいしか貰えない、残業代もでない、という地獄が容易に出現します。


 では本当はどうすればいいのかと言うと、みずほ銀行はまず一度大手SIerとの付き合いを保留にして、自社で完全なシステム構築ができる人材を雇うべきです。


 クライアントとベンダーでは基本的に利害が対立するので、これほど巨大なシステムを無駄なくつくり上げようというときに複数のベンダーで利害の奪い合いをしていたらどんどん無駄なコストが膨れ上がります。


 そもそも日本のSIerの実力というのも、実際の所よくわかりません。

 日本最大のSIerであるNTTデータは自社で運営したブログサービスすら満足に運営できませんでした。

2月に障害発生の「Doblog」。5月30日をもってサービスを終了

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/24/23277.html


 しかもハードディスクが飛んだからサービスやめますって・・・僕も一瞬だけdoblogユーザだったので、データを飛ばされた側の人間ですが・・・これ、普通の神経だったら恥ずかしくて生きていけないですよ。大学生とかが個人で自宅で運営してるサービスならともかく、もの凄いマージンをとって、冗長性だの可用性だのでもの凄いカネを積むことを顧客に要求している、サービス開発のプロがそんなくだらない理由でサービスやめるわけですよ。


 これならなまじのベンチャーの方がマシでしょう。


 「Webサービス開発みたいにお気楽じゃないんだよ銀行は!」とSIerの方々はおっしゃると思いますが、生き馬の目を抜くようなこちら側の業界では、「サービスが落ちたら遺失利益を賠償しろ」みたいな無茶苦茶な契約を結ばないとならないことが良くあります。それこそ秒速で一億は言い過ぎにしても、1秒止まったら何千万の賠償となったら真剣に設計しますよ。それで落とさないっていうのがWeb屋の意地なわけです。


 しかも仕様変更とか頻繁にあるし。というかソーシャルゲームの場合、毎月新仕様が追加されるとかざらなわけです。それが一秒間に何万という単位でリクエストが来て全て正確にやりとりするわけじゃないですか。


 みずほ銀行の預金者は2400万人だといいますが、ATMは6700拠点。まあ各拠点に平均5つのATMが設置されていると仮定して3万3500端末。Webサービス的な常識で考えるとこの端末数の負荷は余裕すぎるわけですが、まあここにネットバンキングが加わったとしても、数十万人のアクティブユーザが一日に何千回とクエリーを送ってくるソーシャルゲームに比べたらトランザクション数としてはぜんぜんです。


 既に実績のあるWebベースの取引システムなんか世の中に腐るほどあるわけで、SIerの言いなりにならず責任者が自分の頭で考えれば遥かに低コストかつ早期にシステムの移行ができそうなものですが・・・

 ベンダーが絡むと・・特にIBMなんかは自社のメインフレームを売りたくてしょうがないでしょうし・・・・けれどもそんなもの混ぜた時点で終わります。IBMにしかメンテできなくなるからです。まあ他のベンダーも思惑は一緒だろうなあ。三者のベンダーを混ぜると、三種類のシステムが混在するよね、常識的に考えて。つまりIBMのメインフレームと日立のメインフレームと富士通のメインフレームが三つ巴の戦いを繰り広げる壮大なスペクタクルロマンが始まっちゃうよね。せめてどれかひとつにしておけばまだ混乱しなかったかもしれないのに・・・。今更言っても仕方ないけど。


 こういう場合は、てっとり早く作れるWebベースのクローンシステムを作って、実際の銀行トランザクションのシステムとのつなぎ込みだけやって部分運用とかをしながらブラッシュアップしていけば、まあすんなり行きそうに思えますけどね。全体の予算がウン百億だから、まあものは試しで1億くらいかけてWebベースのプロトタイプを横で作ってみて「あ、正攻法ではダメかと思ったらこっちでもうまくいくじゃん」っていうことにならないんですかね。



 もちろん僕は銀行系のシステムなんか作ったこともないので、たぶん僕の思いもよらない罠とか仕組み上の制限とかあるんだと思いますけど、仮にそうだとしても、7次受けのバイト以下の時給の人が実装を担当するよりはマシな方法があるはずだあるはずだとみんなが思ってるはずなんで、一回頭を冷やすタイミングがあればいいんじゃないかと思いますけどねえ。



 まあそれでも20年来メインバンクはみずほ銀行さんですけどね。

 長文日記はみずほ銀行さんを応援しています。